2021年 区議会第四回定例会 一般質問

2021年11月19日

日本共産党中央区議会議員  奥村暁子

【質問項目】

  1. 新型コロナ第6波に備えた対策について
  2. コロナ対策の国の給付金について
  3. コロナ禍での区独自の事業者支援について
  4. 時短営業に対する協力金への課税について
  5. 携帯電話の基地局アンテナ設置について
  6. 緑内障予防について
  7. 保育の質の確保と学童クラブ整備について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.新型コロナ第6波に備えた対策について

 初めに、新型コロナ第6波に備えた対策について質問します。
 新型コロナウイルス第5波のピークだった今年8月、東京都の重症者は297人に達し、約400人が亡くなりましたが、墨田区では一時、区内の自宅療養者は400人を越えましたが重症者はゼロ、死者も同様にゼロでした。
 今後やってくるであろう第6波に向け、墨田区の取組みを分析し、対策に活かすこととは、中央区での感染拡大予防や重症者を減らす参考になると思います。
 そこで、お聞きします。
 第一に、第5波の際、中央区民で新型コロナにより亡くなった方、重症者は何人ですか。
 第二に、東京都は8月、濃厚接触者を探す「積極的疫学調査」を事実上縮小させましたが、濃厚接触者のPCR検査をしないと無症状者の感染者がさらに感染を広げる可能性があるため、墨田区はこれまで通りの調査を続けたということです。PCR検査の有効性についていかがお考えですか。
 第三に、墨田区保健所は、人員を第4波の時の1.25倍、約125人に増やしたということですが、中央区は第4波の時から第5波にかけて人員は何倍、何人に増えましたか。また、墨田区では人員体制強化により、24時間体制で自宅を訪問する「健康観察チーム」を5つ整えたということですが、こうした取組みが中央区でも今後、必要だと思いますが、いかがですか。
 第四に、墨田区は、都が利用調整を行うコロナ病床とは別に、区の裁量で使える病床を33床確保したとのことですが、中央区でもこうした病床確保が今後にむけて必要だと思いますが、いかがですか。
 第五に、墨田区はコロナ禍で週1回、保健所、医師会、区内病院でミーティングを行ってきたとのことですが、中央区でのこうした取組みはどのようになっていますか。地域の連携力を強化し、協力体制を構築することが必要だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

2.コロナ対策の国の給付金について

 次に、コロナ対策の国の給付金について質問します。
 新型コロナで収入が減った人たちの暮らしを支えていくことは急務ですが、新たに岸田政権が打ち出した住民税非課税世帯を対象に1世帯あたり現金10万円という給付金には3つの問題点があります。
 問題点の第一は、個人への給付がコロナで生活が困っている人に届かないものになっていることです。
 住民税非課税世帯には1世帯当たり10万円との方針ですが、非課税世帯というハードル自体がかなり厳しく、単身者で給与所得が100万円以上の人は課税世帯となって、給付の対象から除外されます。また、非正規で働き、コロナで収入が減って収入が不安定化している人でも給付がされない点も問題です。
 第二は、事業者向けの給付金が半分になっている点です。
 岸田首相は「持続化給付金なみの支給を行う」といいながら、中身をみると額が半分になっています。個人事業主向けの持続化給付金は最大100万円から最大50万円になってしまい、法人では最大200万円だったものが多くの場合、最大で100万円になってしまします。また、政府は11月から来年3月までの5カ月分と説明していますが、緊急事態宣言は今年1月から長期にわたって行われており、それを視野の外において対象にしないのはまったく道理がありません。
 第三は、給付金を盾に個人情報を差し出せというやり方をとっていることです。
 マイナンバーカードを取得した場合に5000円分、健康保険証とひも付けした場合に7500円分、預貯金口座とひも付けした場合に7500円分のマイナポイントを支給するとしています。マイナンバーカードが普及しないのは、個人情報がリスクにさらされることへの不安があるからなのに、無理やり給付金とセットで押し付けるやり方はとるべきではありません。
 この10万円の給付とは別に、18歳以下を対象とした現金とクーポン合わせて10万円相当を給付するということですが、判断基準となっている「年収960万円以下の世帯」という条件について、「世帯主の年収」であることが不公平感を生むとの指摘が広がっています。夫婦どちらかの年収の高い方を「世帯主」とするため、どちらかの収入が960万円以上であればもう1人が収入ゼロであっても給付対象外、逆に夫婦2人とも年収950万円以上の世帯でも給付対象となるということです。
 困窮学生への10万円給付についても基準は定まっておらず、昨年実施された学生向け緊急給付金で対象から外れた9割の大学生や短大生に届く支援になるかどうかも不透明です。
 給付金自体は必要なものだと思いますが、コロナで収入が減った方、もともと生活が厳しい方も含めた、全体に行き渡る給付とすることが求められます。
 そこで、お聞きします。
 第一に、個人向けの給付金は、生活に困っている人、コロナで収入が減った人を広く対象にし、中間層を含め年収1000万円未満の方に1人10万円を基本に支給すべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、事業者向けの給付金は半分などという道理のないディスカウントはせずに、持続化給付金、家賃支援給付金の第2弾を支給すべきだと思いますが、いかがですか。
 第三に、給付金を盾にしたマイナンバーカードのポイント付与は見直すべきだと思いますが、いかがですか。また、政府は「消費喚起」を理由にマイナンバーカードへのポイント付与を説明していますが、消費喚起というのなら消費税5%への減税こそ行うべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

