2019年9月24日
日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子
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日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。
はじめに、消費税増税と、幼児教育・保育の無償化について質問します。
10月1日から、消費税の10%への増税が実施されようとしています。駆け込み需要も起きないほど消費が冷え込んでいる中での増税に対して、「奨学金の毎月の返済に追われているのに、入社してからほとんど給料があがっていない。今、消費税増税になったら生活に負担」という声や まちのお店でも「出前は8%、店内は10%と複雑でおかしな税率になり、実務も大変でやっていけない」と怒りの声があがっています。
中央区の景気動向調査(6月)でも、「景気の現状」も「先行き」も判断DIポイントが低下し、全体として前回調査より4.5ポイントも下がっています。「米中関係、イラン制裁が悪影響を及ぼすと考えられる」という声も紹介されているように、さらなる景気悪化の懸念材料が広がっています。
このような中で消費税の増税を行えば、暮らしも経済も壊されてしまいます。
そこでお聞きします。いまからでも、消費税の増税は中止すべきと考えますが、いかがですか。お答えください。
消費税増税に対する国民の批判をさけるために、「消費税増税分はすべてお返しする」と政府が打ち出した還元策の1つが、幼児教育・保育の無償化です。
子育て・教育の負担軽減は、貧困から子どもを守り教育の機会を保障し、少子化対策としても大切な施策ですが、それは消費税の増税とセットにするべきものではありません。
現に、今まで保育料が無料だった低所得者の世帯にとっては、今回の「無償化」による「恩恵」はなく、増税の負担だけが増えるということになります。
国の制度では、「無償化」の対象が3~5歳、住民税非課税世帯の0~2歳児に限られ、保育所では、これまで保育料に含まれていた給食費を新たに実費徴収するとしています。中央区では、副食費の徴収は、年収494万円未満の世帯までは無料としますが、それ以外の世帯は上限4500円を徴収するとしています。
給食費の徴収については、23区中18区は、区が支援して無料としています。給食は保育の一貫です。無料にしている自治体も多いのに、中央区ではなぜできないのでしょうか。財政の力のある中央区としても、ぜひ無料化するよう求めます。お答えください。
子育て世代にとって、無償化より待機児の解消をという声があがるほど、待機児問題は深刻です。中央区では、今年4月の待機児(新定義)が197名と昨年より9名増えています。その上、区に認可保育園を申し込んだけれど入園できず、認証保育園や企業主導型保育事業などを利用することにした、いわゆる「隠れ待機児童」は513人で、合計710人にのぼっています。
待機児解消が急務ですが、無償化で逆に申し込みが増えることも考えられます。
「中央区子ども・子育て会議」で示された来年度以降の保育所を希望する人数の「見込み」では、0歳と1~2歳の枠は、2020年度に242人、2021年度は137人の待機児が生まれるだろうという見通しになっています。これでは問題です。保育所の新設、誘致などを前倒しして、待機児を解消するよう求めます。お答えください。
10月1日からの無償化は、認可外施設・企業主導型保育施設なども対象となります。いろいろな種類の、開設して間もない施設も増えています。残念なことに、区内にある事業所内保育施設や保育ママのもとで、この7年間で4名の死亡事故が起きています。こうしたことが二度と起きないように、すべての保育施設で安全な質の高い保育が提供できるようにする責任が国や自治体にあると思います。
これからは、区が利用給付にかかわる施設については、立入検査や報告の命令ができるようになるので、現在おこなっている保育施設への区の巡回指導を、さらにきめ細かく指導、援助することが重要だと考えます。どのようにして、保育の質を確保していくのか、方策をお示しください。
