令和2年度(2020年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定についての態度表明

2021年10月13日
日本共産党中央区議会議員団 小栗智恵子

 令和2年度(2020年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 この1年半新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、決算年度は特に命と暮らしを守るための緊急の対策が求められた1年でした。
 コロナ危機は、日本社会のさまざまな問題を浮き彫りにしました。保健所や医療機関がひっ迫し、まともな補償なく"自粛"を強いられた中小企業、個人事業主など、大打撃を受けました。弱肉強食と自己責任おしつけの新自由主義の政治がもたらした「人災」といわざるを得ません。その一方で、「規制緩和」や優遇税制で富裕層や大企業の目先の利益追求は擁護され、一部の富裕層、巨大企業は、コロナ危機でも利益を増やし、巨額の資産をため込んでいます。
 そうした中、2020年度の決算の認定について、区民に一番身近な自治体として、困っている人に支援が届く予算執行となったのかという視点で審議にあたりました。
 2020年度は、国の特別定額給付金や、持続化給付金、各種の休業補償の支援金などが実施されましたが、「自粛と補償はセットで」というには不十分であり、残念ながら、中央区では国や都の制度以上の施策、例えば家賃の高い本区独自の補助制度や区独自の給付金については実施されませんでした。
 特別区民税や株式等譲渡所得交付金などは増収となり、土地売払い収入が155億円ありましたがそのまま基金に積み立て、財政力はあるのに、給付金などの実施は見送られました。中小企業支援として、商工融資と共通買物券事業だけでなく、区独自の家賃支援など、さらなる支援策を求めます。

 次に、コロナ後を見据えて、目指すべき社会という視点で、区の対策と予算の使い方が適正だったのかについてです。
 第1に、感染症に弱い超過密都市でいいのか、気候危機を招くCO2排出量を増大させるまちづくりでいいのかが問われています。
 中央区の森事業で、CO2を吸収する事業を進める一方で、CO2を増大させる巨大開発が区内各地で進められています。市街地再開発事業助成には173億円投入され、区の財政にも大きな影響を与えています。オフィス需要も不透明な中、大規模開発中心のまちづくりを転換し、ゼロカーボンシティにむけたまちづくりを進めるよう求めます。
 第2に、ケアに手厚い社会にしていく取組では、介護サービス事業所への減収補填の執行率は94.5%でしたが、コロナ対策の柱にすべきPCR検査については、拡充に後ろ向きでした。保健所や医療機関のひっ迫を解消するために、人員を増やしたり、医療機関への支援を強化すべきです。またワクチン接種と一体にPCR検査の拡充を求めます。
 保育園待機解消にむけて、認可保育園の増設が進められ、来年4月には待機児解消のめどが立ちましたが、2021年4月の時点では待機児が85名でした。
 また、国民健康保険でコロナ対策の傷病手当が創設されましたが、自営業者は対象にならず、利用は限定的でした。国保財政では、「財政健全化」という名で一般会計からの繰入減らして保険料の負担増となる制度を進めています。「保険あって介護なし」といわれる介護保険制度の改善も必要です。
 第3に、子どもの尊厳を大切に支える教育へむけて、教員の多忙化の解消が求められますが、教育にかける費用については、タブレットなどの機器への予算は大きく増やしましたが、教職員を増やして多忙化を解消する取組はすすんでいません。
 第4に、ジェンダー平等社会の実現に向けた施策では、男女共同参画の予算執行は88%で、取組みも従来の枠を出ていません。
 第5に、都が示している「築地まちづくり方針」は、国際競争力の向上に資する大規模集客・交流施設を中心とした再開発計画で、新型コロナが蔓延する以前に出された方針です。方針自体を再考することが求められます。今後の需要に疑問符がつくMICEやカジノを含むIR建設は認めず、広場や公園として一旦、都民に開放し、周辺地域との調和がはかられるまちづくりを要望します。
 第6に、東京五輪の総括が必要です。多くの区民が開催に疑問を抱く中で強行され、感染爆発を招いたことや増大した大会関係費用、選手村跡地の「晴海フラッグ」のために整備される公共施設にかかわる中央区の多大な財政負担、オリ・パラ教育のあり方、大会のレガシーの捉え方など、正の側面だけでなく負の側面にも目を向け、今後につなげることが必要です。
 こうした予算執行の状況から、日本共産党区議団は、令和2年度(2020年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定について「反対」の態度を表明します。

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