2020年 区議会第四回定例会 一般質問

2020年11月24日

日本共産党中央区議会議員 奥村暁子

【質問項目】

  1. 核兵器禁止条約について
  2. 新型コロナウイルス対策について
  3. 猫との共生社会について
  4. 公共施設の整備について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.核兵器禁止条約について

 初めに、核兵器禁止条約についてお聞きします。
 今年10月24日、核兵器を違法化する核兵器禁止条約が、発効に必要な50カ国と地域の批准を達成しました。この歴史的快挙によって核兵器廃絶をめざす取り組みは、新たなステージに入ります。
 核兵器禁止条約は、開発、生産、実験、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇にいたるまで、核兵器に関わるあらゆる活動を禁止するもので、来年1月22日に発効されることになりました。しかし、唯一の戦争被爆国でありながら、日本政府は核兵器禁止条約に背を向け続けています。米国の核抑止にしがみつき、これ以上、「核なき世界」の実現を妨害することは許されません。
 米国の「核の傘」に入る国は、NATO(北大西洋条約機構)加盟国と日本、韓国、オーストラリアですが、NATO加盟国でありその本部があるベルギーでは、「核兵器禁止条約が核軍縮にどのような新しい弾みをつけられるのかを探求していく」と連邦政府が前向きな宣言をしました。ベルギー国内の3分の1にあたる自治体が政府に対して、禁止条約への署名を求めるキャンペーンを実施するなど、条約支持に大きく傾いています。
 今、日本国内でも、禁止条約への参加を求める意見書を採択した自治体は、500に迫ろうとしており、世論調査では7割の国民が、日本は禁止条約に参加すべきだと答えています。菅義偉(よしひで)政権は、世界と日本の多数の声にこたえて、速やかに条約の署名・批准をすべきです。
 そこでお聞きします。
 第一に、中央区は、1988年に平和都市宣言を行いましたが、これに「核兵器廃絶への決意」をくわえ、「非核平和都市宣言」にすべきと思いますが、いかがですか。
 第二に、多くの区民の願いでもある核廃絶実現のため、この機を逃さず国に対し、核兵器禁止条約を批准するよう求めることは大変重要だと思いますが、いかがですか。
 第三に、核兵器禁止条約の発効確定を受け、核兵器廃絶を訴え続けてきたヒバクシャ国際署名連絡会は「核兵器廃絶のため今日まで被爆者運動に死力を尽くした先達に伝えたい」「日本政府は批准し、核兵器廃絶の先頭に立ってほしい」と語り、今後も署名活動を続けていく、と喜びの記者会見を行いました。
 現在(9月18日)、署名数は1200万筆を超え、1291自治体と20の道府県の首長が署名をしており、二十三区では文京、豊島、江戸川、新宿、杉並、世田谷、中野の8区長が署名しています。
 区長は以前「自分は圧倒的な平和主義者だ」と述べられていました。区長がこの署名をすることは、区民に対して、また他の自治体や世界に向けても大きな平和のアピールになると思います。ぜひ署名をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

