「議案第13号 中央区首都高速道路地下化等都市基盤整備基金条例」に対する反対意見

2020年3月9日

小栗智恵子

 私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して「議案第13号 中央区首都高速道路地下化等都市基盤整備基金条例」に反対します。以下その理由を述べます。
 本議案は、首都高速道路日本橋区間の地下化及びその周辺のまちづくり並びにこれらに関連する都市基盤の整備等に要する資金を積み立てるため、新たな基金を設置するというものです。
 この基金は、首都高日本橋区間の地下化の事業費への財政投入と、築地川アメニティ整備構想、緑のプロムナード化、都心・臨海地下鉄新線の整備などの今後の都市基盤整備のための資金を積み立てることを予定しています。

 この条例に反対する理由は、第1に、日本橋の上空をふさぐ高速道路は1964年の東京五輪の「負の遺産」であり、青空を取り戻し、日本橋川を再生することは地元の悲願ですが、それは首都高を地下化しなくても撤去すれば可能です。中央区も「撤去」を要望し続けてきました。「地下化」が決定され、3200億円の事業スキームで、撤去を働きかけてきた自治体の責任として、中央区が80億円を拠出するとしています。
 しかし、「地下化」工事は、わずか1.8kmの工事に3200億円かける、1mつくるのに1億8千万円もかかるような過大な事業費のかかる工事です。また、工事費用が当初見込みより大きくなった場合は、国、東京都など関係各者と協議し対応を検討するとしていますが、当然拠出額も増額となることが予想されます。
 地下化せず撤去だけした場合でも、首都高八重洲線や都心環状線で高速道路のネットワークは維持されます。また、地下化にこだわっていると、耐震上も危険な首都高が20年以上そのままになってしまいます。工事自体を変更すべきだと考えます。

 第2に、周辺で行う再開発の民間プロジェクトに開発協力金を出してもらう「協定」を結ぶとしていますが、どの位の金額になるのかは、国・東京都と事業者が協議して決めるとのことです。立体道路制度の適用や容積率の緩和などの「恩恵」を考慮して決められるようですが、再開発事業者は、川沿いを低層化し、親水空間にするハード面での協力に加え、巨額の「拠出金」を出すことになります。
 これまでの中央区の「開発協力金」の実績を見ると、晴海トリトンスクエアが67万㎡で74億円、2003年度コレド日本橋、日本橋三井タワー、銀座三井ビルディングの3事業で計30万㎡、協力金額は11億円でした。
 今度の日本橋周辺再開発は5地区で400億円、1地区で割ると80億円規模の協力金を拠出してもらう計画です。現在中央区で行っている開発協力金と比べても、8~10倍となる金額を拠出してもらう想定です。これでも事業としての採算がとれる、それだけの「恩恵」を受けられるということではないでしょうか。
 こうした開発協力金制度は問題です。

 第3に、こうした手法を、日本橋川だけでなく、築地川、KK線の工事でも、周辺再開発と一体的にすすめ、再開発事業者から「開発協力金」を拠出させるしくみをつくろうとしています。それにも容積率の緩和などのサービスが伴うことでしょう。
 これは「協力」関係というより、「癒着」の温床となりかねません。
 以上の理由から、あらたな基金を設置するに議案第13号に反対します。

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