「議案第100号 中央区立幼稚園の入園料、保育料等に関する条例の一部を改正する条例」及び「議案第103号 指定管理者の指定について(区立社会教育会館)」についての反対意見

2024年11月29日
奥村暁子

 意見表明のお時間をいただき、ありがとうございます。
 日本共産党区議団を代表し、「議案第100号 中央区立幼稚園の入園料、保育料等に関する条例の一部を改正する条例」及び「議案第103号 指定管理者の指定について(区立社会教育会館)」に反対します。以下その理由を述べます。
 始めに議案第100号についてです。
 本議案は、区立幼稚園における預かり保育料の額を改定するほか、預かり保育料が滞納となった場合における利用制限を設けるものです。
 2025年度から預かり保育の実施時間を現行の午後4時30分から午後6時まで延長することに伴い、夏期休業日等の保育料を現行の日額1200円から1440円に、夏期休業日等以外の保育料を現行の日額400円から640円に値上げするとのことです。
 当分の間は、夏期休業日等の保育料については現行の日額800円とする経過措置が既に設けられており、夏期休業日等以外の保育料についても引き続き日額400円とするとのことですが、条例上は増額された保育料に改定されることになり、将来的に値上げの余地が残されることに変わりありません。
 また、預かり保育の保育料を滞納した場合は退園という現行の厳しい規定が改められる点は評価するものの、預かり保育を利用できなくなるという規定が新たに設けられることは問題です。
 幼稚園に入園する3歳から5歳の時期は、人格の土台をつくる大切な時期であり、現在、幼稚園教育は、教育の一環として行われています。
 教育を受ける権利は、幼児期を含め、憲法26条に基づく国民の権利であり、それを保障するのが国や自治体の役割だと考えます。預かり保育も、誰でも無償で受けられるようにすべきです。

 次に議案第103号についてです。
 本議案は、中央区立社会教育会館の指定管理者として、「小学館集英社プロダクショングループ」から名称変更された「中央区ほっとここからプロジェクト」を引き続き指定するものです。
 社会教育会館に指定管理者制度が導入された2008年当時は3年間だった指定期間が、2015年からは5年間に延長されたものの、指定期間ごとに事業者の変更もあり得る仕組み自体は変わらず、住民の継続的な学びへの影響が懸念されます。
 また、同施設は、安定的な雇用と職員の専門性のスキルアップやノウハウの蓄積により、多角的な利用者へのサポートが欠かせませんが、事業者のHPを見ると、現在、日本橋社会教育会館のスタッフが時給1170円で募集されており、東京の最低賃金1163円にわずか7円だけ上乗せされた金額は低額と言わざるを得ません。
 職員の雇用状況も、4館全体で正規雇用が18人に対し、非正規雇用が倍近い34人となっており(2019年決特資料=正規雇用20人、非正規雇用44人)、官製ワーキングプアを多く生み出していることは問題です。
 事業者選定についても、事業者の適正を判断する詳細な材料は「企業のノウハウだから」という理由でブラックボックス化され、議会に示されないことも制度の欠陥です。
 本来、社会教育会館は、図書館などと同じ社会教育施設であり、社会教育施設の設置は自治体の責務です。
 社会教育法の第三条では、国及び地方公共団体は、社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布その他の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない―とされています。 さらに第3項で、社会教育が学校教育及び家庭教育との密接な関連性を有することにかんがみ、学校教育との連携の確保に努めるとともに、家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮をするものとする―となっています。
 様々な施策を通じ学校や家庭とのパイプを持っているのは、まぎれもなく中央区であり、企業ではありません。直営に戻すべきです。
 以上を述べて、意見表明を終わります。

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