2021年区議会第二回定例会 一般質問

2021年6月17日

日本共産党中央区議会議員  奥村暁子

【質問項目】

  1. 東京五輪・パラリンピック開催について
  2. 東京五輪の「学校連携観戦」について
  3. PCR検査の拡充について
  4. コロナ禍での生活支援策について
  5. 消費税のインボイス制度について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.東京五輪・パラリンピック開催について

 初めに、東京五輪・パラリンピック開催について質問します。
 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が「今の状況でやるというのは普通はない」と国会で答弁するなど、多くの専門家が東京五輪・パラリンピック開催による感染リスクの増大を警告するなか、菅義偉政権はこうした警告を無視し、感染症専門家にリスク評価を諮問することもなく開催に突き進んでいます。
 6月11日、東京五輪・パラリンピック組織委員会は、観客や大会関係者など来訪者が1日最大約34万人となることを公表し、大会を開催した場合には都内で8月末に新型コロナウイルスの新規感染者数が1000人程度となるという試算も明らかにしました。大会では各地から来訪者が集まるため、感染が全国に広がる危険性もあります。
 菅義偉首相は、選手らの感染対策を徹底するから安全は確保できると主張して開催を正当化していますが、入国時の検疫で陽性と判定されなかった人がその後発症した例があり、「水際対策」には漏れがあることが分かっています。選手、大会関係者、メディアなど五輪関係者に対し入国後14日間の行動制限が取りはらわれることも大問題です。また、日本人についても、選手以外の五輪関係者、メディア関係者や大会業務にかかわる人の検査に穴が開いていることも明らかになっています。
 選手やコーチらに向けた「プレイブック」の最新版が6月15日に公表されましたが、このプレイブックのっとり選手村内で感染対策がとられたとしても、競技場会場や野外で行われるマラソン、自転車競技などもあり、大勢の観客を集めるライブサイトやパブリックビューイングが各地に設けられます。国内で人流が増大すれば、感染拡大や医療提供体制に影響を及ぼすことは避けられません。
 とりわけ、中央区は選手村があるために大会関係者やメディア関係者、観光客、ボランティアなどの往来の影響も計り知れません。
 デルタ株をはじめ変異株が世界中から持ち込まれ、感染爆発が起きる危険を回避し、区民の命を守るためにも、東京五輪・パラリンピックを中止するしかありません。
 そこでお聞きします。
 第一に、新型コロナの分科会は政府が専門家の知見をコロナ対策に生かすために設けた会議でありながら、その分科会に対し五輪のリスクについて見解を求めない政府の矛盾した姿勢をどう思いますか。国はきちんとリスクを示すべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、「安全、安心な大会」は本当に可能だと思いますか。大会期間前、期間中、期間後、中央区として区民の命を守るためにどのような対策がとられるのでしょうか。
 第三に、今、楽天グループの三木谷浩史会長やソフトバンクグループの孫正義会長など企業経営者や商工会議所の会長など財界人からも開催に反対する声が上がっています。また、野村総研は、開催をきっかけに感染が再拡大し緊急事態宣言が発令された場合の経済損失の方が、開催中止の損失よりも大きくなるという試算を発表しました。大小様々な企業を抱える中央区でも大会開催によるリスクは大きなものになると思いますが、いかがですか。
 第四に、選手村内で新型コロナの感染者が出た場合には組織委員会か対応することになってはいるものの、国に届ける文書処理などの事務作業や区内ホテルに滞在するメディア関係者や観光客、ボランティアなどが感染した場合には地元自治体として中央区保健所が対応することになっています。また、選手村内で新型コロナ以外の髄膜炎菌やノロウイルスなどの感染症が発生すれば中央区保健所の対応となります。保健所の業務量負担は大きいと思いますが、いかがですか。
 第五に、昨年11月の区議会第四回定例会の一般質問の答弁では、保健所職員の残業時間時間について、最高で月198時間と過労死ライン80時間を大幅に超えており、職員平均では月68時間が最高というものでした。その後の残業時間はどのようになっていますか。
 今でも新型コロナ対策、ワクチン接種で大変な保健所に五輪対応でさらなる負荷を課すことになります。問題はないとお考えですか。
 第六に、五輪開催に医師や看護士、救急車などが動員され、医療がさらに逼迫すれば、区民も直接、影響を受けると思いますが、いかがですか。
 第七に、人流をとめ、密を防ぐ観点から、浜町公園で行われる聖火リレーにかかわるセレブレーションイベントや、区内の様々なスポットをめぐるガイドツアーなどを行う区内回遊促進事業などを中止するよう求めますが、いかがですか。他にも区内で行われるパブリックビューイングなどはどれ位あるのでしょうか。こうしたものも中止するよう働きかけることを求めますが、いかがですか。
 第八に、区長は所信表明で東京五輪・パラリンピック大会について「区民生活に多大な不便が生じないよう、都、組織委員会と連携を図っていく」と述べられました。不便どころか、今、区民の命が危険にさらされる状況となっています。保健所や医療機関の負担軽減と区民の命を守る立場から、組織委員会、東京都に対し、中止するよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

