日本共産党中央区議会議員団は、議案第105号 令和5年度中央区一般会計補正予算に反対します。
以下その理由を述べます。
この11月補正予算には、住民情報システムの改修のため2136万7千円が計上されています。
このシステム改修は、住民基本台帳法等の一部改正が行われたことに対応するもので、住民票等の公的な文書に氏名の振り仮名等を記載することで振り仮名等が公証され、様々なサービスにおいて本人確認事項として利用可能とするとされています。
6月2日に成立した「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律案」には、22本もの法改定が含まれており、今回の住民基本台帳法等の一部改正は、この法案の一部です。法案全体がマイナンバーカードの利用促進を図るためのものとなっています。
住民票等の記載事項に「氏名の振り仮名」を表記することは、マイナンバーカードを通じ、例えば振り仮名が表記されている金融機関情報など、紐付ける情報をさらに拡大し利活用を広げる布石とするものです。そのため、同じ法案の一部として改定されたマイナンバー法及び公的個人認証法の一部改正でも、マイナンバーカード及び署名用電子証明書に「氏名の振り仮名」の記載・記録が定められており、「官民問わず様々なサービスにおいて本人確認事項として利用することが可能になる」ことが説明されています。
また、同様に改定された戸籍法の一部改正では、記載する「氏名の振り仮名」について、今後生まれてくる子どもの名前は「一般に認められている読み方」に限定されている点も問題です。
住民基本台帳法の一部改正では、この戸籍に記載された「氏名の振り仮名」を記載することになりますが、政府の法制審議会の部会では、幅広い名前を許容してきた日本の命名文化を重んじる観点から、「国が私的な領域に踏み込むことには謙抑的な姿勢を示すことが望まれる」などの意見も出されました。
親の思いが尊重されるべき命名権を侵害する危険があります。
そもそもマイナンバー制度は、プライバシー侵害のリスクが避けられないものであり、それゆえ制度発足以来、社会保障、税、災害対策の三分野に限定して使用し、利用する事務・情報連携も法律で規定し、マイナンバーを含む個人情報の収集・保管は、本人同意があっても禁止してきました。
法改定では、これを大転換して、マイナンバー利用の限定を外して全ての行政分野において利用を推進し、法定事務に準ずる事務や条例で措置した自治体事務は、法定することなく利用できるようにします。マイナンバーの情報連携も法改正なしに拡大することを可能とします。
その一環として行われる住民情報システムの改修は、区民の不安を無視し、プライバシー侵害の危険性を一層高めるもので認められません。
なお、今回の補正予算には、8件の施策が計上されており、計15億4834万7千円の増額補正となっています。
ベビーシッターによる一時預かり利用支援事業助成の増額については安全対策に課題があると考えます。また、保育所内外での置き去りや飛び出し等の事故防止たのめの保育所等における安全対策支援事業への補助や、インフルエンザ等の拡大に対応するための子ども医療費助成の増額、昨今の原油や建築資材の高騰に伴う単品スライド条項適用に伴う工事費の増額など必要な施策であり、住民情報システムの改修にかかる2136万7千円を除く15億2698万円については、賛成するものです。
しかしながら、先に述べたように、住民情報システムの改修には問題があるため賛成できません。
以上、議案第105号 令和5年度中央区一般会計補正予算に対する反対意見とします。