2022年 区議会第一回定例会 一般質問

2022年3月1日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. 区長の所信表明について
  2. 新型コロナウイルス感染症対策について
  3. 18歳までの医療費無料化について
  4. 特養ホーム・グループホームの増設について
  5. 教育問題について

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 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.区長の所信表明について

 初めに、区長の所信表明について質問します。
 区長は、「今なお続く感染症との闘いの中で、区民の命を健康を守り、安心して生活できる環境をつくり上げていくことが、基礎自治体である本区の使命」と述べられました。重要なことだと思います。
 安心して生活できる環境をつくっていくうえで、コロナ危機のもとで、様々な分野で女性に犠牲を強いる「ジェンダー不平等」の実態が浮き彫りになっており、その解消に向けた取組を強力に進めていくことが必要だと考えます。
 区長は、今後十年間を見据えた区の基本的な方向性を示す、新たな基本計画の策定に着手するとのことですが、福祉の増進を図る基礎自治体として、区政運営のうえで「ジェンダー主流化」の視点が求められると考えます。「ジェンダー主流化」とは、あらゆる分野で、計画、法律、政策などをジェンダーの視点でとらえ直し、すべての人の人権を支える仕組みを根底からつくり直していくことです。
 そこで質問します。
 第1に、基本計画策定にあたって、ジェンダーの視点を、あらゆる政策や施策の基本にすえる「ジェンダー主流化」が必要だと思いますが、区長のご見解をお示しください。
 第2に、ジェンダー不平等の解消に向けて、男女別賃金格差をはじめとしたジェンダーギャップを「見える化」し、事実に基づいて格差をなくしていく施策を推進することが求められると考えます。いかがですか。

 次に、地球温暖化についてです。
 区長は、深刻な状況にある「地球温暖化」の問題で、「活発な事業活動・経済活動をけん引する東京、その中心にある本区は、脱炭素社会の実現に向け、率先してその責務を果たしていかなければなりません。」と述べられました。
 そして、新年度予算を「サステナブルシティ中央区をめざす」として、「環境行動計画」の改定、「中央区の森」などでの環境学習事業、旧館山臨海学園の敷地を活用した太陽光発電所整備など予算化しています。いずれも重要な取り組みです。
 しかし問題は、脱炭素社会に向け、都市でのCO2排出量をどう減らしていくのかということです。
 そこで質問します。
 第1に、「環境行動計画」の策定の際、2030年度までにCO2を50%~60%削減する目標に引き上げることが必要だと考えます。区長は、昨年の決算特別委員会で、国の削減目標値(46%)を少しでも上回る、中央区らしいモデルをつくっていきたいと述べられました。改めて、区長の決意をお示しください。
 第2に、中央区でのエネルギー消費量の部門別では、民生業務部門が65%、家庭部門が13%、運輸部門が19%となっています(環境行動計画2018p8)。業務部門での削減がカギです。どのように業務部門のCO2削減を進めていくのか、お示しください

 次に、都市基盤づくりについてです。
 区長は、「都心にふさわしい魅力ある都市基盤づくり」として、日本橋上空の首都高地下化、首都高築地川区間と東京高速道路の上部空間の活用、築地市場跡地の再開発、晴海地区のまちづくりなどをあげ、ハード・ソフト両面の取り組みを推進する専門部署を新たにつくり、ダイナミックに事業展開を図ると述べられました。
 都市基盤整備として必要なもの、防災対策としても欠かせない公共工事はもちろんありますが、地下の大深度道路建設や巨大な再開発事業を進めることで、はたしてサスティナブルな都市になるのでしょうか。
 例えば高速道路の整備で、さらに自動車交通を増やし、運輸部門のCO2排出量を増やしてしまっていいのか、大規模なオフィスビルの乱立で、昼間人口をさらに集中させて、一極集中の超過密都市にしていいのかが問われていると考えます。
 そこで質問します。
 第1に、都市基盤づくりは「大規模工事推進宣言」に聞こえますが、ソフト面の取組とはどのようなものなのかお示しください。
 第2に、東京一極集中を加速させ、「稼ぐ東京」をつくるための都市基盤づくりでなく、人と環境にやさしい、持続可能な都市にしていく基盤づくりに転換することを求めます。いかがですか。
 第3に、銀座ルールのような、高さ制限で超高層ビルはつくらないなど、景観にも配慮した、環境負荷を軽減していくルールに基づいたまちづくりをすすめていくことを求めます。ご見解をお示しください。

