2022年9月21日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子
【質問項目】
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日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。
1.新型コロナ感染症対策について
はじめに、新型コロナ感染症対策について質問します。
新型コロナ感染症第7波は、これまで以上の感染大爆発で、日本の新規感染者数は世界最多を続け、死者数は過去最悪となっています。東京都ではコロナ病床がひっ迫し、自宅療養するコロナ陽性者が約22万人にのぼり、7月中旬以降4週間にわたり、自宅療養中の患者が体調悪化し救急搬送を要請しても、その半数以上が搬送されていなかったことも明らかになりました。全国的に、高齢者施設では、入院が必要な患者が施設内に留め置かれる事態が多発し、死亡者数が過去最多になっています。
中央区内でも、7月中旬には1日の新規陽性者数が500人を超えるなどこれまで以上の感染拡大で、保健所をはじめ関係者のご苦労も大変だったことと思います。区民の方々からは、発熱外来が受けられなくて困った、けがをしたがコロナで病院がたいへんなのでなかなか入院先が決まらなかったなどの声が寄せられています。
そこで質問します。
中央区内での第7波の感染者数、その内入院や療養施設に入った方、自宅療養の方の人数、死亡された方の人数など、感染状況をお示しください。また第6波を教訓として、保健所業務の対応状況、区内医療機関との連携などの対応がどう取られたのか状況をお示しください。
さらに、区内の救急搬送の状況や、コロナ病床のひっ迫で、必要な医療が受けられないような事態になっていないか、また高齢者施設での状況はどうかも含め、第7波への対応の現状と課題となっていることについて、見解をお示しください。
政府の新型コロナウイルス感染症対策本部は9月8日に「Withコロナにむけた政策の考え方」を示しました。今回の「基本的考え方」では「高齢者・重症化リスクのあるものに対する、適切な医療の提供を中心とする考え方に転換」するとして、全数把握の見直しや、療養期間の短縮などをを決定しています。発熱外来を受診する対象も高齢者・基礎疾患のある人などに絞るとしています。
そこで質問します。
全数把握の見直しで、「症状が軽い」人はセルフチェックで健康フォローアップセンターへの登録となり、医療を受けなくていいとする仕組みになるのは問題だと考えますがいかがですか。
発熱外来の受診をせずにセルフチェックで登録したとしても、登録とセットでオンライン診療が受けられ、抗ウイルス薬の処方などができ、薬局から自宅に届くようにするなど、自宅療養を支えるしくみが必要だと考えますが、いかがですか。
高齢者施設については、政府の方針は「施設内療養に対する支援強化」となっていますが、施設内だけでなく、介護が必要な高齢者への医療体制を抜本的に強化することも必要だと考えます。いかがですか。
療養期間の短縮の基準は、有症者の場合10日間から7日間に、無症状のケースでは陰性確認を条件に7日間から5日間としました。しかし、国立感染症研究所の解析でも、新たな基準の8日目ではウイルス検出割合が16%と感染性が高いことが示されています。リスクの説明もせず、なりゆき任せの政府のコロナ対策でいいのでしょうか。科学的な感染拡大防止策を進めるよう、保健所などの現場から、国に対し改善を求めるべきだと考えます。いかがですか。
それぞれお答えください。
2.温室効果ガスの排出削減について
次に、温室効果ガスの排出削減について質問します。
今年の夏も大変な猛暑でした。全国各地で大雨の被害が続き、世界的には欧州での史上最高気温の記録や干ばつの被害など、地球温暖化の影響が深刻化しています。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は4月の報告で、産業革命前からすでに気温が1・1度上昇したと警鐘を鳴らし、2025年までに温室効果ガスを増加から減少に転じることが必要だと強調しています。あと3年しかありません。温室効果ガスの削減は急務です。
