2021年3月2日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子
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日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。
はじめに2月26日に行われた区長の所信表明について質問します。
区長は、近年気象災害が頻発していることから、「もはや気候変動は、私たちの生存基盤を揺るがす気候危機というべき状況にある」と述べ、「脱炭素社会の実現を目指して」いくとして、「中央区の森」事業や街路樹、東京高速道路を活用した「緑のプロムナード化」などの緑化推進を図ると決意を述べられました。いずれも重要な事業だと思います。
しかし、「中央区の森」として2020年度までで50ヘクタールの森林保全活動を展開してきましたが、「中央区の森」で吸収できるCO2は年間約150tといわれています。
一方、区内では大規模な再開発が検討中も含め29地区で進められていますが、例えば建設工事が進んでいる八重洲駅前の北地区再開発ビルだけで、完成後CO2が1万1300トン発生する予測となっています。このCO2を「中央区の森」事業で吸収しようとしたら、3700ヘクタールもの森が必要となります。実に中央区の面積の3.7倍です。
「気候危機」と区長も認識されているのに、巨大開発で莫大なCO2、温室効果ガスをこれからも増やし続け、環境破壊を続けていいのかが問われています。いかがですか。ご答弁ください。
次に、新型コロナウイルス感染症対策について質問します。
新型コロナ感染症は、今もなお全世界で猛威を振るっており、東京都では緊急事態宣言が継続されています。
ようやくワクチン接種が始まり、新型コロナの収束への有力な手段としてワクチンへの期待がある一方、不安の声も少なくありません。
そこで質問します。
第1に、区民に対し、ワクチンの安全性・有効性、副反応などのリスクについて、徹底的な情報公開と丁寧な説明が必要です。また、ワクチン接種は、あくまでも個人の自由意思で行われるべきであり、接種の有無で差別することは絶対にあってはならないと思いますが、いかがですか。
第2に、ワクチン接種の実務を担うのは中央区であり、感染対策の基本的取り組みと、ワクチン接種という二つの大事業を担うことになります。そのための保健所の体制、医療体制の確保はどう進んでいますか。
第3に、ワクチン接種が始まっても、社会全体での効果が確認されるにはかなりの時間がかかりますが、新規感染者数が減少し、検査能力に余裕ができたいまこそ、PCR検査によって感染を抑え込むことが重要だと考えますがいかがですか。
第4に、高齢者施設の職員などに積極的にPCR検査を行う社会的検査の実施状況はどうなっていますか。検査は1回だけでなく、定期的に行っていくことが必要ですが、どう取り組んでいるのかお示しください。また、職員に陽性者が出た場合の職員体制の支援はどうとられていますか。
それぞれご答弁ください。
次に、後期高齢者医療制度について質問します。
政府は、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度について、2022年度から、原則1割だった窓口負担を2割にする制度改定を行おうとしています。すでに、単身で年収383万円以上、夫妻で520万円以上の高齢者は3割負担となっていますが、新たに、単身で年収200万円以上、夫妻で年収320万円以上の高齢者が2割負担となり、75歳以上の高齢者の20%に当たる人の窓口負担が2倍になってしまいます。
菅首相は「若い世代の負担上昇を抑える」ためとしていますが、現役世代の負担減少は、年720億円で一人当たりにすれば年約700円とわずかです。一方、最も減少するのは、公費負担分の980億円となっています。
今でも、高齢者の年収に占める窓口負担の割合は高く、85歳以上は30~40代の5倍という状況です。
政府はこれまでも国の財政負担を後退させてきましたが、その分高齢者や国民の医療費負担は年々重くなってきています。
そこで質問します。
第1に、コロナ禍のもとで、高齢者が受診を控えたり、経済的に厳しくなっている状況が広がっています。区内での実態をどう把握されていますか。
第2に、2割負担を導入すれば、必要な医療を受けられない人が増え、重症化してから医療機関にかかる人を増やしかねません。原則1割だった窓口負担を2割に引き上げることはやめるべきと考えますが、いかがですか。
第3に、国に対し、減らしてきた国庫負担を元に戻し、さらに増額して、医療制度をしっかり支えるよう、これまで以上に強く求めていただきたいと思います。
それぞれ、ご答弁ください。
次に、行政のデジタル化について質問します。
