2019年 区議会第二回定例会 一般質問

2019年6月21日

日本共産党中央区議会議員 奥村暁子

【質問項目】

  1. 消費税増税について
  2. 年金問題について
  3. 平和問題について
  4. まちづくりについて
  5. 子育て支援について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して、19日に行なわれた新区長の所信表明に関連して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.消費税増税について

 初めに消費税増税についてお聞きします。
 安倍政権は今年10月から消費税率の8%から10%への引上げを予定しています。
 しかし、4月の内閣府の景気動向指数は、2カ月連続で景気の「悪化」を認める結果となっています。実質消費支出も実質賃金も1年前に比べマイナスです。安倍政権が2014年4月、消費税の税率を8%に引き上げて以来の消費の低迷は続いており、今年1~3月期の国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費も、昨年10~12月期に比べ0・1%減少しました。「頼みの綱」だった輸出も、中国経済の不振や米中の貿易摩擦などによって、2・4%もの大幅減少です。
 今年4月に実施された中央区景気動向調査でも、「景気回復までの道のりは依然として厳しい状況である」と指摘されています。
 そこでお聞きします。
 区長は所信表明の中で、「商業と観光が躍進し交流が生まれるまち中央区」を掲げており、江戸以来、中央区は商工業のまちとして栄えてきたことにも触れています。
 40年以上民間企業に携わり、副社長として事業経営に係わってきたという立場から、消費税増税が商工業と消費に与える影響をどのようにお考えですか。また、今の経済状況は消費税増税に耐えうると思われますか。区長の見解をお示しください。
 今、中小企業が支払う法人税の実質負担率が18%なのに対し、大企業の実質負担率は10%と低くなっているのが実態です。また、所得階級別の所得税負担率をみると、所得1億円では28・8%なのに対し、所得100億円では15・9%と、所得1億円をピークに負担率が下がっていくのが、今の日本の税制です。
 こうした税制を見直し、大企業には中小企業なみの法人税を払ってもらい、所得税の最高税率を上げるなどすれば、消費税増税に頼らずに、くらし向上や社会保障、教育・子育ての充実・支援策を実施するための財源をつくることができます。
 そこでお聞きします。
 社会保障の財源は消費税ではなく、大企業や超富裕層、大株主に応分の税負担を求めることが必要だと思いますが、いかがですか。お答えください。
 消費税増税が低所得者・子育て世帯に与える影響を緩和するため、中央区でも「プレミアム付商品券」が今年10月1日から販売されますが、対象となるのは区民税非課税者と、2016年(平成28年)4月2日から今年9月30日までに生まれた子を持つ世帯主のみと、非常に限定的です。
 購入限度額は1人につき2万円で5000円のプレミアがつくというものですが、消費税増税が実施されれば一生涯払い続けなくてはならないのに、「プレミアム付商品券」は一度限りの発行です。
 「ポイント還元」も打ち出されていますが、そもそもカード決済をしていない店が大多数であり、クレジットカードを利用しない高齢の消費者などにとっても何の恩恵もありません。
 そこでお聞きします。
 「プレミアム付商品券」や「ポイント還元」など対策に巨費を投じ、わざわざ増税分を戻すぐらいなら、最初から増税をやめればいいと思いますが、いかがですか。また、国に対しても、消費税増税を中止するよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

2.年金問題について

 次は年金問題についてです。
 区民生活を脅かす消費税増税に加え、今、少なすぎる年金もついても大問題になっています。
 金融庁の審議会が、年金暮らしの夫婦の平均収入と支出の差が月5万5千円、30年間で2000万円不足するとの報告書を出しました。年金を自動削減する「マクロ経済スライド」により、安倍政権のもとで年金は実質6・1%減らされています。現在41歳以下の人は夫婦でさらに30年間で1600万円カットされることも報告書では示されています。
 「100年安心の年金制度」といいながら、「老後は年金をあてにするな」と言わんばかりの政府の言い分に対し、「身勝手で無責任だ」との批判の声が日に日に高まっています。
 その上、金融庁の審議会報告書を麻生太郎金融相が「政府の政策スタンスと異なる」と受け取り拒否したことにも波紋が広がっていますが、国民の批判が広がったからと、あわててごまかすのではなく、年金の現状を国民に説明し、どういう年金制度なら国民の生活の安心がつくれるか真剣に議論すべきではないでしょうか。
 そこでお聞きします。
 区長は所信表明の中で、「高齢者がいつまでもいきいきと活動し、人生を謳歌して暮らし続ける」ことや「生きがいや役割を持って地域社会の担い手として活躍できる」ことを推進していくとしていますが、そのためには高齢者の暮らしを支える安心の年金制度が必要です。
 「マクロ経済スライド」を廃止し、減らない年金にすることや低年金者への上乗せなど、年金底上げが必要だと思いますが、いかがですか。また、年金底上げは景気対策にもなると思いますが、いかがですか。それぞれお答えください。