保育士の待遇に関しては、いろいろな相談が寄せられていますが、この9月に、児童発達支援、放課後デイサービスの事業者が人員基準を満たしていなかったことで行政処分を受けた事例、重度心身障害児を対象とした放課後デイサービス事業者が事業を廃止した事例があったと区から報告を受けました。
いずれも、命を預かる福祉の大切なしごとなのに、職員数が基準を満たしていないなど重大な問題だとおもいます。
保育や医療、介護など、福祉を担う職員の不足や待遇の改善は焦眉の課題ですが、特に、保育士の給与は全産業平均より10万円も低く、時間外労働や不払い賃金が広く横行し、業務量も多く、勤務時間も長いことで職員に過度なストレスを与えており、辞めたいと考えている保育士も2~3割いるという、深刻な実態が浮き彫りになっています。
そうした事態を改善していくためには、国に対し、施設運営のための「公定価格」を見直し、保育士の賃金をただちに5万円引き上げ、段階的に10万円引き上げて、全産業平均並みにするよう、強く求めるべきと考えますが、いかがですか。
また、区として、保育士の確保や質の高い施設運営をどう図っていくのか、お答えください。
次に、介護保険について質問します。
厚生労働省の審議会が、来年の通常国会に提出予定の介護保険法改定案の策定に向けた議論を本格化させています。その主な内容は、要介護1、2の人の生活援助を保険給付の対象から外すことや、もともとは1割だった利用料を、所得に応じて2割、3割の負担にする対象者を広げることなどです。また、どんな介護サービスが必要かを組みたてる「ケアプラン作成」はこれまで利用者負担はありませんでしたが、これも有料化しようとしています。
介護保険は、「必要になっても要介護度が低く認定されて、思うようなサービスが受けられない」「利用料の負担を考えて利用を控える」ことなどが、いまも大きな問題になっています。
利用料などの負担が今後さらに増えれば、経済的理由から介護サービスを減らしたり、施設入所をあきらめる事態を続発させることになります。
そこで質問します。こうした、介護保険の利用を抑えるための制度「改悪」を止めるよう、国に求めるべきと考えますが、いかがですか。
「中央区高齢者の実態調査」でも、介護が必要になっても、自宅での生活を望む高齢者が約5割を占めています。認知症になっても、あるいは重度になっても、在宅での生活を維持できるようにするには、おとしより相談センター(地域包括支援センター)が中心となって、切れ目のない、きめ細かい介護サービスを利用できるようにすることが必要です。
「地域包括支援」の体制を作っていくには、地域包括支援センターの人員・体制を強化することや、区の福祉職を増員し、介護保険や民間のサービス提供だけでは対応しきれない、困難をかかえた人を区が直接救済して、支援や介護を提供する体制も強化することが必要だと考えますがいかがですか。ご答弁ください。
在宅での生活が難しくなった際に、すぐに入所できる施設の増設も計画的にすすめる必要があると思います。
特養ホームは、常に250人の待機者となっています。また、ケアハウスのような施設に入りたいと相談がありましたが、希望に合う施設はなかなか見つかりません。
2021年度からの第8期介護保険事業計画では、特養ホームをはじめとした各種の施設サービス整備をどう進めていく予定ですか。検討状況をお示しください。
次に、築地市場移転後の築地地域活性化と「跡地」利用について質問します。
築地市場が昨年10月6日に閉場、豊洲市場が開場となって、まもなく1年になろうとしています。
私たち区議団は、築地市場移転によって、築地周辺の地域、場外市場などでどんな影響がでているか、聞き取り調査を行ってきました。今回5回目の聞き取りとして、9月5日、「築地魚河岸」の各店舗でお話を伺いました。
いくつか声を紹介します。
・家賃補助が4月からなくなり元々の家賃となったため、減額時の2.5倍になりキツい。
・プロの買い出しがなかなか来ない。足立や大井など他の市場へ流れている。一般客は早朝入場させないで利用は9時以降としていたが、段々曖昧になってきている。
・魚河岸の施設として、どういうものを目指すのか、商売が続けられるのか、全く方向性が見えない。
