2020年9月25日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子
【質問項目】
日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。
初めに新型コロナウイルス感染症のPCR検査の拡充について質問します。
東京都が公表した9月22日時点の中央区内の感染者数は463人、そのうち、既に退院等をされた方は399人と発表されています。
区民の命とくらしを守り、経済を回していくためにも、感染拡大防止を徹底していくことが求められます。新規感染者が減少しているといわれる時期にこそ、PCR検査を増やし、無症状感染者を把握して保護し、感染拡大を抑え込むための積極的な対応を行うことが必要です。
私たち区議団はこの立場から、7月30日に、PCR検査の抜本拡充、医療機関などを守る対策などを求める26項目の緊急申し入れを区長に提出しました。
8月18日には区議会として、PCR検査数の増加を図ることなど、5項目の緊急要望書を提出。1週間後の8月25日から、中央区PCR検査センターでの検査数が、1日30件から70件に拡大されたことを大いに評価するものです。
しかし、9月8日に発表された補正予算案には、PCR検査の拡充については、全く予算計上されていなかったことに驚きました。
その後、9月16日のコロナウイルス・防災等特別委員会で、9月末までとしているPCR検査センターの開設を来年3月まで延長すること、現在20医療機関で実施されている唾液を用いたPCR検査をさらに拡大していくため、中央区・日本橋両医師会に要望していくことが示されました。
そこで質問します。
第1に、中央区内の感染者の実態について、無症状か軽症か重症かなどの陽性者の状況、感染場所・感染ルートなどの把握など、実態はどうなっていますか。その分析の上にたって、どういう対策の強化が必要だとお考えですか。ご答弁ください。
第2に、感染状況を分析し、感染震源地、いわゆるエピセンターを明確にして、地域の住民、在勤者を広く対象にしたPCR検査をすることが必要だと考えますがいかがですか。
第3に、無症状でも強い感染力を持つ人が多くいるという実態を考慮し、症状が出ていなくても「行政検査」として自己負担なく検査を受けられるよう体制を強化することが必要だと考えますが、いかがですか。
第4に、PCR検査を、医療・介護従事者、障害者福祉関係の労働者、保育士や学校の教職員などを対象に、定期的に行うよう求めますが、いかがですか。
第5に、「特別養護老人ホームや障害者施設などを対象としたPCR検査の支援費用」が東京都の9月補正予算案で計上されましたが、対象になるのは区内ではマイホームはるみなどの6施設とのことです。区独自に、その他の施設でのPCR検査実施を求めますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
次に、介護などのケア労働への支援の強化について質問します。
党区議団が聞き取りした介護事業所へのアンケートでは「緊急事態宣言が出たときはやむをえず休業しましたが、利用者の要望で再開しました。感染の不安のなか、スタッフも休まざるをえない時もあり業務が大変です」「ふだんから人手不足で困っています」などの声が寄せられています。
ヘルパーなど介護事業所の職員の方々は、コロナ禍のもとで、これまで以上に注意をはらい、大変なストレスの中で奮闘されていると痛感します。
コロナ危機が明らかにしたのは、人間は一人では生きていけない、他者によるケアなしには尊厳ある生活は保障されないということでした。にもかかわらず、日本では、医療、介護、障害福祉、保育など、ケア労働――命を守る仕事が重視されず、粗末に扱われているということがあらためて浮き彫りになっていると思います。
9月16日、菅義偉首相は、就任会見で、「安倍政権が進めてきた取り組みをしっかり継承する」と強調し、「めざす社会像は『自助、共助、公助』だ」と語っています。コロナ禍のもとで苦境にあえぐ国民に対し、「自助」努力をせまり、ますます自己責任を押し付ける社会になってしまうことを大変危惧します。
そこで質問します。
第1に、政治が果たすべき役割は、福祉の増進であり、公助、つまり社会保障の充実ではないでしょうか。今回のコロナ禍を教訓として、ケアに厚い社会をめざす「公助」の充実をはかることが重要だと考えますが、いかがですか。
第2に、介護・障害福祉・保育などの福祉の現場で働く人の賃金は、労働者平均より月10万円も低く、低賃金による「人手不足」が深刻です。
こうした現状を打開していくために、行政の手厚い支援が必要だと考えますが、現状と今後の支援策をお示しください。
第3に、現在、2021年~23年度を計画期間とする、中央区高齢者保健福祉計画・第8期介護保険事業計画を策定中ですが、おとしより相談センターを軸として、高齢者の実態を踏まえたきめ細かなサービスの提供ができるよう、計画を充実させていくことを求めます。いかがですか。
第4に、厚生労働省は、「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象を、要介護5の人まで拡大する方向を打ち出しています。総合事業は報酬単価が低いため、介護事業所の撤退も起きており、利用者へのサービス低下に直結します。要介護5まで保険給付から外すことはやめるよう求めるべきと考えます。いかがですか。
