「議案第90号 指定管理者の指定について(区立社会教育会館)」について反対する意見表明

2019年12月2日

小栗智恵子

 意見表明のお時間をいただき、ありがとうございます。
 日本共産党区議団を代表し、「議案第90号 指定管理者の指定について(区立社会教育会館)」について、反対する意見を述べます。
 本議案は、中央区立社会教育会館、築地、日本橋、月島社会教育会館と同晴海分館の指定管理者として、これまでと同様の「小学館集英社プロダクショングループ」を指定するものです。
 指定期間は、2020年4月1日から2025年3月31日までとなっています。
 日本共産党区議団は、社会教育会館に指定管理者制度を導入した2008年当時から、継続性が求められる社会教育の分野に指定管理者制度は馴染まないという点を指摘してきました。もともと3年間だった指定期間が、2015年から5年間に変更になりましたが、指定管理者制度は指定期間ごとに新たな事業者が選定される可能性があるという仕組み自体の問題に変わりはありません。
 社会教育会館のように、継続的な学びの機会を区民に提供するための施設では、持続的・安定的な運営やノウハウの蓄積、専門性などが求められます。期間が指定され、事業者の変更もありうるのでは、住民の学びへの影響が大きいといわざるを得ません。
 また、社会教育会館は、安定的な雇用条件のもと、職員のスキルアップがはかられ、多角的に利用者をサポートすることが求められる施設です。しかし、現在の「小学館集英社プロダクショングループ」の職員の雇用状況を見ると、4館全体で正規雇用が20人に対し、非正規雇用は44人と倍以上になっています(2019年10月4日付、決算特別委員会資料より)。非正規雇用という官製ワーキングプアを多く生み出していることは問題です。
 今回の候補事業者選定結果の資料では、項目ごとの点数は示されているものの、その詳細な内容は分からず、基本的に事業者から提出される事業計画書に記載される事業者の運営に係わるノウハウや経費の金額などは公開されません。区直営よりも情報開示が制限され、その事業者が適正かどうかを判断する材料が乏しい中、議会での承認・議決が求められることは、指定管理者制度の大きな問題です。
 中央区は、2006年、中央区組織条例の一部改正で、教育の重要な分野である社会教育を、教育委員会から区長部局に移行させました。本来、社会教育会館は、図書館などと同じ社会教育施設であり、社会教育施設の設置は自治体の責務です。指定管理者制度によって管理・運営を企業に任せることは、自らの責務の放棄につながります。
 社会教育法の第三条では、国及び地方公共団体は、社会教育の奨励に必要な施設の設置及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布その他の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない―とされています。 さらに第3項で、 社会教育が学校教育及び家庭教育との密接な関連性を有することにかんがみ、学校教育との連携の確保に努めるとともに、家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮をするものとする―となっています。
 このような重要な社会教育を担う社会教育会館の運営は、指定管理者制度に馴染みません。
 以上の理由から、日本共産党区議団は、議案第90号 指定管理者の指定について(区立社会教育会館)に反対し、意見表明を終わります。

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