そこで質問します。
第1に、自然エネルギー・省エネルギー機器の導入拡大をすすめるため、補正予算で、太陽光発電システム、蓄電システム、高反射率塗料などの導入費助成を拡充する費用が計上されています。どのくらいの助成制度利用を目標としているのか、どう利用の促進を図るのかお示しください。
第2に、東京都は、太陽光発電パネル設置の義務化について2025年4月開始を目指すと発表しました。都内の一戸建て住宅を含む新築建物を対象に、延べ床面積2千平方メートル以上の大規模マンションやビルなどの建物や、それ以下の戸建て住宅なども含め、パネル設置を義務付けるとしています。
そこで質問します。現在、区内の建物の中で太陽光パネルの設置はどのくらい進んでいますか。設置がすすまない要因をどうお考えですか。特に区の施設への設置は2016年以降なしとなっていますが、その理由と今後の設置予定をお示しください。設置の義務化は新築のみですが、既存の建物も含め今後どう進めていくのか、目標や取り組みをお示しください。
第3に、環境行動計画の改定作業がすすめられていますが、建物の断熱・省エネ化、大型開発でのCO2排出量削減、ガソリン車から電気自動車への切替え、ごみの減量など、それぞれの取組ごとに「目標と計画」を策定していくことが重要だと考えます。どのように計画を練り上げ、策定していくのかお示しください。
3.Park-PFIによる桜川公園の整備について
次に、Park-PFIによる桜川公園の整備について質問します。
Park-PFIの制度は、2017年の都市公園法の改正で、飲食店・売店などの施設を設置・管理する事業者を公募し、収益の一部を公園整備に還元することを条件にインセンティブとして、設置期間をこれまでの10年から20年に、建ぺい率を2%から+10%で12%まで認めるものです。
中央区は「公園の魅力向上にむけた官民連携方針」を策定し、全区立公園を対象にPark-PFI導入を検討するとして、まず今年度は区立桜川公園を対象に、現況把握調査とサウンディング型市場調査を実施しています。サウンディング型調査とは、事業者と意見交換し、事業者がより参加しやすい公募条件などを把握するものです。
そこで質問します。
第1に、なぜ桜川公園を対象に選んだのか、理由をお示しください。
第2に、現況把握調査として、公園利用者アンケートなどが実施されているとのことですが、アンケート回答の特徴をお示しください。
第3に、中央区の緑被率は10.7%で23区中20位、一人当たりの緑被面積は、京橋地域は11.7㎡、日本橋は3.8㎡、月島は5.2㎡となっています。公園面積が少ないのに、建物などを建設してさらに狭くしてしまう問題はどうお考えですか。
第4に、公園は大切な公共空間であり、災害時の避難場所などとしても重要です。公園としての機能を妨げることのないよう、Park-PFI導入ありきですすめるのでなく、慎重に調査し検討することを求めます。いかがですか。
4.首都高日本橋区間地下化工事への拠出について
次に首都高日本橋区間地下化工事への拠出について質問します。
本定例会に提出されている補正予算案で、首都高速道路日本橋区間地下化事業に必要となる資金を地元自治体として拠出するとして、63億円が計上されています。財源は都市整備基金からの繰入金です。
私は、2020年3月定例会本会議で「首都高速道路地下化等都市基盤整備基金の設置条例」について一般質問を行ない、なぜ、首都高速道路の工事に、地元区が基金を積立てて財政を投入する必要があるのか質問しましたが、納得いく答弁はありませんでした。
そこで改めて質問します。第1に、総事業費約3200億円のうち、なぜ自治体負担が400億円で、その2割80億円を中央区が拠出する「スキーム」なのかというその「根拠」と、なぜ、いま9月補正を組んで、80億円全額でなく63億円の拠出金を出すのか、お答えください。
第2に、5地区の周辺再開発事業による民間プロジェクトの公共貢献として約400億円の拠出が示されていますが、この拠出金も中央区の基盤整備基金に積立てたのち東京都に拠出するのはなぜか、いつ、どのくらいの額を拠出する予定なのかお示しください。
