2021年9月24日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子
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日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。
はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
緊急事態宣言が9月30日まで再々延長となり、収束の出口が全く見えない状況が続いています。
7・8月の東京五輪・パラリンピック大会期間中、コロナ感染は爆発的に広がり、各地で医療崩壊の危機が広がりました。五輪が開幕した7月23日に全国の新規感染者は約4200人でしたが、五輪閉幕の8月8日には1万4500人に膨れ上がり、パラ開幕の8月24日には2万1600人に激増しました。7月後半に400人強だった全国の重症者は9月初めには5倍以上の2200人を超えました。医療がひっ迫し、症状が悪化しても入院できず自宅で亡くなる人が相次ぐ重大事態となりました。
中央区では7月25日から8月22日の1か月で、感染者が1562人も増えています。
現在は新規感染者が減少傾向にあるといっても、感染力が強く、ワクチン接種者でも感染するデルタ株が主流になるもとで、ワクチン接種一本やりではコロナの感染症の抑え込みはできないことは、国内外の事実が示しています。
そこで質問します。
第1に、東京五輪大会の開催が、国民に誤ったメッセージとなり、人流が増え、感染爆発状況となったことについて、どうお考えですか。五輪開催による区民生活への影響、感染拡大への影響をどうお考えですか。お答えください。
第2に、感染第5波の区内での感染状況、保健所の対応で大変だったこと、今後の課題と考えることについて、見解をお示しください。
第3に、国が「原則自宅療養」の方針を突然打ち出し、入院できない自宅療養者が激増しました。自宅療養中に急に容態が悪化し、亡くなる方も増えています。
ようやく築地市場跡地に東京都の抗体カクテル療法を行う「酸素・医療提供ステーション」が開設されたり、佃にコロナ専用病棟ができるなど、医療・療養施設の増設に前進がありますが、なぜもっと早く第5波に間に合うような対応ができなかったのか、その要因をどうのようにお考えですか。また、引き続き医療体制の強化が必要だと思いますが、いかがですか。
第4に、新規感染者が減少傾向にある今こそ、ワクチンと一体に大規模検査を行い、感染伝播(でんぱ)の鎖を断つことが必要です。
これまで国は「PCR検査を広げると医療崩壊が起こる」と言って、検査を抑制し軽視する姿勢をとってきました。中央区は、「PCR検査は発生拡大防止には貢献しない」「必要な検査はできている」として、検査の拡大を拒否してきました。
この1年半、感染者が減っても下げ止まり、また感染拡大の波が起こる繰り返しになっています。早く陽性者を見つけて保護することがリバウンドさせないためにどうしても必要です。
オリンピック・パラリンピックでは101万回のPCR検査が行なわれ、大会が終わり、検査能力には余裕があります。大規模検査を「いつでも、誰でも、何度でも、無料で」の立場で、国と都と協力して大胆かつ大規模に行なうことを求めます。いかがですか。
第5に、陽性となった時、安心して休める保障が必要です。無症状でも2週間の自宅待機が必要となるため、既存の傷病手当などの制度では不十分であり、自営業者など対象外になる人には、国が休業支援の対象とするなどの所得保障を行うよう求め、実現をはかるべきです。いかがですか。
それぞれご答弁ください。
次に、デルタ株拡大のもとでの保育、教育の保障について質問します。
デルタ株が主流になる中で、子どもの陽性者が急増しています。文部科学省は、8月だけで1万8千人、7月の3倍以上に増えたと発表しています。(9月17日)
こうした中で2学期を迎え、「PCR検査もされないので誰が陽性かもわからない中、マスクをしていても子ども同士の距離は近いので、いつ感染するか心配」「親世代はまだワクチン接種できていない。子どもが感染し親が感染することも心配」などの不安の声が寄せられています。
保護者世代のワクチン接種は、中央区では2回接種が30代までで44%、40代で60%(9月20日現在)です。これまで以上に感染拡大の防止対策が求められています。
そこで質問します。
第1に、デルタ株の感染拡大のもとで、区内の保育園、幼稚園、小中学校での陽性者の拡大状況と、PCR検査などの実施はどうなっていますか。
また、登校見合わせの選択をしている児童生徒の状況と学習面でのフォロー体制についてもご説明ください。
第2に、文科省のガイドラインは、新たに「周辺検査対象者」という分類を設け、学校などの判断で「陽性者が一人でも出れば、同じクラス、部活の全員をPCR検査の対象にできる」としています。中央区でも、PCR検査を拡充するよう求めます。いかがですか。
また、認可保育園や学童保育、放課後等デイサービスなどで定期的な検査実施や、陽性者が1人出たら全体を検査する取り組みが必要だと考えます。いかがですか。
