2026年6月26日 奥村暁子
「議案第35号 中央区家庭的保育事業等の設備及び運営の基準に関する条例」に対する反対意見を述べます。
本議案は、「児童福祉施設の設備及び運営に関する基準等の一部を改正する内閣府令」及び「学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力の防止等のための措置に関する法律」等の施行に伴う条例改正により、一定の場合における保育士数の算定基準の緩和や、児童対象性暴力の防止等を行うものです。
改正内容の一点目は、小規模保育事業所又は事業所内保育事業所に勤務する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理担当職員等を一人に限り保育士とみなすことができるようにすること、二点目は、事業者は児童対象性暴力を防止し、性暴力が行われた場合に乳幼児を適切に保護するための必要な措置を講じること、となっています。
二点目の性暴力防止等については、保育従事者に係る犯罪事実を確認し、必要な措置を講ずることは大事なことであり、賛成できるものです。
国は「日本版?BS」として、性加害の前科者のデータベースをつくり、前科がある場合は教育、保育等の業務に従事させないなどの防止措置義務を学校設置者等に課します。
性被害当事者や家族らの声に応え、長らく待たれていた制度であり、本制度をはじめることが最大の抑止力となることが期待されます。
犯罪履歴という極めて機微な配慮すべき個人情報であるため、人為的ミスも含め漏洩や目的外利用などの懸念があるものの、2024年6月に成立した当該法律の附則では、3年後の見直しの検討を規定しており、本人が犯罪歴のないことを証明する、いわゆるホワイトリストの研究や、先行している英国の?BSのように手厚い人員体制や予算確保に取り組むことが求められます。
問題は、一点目の保育士数の算定基準の緩和です。
2003年11月に児童福祉法が改正され、それまで民間資格だった「保母資格」が、国家資格である「保育士資格」となり、保育士として働くためには、保育士資格を取得していることが必須条件となりました。
保育士資格は子どもの心身の健やかな発達を保障し、保護者に代わって育児を実践する専門家であることを証明する国家資格です。単なる子どもの世話にとどまらず、社会の次世代を育成し、家庭と連携しながら保護者の子育てに関する不安や悩みに寄り添い、保護者の就労や子育てを支える重要な社会的意義を持っています。
理学療法士などの専門職を配置することで、医療的ケア児や発達に課題のある児童に対し、専門的なリハビリ的アプローチを取り入れた質の高い保育を可能とすることなどは大事なことですが、そうした専門職の配置は適切に行いながら、保育士は保育士としてきちんと配置基準に従い確保すべきで、保育士数の算定基準の緩和は問題です。
理学療法士等が保育にあたる際、たとえ条例に定められているように当該保育所の保育士による支援が得られるとしても、それが保育士としての役割を確実に実践する保証にはならず、保育士に替えられるものではありません。
以上の理由により、日本共産党中央区議会議員団は議案第35号に反対します。