議案第31号 「中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する反対意見

奥村暁子

 意見表明のお時間をいただきありがとうございます。
 議案第31号 「中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する反対意見を述べます。
 この議案は、国民健康保険法施行令の一部を改正する政令(令和2年政令第18号)の施行等に伴い、保険料率、賦課限度額及び均等割額から減額する額の改定等をするものです。
 高すぎる国民健康保険料が多くの高齢者世帯、低所得世帯を苦しめており、中央区での滞納世帯は、2018年度決算資料によると5650世帯、全体の20.53%にのぼっています。
 2月14日の特別区長会では2020年度の基準保険料率が決定され、一人当たり保険料は、基礎分・支援分に介護分も含めると、中央区では5,172円の引上げで、年間約19万円(188,388円)と算定されました。
 区が作成した「2020年度収入別・世帯構成別保険料試算」の資料であげられている「世帯主(40歳)+配偶者(40歳・収入なし)+子(10歳・収入なし)」という3人家族のモデルケースでは、年収300万円の場合、保険料は360,843円と年収の1割を超えており、年収500万円や700万円といった3人家族のケースでも同様に1割を超えます。「世帯主(40歳)+配偶者(40歳・収入なし)」という2人世帯などでも収入によって保険料が1割を超えるケースがあり、高すぎる保険料が家計に重くのしかかっていることは明らかではないでしょうか。今でも高すぎる保険料をさらに引き上げることは容認できません。
 また、今回、中央区の「国民健康保険財政の健全化に向けた取組み」が示されましたが、この「取組み」を見ると、区として、これまで保険料を引き下げるために不十分ながらも投入してきた法定外繰入額を「赤字」と見なして、今後は毎年6,500万円減らし、2023年には繰入をゼロにするということが掲げられています。
 2018年度には3億2千万円投入されていた繰入額が5年間でゼロとなれば、その分保険料は必然的に引き上げられることになります。
 法定外繰入をすることを国は禁止しているわけではありません。毎年引き上げられる国保料で国保加入世帯がこれ以上苦しまないよう、区は一般財源の繰入を継続すべきです。千代田区のように独自に保険料を定め、軽減する道もあります。
 「取組み」のなかでは、滞納世帯に対する差押えを拡大することや、転出者に対して追跡調査をすることが挙げられていることも大きな問題です。
 2018年度決算資料の中央区での一人当たり国民健康保険料の経年変化を見ると、1999年度の保険料は一人あたり82,706円であったものが、2018年度には134,189円と、20年間で保険料は1.6倍以上となっています。
 厚労省策定の「国民健康保険事業年報」や「健康保険実態調査」といった資料では、この間、国保総収入にしめる国庫負担率の割合も、都負担率の割合も削減され続けており、国保加入世帯の平均所得も大幅に落ち込んでいます。国保加入者に、これ以上の負担を求める道は破綻しています。差押えの強化も、滞納を減らす根本的な対策にはなりません。
 医療費の伸びが保険料にそのまま反映されるというしくみと、国保加入者の多くが無職者や低所得者だという国保の構造的な問題に目を向け、区は、区民生活を守る立場にしっかりと立つことが求められます。
 生活再建に結びつける支援とあわせ、区として一般財源をさらに投入するなどの努力をすること、全国知事会が政府に要望している「1兆円の公費負担増」を行なうよう国に求め、財政の安定化をはかって、保険料を協会けんぽ並みに引き下げるなど、保険料そのものを引き下げて行く方向を、全国一丸となってすすめるべきです。
 以上の理由により、日本共産党中央区議会議員団は、議案第31号「中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に反対します。

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