「議案第24号 中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する反対意見

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

「議案第24号中央区国民健康保険条例の一部を改正する条例」に対する反対意見を述べます。
 本議案は、国民健康保険法施行令の一部を改正する政令(平成31年政令第15号)の施行等に伴い、保険料率、賦課限度額の改定、及び均等割額から減額する額の改定を主な内容としています。

昨年(平成30年・2018年)4月から、国民健康保険事業は都道府県単位で運営する大きな「制度改革」が始まりました。
都は区へ保険給付に要する費用を全額交付し、区は都が決定する「国民健康保険事業費納付金」を納付することになります。
新年度(2019年度)の納付金は、約49億円で、前年(2018年)比8000万円増、一方被保険者数は650人減なので、保険料の負担増要因となっています。

 保険料率の改定では、保険料の基礎賦課(医療)分および後期高齢者支援費分で、所得割は0.05%引き下げ9.49%に、均等割額は、5万2,200円へ1,200円増額するというものです。
 保険料の均等割軽減制度の判定所得の見直しについては、所得金額の引き上げによって5割軽減と2割軽減の対象者を広げることになるので評価するものです。

 今回の改定で、中央区での一人あたりの保険料は、14万8,080円に(5,154円増)、40歳以上65歳未満の人は介護納付金もあわせると18万3,218円(7781円増)になります。
 モデルケースとして示された収入200万円の給与所得者3人世帯で、保険料は24万6千円、収入の12%を占めるものとなっています。また保険料の増加率は収入が低い世帯ほど高くなっています。
 今でも高すぎて払えないと悲鳴が上がっているのに、保険料を引き上げることは容認できません。

 国民健康保険における「法定外繰入の削減・解消」をめざす「制度改革」で、保険料が引き上がる要因となっていることは問題です。
 第1に「制度改革に伴う公費財政支援策」として、国が毎年3400億円、都独自に2019年度11億円をおこなうとしていますが、国保の財政を支えるために、公費負担を抜本的に増やすべきです。

 第2に、特別区の激変緩和措置で納付金額の5%相当額を法定外繰入で対応するとしていますが、6年間で繰入をなくすため、毎年1%ずつ減らし、法定外繰入を2023年には解消する予定です。繰入措置は継続すべきです。

 第3に、中央区における法定外繰入額は、特別区の激変緩和措置による2億4500万円と、区独自の介護納付金分で4,700万円となっているとのことです。
 しかし「制度改革」前の2017年度には、国保への法定外繰入は4億9千万円計上されていました。新年度は実質2億9千万円に激減しています。
 保険料を引き下げるためには、法定外繰入を増額することが必要です。

 第4に、協会けんぽなどの被用者保険と比べて、保険料が著しく高くなる大きな要因となっている「均等割」は、家族が一人増えるごとに5万2,200円加算され、特に多子世帯に重い負担となっています。
 区は「政令上一律の軽減制度はできない」としていますが、他自治体ではすでに多子世帯への減免制度を導入しています。子育て支援に逆行する不合理な「政令」を改定するよう働きかけることと合わせ、他自治体の取り組みを参考にして、「多子世帯」への均等割の軽減策をはかるべきです。

 国民健康保険は、憲法25条に基づく社会保障の制度です。財政の安定化だとして、国保加入者に、保険料負担の引き上げを求める道は破綻しています。「持続可能な医療保険制度を構築する」というのであれば、全国知事会が政府に要望している「1兆円の公費負担増」を行ない、財政の安定化をはかって、保険料を協会けんぽ並みに引き下げるべきです。
 国民皆保険制度が根底から破壊されかねない国民健康保険料の値上げを認めることはできません。
 以上の理由で、日本共産党中央区議会議員団は、「議案第24号」に反対します。

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