2022年6月22日
日本共産党中央区議会議員 奥村暁子
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日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。
1.区民の平和と安全について
初めに、区民の平和と安全について質問します。
3月4日、中央区議会は、ロシアに対し、ウクライナへの侵攻、軍事行動をただちに中止することを強く求め、「ロシアによるウクライナ侵攻を非難する決議」を全会派一致で採択しました。プーチン大統領に対しても区長、議長連名で抗議文を送付しましたが、いまだにウクライナでの戦争は続いています。
バイデン米大統領は「民主主義vs専制主義のたたかい」と言い、岸田首相は「価値観を共有するG7主導の秩序の回復」と言います。しかし、大切なのは「価値観」で世界を二分することではなく、「ロシアは侵略戦争やめよ」「国連憲章まもれ」の一点で、全世界が団結し、国際世論によりロシアを包囲し、侵略を止めることです。
今、日本は重大な岐路に立っています。ロシアのウクライナ侵略という危機に乗じて、「力対力」で戦争への危険な道をすすむのか、それとも「外交による平和」をつくりだすために力をつくすのか、が問われています。
岸田自公政権は、これまでの政権が「相手に脅威を与える攻撃型兵器は憲法上保有できない」とし、まがりなりにも掲げてきた「専守防衛」を放棄しようとしています。
「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換え、攻撃対象を「敵基地」だけでなく「指揮統制機能等」に拡大する、そのために防衛費いわゆる軍事費を5年以内に「GDP比2%以上」、現在の2倍となる年間11兆円にまで増やし、大軍拡をすすめようとしています。これでは世界第3位の軍事大国になってしまいます。
政府は、「敵基地攻撃能力」は、集団的自衛権の行使の際にも使えるとの見解を明らかにしています。日本が攻撃されていないのに、米軍が軍事行動をはじめたら、自衛隊が米軍と一体になって、相手国に「敵基地攻撃能力」を使って攻め込み、「指揮統制機能等」という国家中枢まで攻撃するというのです。
そんなことをすれば、相手国の大規模な報復を呼び、全面戦争となり、日本に戦火を呼び込むことになります。ここに日本が直面する最大の現実的な危険があり、区民の生命・財産が危機にさらされます。
「戦争放棄」を宣言した憲法9条のもとで許されないことは、あまりにも明らかです。
くらしをつぶす大軍拡ではなく、憲法9条を生かし、戦争を起こさないための外交に知恵と力をつくすことが必要です。
そこでお聞きします。
第一に、「力対力」の対決は東アジアと世界に新たな軍事的緊張をつくりだし、「軍事対軍事」の危険な悪循環をつくりだすことになると思いますが、いかがですか。
軍拡ではなく、憲法9条を生かした紛争の平和的解決こそ安全保障の第一にすえるべきだと思いますが、いかがですか。日本は、憲法9条を持つ国として、東アジアにおける軍拡競争を軍縮へと転換させるための、外交的イニシアチブこそ発揮すべきだと思いますが、いかがですか。
第二に、「敵基地攻撃能力」の保有などというのは、憲法9条の解釈を180度くつがえす無法なものだと思いますが、いかがですか。中央区がおこなっている「平和都市宣言」とは相容れないものだと思いますが、いかがですか。
第三に、軍事費に11兆円をつぎこむようなことになれば、区民生活にどのような悪影響が出るとお考えですか。とめどない軍拡への道をすすむことをやめるよう、国に申し入れるべきだと思いますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
2.物価高騰から区民生活を守る対策について
次に、物価高騰から区民生活を守る対策について質問します。
コロナ危機に加えて物価の高騰が国民の暮らしと中小企業の営業を直撃し、日本経済は先の見えない苦境に陥っています。
コロナ危機で止まっていた経済活動が各国で再開され、世界的な需要増で原油の国際価格が上昇していました。それに追い打ちをかけたのがロシアのウクライナ侵略ですが、原因はそれだけではありません。
日本では日銀の黒田総裁が大規模な金融緩和政策をさらに続けると繰り返し発言したことで、円安がいっそう進み、輸入物価が上がっています。
安倍政権以来、政府と日銀が一体で進めてきたこの政策こそ抜本的に見直すべきです。
「異次元の金融緩和」は2012年に就任した安倍元首相が経済政策「アベノミクス」の「第1の柱」とし、日銀に共同声明を結ばせて導入した政策です。日銀が国債を大量に買いとって金融市場にお金を供給したことで投機が活発になり株価は上昇しました。もうかったのは大企業・富裕層です。
外国為替市場では円安が進み、輸入物価を押し上げました。今の物価高は、コロナ危機からの経済回復による需要増、ロシアのウクライナ侵略に伴う国際市場の混乱、そして「異次元緩和」、この3つが相まって引き起こしたものです。
日銀自身による「生活意識に関するアンケート調査」でも80%以上が物価上昇を「困ったことだ」と答えています。
中小企業は原材料の急速な値上がりに直面し、顧客離れを覚悟して価格転嫁するか、利益を減らして値上げを抑えるか、ぎりぎりの判断を迫られています。
