令和5年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する態度表明

2024年10月11日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

 令和5年度(2023年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 日本経済は30年にわたって深刻な停滞に陥り、それに加えて物価高騰が国民に襲いかかっています。異常円安、物価高騰で、実質賃金は今年6月まで26カ月マイナスとなっており、実質賃金はピーク時の1996年から年収で64万円も減りました。国の社会保障や教育への公的支出はきわめて低い水準です。
 政府が2023年に閣議決定した全世代型社会保障「改革工程」で、高齢者の医療費窓口負担引き上げ、都道府県内統一化の名による国保料(税)の値上げ、介護保険の利用料2割負担の対象拡大、「要介護1・2」の生活援助の保険給付外しなど、社会保障の全分野にわたって国民負担増と給付削減を行なっています。
 一方、「骨太の方針2023」では、敵基地攻撃能力の保有をはじめとする「防衛力強化」や、「日米同盟強化」の推進のため、6兆円を超える防衛関連費を盛り込みました。財界・大企業の利益のために、超低金利や公的マネー投入で株価をつり上げ、大企業への減税を続けるなど、大企業の利益優先の経済政策を続けています。
 東京都政はどうでしょうか。小池都政は、「国際競争に勝ち抜く」「稼ぐ東京」をつくることを主眼にした築地市場「跡地」を含む臨海地域の「東京ベイまちづくり戦略」の大規模開発や、外かく環状道路などの大型道路建設を進めています。
 中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たし、「公助」の力を最大限発揮することです。

 日本共産党区議団は、2023年の予算編成の際、900項目の「重点要望書」を区長に提出し、予算案を審議した予算特別委員会では、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、私立・区立の保育所の0歳~2歳児の保育料無償化や生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活、情報公開手数料の廃止などを計上し、一般会計を28億6419万5千円増額する予算修正案を提案しましたが、残念ながら、修正案は否決されました。
 2023年の予算執行には、子ども医療費助成の18歳までの拡大、学校給食費・保育所等副食費の無償化や区施設での生理用品の無償配布、新たな仕組みによる中央エコアクト運用開始など評価できる施策もありますが、抜本的な見直しが求められる多くの課題があると考えます。
 予算編成から決算審議までの経過を含め、日本共産党中央区議団は、決算案について総合的に検討した結果、議案第88号 令和5年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に反対します。

 以下その理由を述べます。
 まず一般会計についてです。
 2023年度の決算は、一般会計で約1630億円の規模となりました。歳出決算額の増額の主な要因は、市街地再開発事業助成、晴海に新設する小・中学校の整備や、晴海特別出張所等複合施設の整備などによるもので、投資的経費が60%の増となっています。特に9地区の市街地再開発事業助成が220億円となり、歳出決算の13%を占めています
 中央区は「国際競争に勝ち抜く」「稼ぐ東京」をつくるという東京都とともに、首都高日本橋区間の地下化、KK線、新京橋連結路、首都高環状線と築地川アメニティ構想、日本橋川周辺の5地区再開発、東京駅八重洲駅前地区の再開発、築地市場跡地開発とあわせた築地周辺の再開発を進めています。
 超高層ビルを林立させ、再開発地域やその周辺、道路建設などで転出者を生み、莫大なCO2の排出で、環境への負荷を増大させるまちづくりは問題です。
 また区内各地でマンション建設が進み、晴海フラッグへの入居などで人口が急増し、保育園、学童クラブの待機児問題は深刻です。
 高騰するマンション価格の一方で低家賃住宅が不足し、住み続けられない事態を生んで、住宅問題も深刻です。
 福祉の充実をはかるという「自治体の本旨」にそって区民ニーズにこたえた公共の役割、責任を果たしていくことが求められます。
 特に以下の点を要望するものです。
 第1に、中央区役所職員の男女の給与の差異は83.8%(前年度比2.4ポイント改善)と公表されました。ジェンダー平等にむけた男女の賃金格差是正のためにも、会計年度任用職員などの待遇改善が急務です。採用上限回数の撤廃を早期に実施するとともに、「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営」に立ち戻るべきです。
 第2に、子育て分野では、2023年4月も待機児童ゼロと報告されましたが、年度末の2024年3月では183人、隠れ待機児は583人となり、引き続き量の確保が必要です。あわせて、私立認可保育所の運営費「弾力運用」を見直し、保育士の待遇改善をはかって、保育の質を確保することもかかせない課題です。
 第3に、都市型水害を防ぐため、雨水貯蓄施設を整備し、雨水の活用を進めることが必要ですが、区内の民間施設での設置状況も把握されていません。助成制度もつくり、雨水貯蓄施設の整備をすすめることを求めます。また、街路樹などの樹冠被覆率を高め、都市のヒートアイランド現象の緩和や雨水の吸収をはかるため、目標をもって向上に取り組むことよう求めます。
 第4に、公園の少ない中、貴重な公園の土地を、営利企業に貸し出す、桜川公園へのパークPFIの導入は見直すべきです。
 第5に、教師の多忙化の解消は喫緊の課題です。長時間労働等の解消のために教職員増、少人数学級の実現などの条件整備、残業代支給のしくみなど、抜本的な対策が必要です。
 第6に、子どもたちを点数で競わせる全国学力テストの中止、英語スピーキングテストを都立高校の入試に使うことを止めるよう求めます。

 次に特別会計についてです。
 国民健康保険は、2023年度も保険料が引き上げとなりました。国の制度として未就学児の保険料均等割が半額となりましたが、多子世帯の保険料軽減は限定的で、子どもが多いほど保険料負担が重くなります。特に中間層の保険料は大変重いものとなっています。
 一般会計からの繰入を増やして、高すぎる保険料を引き下げることを求めます。
 12月から健康保険証を廃止して、マイナ保険証に一体化する準備が進められています。短期証の廃止も予定されています。10割負担を強いられ、資格確認証の発行などでも混乱が広がることは必至です。健康保険証の存続を求めるものです。
 介護保険は、原則1割だった利用料が、所得によって2割、3割の自己負担となっています。「保険あって介護なし」とならないよう、保険料、利用料の軽減を図るべきです。
 また区独自に、物価高騰対策として実施した介護サービス事業所への補助金など、支援をさらに拡充することを求めます。
 後期高齢者医療は、高齢者が2割負担が導入され、75歳以上の20%に当たる高齢者が窓口負担2倍化となりました。
 保険料も利用料負担、窓口負担も引き上げばかりです。受診抑制、利用の抑制につながることになり、到底容認できません。

 以上、各会計決算に対する反対理由を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

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