2.新型コロナウイルス感染症対策について

 次に、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
 新型コロナオミクロン株の感染状況は、「これまでに経験したことのない危機的な状況(2月3日都モニタリング会議)」が続いています。一日当たりの死者数は過去最多となっており、救急搬送困難事例も多く、救急医療のひっ迫も続いています。厚労省の専門家組織は、「ピークを越えた」が重症者・死亡者が増加する危険があることを警告しています。
 中央区でも、第6波の感染急拡大で保健所の体制がひっ迫し、「検査で陽性が判明しても保健所から連絡がきたのは1週間後だった」「高熱が出たが保健所と連絡が取れず、どこに電話してもたらい回しで、ようやくホテルの療養施設に入ることになったが、その頃はほぼ症状はおさまっていた」などの声が寄せられています。まさに「自宅療養」でなく、「自宅放置」ではないでしょうか。
 2月3日には区のHPに「保健所業務はひっ迫し陽性者等への連絡や対応に支障が出ている状況です。このことについて、ご迷惑をおかけしており、大変申し訳ございません」とおわびを掲載せざるを得ない状況でした。
 そこで質問します。
 第1に、区内における第6波の感染状況について、感染者数、その内入院や療養施設に入った方、自宅で過ごした方の人数、割合をお示しください。また、保健所業務の対応状況、区内医療機関との連携などの対応がどう取られたのかお示しください。
 第2に、私たちは、「第5波」を教訓にして、コロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設、往診・訪問看護の体制強化など医療体制を整備することや、保健所の体制を強化し、臨時採用や他部署からの派遣などの緊急増員を確保しつつ、正規の職員増をすすめることを繰り返し求めてきました。
 保健所も「第6波」に備えるとしていたのに、業務がひっ迫しないようにする手だてがとれなかった要因と、現在の対応についてお示しください。
 第3に、全国知事会が2月15日に緊急提言を発表し、「感染収束の見通しが立たず、保健・医療体制が危機的な状況に陥りつつある」ことを訴えました。国に対し、危機が国民に正しく認識されるよう強く発信することを要請し、コロナ対策の「取組の全体像」見直しを含めた全般的な対処方針の明確化を求めています。
 国は2月18日、「まん延防止等重点措置」を17道府県で延長する一方、「水際対策」の緩和などを打ち出しましたが、オミクロン株がまん延する前に策定された「全体像」の見直しの要求に応えていません。
 こうした国のコロナ対策について、どうお考えですか。
 第4に、国に対し、オミクロン株の特徴にそくした対策をパッケージ(一括)で出すことを求め、検査の不足、高齢者施設でのクラスター対策、医療のひっ迫やワクチン接種の遅れなどの事態を解決する対策を求めるとともに、区として、感染者を「自宅放置」しない対策の強化や、ワクチンの追加接種を前倒しして安全にすすめること、「いつでも、誰でも、無料で」受けられるPCR検査を大規模に行うことなど、感染拡大防止策を早急に進めるよう求めます。
 それぞれご答弁ください