多くの国民は日々、買い物の際、値札を見てため息をつき、不安におびえながら貯蓄を取り崩して暮らしています。
食品も電気・水道も大幅に値上がりしているさなか、4月、5月分以降の年金が0.4%減額され、高齢者の暮らしも大きな痛手をうけています。
国民を苦しめる政策を根本から改めるべきです。区は基礎自治体として、物価高騰から区民生活を守るため、あらゆる対策を講じるべきです。
そこで、お聞きします。
第一に、物価高騰の影響についてどのように把握していますか。物価高騰対策本部の設置や相談窓口設置を求めますが、いかがですか。
第二に、区内の中小業者に対し、事務所・店舗への家賃補助、固定費補助などの区独自の支援を求めますが、いかがですか。
第三に、コロナ禍の休業補償などの国や東京都の給付金や協力金は事業継続の命綱ですが、これらが収入として課税対象となっているため公営住宅の家賃が引き上げられる事態が起こっています。区営住宅や区立住宅などの家賃の算定に、国や都の給付金や協力金を収入として認定しないことを求めますが、いかがですか。
第四に、生活保護受給世帯の生活は大変厳しいものになっています。緊急に見舞金を支給することを求めますが、いかがですか。
第五に、物価がこんなに上がっているのに年金は4月から引き下げられました。厚労省が示す標準的な例では、国民年金で年間3108円、厚生年金(夫婦2人分)で年間1万836円の年金減額ですが、高齢者の生活への影響、また地域経済への影響をどのように捉えていますか。年金削減を中止するよう国に申し入れてほしいと思いますが、いかがですか。
第六に、今年10月から75歳以上の医療費の窓口負担2倍化が実施されようとしています。年金も減らされ、物価高に苦しみ、今でさえ通院の頻度が高い高齢者に重くのしかかっている医療費負担をさらに増やし、受診控えにもつながる医療費2倍化は中止するよう国に申し入れるべきだと思いますが、いかがですか。
第七に、学用品などの就学援助を受けられる要保護児童について、国は生活保護受給資格のある世帯を基準としていますが、準要保護児童の基準については自治体が独自に定めることができます。中央区は生活保護基準の1.2倍としていますが、これを引き上げて就学援助の対象を拡大することを求めますが、いかがですか。
第八に、学校給食について、食材費の単価増に伴う給食費引き上げ分の2分の1補助を、今年1年間は全額補助する補正予算が提出されています。家計支援と保護者負担軽減のため、1年限りではなく今後も学校給食費を据え置くことを求めますが、いかがですか。さらに今後、学校給食無償化に踏み出すことを求めますが、いかがですか。
第九に、国に対し、緊急に消費税5%への引き下げを求めるべきだと思いますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
3.インボイス制度が及ぼす影響について
次に、インボイス制度が及ぼす影響について質問します。
これまで消費税の納税を免除されてきた小規模の事業者に、新たな税負担がのしかかるインボイス(適格請求書)制度の導入中止を求める声が広がっています。
同制度は自民・公明政権が消費税を10%に引き上げた際(2019年)、食料品など8%軽減税率を導入することにより、それまで一律であった消費税が10%と8%の2段階の税率が生まれ、この2段階の消費税を明確にするために設けられた制度です。
増税から4年後の2023年10月からの導入を決めたものですが、コロナ禍や物価高で打撃を受けた人たちに追い打ちをかけることは許されません。
業者は客から受け取った消費税から仕入れにかかった消費税を差し引いて納税しますが、いま帳簿で行っている税の計算を、今後はインボイスを使って納税することが義務づけられます。
年間売り上げが1千万円以下は免税業者とされ、インボイスを発行する必要はありませんが、規模の大きな取引先の課税業者からインボイスを求められれば、断るのは困難です。インボイスを発行する業者は免税業者となれないので、売り上げが数十万円であっても売り上げにかかる消費税を支払わなければならなくなります。
取引ごとのインボイスの発行や7年間の保存などの事務負担に加えて、消費税の負担が重くのしかかってきます。いわゆるフリーランスや個人事業主などの働き方の人たちには大きな問題です。
区に関わりの深いのがシルバー人材センターです。会員は請負などの契約で働いていますが、消費税法上は「事業者」として扱われています。シルバー人材センターの利用料には消費税がかかりますが、現在は、収入であるセンターからの配分金が月3万~4万円と少額であるため、会員は免税業者の扱いとなっています。
インボイスが導入された場合、課税業者であるシルバー人材センターが消費税を負担するか、会員が課税業者になるかの選択を迫られることになります。会員は、事務負担からも経済負担からも、とてもインボイスを発行する課税業者になることは現実的ではありません。
センターは仕入れ税額控除ができなくなり、センターの負担で消費税を納税することになります。
新たな税負担は全体で200億円になることを政府も認めており、全国のセンター数はおよそ1300カ所なので1カ所あたりの税負担は1500万円になります。全国の自治体からは、インボイスのもとでは、センターの経営が成り立たないと異議をとなえる意見書が相次いでおり、昨年は100弱だったものが、いまでは242件に広がっています。