第3に、学校の感染状況に応じ、登校見合わせの選択だけでなく、分散登校・オンライン授業などを柔軟に組み合わせて対応することが必要になってくると考えます。一人一台タブレットにより、オンライン授業も可能になっているということですが、その準備も現場任せ、先生だのみでなく、教育委員会としてバックアップ体制をとるよう求めます。ご答弁ください。
第4に、分散登校や、保育園で陽性者が出て臨時休園となった場合、保護者が出勤できなくなって減収となったり、失職したり、医療従事者が出勤できなくなるなどの影響がでています。必要な子どもが朝から学校で学べるような対応、保育園休園中の代わりの保育体制を充実させるよう求めます。区長、教育長それぞれご答弁ください。
次は、地球規模での気候危機打開についてです。
現在気候危機とよぶべき非常事態が起こっており、すでに世界各地で、異常な豪雨、台風、猛暑、森林火災、干ばつ、海面上昇などが大問題になっています。新型コロナウイルス、エボラ出血熱、エイズなどの新しい感染症が次々と出現し、人類社会の大きな脅威となっていますが、この背景にも、森林破壊をはじめとした環境破壊、地球温暖化があります。
IPPC(国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change))は、今年8月、新たな報告書(「1.5度特別報告書」)を発表し、「人間の影響が温暖化させてきたことにはもはや疑う余地はない」としました。そして、2030年までに大気中への温室効果ガス(その大半はCO2)の排出を2010年比で45%削減し、2050年までに実質ゼロを達成できないと、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比して1.5度までに抑え込むことができないことを明らかにしています。
すでに世界の平均気温は1.1~1.2度上昇しており、破局的な気候変動を回避するために取り組める時間は長くありません。10年足らずの間に、全世界のCO2排出量を半分近くまで削減できるかどうか、ここに人類の未来がかかっています。
日本共産党は、9月1日、世界の科学的知見の到達点、日本の環境団体や専門家の研究と提言を踏まえて、「気候危機打開のための日本共産党の2030戦略」を発表しました。
その特徴は1、削減目標は、2030年度までに、2010年度比で50%~60%削減するとしています。省エネでエネルギー消費を40%削減し、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば、達成可能だということを示しています。
2、具体的プランとして、電力、産業、運輸、都市、住宅など、社会のあらゆる分野の大改革を具体的に提案しています。脱炭素・省エネ・再エネの先にあるのは、経済が停滞・衰退した「さみしい社会」ではありません。ある研究グループの試算では、大規模な省エネ・再エネによって、2030年までに、年間254万人の新たな雇用が増え、GDP(国内総生産)を累積205兆円増やすことができるという展望が明らかにされています。
3、気候危機の打開は、貧困と格差をなくし暮らしをよくすることと一体のものとして取り組んでいくという提言です。
中央区は、今年3月、「ゼロカーボンシティ中央区宣言」を第一回区議会定例会において決議し、2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すことを宣言しました。
宣言では「わたしたちは日々のくらしや命さえもおびやかされる危機に/直面しているのです/残された時間は多くありません/今こそ行動をおこすときです」と謳っています。
今後「中央区環境行動計画2018」の見直しを2023年(令和5年)3月予定で行い、ゼロカーボンシティ達成に向けての新たな施策の推進を図るとしています。
そこで質問します。
第1に、「中央区環境行動計画2018」では、CO2排出量を2030年度まで に2013年度比で21%削減としていますが、目標の引き上げが必要です。
政府が、4月に発表した2030年度の削減目標は「2013年度比で46%削減」ですが、これは2010年比にすると42%減であり、国連が示した「45%減」という全世界平均よりも低い、恥ずかしいものです。
「中央区環境行動計画2018」の見直しの際、2030年度までに50%~60%削減する目標に引き上げることが必要だと考えます。いかがですか。
第2に、目標にふさわしい具体的な計画をたて、推進していく必要があります。
区内事業所と省エネ・再エネに向けた協定をすすめることや、断熱・省エネルギー住宅へのリフォーム、太陽光発電用パネルの設置などへの助成を大幅に拡充し、省エネの取り組みをそれぞれの目標をたてて強力に進めていくよう求めます。いかがですか。
第3に、中央区が脱炭素化を進めるうえで重要となるのはまちづくりの分野です。
区内各所で進められている再開発について区長は、「床の集約により都市のコンパクト化が図られ、最新の省エネ、再エネの活用などで都市全体の温室効果ガス排出量の削減につながる」としています。しかし、「床の集約」どころか、延べ床面積が何倍にも増え、「都市のコンパクト化」に逆行する「都市の巨大化」が進んでいます。
