令和3年度(2021年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定についての態度表明

2022年10月11日 日本共産党中央区議会議員団  奥村暁子

 令和3年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 今なお続く新型コロナウイルス感染症によるくらしと経済への打撃により、倒産や失業は拡大し、国民生活が疲弊し続けています。そこへ物価高騰がさらなる追い討ちをかけています。
 今の物価高騰はコロナ危機、ロシアによるウクライナ侵略といった世界的要因とともに、円安を加速させるアベノミクスの主要政策「異次元の金融緩和」に大本がありますが、政府は見直す姿勢を見せていません。
 8月の消費者物価は、消費税増税の影響があった月を除けば30年11カ月ぶりの大幅上昇で、2022年度の家計負担が年間8万円以上増えるとの試算も民間シンクタンクで出されています。
 賃金が上がらず物価だけが上がることに国民は困窮を深めています。物価高の被害を受ける中小企業や区民を救うため、区として積極的な対策を講じることが求められます。
 本決算特別委員会で審議した2021年度は、新型コロナウイルス拡大により1年延期となった東京2020大会が、国民の反対を押し切り強行された年でもありました。
 医療がひっ迫し、緊急事態宣言化であるにも係わらず強行された東京五輪が、汚職の舞台になっていたことは深刻です。国民の税金も投じられた1兆4000億円にのぼる総経費の検証が必要です。
 日本共産党区議団は、2021年3月の予算特別委員会の審議の際、生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や高齢者施設でのPCR検査、介護施設や医療機関への支援金、区民への定額給付金の支給などを計上した予算修正案を提案しました。その前年2020年10月には、869項目の「2021年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出しています。
 2021年度予算には、わが党が要求してきたコロナ対策の各種給付金や認可保育所整備、住宅耐震工事の助成拡充、ハッピー買物券発行額引き上げの継続、賀詞交歓会の廃止など一定評価できる施策も実施されましたが、予算編成の経緯と本特別委員会での質疑を通じ、決算案はさまざまな問題があると判断しました。
 よって、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第67号 令和3年度中央区各会計歳入歳出決算の認定について」に反対します。
 以下、その理由を述べます。
 まず、一般会計決算についてです。
 第一に、新型コロナウイルス対策として、区検査センターや学校、高齢者施設などでPCR検査や抗原検査の拡充を求め続けてきましたが、消極的だったのは問題です。今後のパンデミック対策として保健所の拡充、職員増にも取り組むべきです。
 第二に、コロナ支援、また物価高騰対策として、他自治体の施策を紹介しながら、家賃支援や固定費補助などの支援を求めてきましたが、実施されていないことは問題です。国や都の支援の対象外となる方たちへの独自支援を求めます。
 第三に、新型コロナが拡大するなか、都民や国民には外出自粛やイベント中止を求めながら、五輪関連行事はコロナ対策も緩和して行ったことは問題です。東京2020聖火リレーにおけるセレブレーション等、三密になりやすいイベントの実施は早い時期からきっぱりと中止を決断すべきでした。
 第四に、ベビーシッターによる一時預かり利用支援事業の拡充は問題です。認可保育所整備によるさらなる待機児童解消で対応すべきです。
 第五に、生活保護を必要とする方の多くは高齢者です。就労などの自立支援につなげる取組も大切ですが、速やかに受給されるよう申請のハードルを下げることが必要です。
 第六に、2021年度は7つの市街地再開発事業に約158億円の予算が投じられました。区道廃止や補助金の投入など、企業の利益を最大化する巨大な建築物をつくることは問題です。周辺環境の悪化やCO2の増大など環境破壊を招くまちづくりを転換すべきです。
 第七に、今、管理不全となるマンションが大問題となっており、再開発よりも既存マンションの維持・管理に力を注ぐべきです。
 第八に、晴海選手村跡地の住宅整備に伴い、必要となる小・中学校や晴海特別出張所などの施設整備用地として、約3haの都有地の購入に177億円が投じられたことは問題です。東京都から公共減額として約5割減額で購入しましたが、同じ地域の都有地をマンション開発業者は10分の1で譲渡されたことを鑑みれば、177億円は過大な購入額だと言わざるを得ません。さらなる減額を求めるのが当然です。
 第九に、PFIや指定管理者制度など施設運営を民間事業者に任せることは、行政や議会のチェック機能が弱まり、ブラックボックス化することからも問題です。事業者の利益確保のために労働者の賃金が抑えられ、困窮が広がることは社会的な問題です。制度導入の見直しを求めます。
 第十に、「ゼロカーボンシティー中央区宣言」に見合った実効力のあるCO2削減に向けての対策が不充分です。太陽光パネル設置の効果を妨げるような超高層ビル建設に歯止めをかけることが必要です。住民を交えたワークショップなどの開催や協議会を設置するなど、住民参加を促すべきです。
 第十一に、教員の働き方改革が不十分です。余剰時数の削減や学習力サポートテスト中止など教員の負担軽減をはかることが必要です。教員の欠員があることも負担増につながることから早急な解決を求めます。区独自の加配もさらに積極的に検討すべきです。
 次は、「国民健康保険事業会計決算」についてです。
 国民健康保険料は2021年度も引き上げられ、1人あたり保険料は13万1961円となりました。20年間で1.7倍という引上げ幅です。
 国に対し国庫負担を増やすことを求め、区独自の繰入も行って保険料を引き下げることが必要です。
 次に、「介護保険事業会計決算」についてです。
 介護保険では、1割負担だった利用料の自己負担が、2018年度から所得に応じ3割負担となり、利用抑制につながっていることは問題です。
 また、2021年4月から、要支援が要介護に進行しても、いわゆるボランティアの活用などによる「総合事業の訪問・通所型サービス」を継続的に利用可能としたことは、介護給付を外すことが狙われた制度改悪であり、認められません。
 要介護者は日常生活すべてに綿密なサポートが必要です。介護保険制度を改善し、必要な介護サービスをお金の心配なく受けられるよう制度を改善すべきです。
 最後に、「後期高齢者医療会計決算」についてです。
 今年10月から新たに単身で年収200万円以上、夫妻で年収320万円以上の高齢者の医療費窓口負担が2割負担となりました。負担増となったのは75歳以上の高齢者の20%にあたります。
 75歳以上の高齢者の9割が所得200万円未満と困窮する中、2割負担の押し付けは、受診抑制を広げ、国の進める介護予防、重症化予防などにも逆行します。
 高い保険料と窓口負担、安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。
 以上、各会計歳入歳出決算の認定に対する反対の理由を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。

ページトップへ▲