消費税の引き上げとコロナ禍で傷ついた日本経済を立て直すため、消費税率5%への引き下げとともに、インボイス制度はやめるべきです。
そこでお聞きします。
第一に、一年前の区議会第二回定例会で、国に対しインボイス制度の中止を求めるよう要望しましたが、区長から答弁はなく、国の専用ダイヤルによる相談受付や業界団体を通じた広報などの周知に、区として協力していくとの対応しか示されませんでした。どんなに制度の周知に努めても、事業者の経済負担の軽減にはなりません。負担軽減のためには、国に対し、中止を求めるよう改めて要望しますが、いかがですか。
第二に、インボイス制度をそのまま適用することは、地域社会に貢献しようと努力しているシルバー人材センターで働く登録会員のやる気、生きがいをそぎ、ひいては地域社会の活力低下をもたらすものになると思いますが、いかがですか。
センターにとっても、新たな税負担となれば運営上の死活問題だと思いますが、いかがですか。シルバー人材センター事業の継続のため、区としてどのような支援を行なうおつもりですか。
それぞれお答えください。
4.補聴器購入費助成について
次に、補聴器購入費助成について質問します。
2019年区議会第四回定例会で、私は補聴器購入費助成の拡充を求め、一般質問を行いました。
65歳以上の高齢者で難聴の割合は45%と非常に高いことや、諸外国と比べ日本では補聴器の装着率が極めて低いこと、認知症対策としても早期の診断と早期の装着が重要なことなどを示し、補聴器購入費助成の引き上げや、制度の周知の徹底、区が行う高齢者の健康診査時に聴覚検査を実施することなどを求めました。
その後、助成実績は2018年度42人だったものが、2021年度には71人と増加傾向にあることは評価できるものです。しかし、中央区の65歳以上の高齢者人口約25,000人の45%にあたる約1万1000人に難聴の可能性があることを考えれば、支援が行き届いているとは言えないのではないでしょうか。
購入費の平均は約27万円と高額であり(日本共産党都議団調査)、装着率の低さは「経済的な負担が重いことが最大の要因になっている」(日本補聴器工業会)と言われています。
高齢者の障害のトップは聴覚障害です。中央区でも高齢者の健康で文化的な生活を支え、認知症を予防していくためにも、難聴対策を拡充していくことが必要です。
そこでお聞きします。
第一に、国、東京都、そして区も、高齢者の医療費を抑制するために、元気高齢者を増やしていく施策に力を入れています。早期に補聴器を装着し、聞こえない、聞こえづらい状態から1日も早く脱することは、引きこもりやコミュニケーション不足を要因とする認知症予防や地域参加、そして高齢者の生活の質向上につながり、ひいては医療費抑制にもつながると思いますが、いかがですか。
第二に、中央区での助成対象は65歳以上の人で、所得制限があり、上限3万5000円の1回のみですが、港区は助成の対象が60歳以上と低く設定されており、助成額は非課税の人で上限13万7000円、住民税課税の人でも上限6万8500円と、所得が多くても少なくても助成を受けられます。新宿区では、補聴器の耐用年数が約5年であることや、耳の状態が変わる場合があることなどから、最初の交付後5年を過ぎれば再度申請が可能です。
中央区でも所得制限を撤廃することや助成額を引き上げること、また1回限りの助成ではなく、再度の申請を可能にすることを求めますが、いかがですか。
第三に、前回の一般質問に対する答弁では、制度の周知について「介護保険サービス事業者や地区医師会と連携した周知に努めて」いくとのことでしたが、その後、どのように周知はすすみましたか。成果をどのように評価していますか。助成をもっと多くの人に利用してもらうためにも、健康診査に聴力検査をとりいれ、制度の周知をはかることを再度、求めますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
5.学童クラブの待機児解消について
最後に、学童クラブの待機児解消について質問します。
学童クラブの待機児童は深刻で、今年4月1日現在で243人と、年々増加しています。
区内の学童クラブは、元々の定員数から暫定定員として受入人数を増やし、昨年度からは登録定数という考え方を取り入れ、さらに受入人数を増やしています。例えば佃児童館では、元々の定員数は80名であったものが今では125名と、本来の約1.55倍の子どもが詰め込まれている状況です。
登録定員を増やしても、1年生でさえ待機児童となる状況です。2年生、3年生では、あきらめてそもそも申込みをしない潜在的な待機児も多くいます。
今後、晴海地域などに民間の学童クラブを誘致する予定とのことですが、それでも定員は1クラブ30人しか増えず、待機児を解消するには焼け石に水と言わざるを得ません。区の本気の待機児童解消対策が求められます。
そこでお聞きします。
第一に、学童クラブの民間誘致の課題についてお示しください。
第二に、区として、学童クラブに利用できそうな物件を探し、一園でも多くの学童クラブを区として整備することをすすめるべきだと思いますが、いかがですか。
第三に、今後、晴海地域でつくられる新たな学校も含め、学校内で学童クラブを整備していくことを求めますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。