2020年 区議会第一回定例会 一般質問

2020年3月2日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. 区長の所信表明について
  2. 新型コロナウイルス感染症対策について
  3. 消費税増税と景気対策について
  4. 「全世代型社会保障改革」について
  5. 国民健康保険料の改定と「財政健全化」について
  6. 築地市場「跡地」のまちづくりについて
  7. 首都高地下化等都市基盤整備基金について
  8. 羽田新飛行ルートの撤回について
  9. 図書館の指定管理者制度導入について

 日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.区長の所信表明について

 はじめに2月28日に行われた区長の所信表明についてです。
 区長は、環境問題の取り組みの中で、「東京、ひいては日本の中心として高度に企業が集中する本区においては、活発な経済活動によって常にエネルギー消費などの環境負荷が伴う」として、「ストップ!温暖化」を発信し、国連が採択した持続可能な開発目標(SDGs)に適うまちづくりを積極的に進めていく」と述べられました。
 そうであるならば、温室効果ガス排出量をどう減らしていくのかを真剣に考え、環境への負荷の大きい大規模再開発優先のまちづくりを見直すべき時期にきていると考えます。いかがですか。
 また、是非「気候非常事態宣言」を発表し、環境破壊をくい止めていく強い決意を示すことが重要だと考えます。区長のご見解をお示しください。
 所信表明で述べられた2020年度の施策などについては、以下具体的に質問します。

2.新型コロナウイルス感染症対策について

 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてです。
 2月25日、政府の新型コロナウイルス感染症対策本部が、複数の地域で感染経路が明らかでない患者が出ていることをふまえ、一般の医療機関で受け入れるなど対策の基本方針を決めました。
 ところが27日に、安倍首相が、基本方針になかった全国一律の学校臨時休校を、3月2日から実施するよう要請すると突然表明し、対応にあたる自治体、教育現場、保護者から不安や混乱、批判の声が上がっています。安倍首相は、全国一律の学校の臨時休校の理由について、根拠を示さず「私の責任で決めた」と述べるばかりで、そのことが逆に不安や混乱を招いています。
 感染の拡大防止、重症化を抑えるためには、なによりも医療機関の受け入れ体制の確立がカギを握ります。これから「帰国者・接触者外来」を持つ医療機関以外でも、感染者または感染の疑いのある方を診察するためには、一般患者とは別ルートの診療スペースと医療スタッフを確保することが必要となります。また、入院医療では、感染患者を受け入れるベッドの確保とともに、マスク、ゴーグル、防護服など感染防御のための資機材が、介護施設等に対しても感染防御の資材の提供が必要になります。
 そこで、中央区での対策について質問します。
 区内の外来、入院など医療機関の受け入れ体制や、介護施設での対応はどうなっていますか。感染患者を受け入れるベッドはどれくらい確保されていますか。お示し下さい。
 日本では、新型コロナウイルスの検査が遅れているといわれています。医師が診察して必要があると判断したら検査できるようにすることも急務です。現状と今後の対応についてお示し下さい。
 今後、医療機関に、軽症患者が殺到して、重症患者の治療に支障が出ることは避けるべきですが、「自宅待機」過度に強調しすぎると、重症化を見逃す危険もあります。
 不安を抱える人がきちんと相談できるように、保健所のコールセンターで行っている相談を、平日だけでなく、土日・祝日も対応できるように充実すべきだと考えます。ご答弁ください。

3.消費税増税と景気対策について

 次に、消費税増税と景気対策について質問します。
 昨年10~12月期の実質国内総生産(GDP)が年率換算でマイナス6・3%、家計最終消費も同マイナス11・5%の大幅減となりました。
 中央区景気動向調査では、消費税増税後の昨年12月の調査結果で、「現状のDIは前回調査から0.5ポイント上昇して38.8となり、先行きのDIは前回調査と変わらず横ばいで44.9となっています。
 前回調査からDIが上昇しているものもありますが、景気の判断は、現状も先行きも50に届かない、つまり景気が「悪い」傾向が続いています。
 そこで質問します。
 中央区でも景気悪化は深刻だと考えますが、いかがですか。
 全国的にも深刻な景気悪化の原因は、消費税率の10%への増税だと考えますが、いかがですか。
 景気回復のため、先ずは消費税を5%に減税するよう国に求める考えはありませんか。それぞれ見解をお示し下さい。
 さらに現在、新型肺炎の影響で、各種イベントの中止など、幅広い経済活動に深刻な影響が広がっています。
 飲食・観光・運輸など、区内中小企業・小規模企業への影響を把握し、融資や助成をはじめとした支援を強化することが必要です。中央区として、どのような支援策をお考えですか。ご答弁ください。 

