2025年区議会第四回定例会 一般質問

2025年11月21日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. 医療や介護の充実と社会保険料の軽減について
  2. 住宅費高騰問題について
  3. 築地市場跡地の埋蔵文化財調査について
  4. 入船湯の再整備について
  5. 「不登校についての提言」について

 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.医療や介護の充実と社会保険料の軽減について

 はじめに、医療や介護の充実と社会保険料の軽減について質問します。
 いま全国の医療機関や介護施設が、赤字経営となって存続が厳しくなっている事態が広がっています。病院の人手不足も深刻で民間の434病院のうち「職員が不足している」と回答した病院は75%に上ります。
 要因は、これまでの診療報酬改定、介護報酬改定が、高齢化の伸びの範囲内に抑えて、賃上げや物価高に対応してこなかったからです。
 日本共産党国会議員団の聞き取りでは、医療界はこぞって、診療報酬、とりわけ初診療や再診料、長年実質的に据え置かれてきた入院基本料を10%以上引き上げないと医療の危機は打開できないと訴えています。日本医師会と病院6団体は「患者さんに適切な医療を提供できなくなるだけではなく、ある日突然、病院をはじめとした医療機関が地域からなくなってしまう」と警告しています。
 そこで質問します。
 第1に、中央区内の医療機関、介護施設の経営状況をどう把握していますか。
 第2に、医療危機、介護危機を回避できるよう、診療報酬や介護報酬の抜本的な増額改定が必要だと考えますが、いかがですか。
 第3に、東京都は地域医療機関に緊急・臨時支援事業支援金を支給し、中央区でも、区内の障害・介護サービス事業所などに物価高騰緊急支援金を支給していますが、医療機関や介護施設の苦境を救うには不十分です。さらなる支援金を求めます。いかがですか。ご答弁ください。

 自民党、維新の会の連立政権は、社会保障費の4兆円の削減を行なうことを合意し、病床の11万床の削減や、薬剤費負担の見直しを行なおうとしています。
 市販薬と同様の効能を持つ医療用医薬品(OTC類似薬)などを保険給付から外す検討は年内に結論を出すとしていますが、厚生労働省の試算では、OTC類似薬を保険適用除外とすると、花粉症治療薬、湿布薬、総合感冒薬、解熱鎮痛剤の4品目の例示で、最大50倍の自己負担増になります。患者に病気の苦しみの上に重い負担増を強いるものです。
 保険外しによって医療保険給付を削減したら、高齢者も現役世代も、医療費の負担は重くなってしまいます。患者負担増はさらなる受診抑制を招き、国民の命と健康を脅かすことになります。
 そこで質問します。
 第1に、OTC類似薬の保険適用の除外を止め、必要で十分な薬の処方を受けられるよう政府に要請するよう求めます。ご答弁ください。
 第2に、社会保険料は高額な負担とならないよう抑えていくことが必要ですが、医療や介護の給付を削減することは、受診抑制で重病化し、逆に医療費全体が増えていくことにつながります。診療報酬や介護報酬の増額改定が保険料の引上げにつながらない様、国庫補助を増額して、社会保険料の引き上げを抑え、医療や介護の財政を安定化させていくことが必要だと考えます。ご答弁ください。

2.住宅費高騰問題について

 次に、住宅費高騰問題について質問します。
 中央区をはじめ都心区部を中心にした異常な住宅費高騰に対する対策は緊急の課題です。私は、第2回定例会で、バブル期以上のマンションなどの高騰は、規制緩和による超高層ビルやタワーマンションなどの乱立による土地の価格の高騰があると指摘し、晴海フラッグで実際おきたように、投機マネーによって、価格高騰・家賃値上げに拍車がかっていることから、転売などに対する規制の強化を求めました。
 その際の区長答弁では、「契約内容について、区が関与することはできませんが、開発事業者に対し、価格高騰につながる転売について配慮するよう申し入れをおこなっている」とのことでした。
 そこで質問します。
 第1に、中央区が行なった申入れの「文書」はないとのことですが、内容は誰に対しどのようなものなのか、またその時の事業者の対応と効果についてお示しください。
 第2に、千代田区では、大手ディベロッパーなどでつくる一般社団法人不動産協会に向けて、投機目的でのマンション取引等に関する要請を行ない、①総合設計などの都市開発諸制度を活用する事業や市街地再開発事業において販売するマンションについては、購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は物件を転売できないように特約を付すこと。② 再開発等事業において販売するマンションは、同一建物において同一名義の者による複数物件の購入を禁止することを明記しています。また、千代田区として、「国や都に対して、短期で転売した場合の譲渡所得税の引上げ等、投機目的での転売を抑制する有効な施策を講じるよう求める」とのことです。
 中央区でも効果のある転売規制を求めます。また、国や都に対して、転売目的への課税強化などを求めることも重要です。見解をお示しください。
 第3に、マンション価格高騰への対策として、千代田区は来年度、区内にあるマンションやアパートの全空き部屋の状況を調査し、改修費がないため放置されている空き部屋について区が費用を助成して改修を促し、廉価な賃貸物件として利用されることをめざすとのことです。中央区でも空き部屋状況の調査を行い、廉価な賃貸物件を増やす施策を求めます。ご答弁ください。