3.コロナ禍での区独自の事業者支援について

 次に、コロナ禍での区独自の事業者支援について質問します。
 新型コロナが発生してから、この間、わが区議団は中央区に対し、家賃補助や区独自の給付金支給などの事業者支援を行うよう繰り返し求めてきましたが、いまだ実現していないことは残念でなりません。
 この間にも、他の自治体でまた新たに独自の事業者支援を行なうところが生まれています。
 板橋区は、度重なる緊急事態宣言に伴う外出自粛や休業・時短営業の影響で事業収入が減少した区内事業者支援のため、「板橋区中小企業等事業継続支援金」を給付します。既に11月1日から申請受付が始まっています。
 対象は2021年4月から9月までのいずれかの月の売上高が、前年、又は前々年の同月比で20%以上50%未満の範囲内で減少している区内事業者となっています。「東京都協力金の対象となる飲食店等は除く」となっていることから、都の支援から外れた事業者にターゲットを絞り板橋区が支援するものです。
 三鷹市でも、事業収入が10%以上減少していることなどを条件とした「三鷹市中小企業等特別給付金」制度が設けられました。
 国や都の支援策では、収入減少が前年度比で50%など高いハードルがあります。対象外となってしまう事業者を救う手立てをとることこそ、いちばん身近な基礎自治体の役割として重要だと考えます。
 そこで、お聞きします。
 板橋区や三鷹市のように、東京都あるいは国の支援対象外となる事業者でも利用できる支援金や給付金があれば助かる区内事業者が多くあると思いますが、どのように認識していますか。中央区でも実施することを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

4.時短営業に対する協力金への課税について

 次に、時短営業に対する協力金への課税について質問します。
 コロナ禍で、区内の多くの飲食店は、国や東京都の要請に応じて休業や時短営業に協力をしたことに伴い、不十分ながらも補償として時短協力金(都「営業時間短縮に係る感染拡大防止協力金」など)を受け取りました。支給が遅れているなどの問題に加え、こうした協力金が課税対象となることが問題となっています。
 税金の計算上は「非課税とすべき」との意見が多く上がるなかで、税務当局は「売り上げの補填であり雑収入として課税対象である」としています。
 課税所得となると、納付する所得税額だけでなく、住民税、事業税、国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料)、介護保険料まで大幅に上がることになります。
 実際に計算してみると、協力金給付額の3割以上を税金として納めなくてはならないケースがあるなど重い負担となっています。
 第二回定例会で質問しましたが、コロナ禍で営業がたちゆかない中小事業者にとって、今後、始まるインボイス制度による取引からの排除の心配に加え、この協力金を課税対象とみなす制度は、さらなる追い討ちをかけるものです。
 そこで、お聞きします。
 第一に、区内に時短協力金を受け取っている事業者はどれ位ありますか。協力金が課税所得となることは区内事業者にどのように周知されていますか。売り上げ減少などに苦しむ事業者にとって、影響は甚大だと思いますが、いかがですか。
 第二に、国、都に対し、課税対象としないよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。区としても減免措置などを講じるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