2.新型コロナウイルス対策について

 次に、新型コロナウイルス対策について質問します。
 国が「GoToトラベル」「GoToEat」とキャンペーンを拡大するもとで、今、新型コロナウイルス新規陽性者数は11月18日には全国で2000人を超え、19日には東京で500人を超えるなど増加し続けています。
 春の「第1波」、7~8月の「第2波」に続く「第3波」の感染拡大が起こっている現実を直視し、爆発的感染を抑止するための緊急の対応が求められます。
 医療界や専門家、全国知事会がそろって「GoToトラベル」事業の感染拡大の影響を指摘するなか、菅首相は21日、「GoToトラベル」の一時停止を決めました。しかし、科学的知見を無視し、自ら旗を振ってきた事業の中止判断を遅らせ、感染拡大を加速させてきた菅首相の責任は重大です。
 PCR検査も8月のピーク時(1週間平均2・6万件)から減ったまま横ばいで、いま日本の人口あたりのPCR検査数は世界153位です。これでは、感染の封じ込めなど到底できません。
 「コロナを恐れすぎだ」「風邪やインフルエンザのようなものだ」という議論がありますが、新型コロナは単なる風邪の親戚ではなく、全く科学的ではありません。呼吸器だけでなく、心臓や様々な臓器にも炎症を起こします。ウイルスの一部は血液の中にも入って血管内皮に感染するため、入院した人の8割に血栓症があるという論文や、肺に長く残ることもあり、神経系にも感染するという見解も示されています。若い人でも息切れや倦怠感などの後遺症が残り、さらに再感染のリスクがあるこの疾患は、全身性のウイルス感染症であり、いまだ未知の部分が多いのが実態です。
 経済を維持することはどの国にとっても最重要課題ですが、その前提条件として、この疾患を過小評価することなく感染をしっかり制御して、社会経済活動との両立をはかることが肝要です。
 そのためにもマスクや消毒、ソーシャルディスタンスの確保と同時に、検査数を増やし、追跡・保護による無症状感染者を含めた早期の対処が不可欠です。国や都の対応を待つことなく、区としても独自に対策を拡充することが求められます。
 そこでお聞きします。
 第一に、江戸川区は、11月1日から来年3月31日までに、区内の居宅系高齢者、障害者施設、幼稚園・保育園・小中学校の計1836施設に従事する2万1751人の職員に対し、唾液による検体検査を実施します。区内の業者から提供を受けた車両を改装し、医療機関に委託して、施設を巡回し、検体の回収や事前に希望のあった施設に対し健康相談も実施するとのことです。
 中央区では現在、佃の休日応急診療所が「中央区PCR検査センター」として運営されています。1日の検査定数は70件となっていますが、最近は検査人数、陽性者率ともに増加傾向にあります。
 今後の感染拡大に備え、江戸川区のように車両の巡回や、千代田や杉並区、練馬区などで実施されているバスやトレーラーハウスの活用などにより、PCR検査センターを増やしていくことを検討すべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、各自治体が行う行政検査以外のPCR検査に対し、東京都が7月と9月の補正予算で補助することを決めました。特別養護老人ホームや介護老人保健施設、短期入所施設(ショートステイ)、グループホームなどの利用者や職員が対象で、中央区でも実施されることになります。大きな前進と言えますが、高齢者や障害者の通所施設(デイサービス)、特別支援学級を除く学校、保育所、幼稚園、児童館、学童クラブなどは対象となっていません。こうした施設で働く職員の方たちに対し、江戸川区のように区として独自に検査をすることを求めますが、いかがですか。また、東京都に対しても、こうした施設を、今後、対象としていくよう強く要望していくことを求めますが、いかがですか。
 第三に、新型コロナウイルスの陽性者が相次ぐ豊洲市場では、8月15日以降、累計で114人(11月20日現在。東京新聞11/21)の感染が確認されており、業界団体が水産仲卸業者約4000人を対象とする自主的なPCR検査を始めたと東京都は発表しました。
 仲卸業者の方たちは、区内にある築地魚河岸と豊洲市場を行き来し、双方で働いている方が多くいることや築地場外市場も隣接しており、区民の方も多いことから、働く方たちや区民の命を守るため、区として関係者や地域の方たちへのPCR検査が必要だと思いますが、いかがですか。また、東京都や江東区、豊洲市場業界団体との情報共有の強化が必要だと思いますが、いかがですか。