3.築地市場跡地の埋蔵文化財調査について

 次に、築地市場跡地の埋蔵文化財調査について質問します。
 8月に三井不動産が代表企業の「築地まちづくり株式会社」が「基本計画」を発表し、現在都有地の埋蔵文化財調査と土壌汚染対策工事が行われています。
 これまで埋蔵文化財の試掘調査は、2021年から行われて、9件の調査結果報告書も出されています。これは中央区の指導のもと進めてきた調査で、汐入庭園の石積みなどが残っていることなどがわかりました。今後は東京都教育委員会と都埋蔵文化財センターが中心に本掘調査を行なうということですが、中央区教育委員会が文化財の保護の立場で立会いも行ない、調査を進め、保存の方法などについて検討していくことを強く求めるものです。
 なぜかといえば、築地市場跡地開発について、東京都は、事業者募集の段階から、「埋蔵文化財調査で発見された旧浴恩園の池の護岸等は現地保存を要するような重要な遺構ではなかったため、保存方法等について公表する予定はない」として、文化財保護に後ろ向きだからです。
 そこで質問します。
 第1に、文化財保護の立場から中央区教育委員会の役割は重要です。浴恩園を含め、跡地全体の本掘調査を行ったうえで史跡の状況を明らかにして、現地で公開することを求めますが、いかがですか。
 第2に、港区では、東日本旅客鉄道(JR東日本)の高輪ゲートウェイ駅西側周辺の再開発工事で高輪築堤の遺構が発見され、港区の監督の下、外部の有識者らで作る「高輪築堤調査・保存等検討委員会」を設置して、埋蔵文化財調査を進めました。その中で国の史跡に指定されることになり、保存する方法も決めました。
 築地でも中央区教育委員会が主導して文化財保護審議会も開催し、どう史跡を保存し活用していくか検討をすべきだと考えますが、いかがですか。
 それぞれご答弁ください。

4.入船湯の再整備について

 次に、入船湯の再整備について質問します。
 入船湯は、契約期間満了で今年3月に廃止となってしまいました。入船湯の存続を願う1千名を超える署名を添えた請願が出されていますが、残念ながら以前の建物は解体され、民間の特養ホームの建設が予定されているとのことです。
 入船湯は1991年に、それまであった銭湯がなくなり、ビルに建て替えることになった際、中央区が住民の声を受けて強力に指導し、ビルの地下に公衆浴場を整備、維持してきた銭湯です。入船湯が無くなり、「湊湯が込み合って大変」「はやく代わりの銭湯を造ってほしい」という声が上がっています。
 そこで質問します。
 折しも、11月の企画総務委員会に、入船橋の下にある築地川公園多目的広場と接続する入船トンネルを利活用する検討を進めていると報告がありました。子どものあそび場やスポーツ活動の場として活用する方向が出されていますが、スポーツ後に汗を流せる公衆浴場をぜひ作ってほしいという声も寄せられています。多目的広場や築地川公園地下のカルバートも含め、全体計画を再検討し、公衆浴場も組み入れて、入船湯を再整備するよう要望しますがいかがですか。またそれ以外にも、区有地や民間の開発事業なども視野に、地域貢献になる公衆浴場を整備していく方策を要望します。ご答弁ください。

5.「不登校についての提言」について

 次に教育問題で、「不登校についての提言」について質問します。
 7月の区民文教委員会で、令和6年度の不登校の状況について報告がありました。不登校児童、生徒数は、小学校では102人、中学校で113人という報告でした。
 全国で子どもの不登校がこの10年で3倍と急増し、小中学校で35万人近くになっていますが、区内では10年前(2014年・H26)と比べ、小学生は17人から102人へ6倍に増え、中学生は49人から113人と2.3倍となっています。
 そこで質問します。
 中央区では、児童・生徒数が全体として増えているという事情はありますが、不登校がこれだけ増えている状況をどう分析していますか、ご答弁ください。

