2018年 区議会第四回定例会 一般質問

2018年11月26日

日本共産党中央区議会議員  奥村暁子

【質問項目】

  1. 国益を損ねる安倍政権について
  2. 消費税増税について
  3. 築地の今後について
  4. 大規模開発優先の税金の使い方について
  5. 国民健康保険について
  6. 保育ママのもとでの死亡事案について
  7. 市街地再開発事業における駐輪スペース設置について

 日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。

1.国益を損ねる安倍政権について

 はじめに、アメリカ、ロシアに屈し、国益を損ねる安倍政権についてお聞きします。
 11月14日、安倍晋三首相は訪問先のシンガポールでロシアのプーチン大統領と会談し、1956年の日ソ共同宣言を基礎として、平和条約締結を加速させることで合意しました。
 この56年の日ソ共同宣言には、平和条約締結後に「歯舞群島、色丹島を日本に引き渡す」と明記されていますが、国後・択捉などには言及がなく、主権については不確定なまま、現在に至っています。
 今後、両首脳は主権をあいまいにしたまま、「2島先行返還」も視野に交渉を進めていく可能性があります。しかし、平和条約を締結してしまえば、国境線は画定され、それ以上の領土返還交渉の道は閉ざされることになります。2島返還で平和条約を結ぶことは歴代日本政府の立場の自己否定となり、ロシア側の主張への全面屈服になるため、絶対にしてはいけません。
 日本とロシアの領土問題の根本には、第2次世界大戦の戦後処理の不公正と、それを正すことができない歴代日本政府の道理ない外交政策があります。
 そもそも歯舞、色丹は北海道の一部であり、国後から占守(シュムシュ)まで千島列島全体は、1875年の樺太(からふと)・千島交換条約で日本の領土として確定しているものです。
 しかし、第二次世界大戦後、旧ソ連のスターリンは、1941年の大西洋憲章と1943年のカイロ宣言で確認された「領土不拡大」という戦後処理の大原則を破り、1945年のヤルタ秘密協定で「千島列島の引き渡し」を要求しました。アメリカ、イギリス側がこれに応じて協定に書き込み、その延長線上で日本政府は1951年のサンフランシスコ講和条約で、旧日米安保条約の締結とあわせて「千島列島の放棄」を宣言しました。
 ところが自民党政権は、戦後処理の不公正にメスを入れないまま、サンフランシスコ講和条約を不動の前提として「国後、択捉は千島にあらず。だから返還せよ」と主張してきました。
 「国後、択捉は千島にあらず」との主張は、アメリカの入れ知恵で1955年に突然始まったものですが、歴史的にも国際法的にも通用しない主張です。今日まで領土交渉が進んでいない事実をみても、その破綻は明らかです。
 領土問題を根本的に解決するためには、ソ連などを除いた「単独講和」であるサンフランシスコ講和条約の千島関連条項を廃棄・無効化し、国際法と歴史的事実に基づいて道理ある解決を目指し、本腰を入れた国際交渉が必要です。一度結んだ条約でも国際法と民主主義の道理にてらして、問題があればそれを是正することはできます。
 現に、スターリンが第2次世界大戦時に不当に行ったバルト3国の併合、ポーランドの一部地域の併合はほとんどが既に解決しています。千島列島だけが未解決で残されているのです。
 戦後処理の不公正をただし、全千島返還を要求する国際法上の立場を確立して、正面から全面返還を求める交渉を行ってこそ、解決の道が開かれます。
 そこでお聞きします。
 第一に、歯舞、色丹は北海道の一部であり、千島列島は日本の領土だという歴史的事実について、どう認識していますか。
 第二に、歯舞、色丹の「2島先行返還」はありうることですが、その場合、中間的な条約と結びつけて処理することとし、平和条約は領土問題が最終的な解決に至った段階で締結すべきだと思いますが、いかがですか。
 第三に、60年以上にわたり日ロ領土問題が前進しなかったのは、「国後・択捉は千島にあらず。だから返還せよ」という日本政府の主張が、歴史的事実に照らしても国際法的にも通用しない主張だったことにあります。このことを正面から認め、領土交渉の方針の抜本的な再検討をすべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 次は日米地位協定についてです。
 今年7月、全国知事会は、①米軍への国内法の適用、②事件・事故時の自治体職員の立ち入りの保障など、日米地位協定の抜本的な見直しを求める提言を採択しました。これは、沖縄県の故・翁長雄志知事の下で研究・検討され、第二次世界大戦敗戦国のドイツとイタリアが、米国と結んだ地位協定の現状をまとめた報告が基調となっています。
 ドイツやイタリアでは国民世論に応える形で地位協定は改定されており、全国知事会の提言は主権国家として当然の要求です。
 沖縄では、MV22オスプレイの墜落や小学校・保育園への米軍機の部品落下など事故が相次いでいますが、警察や自治体職員が現場に立ち入ることもできません。
 米軍横田基地には10月からCV22オスプレイが配備されましたが、夜間訓練の増大や住宅地でのホバリングにより住民から「家が壊れる」「壁にヒビが入った」などの訴えが出され、騒音の被害が広がっているのに、国の対応は全く後ろ向きです。すべての根本には日米安保条約に基づき、在日米軍に異常な特権を与えている日米地位協定があります。
 そこでお聞きします。
 第一に、米軍基地に立ち入る権利、訓練等の事前許可や通知、国内法の適用が実現されているドイツやイタリアと比べ、事故が起こっても日本が指1本触れることができない現状をどうお考えですか。また、他国と比べあまりに不平等な日米地位協定の改定を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、在日米軍はCV22-オスプレイを、沖縄県以外で初めて横田基地に配備し、関東一円で危険な訓練を行っていますが、都民の命と安全・安心を脅かす危険なオスプレイ配備撤回を国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 次は9条改憲についてです。
 安倍首相は、執拗に改憲への旗を振り続けています。
 改憲を急ぐ背景にあるのは、アメリカの存在であることは、事実が証明しています。
 たとえば、2004年7月の参院選直後に、アーミテージ米国務副長官(当時)が「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つ」と発言し、8月には、パウエル国務長官(当時)が「日本が安保理の完全なメンバーとしての義務を負うのであれば、その観点から憲法9条を再検討する必要がある」と発言するなど、アメリカ政府高官が相次いで、改憲について内政干渉していました。
 アーミテージ氏は2000年、07年、12年の3度にわたり安全保障対日要求報告を発表し、「日本が集団的自衛権を禁止していることが同盟協力の制約」だなどと、改憲を露骨に迫っていました。
 そこで区長にお聞きします。
 第一に、いま、安倍首相が、必死になって9条改憲に走るのは、このようなアメリカの意向に沿って日本を「戦争ができる国」に変えたいと思っているからだと考えますが、いかがですか。
 第二に、アーミテージ米国務副長官が発言したように、「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つ」だと区長は思いますか。
 第三に、千島問題も日米地位協定の問題も9条改憲も、すべて根本に横たわるのは日米安保条約ではないでしょうか。日本がアメリカの従属的な支配から脱し、真の主権国家として地位を確立するためには、日米安保条約を廃棄することが必要だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

