2023年 区議会第四回定例会 一般質問

2023年11月21日

日本共産党中央区議会議員  奥村暁子

【質問項目】

  1. パレスチナ・ガザ攻撃について
  2. 市街地再開発事業について
  3. 住宅困窮者対策について
  4. 中小企業・小規模事業者支援について
  5. ゼロカーボンシティー中央区の実現に向けて
  6. 江戸バスの安定的な運行について
  7. 学校給食無償化の対象拡大について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.パレスチナ・ガザ攻撃について

 初めにパレスチナ・ガザ攻撃について質問します。
 イスラエルの大規模攻撃により、パレスチナ・ガザ地区の人道状況がきわめて深刻になっています。犠牲者の4割が子どもであり、ユニセフはガザが「子どもたちの墓場と化し、人々の生き地獄となっている」と告発しています。
 平和都市宣言を掲げる中央区として「即時停戦」を求めて行動することが必要ではないでしょうか。
 今回のガザ危機の直接の発端は、10月7日のイスラム組織・ハマスによるイスラエルへの無差別ロケット攻撃と民間人連行です。いずれも国際法違反であり、人質の即時解放が必要です。
 同時に、こうした事態が起こった背景には、イスラエルが1967年の第3次中東戦争以来、ヨルダン川西岸とガザ地区を占領下におき、パレスチナ住民の強制排除を行いながら入植を拡大し、2007年以来ガザ地区の封鎖と、「天井のない監獄」と呼ばれる非人道的状態をつくりだしてきたこと、たびたびの空爆によって多くのパレスチナ人を犠牲にしてきたという歴史的事実があります。これらはすべて国連の決定と国際法に背く無法行為です。
 今回のイスラエルによる攻撃は、その一つひとつが明白な国際人道法違反の戦争犯罪であるだけでなく、その規模と残虐さからみて、ナチス・ドイツによるユダヤ人絶滅策を世界が防げなかったことへの反省が込められたジェノサイド条約(1943年)が固く禁じている集団殺戮にあたる重大な危険があります。
 イスラエルが、ハマスの攻撃に対する「自衛権」をたてにして、圧倒的な軍事力を行使した報復を行い、ガザでのジェノサイドを行うことは、決して許されません。
 この人道的危機を一刻も早く止めるために、各国政府、国際機関が、「イスラエルはガザ攻撃を中止せよ」「即時停戦を」の一点で、緊急の行動を強めることが必要です。
 そこでお聞きします。
 日本政府は、ハマスに対する非難は行なうものの、イスラエルの蛮行に対して非難することを一貫して避け、即時かつ持続的な人道的休戦を求めることにも頑なに背を向けています。
 日本政府は、イスラエルを支援するアメリカの顔色をうかがうことを止め、イスラエルに対し国際法違反の蛮行をやめるよう求めるべきです。そして、双方に即時停戦を働きかける外交努力を尽くすよう、国に求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 お答えください。

2.市街地再開発事業について

 次に市街地再開発事業について質問します。
 中央区では、現在、検討中のものも含めると32件の巨大な市街地再開発事業等が進行しており、拡大の一途をたどっています。
 市街地再開発では、開発計画の中に歩行空間の整備や地下鉄出入り口、帰宅困難者の一時待機施設、地域冷暖房プラント、喫煙所など地域貢献策のメニューを組み込むことによって、容積率が1・5倍、2倍と大幅に緩和され、超高層の巨大なビルが建つケースがほとんどとなっています。
 しかし、こうした地域貢献策は、地域住民だけでなく、開発する当該マンションやオフィスビル自体にとっても利便性や安全性を高めることにつながるものばかりで、その貢献策が当該マンションやオフィスビルの価値を高めることにもなっています。
 自身が大きな恩恵を受けるにも係わらず、ことさら地域貢献を強調して、容積を積み増していく必要があるのでしょうか。増やされた容積分によって事業者の利益はさらに増大することになります。
 どの地域貢献策についてどれ位の容積率を緩和するのか、という点についても、7月31日に開かれた中央区都市計画審議会で確認した際には「基準自体は存在するものの、開発のケースごとに総合的に判断される」旨の答弁でした。それぞれの建物について、どのように評価されたかという情報も一般には公開されていないとのことです。
 地域住民や議会の目に触れないブラックボックスの中で、地域貢献の名の下に容易に容積率が緩和される仕組みには大いに疑問を持ちます。
 そこでお聞きします。
 第一に、地域貢献策による容積率の緩和について評価する場面には、どのような方たちが参加し、どのような話し合いが行われるのでしょうか。
 第二に、一つひとつの市街地再開発について、どう容積率緩和の評価がされたか、資料等の公開を求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

