「議案第48号 中央区特別区税条例等の一部を改正する条例」に対する反対意見を述べます。
本議案は、地方税法等の一部を改正する法律等の施行に伴い、特別区民税および軽自動車税の特例の適用期限を延長するほか、新たに森林環境税に関する手続の追加や特定小型原動機付自転車の適用税率の設定、燃費・排ガス不正行為に係る税制上の再発防止策強化など規定を整備するものです。
森林環境税は2019年に法制化され2024年度から国税として徴収されることになりますが、徴収された税収は国が森林環境譲与税として市区町村と都道府県に分配することとなっており、既に2019年度から先行分配され、中央区では「中央区の森」の森林整備などに使われています。
一方、森林環境税の徴収は2024年度から開始し、個人住民税の均等割に東京都分500円、市区町村分500円、合わせて1000円を上乗せし、市区町村が賦課徴収することとなりますが、本議案はそうした手続の追加を含む条例改正となっています。
この森林環境税は、個人住民税均等割に1000円上乗せして徴収されてきた東日本大震災の復興などに充てる復興特別住民税が2023年度末で期限が切れ、廃止となるため、これに置き換えて徴収するものです。
環境保全、温暖化対策の財源として税金を徴収すること自体は容認し得ることだと思いますが、今回の森林環境税および森林環境譲与税については主に3点の問題があると考えます。
第1点目として、森林環境税は、個人住民税の均等割に一律に1000円を課すものです。住民税所得割が非課税の低所得者も負担する逆進性の高い税である一方、温室効果ガスの主な排出元である企業など法人の負担はありません。温暖化対策としての森林環境を保全するためにも排出企業にこそ第一義的に負担を求めるべきです。また、水源涵養のためにも森林の機能は重要であり、その恩恵は個人と共に法人も享受しています。その点でも企業・法人の税負担は当然です。
第2点目として、徴収された税収が2019年から分配されている森林環境譲与税ですが、分配割合は都道府県に10%、各市町村に90%となっており、その90%の分配基準は森林面積指数5、林業就業者指数2、自治体の人口指数3として算出されます。自治体の人口指数が林業就業者の指数よりも高い設定となっているため、森林面積が広く環境保全がより必要な地方の自治体よりも、人口の多い都市部に多額の森林環境譲与税が分配されるという矛盾があります。分配基準の見直しが必要です。
第3点目として、森林所有者には、森林経営管理法に基づいて、伐採など森林管理等を行う義務を課していますが、同時に森林を「放置」し「森林経営の意欲がない」と見なした場合、市区町村にその森林の管理権を設定でき、その管理をする市区町村に対し森林整備の事務事業の財源として森林環境譲与税が充てられるという仕組みも設けられています。これは所有者の財産権を侵害するものであり問題です。
林業経営者からは、森林環境税および森林環境譲与税は森林整備のための安定的な財源確保としてふさわしいのか、と疑義が呈されています。安定的な財源で林業を支えるためには、国の一般会計における林業予算の抜本的な拡充こそ必要です。
以上の理由により、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第48号 中央区特別区税条例等の一部を改正する条例」に反対します。