3.18歳までの医療費無料化について

 次に、18歳までの子どもの医療費無料化について質問します。
 現在子ども医療費助成制度は、中学3年生まで、通院、入院とも窓口での自己負担が無く医療が受けられ、大変喜ばれています。この制度は、3歳未満の乳幼児医療費助成制度として、93年4月から始まり、95年10月からは6歳まで、2006年には15歳まで対象を広げ、現在まで所得制限なく実施されています。
 私たち日本共産党区議団は、92年に議案提案権を活用して条例提案の準備をすすめ、その後制度ができてからも、対象年齢の拡大を求め、繰り返し予算修正や条例提案を行い、18歳までの無料化を要望してきましたが、いまだに実現していないことは残念です。
 東京都が2016年度に実施した子どもの生活実態調査では、医療の受診を抑制した理由として、「自己負担金を支払うことができないと思ったため」と回答した割合は、小中学生の保護者では約1%だったのに対し、16歳から17歳までの子どものいる保護者では2.7%と高くなっていました。16歳から17歳の困窮層の保護者ではさらに高く、18.8%に上っていました。
 そうした実態を踏まえ、日本共産党東京都議団が昨年12月に子どもの医療費助成の対象となる年齢を拡大する条例提案を行い、都議会では否決されてしまいましたが、東京都が新年度予算案の中で、18歳までの医療費無料化の準備として、システム改修費7億円を予算計上していることは画期的です。
 そこで質問します。この東京都の制度拡充を好機として、中央区でも準備を急ぎ、18歳までの医療費無料化を、所得制限なしに早急に実施するよう求めます。ご答弁ください。

4.特養ホーム・グループホームの増設について

 次に、特養ホーム・グループホームの増設について質問します。
 長年懸案だった保育所の待機児はこの4月には解消の見通しとなりましたが、特養ホーム養の待機者は今年1月末で依然218人にのぼっています。
 「認知症がすすみ、家での介護はむずかしくなって、施設をさがしているが、特養にはなかなか入れない」「グループホームも空きはなく、費用もかかるし、入れるところがみつからない」と悲痛な声があがっています。
 特養の待機者の状況をみると、10年前の2012年は307人でした。その後施設が増え入所定員が増えましたが、待機者は19年度末で280人、20年度末240人、直近では218人となっています。現在は原則要介護3以上でないと申し込みができない制度に改悪されたこともあり、入所希望はもっと多いと考えられます。
 中央区は、子育て世代の人口増加で、65歳以上の高齢者人口の割合は15%と、東京都の23%と比べても低いですが、高齢者数は、今年1月で2万5300人、10年後の2032年には3万1800人と推計されており、人数は年々多くなっていきます。在宅サービスも施設サービスも必要性はますます高まります。
 そこで質問します。
 第1に、要介護度が低くても、家族での介護が難しくなって施設利用を申し込んでいる家庭も多い実情をふまえて、希望者が何年も待たずに入所できるよう、特養ホームやグループホームを緊急に増やすことを求めます。また、今後も、特養ホームや認知症グループホームなどの利用希望は増えていくと考えますが、施設サービスや居住系サービスをどう増やしていくのか計画をお示しください。
 第2に、グループホームやケアハウスは、家賃の負担が重いことがネックです。区立の高齢者住宅の家賃減額制度や、サービス付き高齢者住宅で行われているような家賃補助の制度などをぜひ適応するよう求めます。お答えください。
 第3に、どういう施設が適切か、費用負担も含めて施設を選ぶ際に相談できる窓口が必要です。現状の対応はどうなっているのか、緊急の対応は可能なのかお示しください。

5.教育問題について

 次に、教育問題について質問します。
 まず、新型コロナ感染症対策です。
 オミクロン株は、特に子どもにも感染が広がり、区内の小・中学校でも、学級閉鎖、学年閉鎖となる事態が広がりました。
 東京都は、学校や保育園等で感染が判明した場合の対応として、保健所がすぐに対応できない場合に、独自に濃厚接触者と考えられる人にPCR検査をできるようにし、今年1月下旬からは、複数の陽性者があり学級閉鎖になった場合にはクラス全員がPCR検査を受けられるようにしました。しかし、中央区では全員検査はしない対応とのことです。
 そこで質問します。
 第1に、子どもたちや教職員に感染を拡大させず、学校での生活や教育、安全な保育を保障するために、感染者が1人であっても、濃厚接触者の周辺の人や感染の不安を持つ人は検査ができるようにすることが必要だと考えます。いかがですか。
 第2に、早期発見、早期対応のための東京都の定期検査については、公立の小中学や学童保育、放課後等デイサービスなどの教員や職員も対象となっています。中央区ではどう進めるのかお示しください。
 第3に、学級閉鎖の際や登校できない児童生徒とのオンライン授業について、どんな困難があるのか、現場の実態把握を行い、緊急のICT支援員の配置などオンライン学習の支援を抜本的に強化することが必要だと考えます。いかがですか。
 それぞれお答えください。