3.住宅困窮者対策について

 次に住宅困窮者対策について質問します。
 「都営住宅に応募しても全然当たらない」「都営住宅をもっと作ってほしい」「都営住宅には空室がいっぱいあるのになぜ入れないのか」「年金生活者でも暮らせる単身者向けの低家賃住宅を拡充してほしい」など、切実な声が党区議団に寄せられています。
 低家賃の住宅を必要とする人が幅広く応募でき、安心して住める都営住宅などの公営住宅拡充が求められているのに、2007年に「公営住宅法施行令の一部を改正する政令案」が閣議決定され、それまで月収20万円だった入居収入基準が、2011年から15万8000円に大幅に引き下げられる制度改悪が行われました。その結果、国土交通省の推定では、この収入を超過した約11万世帯が追い出されました。
 こうした収入超過による追い出しにより、全国の公営住宅での空家戸数は2011年度から2020年度の10年間で倍増し、東京都全体でも3万8000戸に上っています。
 空家の種類として、入居者の募集を行ったが応募者の不足や辞退等により入居決定を行えない1年以上の「長期空家」や、入居決定を行えない1年未満の「短期空家」、入居者の募集を行っている最中で、入居決定を行っていない「準備中空家」、入居者の募集を行っていない「未募集空家」がありますが、最近では特に都営住宅削減のため用途廃止を行うための「未募集空家」が増大しています。
 入居対象者を狭めて応募を減らしながら、空家を増やし、募集をかけずに供給戸数を削減していくことは、多くの公営住宅を望む住宅困窮者の願いに逆行しています。
 公営住宅を増やさない一方で、国は、高齢者や障害者、子育て世帯、低所得世帯など住まい探しに困っている人を受け入れる民間賃貸住宅を「セーフティーネット住宅」として登録する制度を2017年から開始しましたが、十分に機能しているとは言えません。
 中央区でもかつての「高齢者優良賃貸住宅」、いわゆる高優賃として運用されていた住宅が高齢者向けの「セーフティーネット住宅」に移行し、現在4棟75戸がありますが空きはなく、収入に応じて区から4万円の補助はあるものの、中には家賃が18万円と高額のものもあり、困窮世帯に対応しきれてはいません。
 中央区は長年、市街地再開発事業に莫大な税金を投入し、高家賃のタワーマンション建築を進めてきました。この事が近傍家賃を引き上げることにもつながっています。
 高い家賃を払える富裕世帯への住宅供給が大幅に増える一方で、低所得世帯への供給は十分とは言えません。市街地再開発の見直しも含め、住宅政策の転換が求められます。
 そこでお聞きします。
 第一に、生活困窮世帯の住宅確保が大変厳しい現状をどのように認識していますか。
 第二に、区内の都営住宅で「未募集空家」はありますか?空室を改修し速やかに供給できるよう東京都に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。住宅に困窮しているのに応募できない人を生まないよう、入居収入基準を制度改悪前の20万円に戻すことと併せ、都営住宅全体を増やすよう都に強く求めることが必要だと思いますが、いかがですか。
 第三に、区内のセーフティーネット住宅の待機者数をお示しください。セーフティーネット住宅が増えない理由をどのように分析していますか。また、今後どのように増やしていくおつもりですか。
 第四に、市街地再開発を行う際にはその中で低家賃住宅を整備することを付置義務とすることや、区営住宅の拡充、民間賃貸住宅の借り上げ、家賃補助など、住宅困窮者をなくすため、あらゆる手立てをとることを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

