2023年2月21日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子
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日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。
初めに、区長の所信表明について質問します。
区長は昨日の所信表明で「世界を見渡せば、平和が大きく揺らいでいます。・・・このような危機的状況にある今こそ、平和を希求し、守り抜く」と述べられました。
日本は今、「戦争か平和か」の岐路にたっていると思います。
「中央区平和都市宣言」にあるように「ささやかな幸せもこよなき繁栄も平和の光が消えたらすべてが失われ」ます。「戦争にさせない」「戦争の心配のない日本とアジア」をつくっていくことが必要だと強く思います。
そこで質問します。
平和都市宣言、そして、核兵器のない世界をめざす「平和首長会議」に参加している中央区長として、「平和を希求」し、区民の生活と安全を守るため、どう取り組みをすすめ、行動していくのかお聞かせください。
第2に、中央区では「弾道ミサイルに対する避難行動について」広報し、「避難場所」のお知らせも行っています。しかし、こうした事態を防ぐのが政治の役割です。
国は「抑止力をつよめる」として、「反撃能力」つまり「敵基地攻撃能力」をもつためにトマホークなどのミサイルを爆買いし「5年間で43兆円もの軍備拡大」を行なおうとしています。こうした対応は、相手国もさらに軍拡で対抗し、軍事対軍事の悪循環を招いて、軍事的な緊張を高め、戦争へのリスクを拡大してしまうと思いますが、区長のご見解をお聞かせください。
次に、地球温暖化対策について質問します。
区長は所信表明で「世界中で干ばつや洪水が頻発し、国内でも豪雨や台風による記録的な被害が続いており・・・これからを生きる子どもたちのためにも、気候変動の要因となっている温室効果ガスを一刻も早削減する取組を加速させていくことが重要」と述べられました。全く同感です。
間もなく「中央区環境行動計画2023」(仮称)が策定される予定ですが、この「中間報告」で、温室効果ガス(二酸化炭素)排出量の削減目標が示されています。それは、2030年度に、2013年度比マイナス50%、2050年までに「実質ゼロ」をめざすというものです。
現行の「環境行動計画2018」は、2030年度までに「21%減」という目標でしたが、私は、「改定の際は50%~60%削減する目標に引き上げること」を求めてきました。区長は国の削減目標値(46%)を少しでも上回る、中央区らしいモデルをつくっていきたいと表明され、今回、国の2030年度までの削減目標46%よりも高い目標が示されたことをおおいに評価するものです。
「削減目標の内訳」としては、区の施策・取組により11.8%、電力会社による取組で31.7%、業界団体における取組で5.6%としています。特に中央区では「二酸化炭素排出量のうち7割が電力に起因するため、電力会社による取組として再生可能エネルギーへの転換」を図ることが中心となっています。
そこで質問します。
第1に、エネルギー消費量の部門別では、民生業務部門が全体の7割を占めています。今回の行動計画の中にも「都市づくりにおける脱炭素化」が示されています。これまでもたびたび指摘してきましたが、「都市再生特別地区事業における現状と建て替え後のCO2 発生量の比較」では建て替え後にCO2の排出を2倍、4倍に増やしてしまう地区もあり、脱炭素化に逆行しています。「行動計画2023」では、開発事業者に「ZEB化・ZEH化の項目を増やす」としていますが、大型開発推進のまちづくりそのものの転換が必要だと考えます。いかがですか。
第2に、新年度予算案にある「Team Carbon Zero(仮称)」(ゼロカーボン機運醸成事業)について、自治体のCO2削減計画を市民参加で実効あるものにするために意見反映と協力の場を広げるものとしておおいに期待するものです。また、新たな仕組みによる中央エコアクトも予算化されています。どのように取り組みを進めるのかご答弁ください。
第3に、住宅などの省エネのために、住宅断熱化や太陽光パネルの導入などをすすめていくこと、そのためにも省エネ診断士や建築士など専門家の力を借りて支援する窓口をつくることも必要だと考えます。省エネをどう進めていくのかお示しください。
次にジェンダー平等について質問します。
ジェンダー平等を求める運動、誰もが自分らしく尊厳をもって生きることができる社会をめざした声と運動が広がっています。
本定例会には「中央区男女平等及び共同参画による社会づくりに関する基本条例」が提案されており、「中央区男女共同参画行動計画2023」もまもなく発表されるとのことです。
「行動計画2023」の「中間まとめ」でも示されているように、日本のジェンダーギャップ指数は146カ国中下位の116位で、特に「政治」と「経済」の値が低く、主要7カ国では最下位となっています。特に、女性を低賃金の労働力に位置づけ、男女賃金格差や非正規雇用を拡大してきたことが、ジェンダー平等の大きな障害となっていることも明らかになっています
