令和2年度(2020年度)中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
新年度予算は、昨年4月に就任された山本泰人区長の最初の予算編成案です。
日本共産党区議団は、中央区の今後の方向を示す予算案について、国連が採択した持続可能な開発目標「SDGs」の目標に沿って、特にジェンダー平等の視点から、審議にあたりました。
今回は、新型コロナウイルス感染症が拡大し、命と暮らしを守るための緊急の対策が求められる状況の中での予算審議となりました。
日本共産党中央区議会議員団は、予算案について質疑し、総合的に検討した結果、議案第1号 令和2年度中央区一般会計予算、議案第2号 令和2年度中央区国民健康保険事業会計予算、議案第3号 令和2年度中央区介護保険事業会計予算、議案第4号 令和2年度中央区後期高齢者医療会計予算に反対します。
以下その理由を述べます。
昨年10月の消費税増税が国民生活を直撃したところに、今回の新型コロナの影響で、地域経済も深刻な状況になってきています。
また、東京2020大会が延期となり、選手村のある中央区にとって、様々な影響が出てくることが予想されます。
中央区は、新型コロナウイルス感染症対策の緊急の融資制度の実施や、新年度の共通買物券の増額発行などを打ち出したことを評価するものですが、国や都などの支援策と連携し、経済政策、フリーランスへの支援策や、医療機関への医療体制の充実をはかる支援など、区民のいのちと健康、地域経済を守る緊急対策に、財政も投入して全力をあげることを要望します。
2020年度予算は、当初予算として史上最高1,183億円となっています。その増額の主な要因は市街地再開発による104億円増で、日本橋首都高地下化に伴う周辺再開発の第1号日本橋1丁目中地区など7つの事業に196億円を計上し、一般会計予算の16%を占めています。
その他区内では、晴海の選手村地区など29件再開発事業が進められており、区内の建築物による述べ床面積は拡大の一途です。
区長は、「環境に配慮した緑豊かなまちづくり」を強調していますが、実際には、大規模開発によって、温室効果ガス、CO2は基準年1990年比13.3%の増加(2016年)となっています。中央区として、地球環境の破壊をくい止めるため、再開発優先のまちづくりを見直し、CO2削減に責任を持つことを求めます。
新年度、新たに「都市基盤整備基金」をつくって、首都高速道路の事業に区が拠出する「大きな財布」を用意したことは問題だと考えます。そこに、民間プロジェクトからも基金を拠出させ、首都高速道路の地下化や、築地川アメニティ構想、地下鉄新線を進める財政基盤をつくるとしています。
事業スキームは国・都・区と事業者が協議して決めるとしていますが、民間プロジェクト事業者にとっては、容積率緩和などのサービスをうけ、採算があい、利益が見込めることが前提となります。大企業に有利な開発を、これからも進めていく姿勢にたった予算案となっており、容認できません。
言うまでもなく、地方自治体の本旨は「福祉の増進」です。
福祉や介護、子育て分野はどうなっているでしょうか。
区独自に、介護保険利用料を3%に減免するサービスは、新規の認定を中止しているため、利用者は大幅に減っています。
新規事業である「認知症カフェ」は、専門的な相談もできる場として期待するものですが、予算額は83万7千円、主体はボランティアの実施団体です。
新年度、増員となる生活支援コーディネーターは、アウトリーチで、課題を掘り起こし解決につなげる重要な活動を担っていますが、増員は1名で、区内で3名しか配置されません。
また、介護施設などでは職員不足が課題となっています。
福祉を担う人材の確保と待遇の改善をはかるため、もっと予算も投入して充実させることが必要です。
子育て分野では、人口増、出生数の増加による保育園入所希望者の増加に、保育所の整備が追いついていません。待機児童解消のための量の確保とともに、質の確保もかかせません。
大規模開発には財政も投入して進める一方で、福祉の施策は、施設も足りない、人員の配置も十分進んでいないことを指摘せざるを得ません。
次に特別会計についてです。
国民健康保険は、新年度保険料は一人当たり約5000円引き上げられ、年間約19万円(188,388円)となります。今回、中央区が示した「国民健康保険財政の健全化に向けた取組み」は、これまで保険料を引き下げるために不十分ながらも投入してきた法定外繰入額を「赤字」と見なして、今後は毎年6,500万円減らし、2023年には繰入をゼロにするということを掲げました。繰入を増やして、高すぎる保険料を引き下げることを求めます。
介護保険は、原則1割だった利用料が、所得によって2割、3割の自己負担となっています。給付の削減と自己負担増をセットですすめるやり方は中止すべきです。
後期高齢者医療では、軽減特例の見直しで、所得の低い世帯ほど保険料の引き上げ幅が大きくなりました。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出し、高い保険料と安上がりの差別医療を押しつける制度の廃止を求めます。
以上、各会計予算案に対する反対理由を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。