2024年区議会第四回定例会 一般質問

2024年11月25日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. 平和事業の推進について
  2. 物価高騰対策、中小企業支援について
  3. 福祉施策の充実について
  4. 桜川公園へのパークPFI導入について
  5. 築地市場跡地開発について
  6. 教育問題について

 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.平和事業の推進について

 始めに、平和事業の推進について質問します。
 来年2025年は戦後80年、広島・長崎の被爆から80周年の節目の年となります。
 世界ではいま、核兵器が使用される現実の危険が高まっている中、今年10月に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)がノーベル平和賞を受賞し、「核兵器のない世界」を願うすべての人々に限りない励ましと勇気を与えています。
 いまこそ被爆者の言葉に真摯(しんし)に耳をかたむけ、核保有国とその「核抑止力」に依存する国に対し、核兵器廃絶の行動に踏みだすよう求めていく時ではないでしょうか。
 中央区では、1988年に「平和都市宣言」をおこない、毎年、「平和の都市(まち)の楽しい集い」「中央区平和展」を開催、区のホームページでは「中央区平和祈念バーチャルミュージアム」で戦争の記録と平和への願いを発信していることは重要です。
 そこで質問します。
 第1に、来年戦後80年、被爆80周年となる節目にふさわしく、こうした平和事業をさらに充実させていくことを求めます。特に、「平和展」では、被爆の実相を伝える展示や、日本によるアジア・太平洋諸国へ「加害」の記録も事実としてきちんと伝え、日本国憲法の前文「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにする」という平和への願いをアピールすることが大切だと考えますが、いかがですか。
 第2に、中央区も参加している平和首長会議は、核保有国を始め全ての国が「核兵器禁止条約」に参加することを目指し、広島被爆者7団体が呼びかけている「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」をすすめています。ぜひ区長自ら署名し、核兵器廃絶への意志をアピールするよう求めます。また港区などのように区のHPにも平和首長会議の取組みを掲載して署名を呼びかける行動をぜひ進めていただきたいと思います。
 それぞれご答弁をお願いします。

2.物価高騰対策・中小企業支援について

 次に、物価高騰対策・中小企業支援について質問します。
 国内の全企業数の99・7%を占め、全雇用者の7割を雇用する中小企業は日本経済の背骨であり、地域経済の主役です。中央区でも、全事業所の中で従業者数100人未満の中小事業所が全体の96.5%を占めており、中小企業の振興なしに、賃金の引き上げも地域経済の再生も実現しません。
 ところがいま中小企業は、コロナ債務の重圧に加え、円安による原材料費の高騰が直撃し、苦境に追い込まれています。
 また、税や社会保険料の負担が重くなり、滞納が一因となって倒産する企業も増えています。全国で2024年上期の倒産の約9割を従業員10人未満の小規模企業が占め、倒産件数は年間1万件を超えて、10年ぶりの高い水準となっています。
 区内でも「コロナで「家飲み」が増え、客足がコロナ前に戻らない」、「昨年10月から実施されたインボイス制度で消費税の負担が増えたいへん」「保険料の滞納で差押えの通知が届き困っている」と悲鳴が上がっています。
 そこで質問します。
 第1に、区内の中小企業、小規模企業の経営状況や、倒産件数などはどうなっていますか。インボイス制度の影響をどのように把握していますか。
 第2に、電気・ガス代、資材の高騰に対し、負担を軽減する支援制度を国や都に求めることと合わせ、杉並区で実施したような中小企業向けに光熱費補助をおこなうなどの区独自の物価高騰対策を実施するよう求めます。いかがですか。
 第3に、最も有効な物価高騰対策は、消費税の減税です。消費税を一律5%にすれば、インボイス制度も必要なくなります。国に対し消費税の減税と、不公正な大企業優遇税制の見直しで財源を確保するようを求めることはできませんか。お答えください。
 第4に、事業者の社会保険料の負担も重すぎます。自営業者などが加入する国民健康保険料は、毎年引き上げられ、負担能力を超える保険料となっています。保険料の引き上げを止めること、生存権を脅かす強権的な徴収は止めること、減免の申請を積極的に認めることを求めます。ご答弁ください。