そこで質問します。
第一に、ジェンダー平等にむけて、男女賃金格差の是正はその土台となるものです。ようやく男女別賃金の公表制度が実現し、今年から実施されます。まずは区役所における男女賃金の公表をもとにして、格差是正、非正規雇用の待遇改善をすすめるため、行動計画に数値目標も示して取り組むよう求めますが、いがかですか。
第2に、女性相談員の抜本的増員と相談支援体制の拡充をさらにすすめること、また女性、シングルマザーの貧困根絶へ、生活・住宅支援をいっそう拡充することを求めます。いかがですか。
第3に、リプロダクティブ・ヘルス&ライツ(避妊、人工妊娠中絶における女性の自己決定)を推進することも重要な課題です。
特に学校教育において、“リプロダクティブ・ヘルス&ライツ”の視点で、科学的な「包括的性教育」をすすめることが喫緊の課題だと考えますがいかがですか。
第4に、「生理の貧困」が社会問題となり、すでに全国で4割の自治体が学校、公共施設などでの生理用品の無償配布を実施しています。中央区でもブーケ21を含む5カ所での配布が予算化されたことを評価しますが、学校で、保健室にいかなくてもトイレに置く形で無償配布するよう改善を求めたいと思います。いかがですか。
それぞれ、ご答弁ください
次に、新型コロナ対策と福祉・医療の充実について質問します。
政府は、新型コロナ感染症の第8波で2万人を超える死亡者が出たことへの反省もなく、新型コロナを5類に引き下げることとあわせて、感染対策や検査・治療への公的支援を後退させようとしています。また、介護保険の改悪や、病院の統廃合なども進めようとしています。こうした国の社会保障切り捨てをやめさせて、住民の命と健康を守る施策を強化し、拡充していくことが必要です。
そこで質問します。
第1に、これからも新型コロナの検査や、治療・予防接種の公費負担を継続し、発熱患者を検査・診察する外来体制を拡充することや、入院医療・救急搬送の体制強化、高齢者施設の入所者を感染・重症化から守る対策の抜本的強化をはかることが必要だと考えます。また、これからも、保健所の正規・常勤職員を増やすなど保健所の体制強化をすすめることも大切だと考えますが、いかがですか。
第2に、介護保険制度について、国は、利用料の引き上げや、要介護1・2の訪問介護・通所介護などの地域支援事業への移行、ケアプランの有料化、貸与の福祉用具を購入に変更するなど、国民への負担増や介護サービスの切り下げを行なおうとしています。介護保険制度の改悪を中止するよう求めていくことが必要だと考えます。いかがですか。
第3に、介護従事者の待遇改善も喫緊の課題です。介護保険料に影響しないよう、全額公費で、すべての介護従事者の給与を全産業平均水準まで早急に引き上げることや、介護従事者を大幅に増やし、一人夜勤の解消、人員配置基準の引き上げを行うよう国に求め、区として国や東京都とも連携して、介護従事者の待遇改善をはかることを求めます。いかがですか。
第4に、在宅介護の拡充・改善をはかることとあわせ、必要になった時すぐに利用できるよう、特養ホーム、認知症グループホームなどの介護施設を増設することを求めます。いかがですか。
第5に、この4月から18歳までの医療費無料化が実現することを、たいへんうれしく思います。子ども医療費無料化は、中央区では1993年に3歳未満児から始まり、2006・7年に中学3年生まで拡大されました。私たち共産党区議団は予算修正や条例改正案などを提出して、対象年齢の拡大を求めてきましたが、ようやく高校3年生まで無料化となり、所得制限なく実施されることになりました。
この制度を安定的にすすめるため、東京都に対し、3年間だけでなく継続して全額負担するよう求め、国に対しては、自治体への「ペナルティー」をなくすこと、国の制度として高校卒業までの医療費助成制度を行なうよう求めることも必要だと考えます。いかがですか。
それぞれご答弁ください。
次に、教育問題、子育て支援について質問します。
政府は1月に「異次元の少子化対策」を打ち出しましたが、教育費の軽減策がありません。
内閣府が2020年度に行った「少子化社会に関する国際意識調査」によれば、育児支援の最重要政策はなにかとの質問に対し、日本では「教育費の支援、軽減」との回答が69・7%と最高でした。希望する人数まで子どもを「増やさない・増やせない理由は」との問いへの答えも「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(51・6%)が最多でした。安心して子どもを産み育てる社会の実現に向けて、教育費の負担軽減を抜本的に進めていく必要があります。
そこで質問します。
第1に、中央区が学校給食の無償化を決断したことを高く評価します。この間の急激な物価高騰に対応した子育て家庭の支援の必要性だけでなく、憲法26条で定めている「義務教育は無償」からも、区として、継続して無償化を進めるよう求めます。さらに教材費や標準服などについても、保護者負担の軽減をはかることを求めます。いかがですか。
第2に、私立学校や高校の授業料、高すぎる大学学費、入学しなくても払わなければならない入学金など、重すぎる教育費負担は、学生や保護者の生活を苦しめています。ヨーロッパは多くの国で学費は無償か年10万円以内です。しかも多くの学生に返済なしの給付制奨学金を支給しています。