1964年の東京オリンピックの「負の遺産」といわれてきた日本橋上空をおおう首都高について、地元の悲願は、首都高を「撤去」して青空を取り戻すことでした。中央区もそのために国や都に働きかけてきました。ところが、交通量が多いことを理由に「撤去」でなく「地下化」が必要だということになりました。川沿いの建物を川に向かった低層の建物にすることと合わせ、地下化のための3200億円という莫大な事業費を捻出するために、5つの再開発計画が進められてきました。計画が具体化する中で、様々な問題が起きていると考えます。
日本橋川周辺の5地区の再開発計画は、離れた場所を区道でつないだり、川を挟んだ地域を橋の半分でつないだり、超高層建築を可能にするために大変無理のある計画が進められてきました。5地区の内、最後に都市計画手続きに入った、日本橋1丁目1・2番地区の市街地再開発事業については、8月29日の中央区都市計画審議会で審議されましたが、この地区の土地の形状が非常にいびつな形になっており、首都高地下化で一番影響のある日本橋に近い建物も再開発地域に入っていません。首都高地下化工事で影響が出るからと、周辺の再開発計画を進めたのに、一番影響のある場所が入らないということは、再開発計画の前提が崩れているといえるのではないでしょうか。
そこで質問します。地下化工事に伴う再開発事業の前提が崩れているのに、再開発計画は「妥当」といえるのでしょうか、納得がいきません。説明を求めます。お答えください。
5.教育問題について
次に教育に関連して4つの問題について質問します。
まず、中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J:イーサットジェー)についてです。
東京都教育委員会は、2023年の都立高校入試に英語スピーキングテスト(ESAT-J:イーサットジェー)を活用しようとしています。11月27日に都内の公立中学校3年生8万人全員を対象に一斉に行い、テストの結果は都立高校入試の調査書点として加点される予定です。問題作成から試験、採点まですべて(株)ベネッセコーポレーションが行います。
採点はフィリピンにあるベネッセの関連会社の採点センターで行うとされ、8万人分のスピーキングを同じ基準で採点できるのか問題になっています。また、成績評価は100点満点のテストを20点満点で「換算」する仕組みで、1点違いが調査書点では4点の差が出るなど、不公平な仕組みとなっています。しかも、ベネッセの商品である英語テスト「GTEC:ジーテック」と出題形式がほぼ同じで、ジーテックを導入している区市町村の生徒のほうが点数を取りやすくなることも不公平です。
そこで質問します。
このような問題のある英語スピーキングテストを、入試に使うことは中止するよう東京都教育委員会に求める必要があると考えますが、いかがですか。
次に、校則の問題です。
国の生徒指導に関する基本文書「生徒指導提要」が12年ぶりに改訂され、「子どもの権利条約」が明記されました。校則見直しなどを求める世論を受け、自治活動や学校の規律、いじめ対策など幅広い生徒指導に関わる国の文書のなかで、生徒指導の「留意点」の第一に「児童生徒の権利の理解」を置いて権利条約の重要性を強調しています。
この文書では、校則について、①制定の際の少数派の意見の尊重、②守らせることばかりにこだわらない、③理由を説明できない校則は本当に必要か絶えず見直す、④校則で悪影響を受けている子どもがいないかなどの検証、⑤子どもや保護者の意見聴取、⑥見直し手続きの公開―などに言及しています。校則は各学校が決めるものですが、その参考となるものだと思います。
そこで質問します。
この機会に、中央区でも校則の見直しを進め、服装や髪形など人間の自由に属することを細かく強要するようなことになっていないか点検して、改めることも必要だと考えます。標準服だけでなく、靴下の色や筆箱などの持ち物の色や形まで細かく決めている学校もあり、子どもたちが「規則」に縛られ窮屈な思いをしている実態はないでしょうか。各学校で、子どもの権利条約にそって校則について検討することが大切になっています。教育委員会としての見解をお示しください。
