2025/03/04

議案第8号 「中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法率に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」に対する反対意見

奥村暁子

 議案第8号 「中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法率に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」に反対します。以下、その理由を述べます。
 本議案は、情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律(令和六年法律第四十六号)の施行に伴い、規定を整備するものです。
 国は、公的基礎情報データベース(ベースレジストリ)の整備改善計画を作成し、データを正確かつ最新の内容に保つ措置を講ずるなど、官民のデータ連携を容易にし、利活用を促進するとしており、今回の条例改正はその一環としてスマートフォンへのマイナンバーカードの搭載を可能とすることに伴うものです。
 個人を特定する機微な情報を一体化することは、個人情報の漏洩と流用のリスクを高めます。
 これまでにも条例改正により、外国人生活保護措置者への個人番号利用事務拡大や、重度心身障害手当、難病患者福祉手当の支給、心身障害者医療費助成、子ども医療費助成、ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金支給など、マイナンバーによる特定個人情報の一元管理が進められ、対象となる事務が拡大されてきました。
 そもそもマイナンバー制度は、プライバシー侵害のリスクが避けられないものであり、それゆえ制度発足以来、社会保障、税、災害対策の分野に限定して使用し、利用する事務・情報連携も法律で規定し、マイナンバーを含む個人情報の収集・保管は、本人同意があっても禁止してきましたが、2023年の法改正ではこれを大転換して、マイナンバー利用の限定を外して全ての行政分野において利用を推進し、法定事務に順ずる事務や条例で措置した自治体事務は、法定することなく利用できるようにし、マイナンバーの情報連携も法改正なしに拡大することを可能としました。
 2024年には、マイナンバー制度の利用範囲を、個人の最高情報である戸籍にまで広げる布石として、オンライン上で行政手続きをする際に利用できる「戸籍電子証明」の提供に際して、マイナポータルを使用して符号を取得する場合には手数料を徴収しないという条例改正も行われました。
 日本共産党区議団は、行政手続きの効率化がはかられることや区民の利便性が高まること自体を否定するものではありませんが、マイナンバー制度への参加を柱にした制度設計が行なわれ、次々と利用拡大がはかられることは問題だと考えます。
 マイナンバー制度によって、個人情報が集積されることは、区民にとっての利便性や行政事務の効率以上に、徴税強化や社会保障給付抑制の目的に加え、民間事業者による個人情報が利活用されることや、個人情報流出などの不利益があります。憲法が定めるプライバシー権侵害などの観点からも看過できない問題です。
 今回の条例改正により、区民が日常的に持ち歩くスマートフォンへのマイナンバーカードの搭載を可能とすることは、こうした不利益を拡大するものです。
 以上の理由により、日本共産党区議団は、議案第8号に反対します。

以上

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