・小田原橋棟の波除通り側の入口の店舗が、撤退して5コマも空いていて暗い。なんとかならないか。・・・などです。
築地市場が移転してから、グランドオープンした「築地魚河岸」ですが、移転によって大きな影響を受けており、多くの課題があることがわかりました。
そこで質問します。
「プロ向けを目指すのか、観光客向けを目指すのか、区の方針が見えない」という声が多く聞かれました。区として、今後の方針について、どうお考えですか。
寄せられた声のなかには、地元の買い出し客をどう増やすかが大事、という声もありました。築地周辺にもマンションが増え、また勝どきや晴海の地元の住民などの買い物客を増やす、人の流れをつくる方策は、お考えですか。
6月議会で4000万円の補正予算をつけた場外市場や地域活性化策の具体化は、どう進んでいますか。お答えください。
聞き取りのなかでは、「豊洲に行く必要なんてなかった」「市場を(築地に)戻すようなことを小池知事が言っていた。約束を守れといいたい」「豊洲は駐車場も高いし、買い回りが大変だとみんないっている」「豊洲場内が寒すぎて具合悪くなっている」など豊洲市場の施設の問題と併せて、「市場が築地に戻ってきて欲しい、それが本当は一番だ」という声は根強くありました。
小池都知事は、17年6月の都議選の際、「築地は守る、豊洲は活かす」として、「築地に戻りたい人は戻れるようにする」と公約していました。
区は東京都に対して、「築地に戻りたい人は戻れるようにする」「築地を守る」という公約をきちんと果たすよう求めるべきではありませんか。ご答弁ください。
築地市場の「跡地」利用について、小池都知事は「都有地を売却はしない」として「築地まちづくり方針」を示しましたが、公共施設として何が必要なのか、どう利用していくのかは、民間の提案に丸投げしようとしています。
8月の都市計画審議会で、築地市場の「跡地」に関して区は「都の計画を追認するだけでなく、区として議論し都に提案していけるようにしたい」と述べましたが、「築地を守る」ために、どのような活用を考えていくのかお示しください。
私たち日本共産党は築地市場の移転に一貫して反対し、東京都は、そもそも良い市場をつくるために豊洲へ移転させるわけではなく、築地市場跡地を開発したいという30年来の財界の思惑が根底にあっての計画だということを指摘してきました。
昨年、国会で中央卸売市場法が改定されて、東京都も今年中に中央卸売市場条例を改定する予定とのことです。改定案では、①卸売会社が仲卸とセリに参加する売買参加人以外には販売できないという「第三者販売の禁止」、②仲卸業者は産地から直接買えないという「直荷引きの禁止」、③卸売市場での入荷物品は市場内で取引するという「商物一致原則」という3つの取引原則は全て廃止するというものです。大手流通資本が大量の水産物を買い集めることを可能になり、その結果、中小の仲卸業者は容赦なく淘汰されてしまうことになります。セリ取引も不要、「目利き」もいなくなる、まさに水産仲卸の息の根を止める大改悪です。
豊洲市場は、そうした大手流通資本の取引に有利な「流通センター」として計画、設計されたものになっています。
そこで質問します。
豊洲市場の仲卸業者の営業が厳しくなれば、出店している「築地魚河岸」での営業も連動します。公共市場としての「公正な」取引を担ってきた仲卸などの営業を脅かす「中央卸売市場条例」は問題だと思いますが、いかがですか。見解をお示しください。
次に、東京2020大会について質問します。
東京2020大会まで開催まで1年を切りました。この夏、テスト大会や交通テストなどが行われ、様々な課題が浮かび上がっていますが、東京都から中央区に対して、未だ十分な説明がない事項も多く、住民への影響は計り知れません。
また、スムーズな大会運営への方策も、後手後手に回っています。
そこで質問します。
第1に、大会中の交通問題など住民生活への影響とその対策です。
選手村を抱える中央区は、大会期間中の選手の移動、大会関係車両の動線、セキュリティなど、選手村至近に住まう住民の方は言うまでもなく、沿道や区内全域の区民生活に大きな影響が出ることは避けられません。
