議案第93号、104号に対する反対意見

2023年9月27日 奥村暁子

 意見表明のお時間をいただきありがとうございます。
 議案第93号、104号に対する反対意見を述べます。
 まず、議案第93号「中央区行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用及び特定個人情報の提供に関する条例の一部を改正する条例」についてです。
 本議案は個人番号を利用することができる事務に、子どもの医療費の助成に関する事務及びひとり親家庭高等職業訓練促進給付金の支給に関する事務を追加するものです。
 これまでにも難病患者福祉手当の支給や心身障害者の医療費の助成などに関わって、マイナンバーによる特定個人情報の一元管理が進められてきましたが、今回さらに対象となる事務が拡大されます。
 マイナンバー制度によって個人情報が集積されることは、区民にとっての利便性や行政事務の効率性以上に、徴税強化や社会保障給付抑制の目的に加え、民間事業者による個人情報が利活用されることや個人情報流出などの不利益があります。
 折りしもマイナンバーカードを巡っては、公金受取口座の年金情報の誤登録、マイナ保険証に別人の医療情報が誤登録されるなどの問題が相次ぎ、制度への信頼は失墜しています。
 9月20日には、政府の個人情報保護委員会がデジタル庁に対し行政指導を行い、全ての国民に関わる個人情報の管理について同庁の体制不備を問題視し、再発防止の徹底を求めました。国税庁やシステムを開発・運用する富士通子会社の富士通Japanも同様に指導を受けました。
 個人情報保護と安全管理措置への懸念が深まるもとで、適用をさらに拡大することは看過できません。
 次に議案第104号「指定管理者の指定について(区立介護老人保健施設)」についてです。
 本議案は、中央区立介護老人保健施設リハポート明石の指定管理者に、これまでと同様の公益社団法人中央区医師会を指定するというものです。
 再指定された2019年にも、日本共産党区議団は、施設の利用率が入所、通所ともに低いことなどの理由で議案に反対し、なぜ「空き」が出てしまうのか、分析し、利用しやすくニーズにあった施設にするよう求めました。
 新型コロナウイルス感染症の影響を考慮しても利用率の改善が図られているとは言えない中、来年4月からこれまで最大6カ月だった利用期間を最大12カ月に変更し、利用対象も今後は区内在住の高齢者だけではなく、区内に二親等以内の家族が在住している高齢者等も加えるなど運営方針を変更することが報告されました。この変更が、十分にリハビリを受けられることによる在宅復帰率の向上や利用対象者の拡大による利用率向上につながるか注視が必要です。
 一方、指摘してきた夜間の勤務体制は、100名の入所定員の施設で看護士1人と前回同様の人数で改善は見られません。今後の利用者数増も念頭に増やすべきです。
 また、引き続き非公募による随意選定となっていることも問題です。プロポーザルによって切磋琢磨することを標榜している指定管理者制度にそぐわないもので、制度の意義が根本から問われます。
 加えて、昨年11月に報告された「福祉施設の指定管理者の評価結果」では、一昨年度に引き続き、「新型コロナウイルス感染症の陽性者が発生した際の対応手順が確立されておらず、感染状況が関係機関に正しく共有されていない」などの課題も指摘されています。
 通常の公募型で選定をやり直すことが必要だと考えます。
 以上の理由により、日本共産党中央区議会議員団は、議案第93号、104号に反対します。
 なお、議案第97号「中央区学童クラブ条例」については賛成しますが、条例上定めはないものの、運営方法として児童館指定管理事業者による業務委託を前提としている点は問題だということを申し述べさせていただきます。

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