第3に、学校給食の無償化についてです。
文部科学省は9日、急激な物価高騰の影響を受け、全国で8割を超える自治体が学校給食費の保護者負担軽減に取り組んでいるとする調査結果を公表しました。調査結果によると、学校給食費の保護者負担軽減を実施または予定している自治体は1491自治体で、83・2%に達し、地方創生臨時交付金を活用する自治体は、77・3%、1153自治体でした。
中央区も、地方創生臨時交付金を活用し、今年度の学校給食の値上げを中止したことを評価します。来年度は引上げ額の2分の1補助で、保護者の負担軽減を図るとしています。
給食費の値上げを抑えることは評価しますが、そもそも憲法では「義務教育は無償」となっており、本来、教育の一環である学校給食も無償であるべきだということを改めて強調したいと思います。
そこで質問します。
国全体では4400億円で学校給食の無償化が可能です。国に対し、教育予算を増やして、学校給食を無償化するよう求める考えはありませんか。
葛飾区は、来年4月から区立小中学校の給食費を完全無償化すると発表しました。中央区でもぜひ実施するよう求めます。年間4.5億円で可能だと考えますがいかがですか。ご答弁ください。
第4に、「国葬」と弔意の強制の問題についてです。
岸田首相は安倍元首相の「国葬」を9月27日に実施し「国全体」で「敬意と弔意」を表すとしています。国民全体に弔意を求めることは、憲法19条が保障する「内心の自由」の侵害にあたる大問題です。特に、学校などに半旗の掲揚や「黙とう」を求めることは、子どもたちに、特定の個人への弔意と尊敬を強制することになりかねません。
そこで質問します。
教育委員会として、各学校に弔旗掲揚や黙とうを指示するようなことはしないよう求めます。見解をお聞かせください。
6.平和と民主主義に関わる問題について
最後に、平和と民主主義に関わる問題について質問します。
まず安倍元首相の「国葬」の問題についてです。
先ほども述べましたが、17億円近くの血税を投入して6000人規模の儀式を行なうこと自体、日本社会全体に同調を強いるものであり、事実上国民に「弔意」を強制することとなります。また、「国葬」には法的根拠もなく、特定の個人を「国葬」という特別扱いをすることは、憲法14条が規定する「法のもとでの平等」原則と相いれないことは明らかです。9月15日発表の時事通信の世論調査でも、国葬については「反対」が51.9%で、「賛成」は25.3%と、反対が多数となっています。
そこで質問します。
安倍元首相の「国葬」を行わないよう、国に求める考えはありませんか。区役所本庁舎など関係施設での弔旗の掲揚など、弔意の強制につながることはやめるよう求めます。いかがですか。
質問の最後は、核兵器禁止条約と中央区平和都市宣言についてです。
「区のお知らせ ちゅうおう」8月1日号に世界平和を願って、区長の談話が掲載されていました。「1945年3月、東京中にばらまかれた焼夷弾も、同年8月、広島、長崎に落とされた原子爆弾も、無慈悲で無差別で醜いものでした。戦争を始めた者はそれぞれ正義を掲げますが、戦争そのものに正しさや美しさなどはありはしないのです。」と述べられ、「中央区平和都市宣言をかみしめ、かけがえのない地球と人々の平和を守るために、あらゆる努力を重ねてまいります」と平和への決意が語られています。
被爆77年となる今年は、核兵器禁止条約の第1回締約国会議と、核不拡散条約(NPT)の2つの重要な会議が行われました。6月に開催された第1回締約国会議では、ロシアのウクライナへの侵攻がある中、「核兵器の脅威を断固として拒否する宣言」が発表されました。
8月6日の広島市長の「平和宣言」、8月9日の「長崎平和宣言」は、画期的な第1回締結国会議の成果に触れながら、政府に対し「唯一の戦争被爆国として、核兵器禁止条約に署名、批准し、核兵器のない世界を実現する推進力となること」を強く求めました。
そこで質問します。
平和を守る行動として、核兵器廃絶のため、広島市長、長崎市長と同じく「平和首長会議」に参加している中央区長が、政府に対し「核兵器禁止条約への参加」を求めることを期待します。ご答弁ください。
以上で第1回目の質問を終わります。ご答弁をお願いします。