2020年3月5日
小栗智恵子
意見表明のお時間をいただき、ありがとうございます。
日本共産党区議団を代表し、「議案第24号 中央区立図書館設置条例の一部を改正する条例」について、反対する意見を述べます。
この議案は、区立図書館に指定管理者制度を導入するため、指定の手続き等に関する事項を定めるものです。
図書館に指定管理者制度を導入する理由について私が本会議で質問した際、教育委員会は、「特別区の図書館の内約半数が指定管理者を導入しており、利用者満足度も高く、良好な成績を上げている」ことを示しました。しかし、それが指定管理者にする理由になるのでしょうか。中央区の図書館は歴史も古く、蔵書数や地域資料の豊富さでも全国的にも有名で、レファレンスの件数も23区の図書館の中で群を抜いており、利用者満足度も高い図書館です。わざわざ指定管理者にする理由になっていません。
指定管理者制度で運営されている他の図書館では、司書職員が長く勤められず専門性を発揮できない、貴重な史料・資料が廃棄されるなどの問題が起き、導入後に直営に戻した自治体もあります。こうした問題について質問した際、教育委員会はそうした事例は「行政のチェック機能が不十分だったため」として、「司書職員の研修充実を指定管理者に求める」、また「施設管理やレファレンスなどの業務は指定管理者が行ない、図書資料の選書・廃棄や地域資料の収集・管理は、今後も引き続き教育委員会が責任を持っておこなう」と答弁しています。レファレンスや地域資料室での各種の相談に応えることは図書館の重要な機能です。教育委員会が図書や地域資料などの収集・管理を責任をもって行うとしたことは、その重要性を認めているからだと思いますが、そうであるならば、なおさら、レファレンスを含め、区直営で管理運営すべきだと考えます。
図書館は、教育文化の発展の基礎となる施設であり、住民の「学ぶ権利」や「知る権利」を保障するための施設にふさわしい体制を整えることが義務づけられています。図書館法では、図書館資料を収集し公衆の利用に供することとともに、図書館の職員が資料について十分な知識を持ち、その利用のための相談に応ずることを求めています。
日本共産党区議団は、継続性が求められる社会教育の分野に指定管理者制度は馴染まないと繰り返し指摘してきました。指定期間ごとに新たな事業者が選定される可能性があり、資料の管理や職員構成が継続されない弱点をもつ指定管理者制度は問題です。資料の収集管理はもちろんのこと、職員の安定的な雇用条件のもとでスキルアップがはかられ、多角的に利用者をサポートすることできるよう、区立図書館は直営で運営するよう求めます。
図書館協会は、「指定管理者制度の導入は基本的になじまない」という見解を繰り返し表明しています。
また、本定例会に、約千人分の署名とともに、「江戸東京の貴重な資料を守るため 中央区立京橋図書館への指定管理者制度導入の撤回を求める請願」も提出されています。
以上の理由から、日本共産党区議団は、区立図書館に指定管理者制度を導入するため、指定の手続き等に関する事項を定めようとする議案第24号中央区立図書館設置条例の一部を改正する条例に反対し、意見表明を終わります。