2.東京五輪の「学校連携観戦」について

 次に、東京五輪の「学校連携観戦」について質問します。
 今、東京五輪・パラリンピックに関わり、子どもたちに割り当てられるチケットで観戦に子どもを動員する「学校連携観戦」の計画が問題になっています。
 新型コロナウイルスの感染への心配を払拭できないことから計画中止を求めるオンライン署名も始まっており、さいたま市がすべての辞退を決め、越谷市や川口市、川越市など28の自治体が続くなど、キャンセルする動きが埼玉県内で相次いでいます。平塚市や横浜市など神奈川県内でも同様の状況が広がっています。
 大会組織委員会が主導するこの「学校連携観戦」は、全国で最大128万人を動員する計画で、東京都だけで90万人が対象となっています。中央区でも小学生約8100人、中学生約1600人、幼稚園年長児童約560人がパラリンピック競技を観戦する予定です。
 中央区では移動についてはバスを貸し切るとのことですが、子どもへの感染力が強い変異株が広がる中、ワクチンを接種できない子どもたちを会場に集中させることは感染リスクを伴います。昼をまたぐ長時間観戦もあり、熱中症も心配されます。
 コロナ禍で、運動会や泊りがけのセカンドスクール、就学旅行など行事は軒並み中止となってきました。東京五輪・パラリンピック観戦であれば子どもたちを集中させてよい、ということに道理はありません。
 そこでお聞きします。
 第一に、「学校連携観戦」により、子どもたちの間でクラスターが起きる危険をどのように捉えていますか。子どもたちはワクチン接種もしておらず、PCRなどの検査も受けていないなかで、完全な感染対策は不可能だと思いますが、いかがですか。
 第二に、さいたま市などのように、自治体が声をあげれば「学校連携観戦」を辞退することは可能です。中央区でも中止することを求めますが、いかがですか。また、強行された場合でも欠席扱いとはしないよう求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

3.PCRなど検査の拡充について

 次に、PCRなど検査の拡充について質問します。
 新型コロナウイルスを封じ込めるためには、速やかなワクチン接種をすすめることと併せ、PCRなど検査の拡充が不可欠です。
 昨年の早い時期から無症状者へのPCR検査など、積極的な新型コロナウイルス対策を進めている墨田区は、保健所でも独自にPCR検査ができる体制をつくっています。
 多くの自治体が保健所の機能縮小で検査室を廃止する中、墨田区は検査室を残し、昨年6月には100件の検査結果を70分以内に出せる装置を導入しました。これにより、仮に保育園でクラスターが発生したとしても、午前中に検査して夕方までに保護者に伝えることが可能となっています。
 また、昨年6月には民間の検査会社を区内に誘致し、高齢者施設などで働く約5000人を対象に定期的にPCR検査を実施する体制がとられています。東京都の変異株検出検査がわずかにとどまっている中で、区独自に変異株の検出も行われています。
 無症状感染者を把握するモニタリング検査についても、国と協力して錦糸町駅前に検査スポットを設け、不定期ですが検査キットを配布し誰でも検査を受けることができます。
 ワクチンが希望する全ての人に行き届き、集団免疫ができて感染が収束していくまでにはまだ時間がかかります。また、ワクチン効果が十分ではない数々の変異株の拡大や、ワクチンを接種しても感染するケースがあること、子どもなどワクチンを接種できない年齢やワクチンを接種したくない、できないといった人がいる中では、PCR検査も同時並行ですすめていくことが必要です。
 そこでお聞きします。
 第一に、PCR検査の検査が短時間で分かることには大きなメリットがあると思いますが、いかがですか。全自動で検査を行える装置の普及がすすんでいますが、区でも購入し活用することを求めますが、いかがですか。また、変異株検出検査をすすめるべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、墨田区のように、国と協力して、誰でも検査を受けられる検査スポットを設けることを求めますが、いかがですか。また、国が実施するコロナモニタリングのPCR検査ですが、保育園や繁華街、事務所、駅など検査対象を募集しています。保育所などに申し込みを働きかけるなどし、こうしたしくみを活用していくことが必要だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

