令和4年度中央区各会計予算に対する態度表明

2022年3月25日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

 令和4年度(2022年度)中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 本予算委員会は、ロシアによるウクライナ侵略が激しさを増す中での審議となりました。
 区議会として「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」をあげ、区長・議長連名で抗議文が提出されています。非核の願いを込めた「中央区平和都市宣言」の立場から、「核兵器の使用は断じて許さない」の声をさらに広げ、侵略反対の国際世論でプーチン政権を追い詰めることが、無法な行為を止めるために決定的に重要だと考えます。
 国内では、新型コロナウイルス感染対策の「まん延防止等重点措置」が解除されましたが、新規感染者数は減少傾向とはいえ、まだまだ高い水準であり、病床使用率もなかなか下がりません。第6波の感染者数は昨年の第5波を大きく上回り、過去最多にのぼり、高齢者に感染が広がる中で死者数も8000人以上とこれまでで最悪となりました。国のなりゆき任せの対応で痛苦の事態を引き起こしたことを徹底検証し、コロナ対策を講じることが急務です。
 日本共産党区議団は、新年度予算案について、緊急のコロナ対策をはじめ、気候危機打開の目標を見据えて、特にジェンダー平等の視点から、審議にあたりました。
 日本共産党区議団が実施している「区民アンケート」には、「バリアフリーをもっと進めて高齢者にやさしい中央区にしてほしい」という声や、「ファミリー世帯が急増し子供の人口が増える中、小学校入学後の子供の居場所について、区の考え方、方針が見えない。公設の学童クラブは圧倒的に不足していると感じます」、また「CO2削減に大変興味があります。2030年2050年に果たして0にできるのでしょうか。中央区で『ゼロカーボンシティ中央区宣言』され、中央区環境行動計画を改定されるとのこと。目に見える実行を期待します」など様々な声、要望が寄せられています。
 日本共産党区議団は、こうしたアンケートなどに寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約し、昨年2021年12月27日に、876項目の「2022年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。
 本予算特別委員会の質疑では、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行いました。さらに、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や、都の実施に先駆けて子ども医療費助成の対象年齢を18歳まで拡大すること、区独自にコロナ感染症診療検査医療機関への支援金を支給すること、学校給食食材費値上げ分の半額補助を全額補助に増額し、値上げを中止する費用などを計上し、その財源として、道路占用料の適正化を図るため、区の引き上げ予定額をさらに上乗せする歳入増により、一般会計を1億4534万円増額する予算修正案を提案しました。しかし、残念ながら、わが党の修正案は否決されました。

 日本共産党中央区議団は、予算案について質疑し、総合的に検討した結果、議案第1号~第4号までの 令和4年度中央区各会計予算に反対します。

 以下その理由を述べます。
 2022年度の一般会計予算は、当初予算として史上最高の1,248億円となっています。その増額の主な要因は、晴海に新設する小・中学校の建設費用(28億円)や、本年12月に開設となる本の森ちゅうおうの整備(29億円増の40億円)などとともに、予算計上された6つの地区の市街地再開発事業助成は21年度比19億円増の179億円となり、一般会計予算の14%を占めています。
 その他区内では、29件もの再開発事業が進められており、区内の建築物による述べ床面積は拡大の一途です。
 新年度予算は「サステナブルシティ中央区を目指してーコロナを乗り越えた先にある未来に向かってー」と題し、「環境行動計画」の改定、「中央区の森」などでの環境学習事業、旧館山臨海学園の敷地を活用した太陽光発電所整備など予算化しています。いずれも重要な取り組みですが、脱炭素社会の実現を目指し、エネルギー消費量の65%を占める民生業務部門のCO2の排出量削減は待ったなしの課題です。
 ゼロカーボンめざす2050年まで、あと28年しかありません。これから建設する建物は、断熱基準の高い、ゼロエミッションビルをめざすことと合わせ、床面積の拡大を抑えていくまちづくりの転換が必要です。

 言うまでもなく、地方自治体の本旨は「福祉の増進」です。
 特に、コロナ禍が長期化するもとで、第6波で業務がひっ迫したことを教訓にし、保健所の体制の強化や医療機関との連携の強化が欠かせません。
 また、特別養護老人ホームの待機者は200人を超えており、増設を計画的に進めていく必要があります。ケア労働を担う人材の確保と待遇の改善も必要です。
 子育て分野では、この4月の入園で待機児童解消の見込みがついたことは重要ですが、量の確保とともに、質の確保もかかせません。
 学童クラブの不足も深刻です。民間学童の誘致だけでなく、区の責任で施設を整備すべきです。
 子ども医療費助成では、東京都が2023年度から18歳まで拡大する予定ですが、コロナ禍での状況を踏まえて、区として2022年度中に早急に実施するよう求めます。
 教育費の保護者負担の軽減のために、学校給食費の値上げの中止を求めましたが、半額補助にとどまっています。

 大規模開発には財政も投入して進める一方で、福祉や教育の施策は、施設も足りない、人員の配置も十分進んでいない状況が続いており、こうした分野にもっと予算を投入していくことが必要です。
 また、男女の賃金格差の是正など、ジェンダー平等に向けた取組を一層強化していくことを求めます。

 次に特別会計についてです。
 国民健康保険は、新年度から国の制度として未就学児の保険料均等割が半額となりますが、多子世帯の保険料軽減は限定的です。新年度の保険料は一人あたり約5000円の値上げで約15万円、介護納付金分4万2千円を合わせれば約19万3千円となります。法定外繰入を増やして、高すぎる保険料を引き下げることを求めます。
 介護保険は、原則1割だった利用料が、所得によって2割、3割の自己負担となっています。後期高齢者医療は、新年度から、単身で年収200万円以上、夫妻で年収320万円以上の高齢者が2割負担となり、75歳以上の20%に当たる高齢者が窓口負担2倍化の影響を受けます。
 保険料も利用料負担、医療の窓口負担も引き上げばかりです。受診抑制、利用の抑制につながることになり、到底容認できません。

 以上、各会計予算案に対する反対理由を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

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