2025年10月9日 日本共産党中央区議会議員団 奥村暁子
令和6年度(2024年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
異常な物価高騰が続き、区民の生活も厳しさを増しています。党区議団が3月に実施し「区民アンケート」で「この1年間で暮らし向きはどうなりましたか」では、苦しくなった、苦しい状態で変わらない、が合わせて7割にのぼっています。
物価高騰に賃金が追い付かず、働く人の実質賃金は3年連続マイナスです。国は、物価高騰に最も効果のある消費税減税に背を向け続けています。年金・医療・介護など社会保障もあらゆる分野で危機におちいっており、特に、昨年度、政府が訪問介護の基本報酬を2~3%削減したことで、ヘルパーなどの不足と事業所の閉鎖がすすみ、区内でも介護事業所が突然閉鎖となる事態となっています。
東京都政では、「国際競争に勝ち抜く」「稼ぐ東京」をつくることを主眼にして、築地市場「跡地」を含む臨海地域の「東京ベイまちづくり戦略」の大規模開発や、外かく環状道路などの大型道路建設を「財界ファースト」で進めています。
中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たし、「公助」の力を最大限発揮することです。
日本共産党区議団は、2024年の予算編成の際、916項目の「予算要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めました。
2024年の予算執行には、幼稚園弁当給食の開始や幼稚園預かり保育の充実、区内共通買物・食事券の拡充、感震ブレーカー無償配布など評価できる施策もありますが、抜本的な見直しが求められる多くの課題があると考えます。
予算編成から決算審議までの経過を含め、日本共産党中央区議団は、決算案について総合的に検討した結果、議案第83号 令和6年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に反対します。
以下その理由を述べます。
まず一般会計についてです。
第一に、情報公開手数料は23区で中央区のみが徴収していますが、手数料負担で区民の知る権利を阻害することになることは問題です。
第二に、マイナ保険証の不備が次々と明らかになる中、決算年度にはマイナンバーを利用することができる事務に、認可外保育施設保育料の交付に関する事務を加えたり、健康保険証とマイナンバーカードを一体化させるための国民健康保険条例を改正するなど、マイナンバーカードの活用範囲が広げられました。利便性と引き替えに、命と健康が脅かされることや、個人情報流出の危険を避けることが必要です。
第三に、防災対策が不十分です。住民の9割がマンション住まいだという中央区の特性を踏まえ、マンションの耐震改修工事に対する助成拡充が必要です。
第四に、築地市場跡地は、能登半島地震での災害対策の課題も踏まえ、防災公園としても活用できるよう、広大な緑地として整備すべきです。地域遺産として浴恩園の保存も視野に、発掘調査に中央区が主体的に関わっていくことを求めます。
第五に、決算年度には、市街地再開発にともない、日本橋一丁目東地区や室町一丁目地区の区道廃止が行われました。区民の貴重な財産である区道を廃止し、特定企業の利益を最大化する開発に区が協力することは問題です。
第六に、決算年度には9つの市街地再開発事業に約263億円の予算が投じられました。超高層タワーマンションやフィスビルが環境にかける負荷や、地価や不動産価格の高騰を招き、困窮世帯が住まいを失うなどの影響も看過できません。管理不全となるマンションが問題となる中、再開発よりも既存マンションの維持・管理にこそ力を注ぐべきです。
第七に、困窮世帯や高齢者世帯が安心して住み続けられるよう住宅供給の拡充や補助制度を創設するなどして、住み続けられるまちとすることを求めます。
第八に、ベビーシッター利用支援事業は見直すべきです。ベビーシッターの質が担保されるとは言いがたく、事故が起こったときの責任の所在が明確でないなど、密室での保育は危険を伴います。ショートステイや預かり保育の拡充などでニーズに応えることが必要です。
第九に、介護事業所への支援が不十分です。廃業などを招かないよう職員への家賃支援拡充や、施設整備への支援を行ない施設数を増やしていくことが求められます。
第十に、年々増加する障害児・者のニーズに応えるため、放課後等デイサービスやグループホームなどの施設を拡充すべきです。
第十一に、教育不足を解消するためにも教員の労働時間の短縮が必要です。余剰時数の削減や学習力サポートテスト中止など教員の負担軽減をはかるべきです。
第十二に、教育費の保護者負担の軽減をはかるべきです。義務教育は無償の立場で、学用品の無償化や共同利用をすすめることを求めます。
次は特別会計についてです。
国民健康保険料は、2024年度の1人あたり保険料が16万7962円となり、前年から約2万2000円の大幅値上げとなりました。20年間で1.85倍という引上げ幅です。特別区として、一般財源からの法定外繰入れを2026年度に無くす計画を中止すること、繰入金をさらに投入するなどの努力を行い、国や都の補助を増やして保険料そのものを引き下げていくことを求めます。
介護保険料は24年度も値上げされました。保険料を納めているのに必要なときに必要なサービスが受けられない「保険あって介護なし」という、公的制度として重大な機能不全に陥っています。
物価高騰対策として実施した介護サービス事業所への補助金など、支援をさらに拡充することを求めます。必要な介護サービスをお金の心配なく受けられるよう制度を改善すべきです。
後期高齢者医療保険料は昨年度、過去最大の値上げとなり、1人当たり年額約11・1万円にのぼりました。物価高騰に苦しむ高齢者が窓口負担増で受診控えとならないよう、減らし続けてきた国庫負担を元に戻し、さらに増額もして、医療制度をしっかり支えることが求められます。
以上、各会計歳入歳出決算の認定に対する反対の理由を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。