それぞれお答えください。
次に、少人数学級の実現について質問します。
短い夏休みが終わり、コロナ禍が続く中、子どもたちは不安とストレスを抱えながら、学校生活をおくっています。
今年6月、3カ月ぶりに学校が再開された当初、クラスを半分にした分散登校で多くの教員が「子どもの表情がよく見えた」と実感したそうです。
そうした経験からも「子どもの学びを保障し、個性や発想を大事にするには少人数学級を推進しないといけない」と、いま全国で少人数学級を求める動きが広がっています。
7月はじめ、全国知事会・市長会・町村会会長が、3者連名で「新しい学びの環境整備に向けた緊急要望」を提出し、「少人数編成を可能とする教員の確保」を文部科学大臣に要請しました。
文部科学省の諮問機関がまとめた「中央教育審議会答申案の作成に向けた骨子案」でも、「『新しい生活様式』を踏まえた身体的距離の確保に向けて、少人数編成を可能にする施設・設備の整備を図る」方針が示され、実施にむけた動きが始まっています。
そこで質問します。
第1に、教育長は、少人数学級の必要性について、コロナ禍での経験を踏まえて、どうお考えでしょうか。
第2に、6月の議会での教育長答弁では「3密を回避するなどの手段を講じている」とのことでしたが、子どもたちが一日で最も長い時間を過ごす、授業で座る場所は、身体的距離がとれているのでしょうか。
第3に、中央区では既に学科に応じて「少人数指導」を行っていますが、それは、少人数の方がしっかり学習できるからであり、生活集団としても1クラス20人程度の方が丁寧なかかわりができ理想的ではないでしょうか。お答えください。
第4に、日本の教育への公的支出は、対GDP(国内総生産)比でOECD加盟国38ヶ国と比較して下から2番目という低さです。せめてOECDの平均並みに引き上げれば10万人の教員を増やして少人数学級を実現することは十分可能です。
少人数学級の実施に必要な教員の増員、教室の確保ができるよう、国が教育予算を抜本的に増やし、教育環境の改善をすすめる必要があると考えますが、いかがですか。
それぞれご答弁ください。
次に、晴海選手村の開発協力金について伺います。
まず、東京2020大会の延期の影響についてです。
今年大会が開催されていれば、選手村として組織委員会がハルミフラッグの事業者から借り上げる費用は42億円でしたが、1年延期になったことでさらに「借り上げ費用」がかかり、いくらになるのかも明らかになっていません。
東京五輪の莫大な費用負担が「負の遺産」として膨れ上がっています。
そこで質問します。大会の延期による中央区政への影響について、財政的な負担も含め、現状と見通しをお示しください。
次に、晴海5丁目西地区の選手村事業についてです。
晴海5丁目西地区の開発計画は、選手村事業といっても、大会期間中民間マンションを借りて「選手村」として利用するもので、実態としては大手不動産企業が1企業グループをつくり、分譲・賃貸マンションを建設してニュータウンをつくる計画といえます。
東京都は2015年1月に、事業協力者を募って選手村計画を策定しましたが、それを受託したのは、事業協力者だった企業が衣替えした「ハルミフラッグ」10社で構成する「特定建築者」です。16年12月に都有地の譲渡契約が締結されています。
選手村用地は東京都が約540億円かけて基盤整備をおこなっていますが、その土地約13ヘクタールを129億6千万円で譲渡しました。近隣の土地取引では1㎡100万円、総額で1300億円になる土地を、1㎡わずか10万円で譲り、総額約1200億円以上の値引きということになります。
そこで質問します。
都民の財産が安く売り払われ、本来入るべき土地代が入らないのは都民が「損害」を受けていることと同じです。「オリンピックの選手村だから」と、都有地の格安払い下げを容認してよいのでしょうか。改めて、区長のご見解を伺いたいと思います。ご答弁ください。
続いて、板状住宅棟の「開発協力金」について伺います。
私は、昨年9月に晴海の選手村マンションについて、「他のマンション建設と同様に、開発協力金として一戸当たり百万円の負担を求めることは当然」だとして質問した際、「開発協力金については、選手村として整備される板状棟は、大会後に改めて追加費用をかけて改装工事を行う必要があることから、協議の結果、請求対象としない。大会後に建設が始まる超高層棟は、負担を求める」という答弁でした。
その後の確認で、すでに2018年3月に、超高層タワーマンション分の開発協力金として14億3700万円を開発事業者が区に支払うという協定書が締結されていたことがわかりました。
そこで質問します。
第1に、開発協力金をタワーマンション分だけにした経過と理由をお聞かせください。
第2に、板状住宅棟は選手村仕様から一般住戸用に改修する際、内装工事と解体費、445億円を東京都が出すことになっています。中央区が「改装工事に費用がかかるから」と協力金を免除する必要はないと考えますが、いかがですか。
第3に、東京都が土地の価格を決めた日本不動産研究所の調査報告書には、建築工事費とともに中央区の「開発協力金」51億円が、支出項目に計上されていたことがわかりました。
