平成31年度中央区各会計予算に対する態度表明

2019年3月14日 日本共産党中央区議会議員団

 平成31年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
 31年度予算は、今期をもって退任すると表明された区長の最後の予算編成案です。
 日本共産党区議団は、中央区がどこへ向かおうとしているのか、どこへ向かうべきかという視点に立って、予算の審議にあたりました。
 中央区は、今後、急激な人口増と、築地市場なき後の築地のまちの活況維持という大きな課題に向けての対応を迫られることになります。予算審議の中では、この課題をどう乗り越えるのか、具体策が示されることはありませんでした。
 2023年頃までは「20万都市」に向けて、主にハード面の基盤整備に力をそそぐとしていますが、その後の中央区の財政は不透明であり、新しい中央区は一体どこへ向かおうとしているのか将来的なビジョンが明確でないということも明らかになりました。
 人口増をさらに助長させる市街地再開発事業中心のまちづくりと、人口急増への対応に手を取られ、区民サービスは削減されるという、これまでの路線を続けていくのか、それとも、まちづくりを転換し、地方自治体の本旨である「住民の福祉の増進をはかる」ことに主眼を置く、新たな方向へ舵を切るのかが、今、問われています。
 マンション建設が現在も途切れることなく続く中、今年1月、区は人口抑制策として、住宅の確保による容積緩和を廃止するなどの地区計画の変更を行いました。しかし、その本質は全区的なホテル建設の誘導であり、対象とならない市街地再開発事業は継続されるため人口抑制にはつながりません。
 中央区が「都心再生」、国家戦略特区構想など、国や東京都の上位計画と足並みを揃え、容積率の割増しや区道の廃止・付け替え、学校敷地の提供などの様々な優遇策をとりながら、莫大な補助金を投入して巨大開発中心のまちづくりを進めている姿勢について、日本共産党区議団は一貫して問題点を指摘してきました。しかし、区はこれからも大規模開発を進めていく姿勢を変えていません。予算案では市街地再開発事業への助成金は93億円計上され、前年度の2.4倍となっています。さらに30もの大規模開発が計画されています。
 人口急増によって、深刻な保育所待機児童問題、学校の教室不足、住環境の悪化、交通などのインフラ整備の遅れなど、様々なひずみが、行政や区民生活に重くのしかかっています。
 また、国が年金、医療、介護などの予算を削減し、制度の改悪を進める中、区民に一番身近な自治体は、そうした福祉切り捨ての防波堤としての役割を果たすことが求められています。にもかかわらず、後期高齢者医療の軽減特例の廃止や国民健康保険料の連続した値上げなど、区民への負担増をすすめることは容認できません。
 日本共産党区議団が毎年実施している「区民アンケート」には、「保育園をふやしてほしいです。タワーマンションを増やして保育園は入りにくいまま、そのあと学童や病児保育も足りないままでは中央区に長く住む気がしなくなります。」「もう高層ビルはいらない。日当たりや風害、防災など不安」など、今年も様々な声が寄せられています。
 日本共産党区議団は、区民アンケートなどに寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約し、昨年2018年9月27日に、811項目の「2019年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。
 本予算特別委員会では、各款について詳細に質疑し、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行ってきました。さらに、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や、就学援助の小学校新入学児童標準服補助の増額、18歳までの医療費無料化の拡大などを計上した予算修正案を提案しましたが、残念ながら、わが党の修正案は否決されました。
 日本共産党中央区議会議員団は、総合的に検討した結果、議案第1号「中央区一般会計予算」、議案第2号「国民健康保険事業会計予算」、議案第3号「介護保険事業会計予算」、議案第4号「後期高齢者医療会計予算」に反対します。なお、プレミアム商品券を発行するための議案第22号「平成31年度中央区一般会計補正予算」には賛成します。

 区長提案の予算案には、中央区自殺総合対策計画(仮称)の策定や、共通買物券の増額など、一定評価できる施策もありますが、抜本的な見直しが求められる多くの課題があると考えます。以下、具体的な課題について述べます。

 まず、一般会計についてです。
 第一に、有料化されてから稼動率が低下し、赤字を出し続ける区立駐輪場は無料に戻すべきです。区内全体で稼動率が61.1%と低い中、特に31%と異常に稼働率が低い月島駅前第一駐輪場は、空きスペースを活用すべきです。
 第二に、「東京一極集中」を是正し、住環境をまもるためにも、市街地再開発事業中心のまちづくりを見直し、持続可能な中低層のまちづくりをすすめるべきです。
 第三に、住民からの反対の声が多いホテル建設を誘導する「地区計画の変更」は見直し、ホテルへの規制を強化すべきです。
 第四に、「日本橋」の首都高速道路の地下化に対し、地元では反対の声がある中で、十分な検証なしに、地下化ありきですすめる姿勢を改めるべきです。
 第五に、いまや23区では中央区と品川区のみが徴収している情報公開手数料は無料にすべきです。「手数料徴収は妥当」との情報公開審議会の意見は、25年も前の答申であり、開かれた区政とするためにも情報公開手数料の無料化が求められます。
 第六に、今年10月に予定されている消費税10%増税は、区民生活はもちろん、区内中小業者・商店にも甚大な影響を与えます。区長は増税反対を表明すべきです。
 第七に、7年間で3人もの赤ちゃんが亡くなっている中央区の家庭的保育事業は、カメラの設置や保育ママを保育士資格者に限るなどの安全対策をとるべきです。また、死亡事故の検証結果が公表される前に居宅訪問型保育事業を実施することはやめるべきです。
 第八に、18歳までの子ども医療費無料化を、子どもの貧困対策、及び社会保障の改悪や増税による家計負担の増大への対策としても位置づけ、早急に実施することを求めます。    
 第九に、教員の多忙化を解消し、子どもときちんと向きあえる環境をつくるためにも、正規の教員や各種講師、補助員など人的配置を拡充すべきです。
 第十に、本庁舎整備は、特別出張所等の機能の再編、更新や、将来的な行政のあり方など総合的に検証し、過大な整備計画とならないようにすべきです。

 次は、特別会計についてです。
 国民健康保険は、法定外繰入れの削減などで、新年度保険料は一人あたり約5000円引き上げられます。保険料滞納世帯に対する差押えは原則として禁止し、滞納者の相談活動や生活再建に力を注ぐべきです。また、他自治体で実施されている子どもの「均等割」免除の実施を求めます。
 介護保険は、介護保険利用料3%への減額制度打ち切りなど、介護保険サービスの利用抑制につながりかねない負担増はやめるべきです。
 後期高齢者医療では、新年度には後期高齢者医療制度の軽減特例の廃止が実行に移されようとしています。年金も下がり続け、生活困窮者が増加する中、保険料の値上げがさらに高齢者を追い詰めることになります。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出し、高い保険料と安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。
 以上、各会計予算案に対する反対理由と主な課題を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。

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