 日本共産党は今年5月、「不登校についての提言」を発表しました。全国で子どもの不登校が35万人近くになっていることから、約1年かけて、子ども、保護者、教員、フリースクール関係者、研究者らから聞き取りも行い、まとめたものです。その内容を紹介し、質問します。
 この提言は、「子どもの権利を尊重し、子どもも親も安心できる支援を 過度の競争と管理をやめ、子どもを人間として大切にする学校を」というものです。
 「不登校は、子どものせいではありません。不登校の子どもの多くは、さまざまな理由で心が折れた状態にあります。子どもは学校や社会のなかで違和感を抱え、傷つき、がまんにがまんを重ねたすえに、登校できなくなるのです。登校を試みると腹痛や頭痛、顔から表情がなくなるなどの症状が出ることもあり、それは心の傷の深さを表しています。」
 提言では、不登校を子どもの怠けや弱さ、親の甘やかしと捉えるのは誤りであり、学校や社会の中で傷ついている子どもたちは「休む」ことが必要だと強調しています。学習支援が中心の国の不登校対策を改め、休息と回復の保障を中心に据えることが必要です。
 そこで質問します。
 第1に、国の最新の不登校対策である「COCOLOプラン」では、タブレット端末による不登校気味の子どもの「早期発見」を強調し、行き渋り傾向の子どもをあの手この手で登校させることに重点が置かれています。そうした「登校強要」でなく、子どもの気持ちを尊重する対応が大切だと考えますが、いかがですか。
 第2に、子どもの居場所として、適応教室「わくわく21」や学校内に「校内別室」が設置されてきていることは大切な取り組みです。今年度から「校内別室」が全中学校と小学校4校(佃島小学校・月島第二小学校・月島第三小学校・豊海小学校)に設置され、安心できる居場所として活用されています。他の小学校にも広げ、全校に設置するよう求めますが、いかがですか。
 第3に、親への支援を手厚くし、親の安心を増やすことが重要です。親は子どもの不登校にとまどい、「育て方に問題があるのでは」と悩んだり、子どもの見守りや相談などの負担も大変で、「不登校離職」となる場合もあります。
 安心できる情報提供と相談体制、親同士が悩みを語り合い支え合う親の会などのネットワークを支援し情報提供していくことも大切だと考えます。またフリースクール費用の軽減、交通費などの支援も必要です。
 不登校は介護休業(通算93日まで、賃金補償あり)の対象となることを周知徹底し、活用できるよう支援することも大切だと考えますが、いかがですか。
 こうした親への支援について、中央区での取組みをお示しください。

 不登校の急増は、学校での競争と管理をエスカレートさせた第2次安倍政権(2012年12月~2020年9月)とともに始まっています。安倍政権のもと、愛国心教育や教育への権力介入を強める教育基本法(2006年、第1次政権時)の改定が行われ、競争と管理をエスカレートさせました。
 当事者ニーズ全国調査では、子どもの「学校に行きづらいと思い始めたきっかけ」の上位三つは「先生との関係」「勉強はわかるけど授業が合わない」「学校のシステムの問題」といずれも学校関係で、少なくない子どもが「学校が嫌い」と言います。そして、36・9%の子ども、保護者の69・8%が「学校が変わってほしい」と要望しています。
 不登校への対策を講じるならば、まず不登校を生み出している教育政策そのものの見直しが求められると考えます。
 そこで質問します。
 第1に、“忙しすぎる学校”を生み出している学習指導要領を見直すことについてです。
 「ゆとり見直し」と言って、学習の極端な詰め込みがすすめられ、特に2020年度から始まった学習指導要領では、小学校4年以上で毎日6時間授業となり、小学校2年さえ6時間授業の日があります。「提言」では、次期学習指導要領(2030年実施予定)を、学習内容を精選し授業時数をへらし、現場の創意工夫を大幅に認める方向で、抜本的に見直すことを求めています。ご見解をお示しください。
 第2に、全国学力テストを中止することです。全国学力テスト(小6・中3の全員対象、2013年に復活)は、今までなかった県同士の平均点競争を引き起こし、市町村と学校を点数競争に巻き込みました。学校での教育がテストの平均点に一喜一憂するようになり、地方独自の学力テストも広がり、多くの教員が「全国学力テストで学校の雰囲気が変わった」と訴えています。全国学力テストは中止するべきと考えます。ご見解をお示しください。
 第3に、子どもを押さえつける管理教育をやめることについてです。
 教育基本法が改定され、「教育を受ける者」が「規律を重んじる」(第6条)ことが強調されました。そのもとで、「学校スタンダード」などにより、子どもの手の挙げ方などを細かくしばる学校が広がり、子どもに威圧的に接する雰囲気も強まりました。日本共産党の校則アンケート(2022年)では、子どもの半分近くが「監視されているようで窮屈」、4人に1人が校則のために「学校に行きたくなくなる」と答えています。
 教育の場は、個人の尊厳を大切にし、子どもが自由に意見を言える場であるべきです。ご見解をお示しください。
 第4に、教員の多忙化を解消し、自由を保障することについてです。
 この間、教員の長時間労働が止まらず、精神性疾患で病休となる教員も急増しています。教員定数を増やし、教員残業代ゼロ制度をやめ、教員の多忙化を解消することは喫緊の課題です。また教員にも、教員評価制度、職員会議の形骸化や主幹制度等の導入などで管理が強化されてきました。これを抜本的に改め、教育者に必要な自由を保障していくことが重要だと考えます。ご見解をお示しください。
 第5に、OECD諸国最低水準の教育予算を増やし教育条件を改善することも必要です。新型コロナの一斉休校あけ(2020年)の少人数授業に、各地で不登校の子どもたちが参加したように、少人数学級は重要です。当面、小中高での30人以下の学級をめざすことが必要だと考えます。ご見解をお示しください。

 以上で一回目の質問といたします。ご答弁をよろしくお願いします。

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