5.携帯電話の基地局アンテナ設置について

 次に、携帯電話の基地局アンテナ設置について質問します。
 現在、新たな通信規格となる「5G」のサービス開始に併せて、各携帯電話事業者による新たな基地局の設置がすすんでいますが、携帯電話基地局から発射される電波による健康被害を心配する住民の声が各地で上がっています。
 私の元にも、自宅マンションに基地局アンテナが設置されることを知った区民の方から、携帯電話会社、また工事施工会社からの事前説明と設置の中止を求める声が寄せられました。
 5Gによりダウンロード時間が短縮されるなど、便利になるという側面もありますが、電磁波過敏症の方やペースメーカーを入れている人などがいることや、健康被害を心配する声があるのも事実です。
 健康被害については、医学的にはっきり「ない」と言い切れる結果は、まだ世界でも出ていない状況であり、世界保健機関(WHO)でさまざまな物質の発がん性を調べる国際がん研究機関(IARC)では「発がん性の可能性がある」と認めている例もあります。海外では疫学調査が積極的に行われていて、不眠や頭痛、めまい、吐き気などの体調不良も報告されていますが、日本での調査は諸外国に比べ立ち遅れています。
 また、諸外国よりもはるかに低い日本の規制の基準値も問題です。高周波電磁波の電力密度で、総務省の電波防護指針では、1平方センチメートル当たり1000μW(マイクロワット)なのに対し、欧州評議会(CoE)では1平方センチメートル当たり0.1μW(マイクロワット)と10000倍ものひらきがあります(今後は0.01にするとしている)。
 こうしたもとで起きる区民からの設置の中止や事前説明を求める声に応える対策が、今後必要ではないでしょうか。
 そこで、お聞きします。
 第一に、電磁波が身体に及ぼす影響について、どうお考えですか。健康被害を心配する声があることをどのように受け止めていますか。国に対して、健康被害の調査を求めることが必要だと思いますが、いかがですか。
 第二に、調布市では、携帯電話基地局設置に当たり、隣接地権者や近隣住民への十分な事前説明の実施及び市への情報提供を求める要請を、市が事業者に対し行っています。
 また、多摩市では、まちづくり条例を改正して携帯電話基地局設置に関する規定を設ける提案が市議会に提出され、所管委員会で趣旨採択されたことから、市は事業者を直接訪問し、住民への丁寧な説明や市への事前報告などを要請しています。
 国立市では、事業者が近隣住民等に対し事前に説明する責任を明確にし、市民の生活環境の保全に資することを目的とした指導要綱を定めています。
 こうした自治体を参考に、中央区でも、居住している住民や近隣住民に対するだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

6.緑内障予防について

 次に、緑内障予防について質問します。
 緑内障は、目と脳をつなぐ視神経線維が障害され、徐々に視野が欠け、放置すれば失明にもつながる怖い疾患です。一度かかってしまうと、失った視野を元どおりにすることはできず、完治は望めませんが、早期発見・早期治療で視野障害の進行を食い止めることはできる疾患です。
 日本では失明原因の第一位となっており、40歳以上の約20人に1人に起こるとされるほど身近な疾患でありながら、患者の9割には自覚症状がなく、緑内障の確実な原因はわかっていない厄介な疾患でもあります。
 緑内障だった人の7割が、眼圧が正常であるにもかかわらず視野が損なわれる「正常眼圧緑内障」だという調査結果もあり、眼圧が10~20mmHg(ミリメートル・エイチ・ジー)と正常なため、眼圧が高くなったことで起きる目の痛みなどの自覚症状が起きないまま症状が進行してしまうことが、発見をさらに遅らせる要因となっています。
 視野が狭いと感じる、視界がかすむ、光を見ると虹のような輪っかが見えるなどの自覚症状がある場合は、すでに緑内障が進行してしまった状態ですが、ほとんどのケースでは10年位の長い期間をかけて徐々に進行していくため無症状です。また、片方の目で見えないところはもう片方の目でカバーしてしまうので、日常生活では視野が損なわれていることに気付きにくく、気付いたときにはすでに重症といったケースが多くみられます。
 緑内障は自分で病気を早期発見するのは困難です。緑内障による失明の危険を避けるためには、早期発見と、視神経の障害が軽いうちの治療開始と治療継続が重要です。
 そこでお聞きします。
 第一に、区内で緑内障を患っている患者は何人いますか。緑内障から失明に至ったケースがどの程度あるか把握していますか。
 第二に、緑内障がもたらす失明など深刻な被害について、どのように認識していますか。失明を予防する重要性をどうお考えですか。
 第三に、中央区では、健康診査として40歳以上5歳節目ごとに「眼圧検査」を、40歳以上の方には「眼底検査」を行っていますが、こうした検査だけでは緑内障を発見することは困難です。緑内障発見のためには視野検査や屈折検査、細隙灯顕微鏡検査(さいげきとうけんびきょうけんさ)、眼底撮影、前房隅角検査(ぜんぼうぐうかくけんさ)などを組み合わせることで発見可能となります。区民健康診査にこうした検査を取り入れることを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