 次に、不登校の子どもへの支援についてです。
 中央区での不登校による長期欠席者数は、2020年度、小学校で51人、中学校で73人(9人増)と報告されています。小学校では不登校の子どもが前年度(25人)の倍になっています。
 全国的にも不登校の割合が急増し、8年間で1・9倍になり、過去最高を記録しました。
 これは、コロナ禍の影響もありますが、学校が子どもにとって、安心して学べない、息苦しい場となっている反映ではないでしょうか。
 不登校は、一人ひとり、その理由や状況が違いますが、不登校を本人の性格や家庭の責任とするのではなく、子どもの個性や多様性を尊重した丁寧なかかわりが必要だと思います。
 そこで質問します。
 第1に、コロナ禍の2年目となった今年度の不登校の児童、生徒数、状況はどうなっていますか。
 第2に、中央区では、不登校対策の中核的機能(スクーリング・サポート・センターSSC)として、適応教室「わくわく21」が設置されていますが、現在の利用者数、また活動内容をお示しください。利用者は増えているでしょうか。子どもたちの状況をくみ取った支援となるよう、タブレットを活用した学習支援や、教育センターの改修に合わせた今後の取り組みについてもお示しください。
 また、小学生が適応教室に通う際は、保護者が送迎する原則のようですが、学校に登校するのと同様に、保護者の送迎を「原則」とする必要はないと考えます。いかがですか。
 第3に、学校以外のさまざまな学びの場(フリースクール、フリースペースなど)をきちんと認め、公的支援をおこなうことも大切だと考えます。
 不登校の子どもに、家庭以外の居場所、学びの場をと、いろいろ探して、子どもにあったフリースクールを見つけたけれど、利用料がかかるので希望通り行かせてあげられないと悩んでいる保護者の方もいます。
 東京都は新年度予算案で、フリースクール等に通う児童の支援として予算1億円を計上しています。こうした制度を活用して、中央区でも、フリースクールに通う費用の補助をぜひ実施してほしいと思います。いかがですか。

 次に、教育費の保護者負担の軽減についてです。
 中央区は、4月から学校給食費の値上げを行うとしています。引上額は、小学校は月230円~270円で高学年は月額4600円、中学校は500円の引き上げで、給食費は月額5200円になります。
 給食は学校教育の一部であり、「義務教育は無償」を定めた憲法26条にそくして、学校給食の無償化こそ必要なのに、食材費の高騰などを理由に給食費を値上げすることは容認できません。
 教育委員会は「コロナの影響で収入が減少している世帯が多いことを考慮し、引き上げ額の2分の1相当を公費補助」するとし、その費用は1600万円とのことです。
 そこで質問します。
 第1に、給食の食材費は給食費で賄うため引上げるとしていますが、米飯給食のお米代は区が補助しています。こうした区の補助を拡大して、今回の食材値上げ分も区が全額支援し、給食費の引き上げを行わないよう求めます。いかがですか。
 第2に、給食費以外でも、教材費、各種行事の経費などの費用が、学校徴収金として保護者負担となっています。また、標準服は、小学校で平均2万7千円、中学校で4万3千円かかり、それ以外に体操着などの費用も自己負担です。
 就学援助の制度はありますが、本来学校教育に関わる費用は無償とすべきではないでしょうか。
 それぞれお答えください。

 以上で第1回目の質問を終わります。ご答弁をお願いします。

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