奥村暁子
日本共産党中央区議会議員団は、議案第82号 令和6年度中央区一般会計補正予算に反対します。
以下その理由を述べます。
この9月補正予算には、築地川アメニティ整備構想を実現するため、首都高速道路上部空間の活用に必要となる覆蓋化に関連する工事準備を行なうとともに、これまでの覆蓋化構造物等の設計を踏まえ、上部空間の基本計画、設計を行うとして、3819万7千円が計上されています。
対象範囲は、先行的に事業を進める三吉橋~万年橋区間で、補正予算の内訳は、特定財源として「首都高速道路地下化等都市基盤整備基金」からの繰入金1556万円と一般財源2263万7千円となっています。
さらに2035年度までの経費として63億円が予定され、大きな財政負担となるものです。
緑のプロムナードを整備し、連続的な緑地を増やしていくこと自体は大変大事なことであり、築60年以上経つ首都高速道路の老朽化に対し、補強工事などを施していくことは安全面からも必要だと考えますが、この築地川アメニティ整備構想は、日本橋の首都高地下化工事と連動した計画であることは問題です。
日本橋の首都高地下化を契機として、日本橋川周辺の5つの大規模市街地再開発の工事が現在、進行していますが、その他にも東京高速道路、いわゆるKK線の活用による緑のプロムナード化、新京橋連結路、そしてこの築地川アメニティ整備構想などの都市基盤整備が目白押しで、そのことがさらに周辺地域での開発を誘発する事態となっています。
2020年に設置された「首都高速道路地下化等都市基盤整備基金」のあり方も問題です。この基金は、首都高速道路の工事に中央区がわざわざ基金を積み立てて財政投入するこ
とを筆頭に、連動する開発にも財政支援するしくみとなっていますが、その原資となるのは区道の売り払い収入や再開発事業者による協力金です。
建築資器材価格や人件費の高騰が続くなか、既に事業スキームが決まっている首都高地下化やKK線、新京橋連結路も、まだ未確定な今回の築地川アメニティ整備構想にも関わる首都高の大規模更新事業も、今後、どれ位事業費が膨れ上がるか分かりません。本来、首都高や開発にかかわる事業者が負担すべきものに、区として財政投入し続ける仕組みでよいのか、今後、事業化すら難しいという局面を迎える懸念も拭えません。
他自治体で首都高速道路についてこうした基金設置の事例はなく、自治体の役割を超えた特殊な対応と言えます。
必要な都市基盤整備があることは理解しますし、都心の緑化をすすめること自体は大いに賛成するものですが、元々の党区議団の主張である「首都高は地下化ではなく撤去」であれば、日本橋川周辺の再開発は必要なく、川に空を取り戻すこともできます。首都高地下化をテコとした連動する多くの開発も避けることができます。
緑を増やす施策を進めながら、一方で巨大開発がどんどん進められ、街中で工事が行われることになれば、環境負荷の軽減にはつながらないのではないでしょうか。
以上の理由により、議案第82号 令和6年度中央区一般会計補正予算に反対します。