4.コロナ禍での生活支援策について

 次に、コロナ禍での生活支援策について質問します。
 コロナ禍で生活に困窮する国民が急増する中、「最後の安全網」である生活保護の役割はますます重要となっています。
 世論と運動、国会論戦により、厚労省も利用の促進のため「生活保護の申請は国民の権利」とホームページで呼びかけるに至りました。
 また、申請者の親族に対し援助することが可能かどうか福祉事務所が問い合わせる「扶養照会」が申請の障害となっている問題についても、厚労省は「義務でない」ことを認め、実務運用を今年2月と4月に改定しました。国民が使いやすい生活保障の仕組みにさらに改定していくこと、ためらわずに申請できるよう促す取組みが必要です。
 生活保護申請以外にも、コロナ禍で給付される支援金などの情報を、必要な人に分かりやすく届けていくことが求められます。
 そこでお聞きします。
 第一に、コロナ禍で、生活保護申請者、また受給者の人数はどのように推移していますか。
 親族への扶養照会は義務ではないこと、扶養を請求しないのは申請者の自由だということは、職員の方に周知徹底されていますか。
 第二に、世田谷区では「生活保護のしおり」がHPに掲載されることになりました。中央区でも掲載するなどし、生活保護の利用を促すことを求めますが、いかがですか。
 第三に、社会福祉法は、都市部では生活保護世帯80に対してケースワーカー1人の配置を標準数として定めていますが、中央区ではケースワーカーの負担がこの標準より重くなっています。生活保護世帯に丁寧な対応をしていくためにもケースワーカーの拡充を求めますが、いかがですか。
 第四に、国や都の補助金で、住居確保給付金の支給期間の延長や、子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯以外)、生活困窮者自立支援金などコロナ禍で経済的な困難を抱える区民の方たちに対する支援策が実施されますが、こうした制度を幅広い区民に分かりやすく周知し、必要な方に必要な支援を届けていくことが必要だと思います。
 対象者が把握できる場合には、その方に対して直接連絡することができますが、把握できない方たちに広く周知するため、区HPや区のお知らせ以外に新たな周知方法を検討すべきだと思いますが、いかがですか。ポスターやビラなどを作成し、町会や共同住宅の掲示板などへの貼り出しを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

5.消費税のインボイス制度について

 次に、消費税のインボイス制度についてお聞きします。
 2019年10月に消費税が10%に増税され景気の低迷が続く中、新型コロナウイルスの感染拡大により中小事業者の売り上げはさらに落ち込み、深刻さは増しています。
 消費税は売り上げにかかった税額から仕入れにかかった税額を差し引いて納税する仕組みですが、2023年10月から導入される「インボイス制度」実施に向けて、今年10月からインボイス発行事業者の登録申請が始まります。
 インボイス(適格請求書)とは、税務署が発行する登録番号を記載した、取引ごとにやり取りする伝票のことで、8%と10%の税率ごとにまとめた金額を記載するものです。このインボイスと呼ばれる伝票を基に消費税の納税額を計算する仕組みが「インボイス制度」です。
 現行の「帳簿方式」では、課税売り上げが1000万円以下で消費税の納税が免税されている「免除業者」から課税業者が仕入れをしても「仕入れ税額控除」ができます。 
 しかし、2023年10月に納税額の計算方法が「適格請求書方式」に変更され、仕入れや経費を支払う相手先からインボイスがもらえないと、売り上げにかかる消費税から差し引くことができず、課税業者としては消費税の納税額が増えてしまうことになります。
 そもそも免除業者は税務署からインボイスに記載すべき登録番号をもらえないため、課税業者は免除業者からの仕入れをやめるなど、免除業者は取引から排除される心配があります。あるいは単価の切り下げを求められたり、課税業者になるよう要求され消費税の納税が必要になるなど、免除業者は廃業の危機に頻することになります。
 免除業者には個人事業主も含まれます。零細の飲食店や建設業の一人親方、個人タクシーの運転手、ウーバーイーツの配達員も対象で、幅広い事業者が影響を受けることになります。
 そこでお聞きします。
 第一に、インボイス制度の影響は甚大だと思いますが、いかがですか。また、年間売上高1000万円以下のこうした免除業者は区内にどれ位ありますか。
 第二に、大きな混乱が予想されますが、相談窓口の設置などの対策が必要だと思いますが、いかがですか。
 第三に、多くの区内業者が廃業などの影響を受けるインボイス制度を廃止するよう国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

ページトップへ▲