4.「全世代型社会保障改革」について

 次に「全世代型社会保障改革」について質問します。
 安倍自公政権は、「社会保障のため」と言って消費税を2度も引き上げましたが、実際には大増税とともに、年金も医療も介護も生活保護も改悪の連続で、7年間で合計4・3兆円もの負担増と給付削減が行われました。
 そのうえ、安倍政権は、「全世代型社会保障改革」の名で、年金・医療・介護などの連続改悪に踏み出そうとしています。
 年金は、「マクロ経済スライド」の2年連続発動で、20年度の支給額は実質0.3%の減となります。
 介護保険では、本人負担を原則1割から2割へ引き上げることを念頭にした段階的な負担増、ケアプランの有料化、要介護1・2の生活援助を総合事業に移行させることなどを行おうとしています。
 後期高齢者医療では、今後窓口負担を原則2割へ引き上げることが検討され、「現役並み所得」の対象拡大や薬剤の一定額までの全額自己負担の方向も打ち出しています。新年度は中央区でも、保険料率の改定で、主に所得の低い層に保険料の値上げが行われようとしています。
 子育て分野では、「幼保無償化」で保育所の副食材費が公的給付から外され、中央区では年収494万円以上は月額4,500円の負担になっています。また、「無償化」によって入所希望者が増え、待機児童が増えれば「無償化」しても意味がなく、不公平が拡大してしまいます。
 そこで質問します。今述べたそれぞれの改定メニューについて、区長のご見解をお示しください。国に対し、社会保障費の削減計画はやめるよう求めるべきと考えますが、いかがですか。ご答弁ください。

5.国民健康保険料の改定と「財政健全化」について

 次に、国民健康保険料の改定と「財政健全化」についてです。
 2月14日の特別区長会で2020年度の基準保険料率が決定され、一人当たり保険料は、基礎分・支援分に介護分も含めると、中央区では5,172円の引上げで、年間約19万円(188,388円)と算定されました。今でも高すぎる保険料をまた引き上げることは容認できません。
 また、今回中央区の「国民健康保険財政の健全化に向けた取組み」が示されましたが、私は大変おどろきました。
 この「取組み」では、中央区として、法定外繰入額を「赤字」と見なして、今後毎年6,500万円減らし、2023年には繰入をゼロにするということです。2018年には3億2千万円投入していた繰入額を5年間でゼロにすれば、その分保険料の引き上げにつながります。これからも「毎年保険料を上げていく宣言」といえます。
 また、「取組み」では、滞納世帯に対する差押えや執行停止を拡大する、転出者に対して追跡調査することも挙げています。
 そこで質問します。
 第1に、滞納は差押えの強化だけでは解決しないと思いますが、いかがですか。差押えを強化するのでなく、滞納世帯への親身な対応で生活再建に結びつけるようことが大切です。これまでも生活再建に結びつける支援を求めてきましたが、実績は上がってきているのでしょうか。
 第2に、保険料を毎年計画的に引上げる計画はやめ、繰入を増やして保険料を引下げるよう求めます。ご答弁ください。
 第3に、これまでも指摘してきましたが、「国民健康保険財政の健全化」というのであれば、全国知事会が政府に要望している「1兆円の公費負担増」を行ない、財政の安定化をはかって、保険料を協会けんぽ並みに引き下げる方向を、全国一丸となってすすめるべきです。
 それぞれについて、区長の見解を求めます。ご答弁ください。

6.築地市場「跡地」のまちづくりについて

 次に、築地市場「跡地」の東京2020大会後の利用について質問します。
 小池都知事は昨年3月に、大会後の再開発について「築地まちづくり方針」を公表し、国際会議場や展示場、ホテルなど「創発MICE」機能をもつ国際的な交流拠点をつくる構想をたて、23?の敷地を4つのゾーンに分けて整備するとしています。そして、今年中に場外市場地区に隣接した隅田川の船着場周辺エリアの開発を行なう事業者を募集するとしています。
 そこで質問します。
 区長は、都の「築地まちづくり方針」に基本的に賛成なのでしょうか。その理由もあわせてお示し下さい。
 区は、環状2号線と周辺道路との接続のためスーパージャンクションや、地下鉄や舟運のターミナルとなる交通結節拠点を整備すること、ゾーンに分けて長期間かかる計画を見直し、全体計画が曖昧なまま、船着場の整備に着手するのは問題だとしていますが、これに対し都はどういう態度をとっていますか。お答え下さい。
 築地市場の土地は「都心に残されためったにない土地」として、JAPICなど大企業がかねてから再開発用地として狙っていた場所です。都の「築地まちづくり方針」は、その大企業の意向を具体化した計画となっており、都民や区民の願いとはかけはなれたものだとと考えますが、いかがですか。
 跡地利用については、「築地を守るという公約を果たすべき」「大規模再開発ではなく、緑地や公園をつくってほしい」など様々な意見があります。区として、区民の声はどう集約していますか。「方針」そのものを見直し、区民・都民の声をいかした跡地利用に転換させることが必要だと考えますがいかがですか。それぞれご答弁ください。

