日本共産党中央区議会議員団は、議案第110号 中央区事務手数料条例の一部を改正する条例に反対します。
以下その理由を述べます。
今回の事務手数料の改定の条例改正案は、法務省の戸籍副本データ管理システム(各自治体から戸籍情報を集積したデータを管理するシステム)を利用した新たな証明書の発行事務について定めるものです。主な内容は、戸籍証明書の広域交付、戸籍電子証明書提供用識別符号の交付、届書情報等内容証明書の交付及び閲覧となっています。
この条例改正の根拠となった「戸籍法の一部を改正する法律(令和元(2019)年法律第17号)」は、その要点として、1、行政手続における戸籍謄抄本の添付省略(マイナンバー制度への参加)、2、戸籍の届出における戸籍謄抄本の添付省略、3、本籍地以外での戸籍謄本の発行となっています。
各種の社会保障手続の際マイナンバーを利用することにより、窓口機関において、親子関係や婚姻関係等を確認することが可能となるため、従来これらの手続で提出が必要だった戸籍謄抄本の添付が省略できるとしています。
法務省は今回の法改正で「本籍地以外の行政機関でも戸籍情報にアクセス可能となることから個人情報の保護の必要性が高まる」としています。そのため、法制上の保護措置を取り、システムの設計等の秘密保持義務や不正提供した場合の罰則を設ける、マイナンバー法においても所要の保護措置を設けるとしていますが、情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすく、情報漏えいを100%防ぐ完全なシステム構築は不可能です。一度、漏れた情報は流通・売買され、取り返しがつきません。
今回の事務手数料の改定に関わる戸籍事務では、マイナンバーそのものの利用はしないとしていますが、戸籍法の改正でマイナンバー制度への参加を柱にした制度設計を行ない、マイナンバーの利用をさらに広げることは問題です。
「行政手続における特定の個人を識別するための番号」いわゆる「マイナンバー」制度は、徴税強化と社会保障給付抑制を目的に、国が国民の情報を厳格に掌握することを狙った仕組みです。個人情報がマイナンバー制度によって一元的に管理され利用されることは行政事務にとっては効率性が高まりますが、憲法の人権保障に係わる個人情報が集積され管理されることになるものであり、日本共産党区議団はマイナンバー制度に一貫して反対してきました。
以上の理由から議案110号に反対します。