議案第85号 中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例に対する反対意見

2024年9月27日 小栗智恵子

 日本共産党中央区議会議員団は、議案第85号 中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例に反対します。
 以下その理由を述べます。
 本議案は急患等として保健医療機関を受診した被保険者に係る保険料の納付について、資力が活用できるまでの期間として、最長1年間徴収猶予するとともに、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(いわゆるマイナンバー法)等の一部を改正する法律等の施行に伴い、一定の場合における療養の給付等について定めるほか、規定を整備するものです。
 マイナンバー法の改定によって、健康保険証とマイナンバーカードを一体化し、現行の国民健康被保険者証の新規発行を終了し、今年(2024年・令和6年)12月2日からマイナ保険証を基本とする仕組みに移行する、そのために、国民健康保険法の条文が変わったことによる条例改正ですが、以下のような問題があります。
 第1に、マイナ保険証への一体化とともに「資格証明書」の交付は廃止されますが、長期滞納者は受診時に一旦医療費を全額負担し、あとから療養費を受け取る「特別療養費の支給」の措置を「法54条の三」に置き換えて存続させることになっています。マイナ保険証を持っていない場合には「資格確認書」が発行されますが、長期滞納者に対しては窓口でいったん10割負担させる制裁措置がこれからも続けられることになります。
 またこれまで、滞納者のうち、滞納期間に応じて、保険証の有効期間を短くした「短期保険者証」が交付されていましたが、その仕組み自体が廃止されます。
 高すぎて払えない保険料の滞納で、病気になっても医療に係れない状況を悪化させ、また、国や都の指導で、保険料滞納解消のために、徴収強化が進められる危険もあり、問題です。
 第2に、病気や障害のために、自分でマイナ保険証への手続きが難しい人への対応や、介護施設での管理の問題などマイナ保険証の問題は山積しています。
 今でも全国保険医団体連合会(保団連)の調査では、2024年5月以降に全国の7割の医療機関で「マイナ保険証」にかかわるトラブルが起きており、政府の強引な「マイナ保険証」推進策で利用者が増えたことで、トラブルに見舞われる医療機関も増加しています。
 さらに現行の保険証が廃止されれば、支払窓口でのトラブル、それへの対応の複雑さの問題もさらに増えてしまいます。トラブルが生じても現行の保険証が併用されていれば(10割を請求される)無保険扱いは解決します。国民皆保険を守るために、マイナ保険証への一体化は中止し、現行の保険証を残すべきです。
 第3に、マイナンバーカードは任意なのに、マイナ保険証でカード利用を実質強要する問題です。しかしマイナ保険証の「強制」はできないので、マイナ保険証を持っていない人には自動的に「資格確認書」を発行することになりました。またこれまで一旦マイナ保険証を登録した人は取消できなかった保険証登録の解除も可能になりました。このこと自体が制度設計の矛盾の表れです。
 以上の理由から、議案第85号に反対します。

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