 第四に、PCR検査に対し、1つの試験管に複数の検体を入れる「プール方式」について、厚労省は検査精度が不明として国費による行政検査を認めていません。しかし、東大先端科学技術研究センターによる実証研究報告で陽性率が100%一致したことが、11月17日、東京新聞等で報じられています。
 世田谷区長は「プール方式」を区の検査に導入できるよう国に承認を求めていますが、中央区も他自治体の首長とともに国に対し要請していただきたいと思いますが、いかがですか。
 第五に、今後の感染拡大への備えとして保健所の職員体制の拡充が不可欠だと思いますが、区の答弁によると、第1波と第2波の際は、東京都からの職員の派遣と区役所本庁舎からの職員の応援で対応したとのことでした。この間の保健所職員の超過勤務時間は、個人で最高何時間に、また平均では何時間に達しましたか。また、この間の東京都からの職員の派遣は何人で、今後は増員されていくのでしょうか。区として独自に職員を採用することも必要だと思いますが、いかがですか。
 第六に、「検査・保護・追跡」を一体に推進するためには、濃厚接触者に連絡をとり、PCR検査を促すだけでなく、濃厚接触者から情報を聞き出すトレーサーの確保が不可欠ですが、政府対策本部の資料によれば、保健所を応援する人材として確保されている数は、全国で600人に満たないのが現状です。
 東京都は100人の保健所職員をトレーサーとして増員したとのことですが、中央区への割当はどのようになっていますか。今後の拡大に備え、区としても独自にトレーサーを確保、養成することが必要だと思いますが、いかがですか。
 第七に、世田谷区では、保健所内に「保健相談課」を設置し、平常時は地域の防疫業務を行いながら、有事の際には機動的な役割を果たす感染症対策業務を担う部署としました。また、「地域保健課」を新設し、課長には医師を配置、有事の際には現在の感染症対策課と連携しながら第2の感染症対策課としての機能を持たせるとしています。平時から医療専門職同士の連携を強化するなどの感染症対策にも積極的に乗り出していますが、中央区では保健所体制の課題をどのように認識していますか。その課題にはどう対応していくおつもりですか。
 第八に、介護サービスを受けておらず、ケマネージャーやヘルパーの方などとの係わりがないひとり暮らし高齢者や高齢者だけの世帯の方たちへの感染防止対策と感染した場合の対応はどのようにとられるのでしょうか。コロナ禍での民生委員の方の係わりや見守りはどのようになっていますか。
 第九に、8月18日、中央区議会として、区長に対し、新型コロナに感染し自宅療養を余儀なくされる人に対し食品や生活必需品を配布することを求める要望書を提出しましたが、未だ実施に至っていません。練馬区は独自にこうしたセットに加え、血中酸素飽和度測定器を配布しています。中央区でも実施することを求めますが、いかがですか。
 第十に、区民の命を守るために医療機関を支え、医療崩壊を起こさせない対策が必要です。
 北区や品川区などではコロナ患者を受け入れている医療機関に対する補助や従事者への慰労金支給などを行っています。コロナの影響により減収した病院への支援として1病院500万円を支給している墨田区などの自治体もあります。町田市では、ふるさと納税を活用して、医師会に1000万円、歯科医師会に500万円など医療機関応援事業を行っています。区は、受診控えなどにより減収となっている区内の医療機関の実態についてどのように把握していますか。また、医療機関への財政的な支援の必要性をどのようにお考えですか。
 第十一に、千代田区は新型コロナとインフルエンザの同時流行による医療体制の逼迫を防止するため、インフルエンザ予防接種費用の全額助成を、現行の18歳までと65歳以上に加え、今年は妊婦や60歳以上65歳未満の区民、19歳以上64歳までの障害者手帳1級の所得者を対象に行っています。今年、中央区でも東京都の補助金活用により65歳以上に限って全額助成されますが、区として対象をさらに拡充することを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