高すぎる学費は、中央区だけで解消できる課題ではありませんが、奨学金制度などは自治体での取り組みも進んでいます。区として教育費負担の軽減に向けどう取り組んでいくかお示しください。
第3に、学校教育の充実のために、教員不足の解決は待ったなしです。新年度からの教員配置は大丈夫なのか、見通しをお示しください。教員不足の解決のカギは、教員の働き方の改善に必要な教員定数増、残業代ゼロ制度の抜本見直しですが、区として、教員の多忙解消に向けた取組はどう進んでいますか。また、「基本計画2023」に、中央区の「教員の約5割が経験年数10年以下であり、サポート体制の充実が求められている」と示されています。どう取り組んでいくのかお示しください。
第4に、区内でも不登校の子どもが増えています。適応教室「わくわく21」になじめない子どももいるので、安心できる公的な子どもの居場所などをさらに考えていくことが必要です。特別支援教室を利用したいのに不登校児童はだめと言われがっかりしている、フリースクールに通う子どもへの学費補助をしてほしいという相談も寄せられています。東京都の制度なども活用して、一人ひとりに応じたきめ細かい支援をおこなうよう求めます。それぞれご答弁をお願いします。
第5に、3~5歳児の保育園などの副食費も、学校給食費同様に無償化されたことをおおいに評価します。今後さらに、0~2歳までの保育料も無償化し、給食費も含めた無償化していくことが必要だと思います。また、幼稚園に通う児童にも、給食費相当の支援などが必要ではないでしょうか。ご答弁ください。
第6に、待機児が増え続けている学童クラブについては、高い利用料となる民間学童の誘致でなく学校内での学童クラブの実施を早急にすすめるよう求めます。
また、保育園や学童クラブの職員配置を増やすよう国基準の改正を求めるとともに、中央区として手厚い職員配置を求めたいと思います。いかがですか。
第7に、ヤングケアラーの実態を把握して、必要な支援をすすめるよう求めます。
それぞれ、ご見解をお示しください。
次に、防災・住民本位のまちづくりについて質問します。
区内では、都市再生プロジェクトが目白押しです。「東京圏国家戦略特別区域における都市再生プロジェクト」に位置付けられると、事業者側は、容積率の緩和、税制優遇措置、補助金を受けられるなど様々なメリットがあります。
民間都市再生事業を実施する大企業・大手不動産会社への国の税制優遇措置は、2012年から2021年の10年間で約763億円になるとのことです。
国や東京都は「世界で一番ビジネスのしやすい国際都市づくり」、「国際金融都市構想」など打ち上げ、グローバルな都市間競争に勝ち抜く国際競争拠点都市づくりをすすめており、中央区もその先頭にたって、都市再生プロジェクトなどの大規模開発を推進しています。
そこで質問します。
第1に、区内ではマンションの建て替えや新築も急激に増えていますが、旧耐震の分譲マンションが約100棟、耐震改修促進法で対象となる建築物が2300棟と、耐震化が必要な建物も多く、公共施設や橋、道路などのインフラの改修も必要です。
今後は、防災・建築物の老朽化対策を重点に建物を改修・再生していくまちづくりに転換することが必要だと考えます。いかがですか。
第2に、区内では都市再生プロジェクトなどの大規模開発が行われていますが、これまで何件の都市再生プロジェクトが実施され、現在実施中のもの、検討中のものは何地区ありますか。「市街地再開発事業等の取組」は22年9月現在31地区となっていますが、これまでに、高さ100mを超える建築物は何棟で、これから完成するものは何棟ですか。これからも区として、超高層を中心にした再開発を進め「国際金融都市」づくりを推進していくのでしょうか。それぞれご答弁ください。
第3に、超高層オフィスビルが建ち並び、東京一極集中を図る都市づくりは様々な問題があると考えます。
中央区は10平方キロメートルの面積のうち、土地利用でみると商業・住宅関連は35%、そこに人口が17万人、昼間人口は63万人が集中する超過密都市となっています。
建物の床面積が増えれば、省エネ機器を導入しても、CO2の排出量は増え、温室効果ガスの削減に逆行します。また、首都直下地震、南海トラフ地震など大規模な災害が想定される中、長周期地震動、火災、電源喪失など災害時の超高層ビル特有の危険とあわせ、人口集中による危険度ははかりしれません。
また、オフィスの需要に対し既に供給過剰になっている問題もあります。
コロナ禍で、テレワークが広がる等働き方も大きく変わっており、都心部でも再開発の目玉とされるオフィスビルの空室率が上昇し6%に迫るなど、需要が減少しています。
こうした問題について、どうお考えですか。
第4に、都市計画・まちづくりは、地域住民が安全で、安心して暮らし、住み続けることができるための生活基盤をつくることです。大型開発優先のまちづくりではなく、都市の成長を管理し、ダウンゾーニングで過密化を防ぎ、水とみどりを増やして、住民の合意をつくりながらすすめる、住民本位のまちづくりに転換するよう求めます。ご見解をお示しください。
以上で1回目の質問を終わります。ご答弁をよろしくお願いします。