7月31日に、区長と銀座、築地、勝どき・豊海、晴海の4地区合同協議会連名で、都知事と組織委員会会長宛てに提出した「東京2020大会時の交通に関する要望について」は、東京都からの何らかの「回答」あるいは「輸送運営計画」のようなものは、10月になるということですが、区議会に対しても東京都からの十分な説明を求めたいと思います。
その上で、東京都から4地区合同協議会への説明や意見交換はもちろんですが、広く住民説明会のような場を設けて、東京都にきちんと説明を求め、交通計画などについて広く意見・要望をふまえたものにして、大会に向けた合意を作っていく場が必要だと考えますが、いかがですか。
第2に、暑さ対策です。
昨年につづき、今年も大変な猛暑になりました。暑さ指数が「運動は原則中止」に該当した日は、オリンピック期間17日間のうち、14日間にものぼりました。
「こんな猛暑のなかで競技や観戦ができるのか」「熱中症にならないか」とだれもが心配になります。アスリートや競技団体から、コースや時間の変更を求める声もあがっています。
東京大会の立候補ファイルに、「温暖でアスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」と書かれていた「偽り」の表現がそもそも問題だったと考えますが、選手が力を発揮できる環境にすることはもちろんのこと、マラソンなどの沿道の観戦や、駅から会場までの道のりの観客の対応、都市ボランティアの方々の暑さ対策に万全を期す必要があります。
観客やボランティアの暑さ対策について、ミストやネッククーラー、うちわなどは、冷感を得ることはできても体温は下がらず、効果はないといわれています。
中央区でも、ミストなどを用意したおもてなしロードを整備する予定ですが、暑さ対策で重要なのは、日影と風、水を飲むことで、必要だと感じたときに遠慮なくそれらを得られる場所を十分につくり、行動を促す情報提供などの仕組みと、ボランティアなど持ち場を離れにくい人が何かあったときに連絡できる仕組みづくりだということです。
東京都とも協力して、これらの具体化をすすめる必要があると考えますが、いかがですか。
第3に、オリンピック・パラリンピックの小中学生の観戦についてです。
東京都教育庁は、今年5月に各学校におこなった意向調査をもとに、チケットを割当て、10月下旬に学校の割当を確定するとのことですが、観戦には、幼・小・中各学校ごとで参加するのか、交通手段はどう考えているのか、暑さ対策など、準備状況をお示しください。
第4に、選手村の都有地格安払い下げ問題です。
7月に、オリンピック終了後の2023年から入居が始まる予定の選手村マンション、ハルミフラッグの販売が始まりました。
この敷地13.4ヘクタールは都有地で、都民共有の財産ですが、周辺地価の9割引きの坪33万円という破格の値段で、総額129億6千万円で売却されました。
今回販売が開始されたのは600戸で、全体の15%にあたる戸数でしかありませんが、1戸あたりの最高額は2億3千万円、1億円以上の物件は106戸で、販売額は106戸だけで125億円という計算になり、土地代とほぼ同じ金額です。次回以降の販売は3500戸以上もあり、完売すれば、ハルミフラッグ企業体の収益は莫大なものになります。
東京都は7月26日に、ハルミフラッグの企業体の収入が、予定より大幅に上回る場合は、増収分の半分を都に納入すると発表しましたが、金額の認定や解釈も曖昧です。
そこで質問します。
中央区にとっては、新たなまちの出現で、学校や公共施設の建設とその運営に莫大な費用がかかります。ハルミフラッグの企業体に、もっと公共施設整備など「地域貢献」策を求めるべきだと考えますが、いかがですか。
また、他のマンション建設と同様に、開発協力金として、1戸あたり100万円の(世帯用住宅の戸数から9を減じた数)の負担を求めることは当然だと考えますが、いかがですか。
板状のマンションが建ち並んだ風景も圧迫感がありますが、選手村には必要のない、超高層タワー型マンションの建設は中止するよう求める考えはありませんか。
それぞれお答えください。
以上で第一回目の質問を終わります。ご静聴ありがとうございます。