つまり、東京都は中央区の開発協力金の費用として全戸数約5100戸分51億円を見込んで、土地の価格を格安にした訳です。
実際には開発協力金が、タワーマンション分の14億3700万円となったことで、差額37億円は、事業者にとっては支出が減って利益になり、区民にとっては、区に入るはずの協力金が減り、「損害」となるといえるのではないでしょうか。
区として事業者に遠慮せず、全戸分の協力金を求めるべきだと考えますが、いかがですか。
それぞれご答弁ください。
次に、都立晴海ふ頭公園について伺います。
晴海選手村の海側にある晴海ふ頭公園は、改修工事がほぼ終了していますが、オリンピックの延期で立入禁止になっています。
もともと晴海ふ頭公園は、当時の美濃部革新都政の元でつくられた「海上公園」の第一号として1975年12月に開園しています。
東京都「海上公園条例」は「自然環境の保全、回復、緑豊かな都市づくりに寄与する」ことを掲げ、開園後45年間の手入れで緑豊かな森のような公園になっていました。
しかし今回オリンピックにあわせて改修工事を行い、たくさんの大木が伐採されてしまいました。
そこで質問します。
第1に、地球温暖化が大問題になっている中、せっかくの大木を切ってしまい、緑の少ない公園になってしまったのは残念です。「海上公園」の主旨を踏まえ、東京都にはもっと緑化を進めるよう求めたいと思いますが、いかがお考えですか。
第2に、「せっかくできた公園を利用できるようにしてほしい」「子どもたちが喜びそう遊具もある。コロナで遠出ができないので、早く開放してほしい」などの声が寄せられています。五輪まで1年間も閉鎖したままにせず、一部でも地域に開放するよう求めることはできませんか。ご答弁ください。
次に、築地市場「跡地」の活用について伺います。
小池都知事は、「築地まちづくり方針」について、「東京2020大会の延期を踏まえ、実施方針を見直し、先行整備と本格整備の事業者を2022年度に一体的に募集する方向で実施方針を検討していく」「(土地は)都が所有して有効活用していく」としています。
しかし、最近の新聞報道で「築地市場の跡地を売却する案がにわかに浮上」と報じられています。
石原都知事時代、それ以前から、都心に残る滅多にない一等地として、築地市場を移転させて「売却」し、再開発していく方針が、JAPICを中心に進んでいた経緯からみても、売却案は急にでてきたものではないと考えます。
そこで質問します。
第1に、都民の貴重な財産である都有地を、民間企業へ売却するようなことは絶対やめるよう求めるべきだと考えますが、いかがですか。
第2に、昨年3月15日に中央区長と区議会議長連名で、都知事あてに「築地まちづくり方針(素案)に関する要望」を提出していますが、「交通結節機能の整備」や「都民に開かれたまちづくり」を進める上でも、公共性の高い、区民や都民の利益となる計画にさせていくことが大切です。築地周辺はもちろん、区民、都民の声をどう集約して、都に要請していくのか、お示しください。
第3に、ポストコロナの時代に求められるのは、すべてを市場原理にゆだね、公的サービスを切り捨て、自己責任を押しつける新自由主義からの転換だと思います。外需とインバウンド頼み――外国頼みの経済政策を見直し、まちづくりにおいても、これまでの延長線上の、巨大な開発で民間の利益を最大化する計画はやめるべきと考えます。
築地のまちづくりも、「国際競争に勝ち抜く」「稼ぐ東京」をつくることを主眼にした大規模ホテルやMICE施設など、区民の生活や営業とかけはなれた計画を大元から見直すことが必要になっていると思いますが、いかがですか。
それぞれ、ご答弁ください
最後に、自衛官の募集について伺います。
「区のお知らせ ちゅうおう 9月1日号」に自衛官募集の記事が掲載されていました。
「災害救助活動や区の総合防災訓練に参加している自衛隊では、自衛官などを募集しています」という記事です。
自衛隊が「災害救助活動や区の総合防災訓練に参加」しているのは事実ですが、自衛隊の本来の任務は災害救助なのでしょうか。
自衛隊は「自衛のための必要最小限度の実力」として「専守防衛」の部隊と説明されていますが、国際法上は明らかに軍隊です。そして安倍政権のもとで、2015年9月15日、安保法制が強行されて、これまで憲法上できないとしてきた「集団的自衛権の行使」が可能とされました。つまり、日本が直接攻撃されていなくても、同盟国アメリカが戦争状態に入れば、「駆け付け警護」など、海外で武器をもって参戦することになります。
そこで質問します。
第1に、自衛隊の任務、活動について、どう認識されていますか。
第2に、自衛官の募集をどういう理由で毎年掲載しているのでしょうか。また、「災害救助活動」部分だけ記載している理由をお示しください。
第3に、自衛隊への募集を区の広報に載せ、「軍隊」に青年を送り出すことに協力するのはやめるよう切に願います。お答えください。
第4に、防衛省・自衛隊は隊員募集への自治体動員を強化しており、適齢者名簿の提出を自治体に要請するなどしています。個人情報保護などの観点から名簿提出に応じないよう求めます。ご答弁ください。
以上で1回目の質問を終わります。ご答弁をお願いいたします。