7.首都高地下化等都市基盤整備基金について

 次に、新たに条例提案されている「首都高速道路地下化等都市基盤整備基金の設置」について質問します。
 この基金は、首都高日本橋区間の地下化の事業費への財政投入と、築地川アメニティ整備構想、緑のプロムナード化、都心・臨海地下鉄新線の整備などの今後の都市基盤整備のために必要な資金を積み立てるとしています。
 そこで質問します。
 第1に、なぜ、首都高速道路の工事に、地元区が基金を積み立てて、財政を投入する必要があるのかという点です。日本橋地下化とあわせて周辺で行う5つの再開発事業者が400億円、東京都が320億円、中央区が80億円を拠出するスキームを決めていますが、区や周辺の再開発事業者が費用を出す根拠は何なのか伺います。また、工事費用が当初見込みより大きくなった場合、拠出額も増額となるのか、お答えください。
 第2に、周辺で行う再開発の民間プロジェクトに開発協力金を出してもらう「協定」を結ぶとしていますが、その「協力」の根拠は、容積率の緩和などの「恩恵」を受けているからでしょうか。お答えください。
 第3に、基金の使い道として、日本橋区間の工事だけでなく他の基盤整備費用も想定しているということですが、日本橋関係の480億円以外に、どの位基金が必要になると考えているのでしょうか。ご答弁ください。
 第4に、高速道路の工事のために、基金を設置して財政を投入している区市町村はありますか。ご答弁ください。
 第5に、日本橋の上空をふさぐ高速道路は1964年の東京五輪の「負の遺産」であり、青空を取り戻すのは悲願です。しかし地下化をしなくても、首都高を撤去すれば「青空」を取り戻すことができます。概算事業費が3200億円、1mつくるのに1億8千万円もかかるような地下化工事は中止すべきです。
 都市計画決定そのものを見直し、事業の妥当性についてもう一度再検討すべきだと考えます。いかがですか。
 さらに、自動車交通全体を根本から見直して、都心に通過交通を入れない交通体系の見直しこそ求められています。見解をお聞かせ下さい。

8.羽田新飛行ルートの撤回について

 次に、羽田新飛行ルートの撤回について質問します。
 国は、今年3月29日から、羽田空港の国際線の増便のために、都心上空を低空飛行する「新ルート」を運用しようとしています。
 そもそも人口密集地の都心上空を民間機が飛行すること自体、とんでもない時代逆行です。300人以上の乗客を乗せた航空機が都心上空を飛行することは、安全・環境上問題とされ、世界では、パリのシャルルドゴール空港、ミラノのミラノ空港など都心から離れた場所に空港が作られてきました。日本でも、住民の闘いで、人口密集地の「上空飛行は行わない」、「航空機の制限」が約束され、伊丹空港は海上の関西空港になり、羽田空港は人口密集地を飛ぶルートから現在の海側のルートに変更された歴史があります。
 そこで質問します。
 「新ルート」では、都心のど真ん中を、2分に1回以上の頻度で超低空飛行することになります。健康被害をおよぼすレベルの騒音や、航空機からの落下物、墜落事故への懸念など、都民の生命・財産にかかわる大問題となっています。区長はどうお考えでしょうか。
 また、「新ルート」は中央区の上空にかからない線形ですが、中央区も無関係ではいられません。北風時の新ルートでは、離陸機は「新荒川ルート」を飛行する予定で、中央区の真上ではありませんが上空付近を通過することになります。巨大旅客機が、小型機やヘリコプターが飛び交う都心上空を飛行すれば、大事故のリスクが高まり、上空での接触事故などの危険があります。万が一墜落事故がおきたら、真下に墜落するわけではなく、中央区は安全などという保証はどこにもありません。
 危険な羽田新飛行ルートは見直し、撤回するよう求める考えはありませんか。ご答弁ください。

9.図書館の指定管理者制度導入について

 最後に、図書館の指定管理者制度導入について質問します。
 本定例会に、区立図書館に指定管理者制度を導入する議案が提案されています。
 区立京橋図書館は、2023年開設予定の「本の森ちゅうおう」に移転することになっていますが、それに先だって、区は日本橋・月島含め区内3館すべての図書館の管理運営を指定管理者に変更するとしています。
 中央区の図書館は歴史も古く、特に京橋図書館は、蔵書数約34万5千冊で、地域資料の豊富さでも全国的にも有名です。地域に関する蔵書6万点、錦絵、絵葉書など貴重な資料を保管、提供し、レファレンスの件数は区民やマスコミ等から月200件近くあり、23区の図書館の中で群を抜いています。
 日本の図書館を代表する総合的全国組織の図書館協会は、「我が国の今後の公立図書館の健全な発達を図る観点から、公立図書館の目的、役割・機能の基本を踏まえ、公立図書館への指定管理者制度の導入は、基本的になじまない」という見解を繰り返し表明しています。
 そこで質問します。
 なぜ、図書館に指定管理者制度を導入するのか、理由をお示し下さい。
 すでに指定管理者制度で運営されている各地の図書館では、司書職員が長く勤められず専門性を発揮できない、貴重な史料・資料が廃棄されるなどの問題が起きています。また、指定管理者制度を導入したけれど直営に戻した自治体もあります。こうした問題をどのようにお考えですか。
 貴重な資料を守り、豊富な知識と経験で利用者の声にこたえる図書館職員の力を活かすためにも、地域資料室だけでなく、本の森ちゅうおうを含む図書館全体を、これからも区直営で管理運営し、さらに充実させていくよう求めます。いかがですか。
 それぞれについてご答弁ください。

 以上で第1回目の質問を終わります。ご答弁をお願いします。

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