令和7年度中央区各会計予算に対する態度表明

2025年3月26日 日本共産党中央区議会議員団

 令和7年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 物価高騰が続き、国民は苦境に追い込まれています。ところが、25年度政府予算案は、社会保障関係費、文教費、中小企業対策費など、暮らしの予算はどれも、物価上昇に追いつかない実質マイナスの予算案です。食料安定供給費は、米の価格も高騰して対策が求められているにもかかわらず実額でもマイナスです。その中で、防衛関係費(軍事費)だけは前年度比9.5%増という、異常な突出となっています。
 小池知事の提出した東京都の予算案は、都税収入が5,400億円以上増えて史上最高で、予算総額も過去最高を更新し、17兆8千億円を超えましたが、「財界ファースト」でくらしに冷たい姿勢が色濃く現れています。予算案の物価高騰対策は微増にとどまり、総額のわずか0.9%です。その一方で、財界の目先の利益のための都内各地で行われる再開発や、外環道・特定整備路線など大型道路建設に巨額の予算が計上されています。
 中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たし、「公助」の力を最大限発揮することです。
 中央区の新年度予算は「中央区の魅力を発掘・発信!-愛着をもって住み続けられるまちを目指して-」をテーマとして掲げ、一般会計予算1,627億円で、前年度比22%増、当初予算として過去最大規模となっています。市街地再開発事業助成56億円増で10件の事業に297億円が投入されます。
 日本共産党区議団は、区議団に寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約し、956項目の「2025年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めました。
 本予算特別委員会の質疑では、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行いました。
 さらに、区民の生活を守る施策を予算化するという基本に立って、私立・区立の保育所の0歳~2歳児の保育料無償化や生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活、情報公開手数料の廃止、教科活動や各種行事、修学旅行などの教材費の無償化のための費用などを計上し、その財源として、道路占用料の適正化を図るため、区の引き上げ予定額をさらに上乗せする歳入増などにより、一般会計を1億9,721万6千円増額する予算修正案を提出しましたが、残念ながら、わが党の修正案は否決されました。
 区長提案の予算案には、私たちが長年要望してきた高齢者補聴器補助の拡大や、出産祝品の増額、区内共通買物・食事券の拡充や、ゼロカーボンシティー宣言に向けた福島県大熊町との脱炭素を軸にした連携による再生エネルギーの調達など評価できる施策もありますが、抜本的な見直しが求められる多くの課題があると考えます。
 日本共産党中央区議会議員団は、総合的に検討した結果、議案第1号「中央区一般会計予算」、議案第2号「国民健康保険事業会計予算」、議案第3号「介護保険事業会計予算」、議案第4号「後期高齢者医療会計予算」に反対します。
 以下、具体的な課題について述べます。

 まず、一般会計についてです。
 第一に、予算のテーマは「住み続けられるまちを目指して」となっていますが、安心して住み続けられるよう「住まいは人権」の立場に立った住宅政策の転換が必要です。都営住宅、区営住宅など公営住宅の拡充や借り上げ住宅、セーフティネット住宅の拡大、コミュニティファンドを活用した居住継続事業の拡大や家賃補助制度の実施など、中央区に住み続けられるようにするための住宅政策を求めます。
 第二に、新年度から会計年度任用職員の更新回数の制限をなくすことは評価しますが、必要な職員を非常勤で任用するのではなく、地方公務員法の原則である「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営」に立ち戻るべきです。
 第三に、男女共同参画を進めるため、区の職員の女性の管理職を増やすことが必要です。
 第四に、23区中14区が制定し、賃金の引き上げにも効果のある公契約条例を早期に制定すべきです。
 第五に、障害者グループホームの増設や福祉センターでの生活介護事業の拡充を求めます。またニーズに対応できるよう、在宅介護サービスも施設介護サービスも充実させていくべきです。
 第六に、こども家庭センターを軸とした子育て支援の充実や、保育園、学童クラブの質と量の拡大を求めます。
 第七に、特別支援教室のための教員拡充など環境整備を図り、障害のある子どもが一般の教育制度から排除されず、参加を保障されるインクルーシブ教育をすすめることを求めます。
 第八に、中央区の魅力の発掘のためにも、築地市場跡地は浴恩園の保存、再生や広大な緑地、防災公園として整備すべきです。
 第九に、環境に多大な負荷をかける大規模再開発事業による超高層オフィスビルやタワーマンション建設は見直すべきです。地価や不動産価格の上昇が困窮世帯の住まいを奪う役割を果たしていることも看過できません。
 第十に、物価高騰対策として、区内共通買物券の発行の拡大や障害者のタクシー利用券の増額など福祉施策での拡充も重要ですが、異常な物価高騰への対策としては不十分です。義務教育は無償の立場に立って教材費などの無償化も実施するよう求めます。
 第十一に、23区で中央区のみが徴収する情報公開手数料は、区民サービスの向上という観点から無料とすべきです。

 次は特別会計についてです。
 国民健康保険や後期高齢者医療保険では、これまでの保険証を廃止し、マイナ保険証に一本化しましたが、マイナ保険証の不具合や個人情報の漏えいリスクなどから、被保険者でマイナ保険証の登録は5割台にとどまっています。期限が切れる前に「資格確認証」を発行するとしていますが、混乱を避けるためにもこれまでの健康保険証を存続させるべきです。
 国民健康保険料は、2025年度は保険料所得割率などの引下げ、賦課限度額の引き上げが予定され、一人あたり保険料は、前年比1,723円減の、22万3千円となります。
 特別区として、一般財源からの法定外繰入れを2026年度に無くす計画を中止すること、繰入金をさらに投入するなどの努力を行い、国や都の補助を増やして保険料そのものを引き下げていくことを求めます。
 介護保険では、地域包括支援センターの人員配置の基準が改正されますが、人材不足を解消していくためには、介護職の賃金、労働条件の抜本的な改善を図ることが必要です。
 後期高齢者医療では、減らし続けてきた国庫負担を元に戻し、さらに増額もして、医療制度をしっかり支えることが求められます。
 以上、各会計予算案に対する反対理由と主な課題について述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

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