3.平和問題について

 次は平和問題についてです。
 2017年7月7日、国連総会で122カ国の賛成で核兵器禁止条約が採択されました。この条約は、核兵器を非人道兵器として全面的に禁止し、その廃絶の道筋を定めたものですが、日本政府は欠席しました。
 批准国は今、23カ国に上っています。こうした世界の声に応え、世界で唯一の被爆国である日本政府は核兵器禁止条約に批准し、核兵器廃絶の先頭に立つべきです。
 核兵器禁止条約採択に先立つ2016年4月には「後世の人びとが生き地獄を体験しないように、生きているうちに何としても核兵器のない世界を実現したい」という想いを持つ被爆者らの呼びかけにより、核兵器の完全廃絶を求める「ヒバクシャ国際署名」が始まりました。署名数は今(4月23日現在)、940万筆を超えています。
 こうして世界での非核・平和の流れが加速するなか、東京2020オリンピック・パラリンピック協議大会が開催されます。選手村がつくられる中央区から世界に向けて強力な平和のアピールが必要ではないでしょうか。
 そこでお聞きします。
 第一に、所信表明には、平和問題についてはふれられていませんが、中央区から平和のアピールをすべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、前任の矢田よしひで区長は、就任直後の1988年3月に「中央区平和都市宣言」を行いました。山本区長には、今の世界を取り巻く非核への流れを汲んで、ぜひ「中央区非核平和都市宣言」を行なっていただきたいと思いますが、いかがですか。
 第三に、「ヒバクシャ国際署名」には、東京23区では文京、豊島、江戸川、新宿の区長など8人が署名をしており、現在(4月24日)、全国では1135人と、過半数以上の首長が署名しています。区長にもぜひ署名していただきたいと思いますが、いかがですか。
 第四に、国に対し、核兵器禁止条約を批准するよう求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

4.まちづくりについて

 次はまちづくりについてです。
 区長は所信表明で、「ハートオブ中央区」として、東京の商業、経済を牽引していく「心臓部」の役割をはたしていくことを標榜しています。
 第一の政策としても「都心の魅力に磨きをかける中央区」と題し、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のレガシーとして、BRTや地下鉄新線の早期開通、日本橋上空の首都高速道路の地下化、築地市場跡地の活用などを列挙するなど、開発への意欲がうかがえます。
 6月11日の環境建設委員会では「令和元年度再開発事業等の取組」が報告されましたが、今後の再開発の取組は、昨年度より1件増え29件とのことです。中央区では1990年(平成2年)からの再開発事業で既に終了した16件と併せ、区内の再開発は合計で45件となっています。
 超高層建築物は周辺に日影や風害の被害を及ぼし、建物のボリュームが増すことにより従前建物よりも過大なCO2を排出するため、環境に与える負荷も増大します。また超巨大建築物にすることは地権者の権利を守るというよりも、むしろデベロッパーの利益をより増大させることに他なりません。
 これまで区は、区民の財産である区道を廃止するなどして、より大きな街区をつくり、ボリュームのある建物がつくれるよう積極的に協力してきました。日本共産党区議団はこうした問題を指摘し、まちづくりの転換を長年求めてきました。
 そこでお聞きします。
 環境に負荷を与える超高層建築物中心のまちづくりを見直す考えはありませんか。お答えください。
 人口が急増するもとで、学校の教室や保育所、学童クラブ、特別養護老人ホーム、コミュニティ施設などあらゆる施設が不足しているといった大きなひずみが生まれていることにも目を向けなければなりません。
 そこでお聞きします。
 市街地再開発をどんどんすすめてきたことにより、こうしたひずみが拡大していると思いますが、いかがですか。お答えください。
 区は、今年7月から地区計画を改定し、これまで民間のマンションに対して行ってきた1.2倍の容積率緩和廃止を決め、マンション建設の抑制に動き出しました。過大になりすぎたマンション建設や人口増に歯止めをかける必要性を感じているからに他ならないと思います。しかし市街地再開発は別枠でこれからも進めるとしていることは大きな矛盾です。民間の小・中規模のマンションにだけ緩和措置をなくすのではなく、巨大な再開発事業こそ見直していくべきです。
 そこでお聞きします。
 第一に、6月11日の環境建設委員会で質問した際、区は、住民から要望や相談があれば、今後も市街地再開発事業による超高層タワー型マンション建設を行なうことを否定しませんでした。
 超高層タワー型マンションは売れなくなってきています。市街地再開発による超高層タワー型マンション建設が未来永劫続くことはあり得ないと思いますが、いかがお考えですか。
 第二に、区は、これまでのような権利変換型ではない共同出資型による老朽家屋更新についても必要性を感じていると述べていました。
 区として、共同出資型による共同建替や老朽化したマンションの建替えをすすめるため、庁内でのプロジェクトチームの立ち上げや、専門家との研究・協議などが不可欠だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