3.福祉施策の充実について

 次に、福祉施策の充実について質問します。
 まず、介護事業所、障害者事業所の支援についてです。
 介護保険の今年度の介護報酬の改定で、全体として介護は1.6%、障害は1.1%のわずかな引き上げにとどまり、訪問介護にかかる報酬は逆に2~3%の引き下げとなりました。そのため上半期の介護事業所の倒産件数は、介護保険制度の施行以降、最多となる危機的な状況が広がっています。
 中央区内でもデイサービスの事業所が突然閉鎖となり「代わりのデイサービスを探しているがどこもいっぱいで断られ困っている」という相談が寄せられました。
 中央区は、11月の補正予算で、物価高騰対策として区内の障害・介護サービス事業所、保育所等に対し、支援金を支給する予算を計上したことは大いに評価するものですが、今年度だけでなく次年度以降も、「福祉サービスの安定的な提供環境を維持する」ための支援を行なうよう強く求めるものです。
 世田谷区は、高齢者施設・障害者施設の福祉人材の確保や経営に必要な経費を補い、事業継続を支えるため、給付金の支給による事業者支援事業を実施し、訪問介護等事業所には1事業所あたり一律88万円、居宅系サービス事業所には1事業所あたり28万円の給付金を支給するとのことです。
 中央区でも、こうした思い切った支援給付金や、人材確保のための継続的な支援策を求めますがいかがですか。ご答弁ください。

 次に、保育料の無償化についてです。
 現在、幼児教育の無償化制度によって、3歳から5歳までの保育料は無償となっていますが、0歳から2歳までの第1子の保育料は、所得に応じて月額0円から最高で標準時間保育6万4000円、短時間保育で6万2900円の保護者負担となっています。
 日本共産党区議団は、子どもの年齢で区別せず、保育園やこども園にかようすべての子どもの保育料を無償化することを求め、これまでも予算修正提案も行なってきました。
 小池都知事は今年の都知事選挙で「第一子の保育料無償化」を公約し、日本共産党都議団の質問に対し「安心して子供を産み育てることができる社会の実現に向けて第一子の保育料無償化を検討する」と答えています。ぜひ無償化するよう東京都に求めるとともに、区としても早期に実施するための予算化を求めるものです。ご答弁ください。

4.桜川公園へのパークPFI導入について

 次に、桜川公園へのパークPFI導入について質問します。
 中央区では、現在入船1丁目にある区立桜川公園に公募設置管理制度、パークPFIを導入する計画を進めています。
 パークPFIは、2017年の都市公園法改定で、公募により選定された者が、公園内に飲食店などの施設を設置して、その収益を活用して公園の整備や維持管理を行うもので、公園内につくる建物の建ぺい率は、従来は2%まででしたが、12%まで規制緩和しました。
 そこで質問します。
 第1に、この問題で、私が2022年の第3回定例会で質問した際、「本区においては、新たな公園用地の確保が難しいことから、公園機能の充実による質の向上に取り組む必要があり…Park‐PFIの導入について・・・丁寧に検討する」との答弁でした。検討しパークPFIによる公園整備を決定した理由をお示しください。
 第2に、区がおこなったアンケートでも、充実してほしいのは「快適に過ごせる日影やベンチなどの休憩の場」「芝生などの広場空間」「花や樹木」との回答が多く、また近隣の保育園は「乳児~幼児まで幅広い年代の遊び場として、ほぼ毎日利用している」とのことです。中央区内の保育園は園庭のない園が8割をしめており、桜川公園は、周辺の保育園の子どもたちの貴重な外遊びの場となっています。桜川公園の限られた敷地の中に、子どもたちが遊べるスペースを削ってわざわざカフェなどをつくり、営利事業に20年間も貸出すのは止めてほしいと切に願います。いかがですか。
 第3に、言うまでもなく、公園は心身の健康にとって不可欠な空地・緑地であり、全ての人々に開かれた公有地「コモン」です。
 中央区の公園面積は浜離宮恩賜庭園など都立・区立公園・児童遊園を併せても67万㎡、区民一人あたり3.7㎡です。緑被率は10.7%と、23区で下から3番目です。
 一方、区内にはすでにたくさんの飲食店やカフェがあり、新たなビルの建設も多く、商業施設の床は余っているのが現状です。中央区の公園にパークPFIを導入することを見直すよう求めます。ご答弁ください。

