令和5年度中央区各会計予算に対する態度表明

2023年3月13日
日本共産党中央区議会議員 奥村あきこ

 令和5年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 長引くコロナ禍と40年来で最大といわれる物価高騰などにより国民生活は疲弊し続け、貧困と格差の拡大が深刻です。
 そんな中、岸田政権は昨年12月、敵基地攻撃能力保有をはじめ大軍拡の推進を明記した「安全保障3文書」を閣議決定し、軍事費については2023年度から5年間で総額43兆円と、かつてない規模の大幅増額を明確に打ち出しました。
 一方、くらしの予算は軒並み圧縮します。社会保障費は、高齢化で増える「自然増」を23年度も圧縮し、当初掲げた「異次元の少子化対策」については中身が明らかにされず、「子ども予算の倍増」も何を基準に倍増するのか語られません。
 長年の自公政権の悪政にコロナ禍が加わり、2022年の国内出生数は6年連続で下落し、統計を取り始めた1899年以降、初めて70万人台に落ち込みました。
 安心して子どもを生み育て、老後を迎えられる社会の実現にこそ力を尽くすべきなのに、岸田政権は安倍・菅両政権を踏襲し、「全世代型社会保障」の名で社会保障の負担増・給付削減を進めようとしています。
 その最大の標的が高齢者です。年金だけでは暮らせないため、高齢者の生活保護の利用が増え続けています。直近では、生活保護を利用する世帯の55%を高齢者世帯が占めており、中央区でも58%となっています。
 子どもや高齢者の福祉予算を置き去りにして、希望がもてない雇用・経済状況を強い、コロナ禍と物価高騰で苦しむ国民に際限のない負担増を押し付けながら、大軍拡に突き進む岸田政権の下では暮らしは押しつぶされてしまいます。
 小池都政は、地域医療を後退させる都立・公社病院の独立行政法人化を強行し、カジノを中核とするIR誘致、「国際競争に勝ち抜く」「稼ぐ東京」をつくることを主眼にした築地市場「跡地」を含む臨海地域の「東京ベイまちづくり戦略」の大規模開発や、外かく環状道路などの大型道路建設を進めるなど、区民・都民の生活や営業とかけはなれた都政を進めようとしています。
 中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たし、「公助」の力を最大限発揮することです。
 中央区の新年度一般会計予算は、1483億9376円と、前年度比18.9%増で過去最大となりました。市街地再開発事業助成は国による物価高騰対応のための補助が加わり、前年度比約100億円増の278億7359万円と大幅増、晴海西小・中学校の整備86億円、晴海特別出張所等複合施設の整備51億円増などが主な要因となっています。
 日本共産党区議団は、区議団に寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約し、昨年、900項目の「2023年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めました。
 本予算特別委員会の質疑では、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行いました。さらに、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、私立・区立の保育所の0歳~2歳児の保育料無償化や生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活、情報公開手数料の廃止などを計上し、一般会計を28億6419万5千円増額する予算修正案を提案しましたが、残念ながら、わが党の修正案は否決されました。
 区長提案の予算案には、子ども医療費助成の18歳までの拡大、学校給食費・保育所等副食費の無償化や区施設での生理用品の無償配布、新たな仕組みによる中央エコアクト運用開始など評価できる施策もありますが、抜本的な見直しが求められる多くの課題があると考えます。
 日本共産党中央区議会議員団は、総合的に検討した結果、議案第1号「中央区一般会計予算」、議案第2号「国民健康保険事業会計予算」、議案第3号「介護保険事業会計予算」、議案第4号「後期高齢者医療会計予算」に反対します。
 以下、具体的な課題について述べます。
 まず、一般会計についてです。
 第一に、23区で中央区のみが徴収する情報公開手数料は、区民サービスの向上という観点から無料とすべきです。
 第二に、会計年度任用職員が増大し、官製ワーキングプアが広がっていることは問題です。手当てをつける必要のない民間委託の増大も危惧されます。地方公務員法の原則である「任期の定めのない常勤職員を中心とする公務の運営」に立ち戻るべきです。
 第三に、2022年度に続き、2023年度も補助金を投入し、高額の利用料を徴収する民間学童クラブを誘致しようとしていることは問題です。区立の学童クラブと同様に無料で利用できる学童クラブの整備が保護者の願いです。以前から提案している学校内での学童クラブ設置は小学校に加え、中学校も視野に入れ、早急にすすめるべきです。
 第四に、環境に多大な負荷をかける大規模再開発事業による超高層オフィスビルやタワーマンション建設は見直すべきです。地価や不動産価格が上昇し、困窮世帯の住まいを奪う役割を果たしていることも看過できません。
 第五に、困窮世帯の住まい確保に力を注ぐべきです。都営住宅、区営住宅など公営住宅の拡充や借り上げ住宅、家賃補助など、中央区に住み続けられるようにするための支援が必要です。
 第六に、13ヘクタールの都有地が1㎡10万円以下という激安価格で払い下げられた晴海選手村跡地の晴海フラッグに対し、板状住宅部分からも1戸あたり100万円の開発協力金を徴収すべきです。1万2000人の人口増に伴い必要となる学校整備や江戸バス運行の費用負担も求めるべきです。
 第七に、コロナの影響や物価高騰、円安の進展など家計負担が重くなる中、教材費や標準副などの保護者負担を軽減すべきです。また、区として奨学金制度を設けるなど教育負担の軽減を図るべきです。
 次は特別会計についてです。
 国民健康保険料は、2023年度も値上げが予定されています。特別区として、一般財源をさらに投入するなどの努力を行い、保険料そのものを引き下げていくことに加え、子どもの数が多いほど国保料が引き上がる「均等割」については半額となりましたが、さらに拡充すべきです。
 介護保険では、利用料2割負担の対象拡大、一定所得を超える65歳以上の介護保険料引き上げ、老健施設などの多床室(相部屋)の有料化が、2024年度改定で狙われていますが、
 政府は昨年末に実施を決定しようともくろんだものの、世論と運動の大反対に押され先送りとなりました。しかし、利用料と保険料は今夏までに決めようと、社会保障審議会の部会・分科会で議論を続けます。
 必要な介護サービスを提供できるよう介護保険制度の改善こそ必要です。
 後期高齢者医療では、保険料を高所得者だけでなく中間所得者まで対象に引き上げる改定法案が、通常国会に提出される方向です。引き上げ幅は加入者1人当たり平均で年4100円、対象は75歳以上で年収153万円超の人の約4割に上ります。昨年10月の医療費窓口2割負担の導入に続く負担増です。減らし続けてきた国庫負担を元に戻し、さらに増額もして、医療制度をしっかり支えることが求められます。
 以上、各会計予算案に対する反対理由と主な課題を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

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