第1に、区長は所信表明で「情報化基本方針」で「区民にとって便利でやさしい区役所」の実現を掲げましたが、デジタル化の大前提は、デジタル・デバイト(デジタル格差)の是正です。デジタル技術を使える人と、使えない人の間に格差があってはなりません。区長は「窓口での対応や訪問など対面でのかかわりを大切にしていく」と述べていますが、今後身近な窓口の充実にどう取り組んでいくのか、お示しください。
第2に、政府が最重要課題と位置づけているデジタル化の推進は、マイナンバーカードなどを利用した個人情報の活用を経済成長につなげるためのものです。
これまでも、マイナンバーカードを普及させるために、キャッシュレス決済で使えるマイナポイントや健康保険証としての利用開始などを行ってきましたが、カードの普及は進んでいません。今後は、運転免許証など各種免許・国家資格とマイナカードとの一体化や、健康診断、学習データの利用など「あらゆる分野」でマイナカードとサービスの連携を進めてカードを普及させ、情報を一元化しようとしています。
中央区では、マイナカードの発行状況はどうなっていますか。今後マイナカードと他のサービスとの連携についてどう考えていますか。
第3に、政府は、蓄積された個人データを、国や自治体だけでなく民間企業が活用できるようにしていくことを「成長戦略」としています。個人データをビックデータとして「もうけの種」として活用できるよう、個人情報保護の規制緩和もセットで行われようとしています。
一昨年リクナビが就活生の閲覧履歴などから内定辞退率を勝手に算出して採用企業に販売していた問題のように、ビッグデータやAIを利用して、企業が個人を評価、差別、排除する仕組みがつくられかねません。
こうしたマイナカードの個人情報が、本人に不利益な使い方をされる危険について、どうお考えですか。
第4は、情報漏えいを100%防ぐ完璧なシステム構築は不可能で、個人情報が一度漏洩したら取り返しがつきません。膨大な個人情報がマイナンバーでひもづけられ、個人データが集積されることで、利用価値が高まれば、サイバー攻撃されやすくなります。
情報漏えいの危険性とセキュリティの確保についてどうお考えですか。また、個人情報保護法を見直し、個人情報の漏洩事実を消費者へ通知する義務化や、十分な被害救済の仕組みの整備、情報の自己決定権などを保障することが必要だと考えますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
次に教育問題について質問します。
まず、35人学級についてです。
長年の運動と、新型コロナ禍でかつてなく広がった少人数学級を求める声に押され、ようやく35人学級への学級編成が、2025年までに、5年間かけて実施されることになりました。また、今後中学校についても少人数学級の実施を検討することになっています。
小学校1年生はすでに35人学級(2011年法改定)なので、2021年度は小学2生が対象となりますが、東京都内の小中学校は、教員の加配措置で小2と中学1年生が実質35人学級となっています。
そこで質問します。
第1に、一人ひとりに行き届いた教育を進めていくために、全学年への実施と、中学、高校への拡大を早期に進めていく必要があると思いますがいかがですか。ご答弁ください。
第2に、中央区では、人口増、新生児の増によって、小学校の教室不足が深刻になってきていますが、必要な教室数確保の見通しについてお答えください。
所信表明では「校内スペースの有効活用はもとより、近隣教育施設の積極的な活用」と述べられましたが、その内容を具体的にお示しください。
次に、ICT教育について質問します。
昨年、コロナ禍で一斉休校となった際、ICTが教員・子ども間のコミュニケーションをとる有効な手段となり、双方向の授業も可能となることから、タブレットなどの活用によるICT教育が注目されました。
中央区でも、新年度から、児童、生徒へ一人一台のタブレット端末が整備され、授業などでの活用がさらに進められることになりますが、同時に、タブレットなどのICT自体は「道具」であり、どう活用して豊かな学びを進めていくかが問われています。
そこで質問します。
第1に、GIGAスクール構想による「個別最適な学習」の推進などがうたわれていますが、民間産業が作ったデジタル教材について、関係者や研究者らによってメリット・デメリットをはっきりさせながら、授業で使うかどうかは教員にゆだね、強制しないことが大切だと考えますが、いかがですか。
第2に、家庭学習での活用や、休校時にオンライン授業で活用する際、WI-Fi環境のない家庭へのモバイルルーターの無償貸与が必要になりますが、区の対応をお示しください。
第3に、ネットやスマホの子どもへの健康被害について、どうお考えですか。対応策についてもご答弁ください。