4.中小企業・小規模事業者支援について

 次に中小企業・小規模事業者支援について質問します。
 コロナ禍、そして物価・原材料の高騰に加え、過剰債務が中小企業・小規模事業者の経営に重くのしかかっており、10月の企業倒産は、19ヶ月連続で前年同月を上回りました。
 新型コロナウイルス感染症拡大の影響で倒産・廃業の危機にひんした事業者の資金繰り支援に、国は実質無利子・無担保の「ゼロゼロ融資」を導入し、2020年3月に日本金融公庫などの政府系金融機関、同年5月には民間金融機関で受付を始めました。
 返済の据置期間は基本的に3年で、民間金融機関への返済は今年7月から来年4月がピークになるといわれています。
 中央区も2000万円を貸付限度額とした「新型コロナウイルス感染症対策緊急特別資金」や、令和4年度、5年度限定で「借換資金」を受け付けるなど事業者支援を行なっていますが、東京商工リサーチの調査によると、約358万社の国内企業数の内、本業の営業利益で支払利息を払えない企業は約12%にあたる約40万社あるとのことです。中央区内でも深刻な影響が出ることは避けられません。
 コロナ危機を上回る倒産・廃業が起きる危機を防ぐための抜本的な対策が必要です。
 そこでお聞きします。
 第一に、区内での中小企業・小規模事業者の経営や資金繰りの現状をどのように把握していますか。区としてさらなる支援策を講じる必要があると思いますが、いかがですか。
 第二に、中小企業にとって、ゼロゼロ融資はコロナがなければ本来借入を必要としない、緊急的な借金です。通常業務で返す借金とは「別枠の債務」として返済を猶予し、事業継続に必要な新規融資も受けられるようにすることを、国に働きかけるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

5.ゼロカーボンシティー中央区の実現について

 次にゼロカーボンシティー中央区の実現について質問します。
 「中央区基本計画2023」には、省エネと、エネルギーを作り出す創エネにより、建物で消費するエネルギーの収支をゼロにすることを目指した通称ZEB=「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル」化をすすめることが掲げられています。
 ZEBは4種類に分類されており、省エネ技術で1次エネルギー消費量を50%以上削減する「ZEB Ready」、そこからさらに創エネ技術を加えて75%削減する「Nearly ZEB」、100%以上を削減する「ZEB」、述べ床面積が1万平方メートル以上の建築物でZEB Readyを見据えた「ZEB Oriented」となっています。
 中央区の公共施設では、今後、始まる総合スポーツセンターの改修の際に「ZEB Ready」認証取得を予定しており、これがZEB化の第一号となります。
 他自治体では、品川区では昨年5月に開設した環境学習施設「エコルとごし」は、都内公共建築物として初の「Nearly ZEB」の認証を取得し、今後竣工予定の施設も含め区内6カ所の公共施設でZEBなどの認証を取得しています。同区はこうした施設の見学に23区の職員を招きノウハウを共有するなど、人材育成の先頭に立っています。
 区施設のZEB化では、コストが課題となっており、小規模施設を「ZEB Ready」で新築する場合、費用が1割程度増えるとの試算があるなか、同区の担当者は「これまでの建築費をベースに考えていてはZEBは実現できない。ZEB Ready相当を基準とするなど、考え方を切り替える必要がある」と述べています。
 既存公共施設のZEB化では新築ZEBと違い、コストに加え、選択できる技術が限られることも課題です。
 葛飾区では既存施設の大規模改修のZEB化を検証するため、区立小学校の1教室に断熱材を設置したところ、空調消費エネルギー量が約半減しました。1校全体で実施した場合は全体の消費エネルギー量を約30%削減できるという検証結果を得ることができ、同区の担当者は「大規模改修のZEB化についてどこまで目指せるか、今後も検証していきたい」と語っています。
 10月16日には特別区長会が「ゼロカーボンシティー特別区」の実現に向けた共同宣言を行いました。中央区は「ゼロカーボンシティー中央区宣言」の中で、2050年にはCO2排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。その実現のためにも、特別区全体でも協働をすすめ、脱炭素化という待ったなしの課題に向けZEB化を強力に推し進めることが重要です。
 そこでお聞きします。
 第一に、「中央区環境行動計画2023」で、2030年までに新たに建設する区有施設におけるZEB化率の目標値は100%です。これを確実に達成することと併せ、改修工事の際もZEB化を強力にすすめていくことを求めますが、いかがですか。そのためにもZEB Ready相当を基準として予算を組むことを基本とすべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、ゼロカーボンシティー中央区実現のため、厳しい経営状況のもとで脱炭素に向けた取組みに至っていない中小企業への支援策拡充を求めますが、いかがですか。莫大なCO2を排出する市街地再開発偏重のまちづくりを転換すべきと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

