平成30年度中央区各会計歳入歳出決算の認定に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
それに先立ちまして、台風19号による記録的な大雨、強風で、被害にあわれたみなさまに、心からお見舞い申し上げます。
さて、本決算特別委員会の直前、10月1日から消費税が10%に引き上げられました。複数税率とポイント還元で店によっても買い方によって税率が違うという混乱をまねいており、飲食店などはお客が半減するなど、増税によって消費の落ち込みに拍車がかかっています。消費税はまず5%に引き下げ、景気回復をはかることが必要です。
10月11日、築地市場が豊洲に移転して1年がたちました。豊洲市場の施設の欠陥も解消せず、売上げが落ち込み、場外市場や「築地魚河岸」の営業にも大きな影響がでています。
こうした状況の中で、2018年度決算の審議が行われました。
日本共産党区議団は、2018年3月の予算特別委員会の審議の際、生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や小学校新入学児童標準服補助の増額などを計上した予算修正案を提案しました。その前年2017年9月には、542項目の「2018年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出しています。
2018年度決算には、わが党が要求してきた旧・中央警察署の都有地を活用した保育所整備に向けた調査、病児・病後児保育の拡充、介護職員などへの借上住宅使用料の一部補助、「中央区の森」の間伐材活用の充実など一定評価できる施策も実施されましたが、経緯と本特別委員会での質疑を通じ、決算案はさまざまな問題があると判断しました。
よって、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第73号 平成30年度中央区各会計歳入歳出決算の認定について」に反対します。
以下、その理由を述べます。
まず、一般会計決算についてです。
第一に、消費税10%への増税にあわせ、法人住民税の一部国有化で30億円の減収が見込まれています。中小企業、商店、区民、特に低所得者に重い負担となる消費税増税で、景気がさらに悪化すれば、区財政にも大きな影響を与えるのに、消費税増税を容認することは問題です。
第二に、社会保険労務士の協力を得て行う指定管理者制度導入施設での労働環境調査は、2016年以降実施されていません。働く職員の労働環境整備のため、今後、実施すべきです。
第三に、区内で行われているヘイトデモ、ヘイトスピーチは、「人権が尊重され、年齢・性別・国籍等を問わず誰もが幸せを実感できるまち」を目指すとする中央区基本構想の理念に反します。人権擁護教育や職員への研修に力を入れ、ヘイト根絶のための積極的な対策を講じることを求めます。
第四に、13ヘクタールの都有地が1㎡10万円以下という激安価格で払い下げられた晴海選手村は、跡利用での2棟のタワーマンション建設計画の見直しを東京都及び事業者側に求め、1戸あたり100万円の開発協力金は、選手の宿泊棟として使われる板状住宅部分からも徴収すべきです。
第五に、国際的に問題になっている地球温暖化防止のためにも、大規模再開発事業による超高層オフィスビルやタワー型マンション建設は見直し、CO2排出量削減に努めるべきです。
第六に、住民主体のまちづくりを実現するため、中低層や個別建て替えが促進されるよう、様々な手法の研究が不十分です。
第七に、「日本橋」上空の首都高速道路撤去について、地下化と一体に周辺の再開発事業を進めようとしていることは問題です。昨年度、さかんに議論が交わされた本庁舎整備も、「日本橋」首都高地下化や都心環状線整備と一体に計画を見直す方向性が打ち出されており、一旦、白紙に戻される状態となっています。首都高地下化・改修をてこに様々な大規模再開発を連動させることは見直すべきです。
第八に、保育ママのもとで乳児の死亡事故が2018年度も起きました。2度と繰り返さないためには保育の質の確保は不可欠です。巡回指導員のさらなる拡充や、認可保育園の開設による待機児解消を急ぐべきです。
第九に、特別区民税も、特別区財政調整交付金も増収となり、2018年度に基金が75億円積み増しとなる一方で、訪問介護サービスなど利用者負担軽減のための助成の廃止や、小学校給食の値上げが行われ、区民の負担が増えました。区民サービスの維持・拡充のために基金を積極的に活用すべきです。
第十に、貧困と格差が広がるもと、葛飾区や北区のように都内でも広がる学校給食の無償化など保護者負担の軽減に努力すべきです。
第十一に、教員がきちんと本来業務にあたり、働き続けられる環境にするため、タイムカード導入が実現し、正確な労働時間がやっと把握できるようになりましたが、それをどう多忙化解消につなげるかの対策はまだ不十分です。教員配置の拡充、少人数学級の実施による多忙化解消が求められます。
第十二に、2018年度は泰明小学校のアルマーニの標準服問題で、格差の是正が大きな議論となった年でした。公立学校でありながら、タブレットの配布や英語の専科教員の配置など学校間に格差が生じており、是正が求められます。
次は、「国民健康保険事業会計決算」についてです。
高すぎる国民健康保険料について、全国知事会からも公費投入で保険料引き下げの声が上がっていますが、保険料は引き上げられ、中央区では滞納世帯が2018年度20.53%となっています。2018年度は、前年度259件の差押えが88件に減っていますが、これからも差押えに力を入れていくとしています。差押えを強化しても根本的な解決にはなりません。分納相談や自立支援にこそ力を注き、国に対し国庫負担を増やすことを求め、区独自の繰入も行って支払える保険料水準に引き下げることが必要です。
次に、「介護保険事業会計決算」についてです。
介護保険では、訪問介護サービスなど利用者負担軽減のための助成を、3年間で段階的に廃止するなど、区の支援策が後退していることは問題です。
また、要支援1・2が保険給付から外されてから、利用できる限度額に対する利用割合が、2018年度は10年前に比べ、要支援1は42%から33%へ、要支援2は36%から22%へと、利用が大きく減っています。
必要な介護がお金の心配なく受けられるように制度を改善すべきです。
最後に、「後期高齢者医療会計決算」についてです。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出す制度は世界に類を見ません。75歳以上の人口増と医療費負担が保険料に直接跳ね返るしくみとなっているため、今後もさらに保険料が上がることは確実です。窓口での自己負担は、原則1割を2割に引き上げる計画があり、今でも住民税課税所得が145万円以上だと3割負担となります。
高い保険料と窓口負担、安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。
以上、各会計歳入歳出決算の認定に対する反対の理由を述べ、日本共産党中央区議会議員団の態度表明を終わります。