7.保育の質の確保と学童クラブ整備について

 最後に、保育の質の確保と学童クラブ整備について質問します。
 我が区議団は、これまで保育の質を確保するための提案や問題指摘を一貫して行い、条例提案も行ってきました。
 子ども1人当たりの面積基準や保育士の配置基準が高く設定されている区立保育園、私立認可保育園を増やして待機児童解消を図ること、保育ママ制度やベビーシッター制度の見直し、事故防止などのため区の巡回指導を拡充することなど多岐にわたります。
 安全・安心の保育を実現するためには、人員配置を手厚くしていくことが欠かせませんが、内閣府の調査によれば、全国の私立認可保育所の保育士配置状況は、国による人件費の計算上では平均で11.4人(非常勤含む)なのに対し、実際の配置は平均で15.7人(同)と大幅に上回るということです。
 これは、国の配置基準と実情が大きく乖離するためで、例えば「2歳児6人に対して保育士1人」という国の配置基準で計算すると2.33人の保育士が必要ですが、現実には3人を配置することになります。 
 ところが保育所に支給される公定価格といわれる人件費は2.33人を基に計算されるため、結果として、実際にいる保育士より少ない人数分の人件費しか受け取れないということになり、保育園側の負担が増えてしまいます。保育園の負担を少しでも軽くし、適正な人員配置をすすめることを促すことが必要ではないでしょうか。
 そこで、お聞きします。
 第一に、 区は私立認可保育所に対し、保育士配置への補助として「勤務環境改善促進保育士加算」や「延長保育士加算」などを行っており、勤務環境改善促進加算では、定員60人以下の施設には保育士1名、定員61人以上には保育士2名を増員するための経費を補助し、延長保育士加算では延長定員10人以下の施設には保育士1人、定員11名以上の施設には保育士2名を増員するための経費を補助するとなっており、増員する保育士数には上限が定められています。この上限を超えて配置が必要な分の人件費は保育園側の負担となりますが、十分な補助となっているのでしょうか。さらに手厚く保育士を配置できるよう基準の見直しが必要だと思いますが、いかがですか。
 第二に、実態に合わせた配置基準や保育時間の長さに応じた費用の見直しを、国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 安全・安心の保育という点では、保育に欠ける子どもを預かる学童クラブ不足も深刻です。
 区内の学童クラブは、元々の定員数から暫定定員として受入人数を増やし、今年度からは登録定数という考え方を取り入れ、さらに受入人数を増やしています。例えば佃児童館では、元々の定員数は80名であったものが今では125名と、約1.55倍の子どもが詰め込まれている状況です。
 学童クラブは、児童福祉法に基づく設置基準、施設の面積基準、人員の配置基準を満たす必要があることから、この間の答弁では、基準を満たしていない民間学童を広げたり、そうした民間学童に通う世帯への補助は考えていないとのことで、それは当然だと思います。しかし、基準に乗っ取った民間学童クラブの誘致は検討していきたいとのことです。
 そこで、お聞きします。
 児童福祉法にもとづく学童クラブを民間が設置できるのであれば、同様に区でも設置できるはずであり、民間でなければ設置できない理由はないと思いますが、いかがですか。区立の学童クラブを区の責任で設置すべきだと思いますが、いかがですか。特に、今後さらに需要が高まる晴海地域での区立学童クラブ設置を求めますが、いかがですか。
 それぞれ答えください。
 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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