2025年区議会第一回定例会 代表質問

2025年2月26日

日本共産党中央区議会議員  奥村暁子

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問を行います。再質問は留保させていただきます。

 区長は所信表明の冒頭で、中央区の定住人口の増加を誇り、「本年1月には18万7440人と過去最大を記録」したことや「合計特殊出生率は7年連続で23区トップ」となっていると述べ、一方で、人口増加に伴い、子どもを取り巻く環境整備や多世代交流の面など、様々な課題が生じていると述べられました。
 私は、安心して住み続けられるまちづくりの問題を中心に質問します。

 まず市街地再開発についてです。
 「都市再開発法」や「都市再生特別措置法」など国の法律は、大手デベロッパーや大手不動産業者が進める「稼ぐまちづくり」を制度面で支援するものです。「特区」制度などにより、都市計画決定プロセスを骨抜きにし、そこに、税制優遇など事業者支援策が重なっています。
 一例として、2003年頃から国の認定を受けた「民間都市再生事業」は全国で170件あり、容積率緩和に加え税制優遇を受けています。実施する大企業・大手不動産会社への税制優遇措置は2012年から2021年の10年間で約763億円にも上り、その上、事業者は補助金も手にします。認定を受けた170件の内、東京都内での事業は81件(25年2月19日現在)、その内の10件が中央区内の事業です。
 東京都も、「国際競争力の強化」と称して、大企業が利益を上げやすいまちづくりを進めています。都有地までも激安価格で大放出した晴海フラッグや築地市場跡地の再開発はその最たる例です。
 中央区が国や都と足並みを揃え、大企業の利益を最大化する市街地再開発中心のまちづくりを長年続けてきたことは問題です。
 こうした仕組み自体を見直し、再開発優先から、住民生活と住民自治が優先されるまちづくりに転換することが求められています。
 そこでお聞きします。
 一握りの特定企業の利益を最大化するまちづくりはやめ、地域住民が住み続けられるまちづくりに役立つ法制度や予算に変えていくことが必要だと思いますが、いかがですか。まちづくりと都市計画に関わる再開発は、その計画段階から情報が住民に開示され、住民参加のもと、すすめられるようにすべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

 次に防災と環境問題について質問します。
 区長は「災害に強いまちづくり」も掲げていますが、規制緩和による超高層マンションや巨大なオフィスビル建設による昼間人口、夜間人口の急激な増加は、住民の避難所不足や帰宅困難者の増大など、災害時には大きなリスクとなります。長周期地震動、火災、電源喪失など災害時の超高層ビル特有の危険も指摘されており、超高層ビル向けの防災安全対策には大きな費用負担がともないます。
 また、超高層ビル、超高層マンションは、日照、強風など周辺住環境への被害や、コミュニティ分断などの問題も発生します。
 「環境負荷低減に向けた取組」にも区長は言及していますが、巨大ビル建設が環境にかける負荷という悪影響も甚大です。
 そこでお聞きします。
 災害時のリスクや環境への負荷という観点から、超高層ビルを林立させることは、持続可能なまちづくりとは対極にあると思いますが、いかがですか。お答えください。

 次は住宅政策について質問します。
 区長は所信表明で「全ての区民の皆さまがまちに愛着を持ち、住み続けたいと思える中央区を目指し」ていくと述べていますが、今の中央区は果たして住み続けられるまちと言えるでしょうか。
 23区のマンション販売価格が4年間で1.5倍に急騰し、ファミリー向け賃貸の家賃も1年間で1.2倍に高騰しました。2024年の新築マンションの平均価格は1億1,181万円で平均年収の18倍にもなり、バブル期を超える異常事態です。
 価格高騰の背景には、工事費の値上がりだけでなく、転売目的の投機マネーの存在があります。異次元の金融緩和と規制緩和で、住宅を投機の対象にしてしまった国と東京都の責任は重大です。同時に、中央区も区道の廃止で敷地面積を最大化し、「地域貢献」の名のもとに容積率をアップするなど、巨大開発を拡大する役割を担ってきました。国民の税金・財産を使った開発により、土地と住宅価格は上がり、大手不動産開発業者を大もうけさせ、投機マネーを呼び込んで、区民が住み続けられない東京にしてしまったのです。
 そこでお聞きします。
 住宅価格高騰を招いた責任の一旦が、中央区にはあると思いますが、いかがですか。
 住宅価格を抑えるため、外国人投資家等による住宅市場への投機について、規制や課税を強化することや、「特区」制度を見直すなど、大手デベロッパーへの減税や優遇の仕組みを改めるよう、国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

 区民の住宅費負担が厳しい状況にあるなか、新たな住宅政策が求められています。
 毎回応募者が殺到する都営住宅ですが、新規建設は26年間連続ゼロが続いています。
 小池都知事が公約した手頃な価格で入居できるという「アフォーダブル住宅」も、家賃は相場の8割程度と低所得者向けとは言えず、供給の規模も約80戸と微々たるものです。東京都は家賃補助にも背を向けています。
 そこでお聞きします。
 都営住宅を大幅に増やすこと、また、民間住宅を借り上げて都営住宅として提供するよう東京都に求めるべきだと思いますが、いかがですか。お答えください。