教育問題の3点目に、不登校の問題について質問します。
中央区での不登校による長期欠席者数は、2019年度、小学校で25人、中学校で64人と報告されています。中学校では不登校の生徒が2クラスに3人いることになります。
全国では、子どもの数が減っているのに不登校が増え続け、2019年度で18万人を超え、過去最多を更新しています。これは、学校が子どもにとっていかに息苦しい場となっているかを示しているのではないでしょうか。
ある保護者の方は、「学校では服はもちろん靴の色まで決められ、筆箱も鉛筆もキャラクタがついていたらダメと規則だらけで、子どもも息が詰まるので行きたくないと言っている」と話していました。「昨年、分散登校になった時には学校に行けた」「20人くらいの少人数学級なら、子どもも安心して学校に行けると思う」という声もあります。
不登校は、一人ひとり、その理由や状況が違いますが、不登校を本人の性格や家庭の責任とするのではなく、丁寧なかかわりが必要だと思います。
そこで質問します。
第1に、今年度の不登校の児童、生徒数、状況はどうなっていますか。また「学校復帰」を前提として追い詰めるような対応が一番子どもたちを苦しめることになると思いますが、学校、教育委員会として、どう対応されているのか、お示しください。
第2に、子どもと親とが安心して相談できる窓口や、子どもの居場所としての公的な施設を拡充することも必要だと考えます。現在教育センターに適応教室「わくわく21」が開設されていますが、そこに行けない児童、生徒も多く、一人ひとりの状況にあった、居場所、学びの場の確保が求められます。ご答弁ください。また、タブレットを活用したオンラインでの学習援助なども有効ではないでしょうか。ご見解をお示しください。
第3に、不登校の児童、生徒の給食の扱いについてです。長期に休む時は申請して止めることで給食費の負担はないということですが、学校に行けるか欠席するか5日前に申請することができない場合には、給食を食べていないのに給食費を払わなくてはならないということになります。「学校に行ったとき給食がないのはかわいそうだから」と欠席した場合でも給食費の納入を続けている保護者の負担を、なんとか軽減する対応にしてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
それぞれお答えください。
次に、東京五輪の開催について質問します。
日本共産党は、石原都政時代の2016年五輪の東京招致、その後の20年の五輪招致に対して、五輪を利用して大規模開発を進めるのは問題だとして、東京招致に反対をしてきました。しかし、2013年9月にIOC総会で2020年の五輪の開催地が東京に決まった際には、「IOC総会の決定を尊重し、スポーツを通じて国際平和と友好を促進するというオリンピック精神の実現に努める」という見地から賛成し、国民・都民の生活や環境と調和のとれた簡素で無理のない取り組みとすることを強く求めてきました。
そして現在、コロナ感染拡大が世界中で続いているもとで、今年夏の東京五輪は中止し、コロナ収束にあらゆる力を集中するよう、政府に求めています。
その理由は、①一部の国でワクチン接種が始まったものの、今年中の世界全体での集団免疫の達成は「ありえない」といわれており、ワクチンを頼りに開催を展望することはできず、「コロナに打ち勝つ大会」にならないこと、②各国の感染状況の違いによる練習環境などの格差、ワクチン接種での先進国と途上国の格差が広がっているもとで、『アスリート・ファースト』の立場から「フェアな大会」として開催できる条件はないこと、③大会期間中、1万人の医療従事者が必要だとされるなか、コロナ対策、ワクチン対策も加わっている医療現場から、多数の医療従事者を五輪に振り向けるのは現実的でないこと―が主な理由です。
島根県知事が、現状では聖火リレーに参加するのは難しいと述べているように、コロナの感染状況、東京都の対策では、安心して開催できる保証もなく、「信頼感」もありません。
そこで質問します。
第1に、今述べた理由から、五輪開催は困難と言わざるを得ないと思いますが、いかがお考えでしょうか。
第2に、区長は、所信表明で「コロナに打ち勝つ大会開催に向けて、区民生活に多大な不便が生じないよう、都、組織委員会と連携を図っていく」と述べられました。一方、新年度予算には東京五輪の開催に伴うおもてなしなどの予算が未計上となっています。その理由をお示しください。
第3に、選手村を抱える中央区として、「『五輪開催ありき』ではなく、ゼロベースから開催の是非を再検討し、東京都、組織委員会、IOC(国際オリンピック委員会)などとの協議を開始すべきだ」と政府に申し入れることが緊急に求められると考えます。いかがですか。
それぞれご答弁ください。
以上で第1回目の質問を終わります。ご答弁をお願いします。