5.築地市場跡地開発について

 次に、築地市場跡地開発について質問します。
 11月の築地等都市基盤対策特別委員会で、築地市場跡地開発の進捗について報告がありました。報告では「現在都や事業予定者において、埋蔵文化財調査をはじめとした各種調査を調整・実施中」、区は「『築地市場跡地開発に関連する要望書』に基づき、事業予定者と区有施設の再編等の協議を進めている」として、スケジュール案では、東京都と事業者との間で2024年度(令和6年)度中に基本協定締結、区は締結前までに要望書に対するとりまとめを求めていく、というスケジュールが示されています。
 そこでお聞きします。
 第1に、現在中央区と事業予定者三井不動産とはどのような協議を進めているのかお示しください。
 第2に、都の築地地区まちづくり事業審査委員会は、審査結果の報告書で「まちの将来像や開発内容、事業の進め方等について、都民等に対し、わかりやすく、積極的に情報発信するとともに、都民等の意見を受け付ける機会を設け、それらの意見に対し丁寧に対応すること。」としています。東京都と事業者間で協定を締結する前に、東京都と事業予定者が、中央区議会やまちづくり協議会はもとより、広く区民、都民や専門家などの意見を聞く場を設けるべきではないでしょうか。区長の見解を問います。
 第3に、既に行われている市場跡地の埋蔵物の予備調査・試掘調査には、中央区教育委員会も参加していますが、埋蔵物の状況やその評価をお示しください。
 文化財保存全国協議会は、今年の大会で「都旧跡『浴恩園跡』の保存と再生を求める決議」をあげました。全面的な調査と復元、保存が求められると考えますが、教育委員会の見解をお示しください。
 第4に、日本共産党区議団は、築地市場跡地に眠る浴恩園の復元とあわせ、公園と緑を中心にした計画に変更を求めるものです。特に、人口が増え、子どもの急増の中で、子どもたちがのびのびと遊べる公園を求める声は切実です。浴恩園の復元と公園の拡大について、区長の見解をお答えください。
 第5に、築地跡地開発ワンパーク・ワンタウンの代表企業は三井不動産です。
 選手村跡地の晴海フラッグを整備した特定建築者の代表企業も三井不動産レジデンシャルです。区内では、現在進行中の日本橋周辺の再開発、八重洲地区の再開発を含め、1996年以降の区内の「市街地再開発事業」34件のうち15件に三井不動産か三井不動産レジデンシャルが事業者として入っています。どうしてそんなことができるのでしょうか。そして今度は23ヘクタールの築地市場跡地開発を主導します。総事業費9000億円という巨大プロジェクトです。
 晴海フラッグでは都有地を周辺地価の10分の1で払い下げ、中央区もタワマン以外の板状棟の開発協力金を免除しました。築地では都有地の借地料は破格の月4500円/㎡です。市街地再開発事業では、容積率の大幅な緩和で超高層オフィスビルやタワーマンションの建設を可能にしています。
 特定の企業を優遇し、都有地を売却価格や借地料を大幅に引き下げて提供し、容積率の上乗せなどの大サービスを行なうことは看過できません。三井不動産が主導する再開発事業に「奉仕」するのは止めるべきです。区長の見解を求めます。

6.教育問題について

 最後に、教育問題について質問します。
 現在、学校教育では「GIGAスクール構想」に基づき、子どもたちが一人1台のタブレット端末を持ち、導入から5年、来年5月には新しい学習用タブレットに一斉入れ替えとなります。デジタル教科書が本格的に導入され、英語と算数・数学が小学5年生から中学3年生まで全員に配られています。
 先日、小学校でのタブレット端末を活用して国語や道徳の授業をおこなっているところを視察させていただきました。
 「メディアバランスを考えよう」という授業では、健康的な生活を送るうえで、ネットやテレビなどの利用について、タブレットを使ってグループ討論などを交えて深めていく内容で、「デジタルシチズンシップ教育」が実践されており、感心しました。
 そこで質問します。
 第1に、ICT教育は、各学校で工夫をし、教師の指導性を高めて実践されていることと評価しますが、教育委員会として、いま進めているICT教育の成果と課題をどのようにお考えですか。
 第2に、デジタル生活で、子どものからだと心に影響が出ている問題についてです。授業でも「長時間利用を止めよう」ということを考えていく取組みが実践されていましたが、デジタル機器の利用による視力の低下など眼への影響だけでなく、睡眠不足や睡眠の質の低下、脳と心の育ちへの影響も指摘されています。どうお考えですか。
 第3に、ICT教育と学力の問題についてです。2023年7月にユネスコが発表した「グローバルエデュケーションモニタリングレポート2023」は、200を超える世界各国の報告と研究成果をもとにICT教育について分析し「教育テクノロジーは不適切または過度である場合には有害な影響を及ぼしうる」と指摘しています。2015年のPISAの報告では「読解力、数学、科学の3分野でコンピュータの利用時間が長いほど学力が低下しているという結果がでています。日本の全国学力調査でも2023年度、ICT機器を勉強のために使っている時間が「3時間以上」の生徒は「30分未満」の生徒よりも、平均正答率(国・算の平均)が小学校で11%、中学校で12%下がっているという結果が出ているとのことです。
 日本ではICTの使用を広げようとしていますが、国際的にはICT教育が及ぼす学力や子どもの発達への有害な影響に警鐘を鳴らしています。教育委員会として、ICT教育の弊害や問題点についてどうお考えですか。見解をお示しください。
 第4に、日本のICT教育は、財界主導で経済産業省が推進してきた教育DX(デジタルトランスフォーメーション)と不可分のものです。「デジタル社会に対応する人材を育成する」のが狙いとなっています。
 教育の目的は、教育基本法で定めている「人格の完成をめざ」すことです。財界の意向に沿って企業の即戦力となる「人材」の育成を目的にするのは大きな問題だと考えます。「人材育成」でなく「人格の完成」をめざす教育が求められると考えますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

 以上で一回目の質問といたします。ご答弁をよろしくお願いします。

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