 中央区でも低家賃で住める区営住宅は倍率が高く、「サービス付き高齢者住宅」やかつての高齢者優良賃貸住宅である「セーフティーネット住宅」など高齢者向けの住宅も、待機者が多くなかなか入居できません。
 党区議団に寄せられる相談でも、「都営住宅になかなか当たらない。本当は高齢者住宅に入りたいが、そもそも募集が少ない。3月末には家主から退去するよう言われていて困り果てている」という声や、車イス利用の女性からは「民間のバリアフリー住宅に住みたいけれど、そもそもバリアフリーに対応している住宅が少なく、家賃も高い」「セーフティーネット住宅も待機者となってしまう」など悲痛な声が届いています。
 大もとにある住宅費の高騰を抑えることと併せ、低家賃の住宅供給や家賃補助制度創設が必要です。
 そこでお聞きします。
 第一に、杉並区は、低所得者や高齢者、子育て家庭など「住宅確保要配慮者」に対して民間賃貸住宅への入居促進を図る「居住支援協議会」を設置しており、入居相談・住宅情報の提供、家賃等債務保証及び見守りサービス等の居住支援事業を行っています。また、住宅や福祉分野などの事業者や関係機関と連携し、総合的な居住支援にも取り組むとのことです。
 こうした取組を中央区でも行なうよう求めますが、いかがですか。
 さらに杉並区では、「住まいは人権」との考え方のもと、区営住宅の抽選に落選した低所得者のひとり親世帯と子どもが3人以上いる多子世帯に対し、1世帯年30万円、最大2年まで助成が受けられる家賃補助制度を都内で初めて創設します。民間の住宅ストックを活用する狙いもあります。他にも、転居費用が準備できない低所得者向けに、単身世帯15万円、2人以上の世帯には20万円を助成する制度も新設します。こうした制度を中央区でも実施するよう求めますが、いかがですか。お答えください。
 第二に、「サービス付き高齢者住宅」やかつての高齢者優良賃貸住宅である「セーフティーネット住宅」には4万円の家賃補助制度がありますが、住宅によってはその補助があってもまだ低家賃とはいえないものもあります。家賃補助の拡充を求めますが、いかがですか。
 また、こうした住宅を整備する事業者に対して補助制度が設けられていますが、さらに住宅軒数を増やすためにも補助額の引上げを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

 次は公園整備について質問します。
 区長は所信表明で「水とみどりあふれる豊かなまちづくり」として「公募設置管理制度(パークPFI)を活用して、桜川公園の再整備」に取り組むとしています。
 2017年の都市公園法改悪に伴って創設された、このパークPFIとは、全国で進められている「稼ぐ公園」づくりに用いられている制度です。この手法は、一部のデベロッパーのみが儲かる住民無視の都市開発の延長上にあります。
 そこでお聞きします。
 桜川公園のパークPFIの公募には1社からの応募があったとのことですが、先日の環境建設委員会では事業者名も整備内容も明かされませんでした。区民や議会には知らされず、ブラックボックスの中で検討が進められることには、指定管理者制度同様、大いに疑問を持ちます。開かれた場での議論もないまま、このまま事業者を決定してよいのでしょうか。
 貴重な桜川公園にわざわざPark-PFI制度を用いてカフェなどを作らなくとも、区が直接管理運営することに何の問題もないと思いますが、いかがですか。お答えください。

 人口増にともない子どもの数も増え続け、保育園もどんどん開設されてきましたが、中央区で園庭のある保育園は全体のわずか17.6%にとどまっており、安全にのびのびと外遊びができる園庭がない保育園がほとんどです。
 そんななか、2021年度から私立認可保育所等の園児を近隣の公園までバスで送迎する事業が始まり喜ばれていますが、それほどまでに中央区には園庭や公園が不足していることを象徴する事業だといえます。送迎の頻度は各園月1回までとなっており十分とはいえません。
 そこでお聞きします。
 園庭のある保育園を増やしたり、街中でポケットパークを整備するなど、公園を増やすことを求めますがいかがですか。お答えください。

 次に築地市場跡地について質問します。
 19万㎡の築地市場跡地では、5万人を収容するマルチスタジアムを中心とし高層オフィスビルやマンション、ホテルなどを集積させた開発計画がすすめられようとしており、3月までに東京都と三井不動産を代表企業とする事業予定者が、基本協定を締結する予定とのことです。
 この場所では2021年に、天下の名園と呼ばれた「浴恩園」の遺構が発掘されました。江戸時代、白河藩・松平定信が築いたもので、園内の池に海水を引き込み、独特の景観をもっていたこの庭園を再生させようという運動があります。
 東京都は今、「江戸文化を世界遺産に」という声を上げていますが、その傍らで江戸文化の上に大規模再開発をすすめることには矛盾があると言わざるを得ません。
 区長は所信表明で「築地市場跡地開発は、首都東京、ひいては日本の将来をけん引する大きなプロジェクト」だと述べていますが、巨大プロジェクトを心底望んでいるのは莫大な利益を得るデベロッパーです。
 今後、子どもたちのために、また幅広い区民のためにも、中央区内で広い公園や緑地を整備できる可能性が残されているのは、都有地である築地市場跡地しかありません。
 浴恩園など緑の空間をつくることこそ、将来のために必要なのではないでしょうか。
 そこでお聞きします。
 最後に残された貴重な都有地までデベロッパーに格安で貸し出し、巨大開発をすることが、真に都民、区民の願いにかなうのでしょうか。区長のお考えをお聞きします。さらに、「築地の歴史と文化を未来へつなぐ」との区長の言葉を体言するのならば、今一度、立ち止まり、巨大開発を見直すよう東京都に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。お答えください。

 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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