議案第56号「特別区道の路線の認定及び変更について」に対する反対意見を述べます。
本議案は、東京都市計画東京駅前八重洲一丁目東B地区第一種市街地再開発事業及び八重洲一丁目東土地区画整理事業の一体的施行に伴い、道路法(昭和27年法律第180号)第八条弟二項及び第十条三項の規定に基づき、新たに特別区道中日第335号線および特別区道第336号線を認定するとともに、特別区道中日第286号線、特別区道中日第288号線および特別区道中日第290号線を変更するものです。
特別区道中日286号線、特別区道中日288号線、および特別区道中日290号線を、区が短縮することにより、八重洲一丁目東B地区は、敷地を分断されることなく、より大きな街区として再開発できることになり、地上54階建・地下4階、高さ約250mという巨大な建物がつくられます。
国の「世界で一番ビジネスのしやすい環境を整備する」という国家戦略特区構想に基づき、東京駅前八重洲では、本計画の他に、八重洲二丁目北地区および八重洲二丁目中地区でも同様に第一種市街地再開発事業として計画がすすんでおり、駅前の景観は今後、様変わりすることになります。
八重洲一丁目東B地区では「国際競争力を高める都市機能」を導入するとしてカンファレンスセンターや国際医療施設などが整備されることに加え、住宅や事務所、宿泊施設、地下にはバスターミナルもつくられる巨大な計画です。
区民の貴重な財産である区道を改廃し、莫大な区民の税金を補助金として再開発に投入することは、結果としてデベロッパーの利益を増大させることに協力していることになります。巨大開発が環境にかける負荷が大きいこと、東京一極集中を加速させること、オフィスビル需要の不透明さ、などについては、これまでも繰り返し指摘してきましたが、問題は拡大するばかりです。
東京駅前の建物の老朽化や防災性の低下、小規模事務所の一部が風俗店として利用されるなど環境悪化への対応は必要ではあるものの、その対応策として必ずしも巨大再開発しかないとは思えません。(需要予測も立たないなか)バスターミナルを整備し交通利便性を高めることと、50階を超える巨大なタワー建設の必要性もリンクしません。
むしろ、八重洲の地域特性である江戸時代から続く東西南北の町割りが、巨大再開発によって分断されてしまうことは、まちの価値を損なうことになるのではないでしょうか。また、巨大なタワービルが林立することにより、東京駅への風の道を遮るということも問題です。
以上の理由から、議案第56号「特別区道の路線の認定及び変更について」に反対します。