6.江戸バスの運行について

 次に江戸バスの運行について質問します。
 全国的に慢性的な運転手不足が深刻となる中、人口が集まる東京でも運転手不足からバスの減便や路線廃止の動きが相次いでいます。
 働き方改革関連法により2024年4月から、バスやトラックなどの運転手の残業時間について、年960時間を上限とする罰則付き規制が適用されることも相まって、さらなる人手不足が懸念されます。
 中央区のコミュニティバス「江戸バス」を運行する日立自動車交通は、晴海とJR東京駅を結ぶ乗合バスである「晴海ライナー」を9月から減便したほか、台東区や文京区のコミュニティバスも10月から一部減便しています。
 高齢者や障害者、妊婦の方への無料化も始まり、利用者が増えている身近な交通機関であるコミュニティバスを守っていくことが区に求められます。
 そこでお聞きします。
 第一に、運転手不足が問題になるなか、江戸バスに減便などの影響が出ないよう、日立自動車交通にはどのような要請や支援を行っていますか。
 第二に、区独自に、あるいは国や東京都と協力し、運転手の処遇改善のための予算措置や、運転手を育成していくなどの運転手確保策が必要だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

7.学校給食費無償化の対象拡大について

 次に学校給食費無償化の対象拡大について質問します。
 全国の自治体で学校給食の無償化が広がる中、23区は来年度実施を表明した自治体も含めると全ての自治体が小中学校給食無償化に踏み出し、全国の自治体を牽引する大きな役割を果たしています。
 中央区で今年4月から始まった無償化に際し、日本共産党区議団は時限的ではなく恒久的な制度とすることや、幼稚園や都立特別支援学校への拡大を求めてきました。
 中央区は、来年度以降も小中学校の給食費無償を継続し、幼稚園では弁当給食を開始することとしました。都立特別支援学校についても前向きに検討しているとのことです。
 学校給食はとりわけ子どもの成長発達に直結するものであり、自治体や家庭によってその「食の権利」の保障に格差を生じさせてはなりません。義務教育は無償と謳う憲法26条の全面実施のためにも、さらなる対象拡大が必要です。
 そこでお聞きします。
 第一に、中野区は、区立のみならず、私立・国立、また不登校の子どもも含め、小中学生がいる世帯に対し、2023年度下半期分の給食費相当額を支給します。新宿区でも私立等に通う児童・生徒も来年4月から実質無償化する検討をしているとのことです。中央区でもこうした対象拡大を求めますが、いかがですか。
 第二に、6月の区議会第二回定例会で、国に対し、学校給食費無償化の実施を要請するよう求めた際、「特別区教育長会などを通じて、国に対し財政措置を求めて」いくとの答弁でしたが、その後、働きかけはどのように進みましたか。東京都に対しても、学校給食を無償化するよう求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

ページトップへ▲