令和元年度(2019年度)中央区各会計歳入歳出決算の認定についての態度表明

2020年10月14日 日本共産党中央区議会議員団  奥村暁子

 令和元年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 今、世界で猛威をふるう新型コロナ感染症によるくらしと経済への打撃は、日を追うごとに深刻さを増しています。4~6月期のGDPは年率28・1%減という戦後最悪の落ち込みになり、その後も、7月の家計消費が前年同月比7・6%減という大幅な減少となるなど、失われた需要と消費は戻っていません。
 本決算特別委員会で審議した2019年度決算は、「アベノミクス」のもとで労働者の実質賃金は低下を続け、2019年10月から10%に引き上げられた消費税増税も相まって、消費の落ち込みは深刻となっていくもとでの予算執行となった年度です。そこに新型コロナ危機が襲ったことで、家計、雇用、中小企業は、深刻な危機に直面しています。
 消費税増税と新型コロナのダブルパンチによる危機から命とくらしを守り、地域経済を立て直すため、区として積極的な対策を講じることが求められます。
 日本共産党区議団は、2019年3月の予算特別委員会の審議の際、生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や小学校新入学児童標準服補助、子ども医療費助成の18歳までの拡大などを計上した予算修正案を提案しました。その前年2018年9月には、811項目の「2019年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出しています。
 2019年度決算には、わが党が要求してきた認可保育所整備や体動センサーなどの安全対策、消費税増税による区民負担軽減のため、ハッピー買物券発行額が5億5000万円から6億6000万円に引きあげられるなど一定評価できる施策も実施されましたが、予算編成の経緯と本特別委員会での質疑を通じ、決算案はさまざまな問題があると判断しました。
 よって、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第65号 令和元年度中央区各会計歳入歳出決算の認定について」に反対します。
 以下、その理由を述べます。

 まず、一般会計決算についてです。
 第一に、指定管理者制度では、事業者の選定や評価結果の詳細が議会に明かされないことは問題です。委員会資料として全てが明らかにされている自治体もあります。「事業者の企業秘密にあたる」として情報が公開されないブラックボックスの状態では、事業者の妥当性について議会として十分に審議を尽くすことは困難です。改善を求めます。
 第二に、2019年度予算審議の際に求めた肺がんのCT検査導入の検討がすすんでいないことは問題です。部位別がんの死亡率で男性1位、女性2位の肺がんを早期に発見し、区民の命をまもるため、CT検査導入を求めます。
 第三に、約5600万円かけて晴海に建設された築地市場移転に伴う猫の臨時保護所が、現在、使用されていないことは問題です。ボランティアの方が日替わりで通うには不便な立地や使い勝手などを鑑み、また、猫を人馴れさせるためにも、世話をする職員を配置するなどし、使用を再開する手立てをとることが必要です。
 第四に、人口増に保育所整備が追いつかない状態が続いています。さらなる保育所整備をすすめ、待機児ゼロを実現すべきです。
 第五に、2019年度から新たに待機児童を対象とした居宅訪問型保育事業が始まりましたが、安全対策が不十分です。事業所内保育所や保育ママのもとで起きた痛ましい乳児の死亡事故を繰り返さないためには、保育者1人による居宅訪問型保育はやめ、何よりも保育所での受け入れ体制を拡充することが先決です。
 第六に、保育園待機児に加え、学童クラブの待機児問題も深刻です。区内8児童館のうち6児童館では、既に元々の定員以上に臨時措置として受け入れ人数を増やしており、児童が詰め込まれている状態が続いていますが、それでも小学1年生でさえ待機せざるを得ません。学童クラブ整備を早急にすすめるべきです。
 第七に、巨大なタワーマンション建設でまちの更新をはかる市街地再開発事業は行き詰まりを見せています。区の施設も取り込みながら、中低層での共同建替えなどをすすめ、環境にやさしい住み続けられるまちづくりへの転換が求められます。
 第八に、2019年の地区計画改定により、ホテル誘致をすすめましたが新型コロナと五輪大会の延期で苦境に立たされています。インバウンドと外需頼みの経済政策は見直すべきです。
 第九に、空室率が高いまちづくり支援用施設は、生活困窮世帯などにも貸し出すなどし、活用拡大を検討すべきです。
 第十に、区内3つの図書館に導入される予定の指定管理者制度ですが、そのもとで、長く区内図書館で勤務してきた司書資格を持つ図書館サービス専門員が雇い止めされるという事態が進行しています。図書館サービス専門員がその専門性を生かし働き続けられるよう、区が真摯な対応をとることを切に願います。
 第十一に、2019年度に策定された「中央区立学校における働き方改革推進プラン」により、教員の多忙化解消にむけた改善がされているか、検証ができない状況は問題です。休日勤務の解消や年次休暇取得に確実につなげる施策の強化が求められます。
 第十二に、学校内でのいじめや不登校、学校と保護者のトラブルなどの問題に弁護士の立場であたるスクールロイヤーの配置に消極的です。教員の負担軽減のため、23区中13区で配置されているスクールロイヤーの配置を求めます。

 次は、「国民健康保険事業会計決算」についてです。
 高すぎる国民健康保険料については、全国知事会からも公費を投入し保険料を引き下げる要望の声が上がっています。保険料は毎年引き上げられ、中央区では2019年度の一人あたり保険料は13万6669円となりました。滞納世帯は2019年度20.69%となっており、差押えが174件にのぼっていますが、差押えを強化しても根本的な解決にはなりません。国に対し国庫負担を増やすことを求め、区独自の繰入も行って保険料を引き下げることが必要です。

 次に、「介護保険事業会計決算」についてです。
 介護保険では、1割負担だった利用料の自己負担が、2018年度から所得に応じ3割負担となり、利用抑制につながっていることは問題です。
 必要な介護がお金の心配なく受けられるよう制度を改善すべきです。

 最後に、「後期高齢者医療会計決算」についてです。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出す制度は世界に類を見ません。75歳以上の人口増と医療費負担が保険料に直接跳ね返るしくみとなっているため、今後もさらに保険料が上がることは確実です。窓口での自己負担は、原則1割を2割に引き上げる計画がありますが、75歳以上の高齢者の9割が所得200万円未満と困窮する中、2割負担の押し付けは、受診抑制を広げ、国の進める介護予防、重症化予防などにも逆行します。
 高い保険料と窓口負担、安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。

 以上、各会計歳入歳出決算の認定に対する反対の理由を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。

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