CO2排出量を何倍にも増やす巨大開発は止め、公共建築や大規模な市街地再開発事業などで、建物の規模を抑え、少なくともCO2排出量を再開発前より削減する計画にするべきです。また、太陽光パネルで消費エネルギーがまかなえる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)」、「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)」にしていくなど、脱炭素化を強力にすすめるまちづくりに転換することを求めます。いかがですか。
第4に、ゴミの焼却熱、河川水の外気温との差による未利用熱等を熱エネルギー源として利用することを、目標をもって進めるべきです。いかがですか。
それぞれお答えください。
次に、晴海地区の新設学校・公共施設用都有地購入について質問します。
本定例会に提出されている9月補正予算案には、晴海の選手村の後利用で必要となる新設小中学校の建設用地、晴海特別出張所などの施設整備用地として、都有地を購入する予算、177億円が計上されています。
この都有地の路線価は1平米約100万円で、中央区は東京都から、公共施設の整備のための用地として「公共減額(路線価の5~6割)」して購入するとしています。
東京都は、選手村のマンション、晴海フラッグの建設用地を、路線価の10分の1となる1㎡約10万円という格安の土地価格で譲渡契約しています。
同じ区画の都有地で、選手村晴海フラッグ用地は、全体で広さ13haの土地が約130億円、今回の中央区の購入予定用地は、2か所合わせて3haの土地が177億円です。広さが4分の1なのに、総額は1.4倍となり、平米単価で5倍も高くなっています。
選手村晴海フラッグの開発はオリンピックという「選手村要因」があるからと、民間企業には格安で譲渡し、マンション開発で人口が増えて必要になる学校や公共施設などの用地は、その5倍の価格というは、納得がいきません。
そこで質問します。
第1に、晴海4丁目、5丁目の土地購入にいたる経緯と購入価格の決定方法についてご説明ください。
第2に、晴海地区に学校や公共施設の整備が必要になったのは、東京都が東京五輪の選手村として、晴海に巨大なマンション団地を作る計画を、1社のみ応募した特定建築者に任せ、五輪終了後、晴海フラッグという1万2千人が住む新しいまちをつくることにしたからです。
今回の晴海地区での公共施設用地について、東京都は中央区に対し、都有地を無償で提供してしかるべきだと考えますが、いかがですか。
第3に、今後晴海フラッグでは、選手村としては必要なかった超高層マンション2棟約1400戸を新たに建設する予定ですが、人口が増えすぎて施設や交通に大きな負荷となり、CO2排出量も増やしてしまう建設計画を見直すよう求める考えはありませんか。
第4に、選手村として利用した板状棟約3700戸について、他のマンション建設時と同様、人口増に伴う公共施設整備に必要な費用にあてるため、1戸100万円の開発協力金を求めるよう、再度要請するものです。いかがですか。
最後にジェンダー平等について質問します。
世界経済フォーラムが今年3月31日に発表した、男女の平等度を示す「ジェンダーギャップ指数2021」で、日本は156カ国中120位でした。日本はとくに、経済と政治参加の分野で、117位、147位と世界の最低クラスです。
日本では、働く女性の56%がパートやアルバイト、派遣などの非正規雇用です。「育児・家事は女性がやり、男性は長時間労働で家族を養う」という性別役割分担のしくみと意識が長年はびこってきた結果、男女の賃金格差は改善されず、女性は男性の55%と先進国では最悪の水準となっています。
女性が多い保育や福祉、住民サービスに密着したケア労働は、他の職種の平均賃金より月10万円ほど低く、コロナ禍で何の休業手当も支給されていない「実質的失業者」は、女性が103万人と、男性の2倍以上にのぼっています。
コロナ危機のもとで、女性にさまざまな面で犠牲を強いる「ジェンダー不平等・日本」の姿が浮き彫りになっています。男女の賃金格差を是正し、「ケアに手厚い社会」、「雇用は正規が当たり前の社会」へと切り替え、誰もが人間らしく働き生活することのできる賃金と労働時間短縮の実現を進めることが、ジェンダーギャップを解消する上で待ったなしです。
そこで質問します。
第1に、「中央区男女共同参画行動計画2018」の取り組みで「職場における男女間格差の是正や働き方の仕組みの見直しなど」にむけて「情報の提供」を行なうとしていますが、情報提供にとどまらず、賃金格差の是正に向けた取り組みを強力に進めることが必要だと考えます。ご答弁ください。
第2に、「政策・方針決定過程における女性の参画促進」の現状は、区議会では女性議員が4割となっていますが、審議会などにおける女性割合は3割弱、職員の係長級は2021年度は42%、管理職では17%ということです。
幹部職員への女性の登用は少しずつ増えてきているということですが、さらに積極的にすすめることや、審議会等の委員も男女同数をめざすなど、女性の政策・意思決定の場への参加を拡大することを、これまでの延長線でなく、強力にすすめるよう要望します。いかがですか。
第3に、外出自粛要請のもとでDVや虐待の被害が深刻になっており、緊急の対策が必要です。訪れやすい場所に臨時の相談窓口を設置する、SNSによる相談を充実させるなど、アクセスが容易で、加害者に知られることなく相談できる仕組みを整え周知するよう求めます。いかがですか。
それぞれお答えください。
以上で第1回目の質問を終わります。ご答弁をお願いします。