5.子育て支援について

 次は子育て支援についてお聞きします。
 政府は、消費税増税とセットで、幼児教育と保育の「無償化」を打ち出しました。
 経過措置期間の5年間は保育士がいない施設も給付対象とし、指導監督基準以下の施設も容認するとしており、制度としても矛盾だらけです。
 今でさえ認可外保育施設への児童福祉法に基づく立ち入り調査は68%しか行われてないにもかかわらず、「無償化」によって調査対象施設は1・7倍に増え、厚労省自身も十分な指導監督はできないことを認めています。これでは安心・安全な保育は保障できません。
 国はこの間、認可外保育施設の一つである企業主導型保育を待機児童の受け皿として推進してきましたが、企業主導型保育は、突然の閉園や助成金の不正受給、75%の施設で基準違反が見つかるなど、問題が相次いでいます。助成金の決定を行う児童育成協会の審査は、たった5人による年3回の会議で行われており、現地確認できたのは約2600施設の内、わずか6件でした。
 そこでお聞きします。
 中央区では、2016年3月、日本橋室町にある企業主導型の先行的な事業所内保育所内で、1歳2カ月の男児がうつぶせ寝でのお昼寝中に亡くなるという痛ましい事故がありました。
 区長は、所信表明の中で、「子どもも親も安心して輝ける子育て・教育の中央区」を掲げ、「保育環境のさらなる向上を目指」していくと述べています。「無償化」により、指導監督が不十分な上に、認可基準以下で安易に整備・運営できる認可外保育施設が区内で拡大することは、「安心」とは程遠いと思いますが、いかがですか。また、区として保育の質をどう担保していくおつもりですか。それぞれお答えください。
 幼児教育と保育の「無償化」は、公立保育所をさらに減らすという点でも問題です。
 公立保育所の数は、地方行革の押し付け、運営費・整備費の一般財源化によって、この20年間で3割も減少しています。「無償化」により私立保育所には国から2分の1補助が出るのに対し、公立保育所は区市町村負担の10割負担です。「無償化」により公立保育所の廃止・民営化がいっそう加速することが懸念されます。
 そこでお聞きします。
 中央区では今後も、公立保育所の民間委託などはおこなわず、質を確保した公的保育を維持・拡充していくことを求めますが、いかがですか。お答えください。
 幼児教育と保育の「無償化」といいますが、そもそも保育料はすでに所得に応じ段階的になっており、保育料が免除されている住民税非課税のひとり親世帯などでは「無償化」による恩恵はなく、今は保育料に含まれている3~5歳児の給食おかず費を施設側に徴収させることになれば、逆に負担が増えてしまいます。
 そこでお聞きします。
 「無償化」といいながら、保護者の負担が増えることにならないよう求めますが、いかがですか。
 多くの保護者が願っているのは認可保育所です。今年も保育園待機児童は197人で昨年より増えており、認可保育所に入れず、やむなく他の保育施設などに入っている、いわゆる「かくれ待機児童」は410名となっています。認可保育所の増設により、待機児童解消をはかるべきだと思いますが、いかがですか。お答えください。

 次は学童クラブ整備についてです。
 中央区では小学校2年生になれば、待機児童となってしまうなど、学童クラブ不足も深刻です。
 6月14日の子ども子育て・高齢者対策特別委員会で、学童クラブ整備について質問しましたが、区では現在8館ある学童クラブを改修・改築する予定も、新たに増設する予定もないとのことでした。
 区内にある全8館の学童クラブは全て児童館と併設されていますが、その内の6館では国が定めた子ども一人当たりの面積基準を満たしておらず、子どもが詰め込まれている状況です。区は、児童館部分の活用により定員を増やしていると言いますが、それでは何のために学童クラブの基準が設けられているのかわかりません。
 区は、学童クラブ待機児童の受け皿として、小学校の校舎内で実施されているプレディとの連携を強化し対応すると言いますが、プレディ自体も学童クラブ待機児童増に伴い、登録者数は急増し、込み合っている状況です。小学校はどこも教室数が足りず、プレディの部屋を拡大することもできません。そもそもプレディは、子どもの受け入れ人数の基準も職員の配置基準も存在しない施設ですが、詰め込むにも限界があります。
 学童クラブもプレディも、子どもが詰め込まれている状況を改善することは、喫緊の課題です。
 そこで区長にお聞きします。
 第一に、学童クラブでもプレディでも、子どもが詰め込まれている状況を、どう改善するおつもりですか。
 第二に、区長は所信表明の中で、「プレディで学童クラブ待機者も受け入れ、預かり時間などほぼ同様のサービスを受けられる体制をとって」いると述べていますが、プレディは教育委員会、学童クラブは福祉保健部と所管も違う別の施設です。もともと受け皿としてつくられたプレディで解消を図るのではなく、学童クラブ自体を増やしていくことが必要だと思いますが、いかがですか。
 第三に、晴海4丁目に区が整備する予定の複合施設や、選手村跡地に整備されるマンション郡「晴海フラッグ」の中で、児童館や学童クラブ整備をきちんと位置づけるべきだと思いますが、いかがですか。
 以上で1回目の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

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