3.猫との共生社会について

 次に、猫との共生社会について質問します。
 家庭で飼われている猫の数は、犬を追い抜き、全国で1000万頭に迫っており、中央区でもかけがえのない家族として猫と共生する家庭が広がっています。
 一方で、高齢の単身世帯などで飼えなくなった猫や、多くの猫を飼うもとで行きづまり多頭飼育崩壊となった猫を、「中央区動物との共生推進員」やボランティアの方たちが保護するケースも年々増加しています。
 2018年9月には、築地市場の閉場・解体にともない、「築地市場で捕獲された猫の臨時保護所」を建設するための補正予算が組まれ、約5600万円かけて晴海に2棟のプレハブが建てられました。
 30匹が収容可能だというこの保護所は、2019年4月に開設が予定されていましたが、実際には8月に延期され、開設されてからはボランティアの方たちが餌やりなどの世話のため通っていましたが、その後11月には閉鎖されてしまい、実質的には4カ月程度しか利用されず、現在に至っています。
 元々の計画では、保護所に収容した猫を譲渡していき、将来的には推進員やボランティアの方たちが独自に保護している猫や、マンション等で飼育が困難になった猫なども受け入れていきたいとのことでした。
 せっかくつくられた保護所をきちんと再開し活用することと併せ、猫との共生社会にむけて、行き場のなくなった猫たちを広く保護していくことを、中央区の姿勢としてしっかりと位置づけることが求められます。
 そこでお聞きします。
 第一に、区は、10月の決算特別委員会で、この保護所の活用について推進員やボランティアの方たちと話し合っていく旨の答弁がありましたが、話し合いはどのようにすすめられていますか。
 第二に、保護所には駐車場がないため、遠くから車で通う場合、最寄りの駐車場を利用する際の料金がボランティアの方の負担になっていることや、保護所内にトイレがなく隣接する晴海臨海公園内のものを利用せざるを得ないなど、ハード面の課題があるようです。
 また、地域猫を人馴れさせるためには少なくとも2年ほどかかると言われており、保護所の猫を譲渡可能な段階まで人馴れさせるには、常時、人間と触れ合える環境を整えることが必要です。ボランティアの方に頼るのではなく世話をできる職員を配置するなどの対応がソフト面として必要だと思います。
 区として保護所が活用されない要因をどのように捉え、どう改善して活用につなげていくお考えですか。
 第三に、保護所の設置に関わらず、これまで長年、多くの地域猫が推進員やボランティアの方たちに捕獲・保護されていますが、飼育のために独自にシェルターとして借りている部屋の家賃や餌代、砂代などの補助はなく、全てが自己負担となっています。中には数10匹単位で保護をしている方もおり、経済的な負担はもちろん、身体的・精神的な負担は計り知れず、ボランティアの方たちの高齢化も心配されます。こうした負担を区はどのように認識していますか。また、負担を軽減していくべきだと思いますが、どうお考えですか。
 第四に、2005年(平成17年)、動物愛護団体や獣医師の方たち、区の職員で構成される「中央区動物愛護懇談会」により、「人と動物が共生できる環境づくりに向けて~11の提言~」が策定され、「動物との共生推進員制度」が創設されました。この提言には、地域猫への支援や動物愛護センター(仮称)設置の検討、動物の愛護と管理に関する条例制定の検討などが盛り込まれていますが、この11の提言は区HPへの掲載などはおこなわれておらず、区民が確認できるものとはなっていません。
 この11の提言を幅広い区民の方に知っていただき、猫との共生社会への理解を広げるよう求めますがいかがですか。また、11の提言の実現に向けた取組みはどこまですすんでいますか。現状と今後の取組みについてお答えください。
 第五に、推進員やボランティアの方たちが現在、手間と時間とお金をかけておこなっている取り組みは、本来は区がやるべき仕事だと思いますが、いかがですか。区の責任において区が積極的に指揮をとり、猫との共生社会をつくるべきだと思いますが、いかがですか。千代田区に3人配置されている動物愛護係職員のような担当職員を、中央区でも配置することを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

4.公共施設の整備について

 次に、公共施設の整備について質問します。
 10月に行われた決算特別委員会でも質問しましたが、佃リバーシティー内、佃2丁目のUR住宅の1階部分に入居していた書店が今年2月初旬に廃業し、約236㎡のスペースが空いたままになっています。
 このスペースを保育所などに活用してはどうか、と提案をしたところ、福祉保健部長より「民間事業者が保育園としての活用を検討したが断念した」旨の答弁がありました。
 中央区は、市街地再開発事業によるタワーマンション建設等による人口急増に、保育所や学童クラブなどの施設整備が追いつかない状況が続いています。施設整備をすすめようにも、国有地や都有地、区有地などの公有地は、晴海の選手村や築地市場跡地以外にはほぼなく、民間の土地を探すのも非常に困難です。そうした現況を踏まえ、具体的な例としてこの佃リバーシティー書店跡地の活用を提案するものです。
 そこでお聞きします。
 第一に、今、中央区では学童クラブが足りずに、小学1年生でも待機児童となる状況が続いています。
 特に佃児童館は(今年9月1日現在で)定員100名に対し、待機者が41人もいます。書店跡地のスペースを佃児童館のサテライト施設として活用し、学童クラブの定員を増やすことを検討していただきたいと思いますが、いかがですか。また、佃児童館が入っている佃シニアセンターの機能を一部移転させ、シニアセンター内の学童クラブ面積を拡大し、定員増をはかるなど施設の組み換えや、その他にも地域で不足している施設としての活用も検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
 第二に、佃リバーシティーのこのスペースに限らず、区内にある民間物件について、庁舎内で横断的に情報を共有し、活用を検討する体制を整えるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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