2.消費税増税について

 次は消費税増税についてです。
 安倍首相は、来年10月からの消費税率10%への引き上げを強行する立場を繰り返し述べています。
 消費税はもともと低所得者ほど負担が重い逆進的な税金であるうえに、今回の増税は「軽減税率」を導入するなど格差をいっそう拡大する中身です。
 区長は、区議会第3回定例会で、わが党の小栗議員の質問に対し「消費税率の引き上げについては、軽減税率による低所得者対策を講じ」るとし、消費税増税を肯定する立場を示しました。
 「軽減」と言っても現在の8%の税率はそのままであり、0%になるわけではないので、軽減でも何でもありません。たとえ軽減税率が生活必需品に適用されても、高所得者も同じように恩恵を受けるので、低所得者との格差が縮まるわけでもありません。
 また、「ポイント還元」を打ち出していますが、そもそもカード決済をしていない商店が大多数であり、クレジットカードを利用しない高齢の消費者などにとっても何の恩恵もありません。
 その他、低所得者対策として打ち出した「プレミアム付き商品券」や「マイナンバーカード・ポイント還元」もうたわれていますが、増税分を戻すぐらいなら、最初から増税をやめればいいのではないでしょうか。
 生活必需品を含め原則としてあらゆる商品やサービスに課税される間接税=消費税が逆進的な税金であることは、マルクスが活動した19世紀から問題になってきたことです。同じ時代の政治学者ラサールは『間接税と労働者階級』という本の中で、間接税は「比較的貧困な階級に過大な負担をかける」と批判しました。現在、内閣官房参与を務めている藤井聡・京都大学大学院教授も「10%への増税は日本経済を破壊する」と警告しています。
 そこでお聞きします。
 第一に、所得に占める消費税の負担割合は低所得者の方がより高いという実態について、いかがお考えですか。また、軽減税率を実施しても格差や不公平感は解消されないと考えますが、いかがですか。
 第二に、混乱を招きかねない複雑なシステムをつぎはぎして増税分を戻すぐらいなら、最初から増税をやめればいいと思いますが、いかがですか。また、区民に多大な負担を強いる消費税10%への増税は中止するよう国に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 消費税増税について、区長は「引き上げ分を社会保障財源とするものであり、高齢化などにより今後も増大する社会保障費を賄うためのもの」とも答弁しています。しかし、それは事実でしょうか。
 消費税が始まってから30年間の税収は372兆円、その間の法人税の減税は291兆円、消費税収の8割が法人税減税で消えたことになります。第二次安倍政権発足以来、この6年間で、年金、医療、介護、生活保護を5兆6千億円も削減しました。そのうえ財務省は、今月の審議会で、75歳以上の方が病院で払う医療費を2倍にする、介護保険の利用料を1割から2割に引き上げるなど、今後の社会保障改悪メニューを示しています。消費税増税は社会保障のためには使われておらず、法人税減税分の穴埋めに使われているのが実態なのです。
 そこでお聞きします。
 第一に、消費税増税が社会保障のためには使われておらず、法人税減税分の穴埋めに使われている実態をどう認識していますか。
 第二に、社会保障などに必要な財源は、低所得者に負担が重い消費税に頼らず、空前の利益をあげている大企業や高額所得者の適切な税負担を中心に確保すべきだと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

3.築地の今後について

 次は、築地の今後についてです。
 多くの方々が不安な気持ちをいだいたまま、豊洲市場が10月11日に開場されて、1カ月半が経ちました。
 小池都知事が「食の安全・安心を守る」「築地は守る」という公約を破り、豊洲新市場への移転を強行したことに、日本共産党区議団は強く抗議するとともに、築地市場の解体工事の中止を求めます。
 豊洲市場では、地盤沈下によるひび割れが起きたり、環境基準を超える汚染物質がひきつづき検出され、マンホールからは未処理の地下水が噴出しています。また、交通アクセスの悪さ、物流動線の悪さ、空調の風で冷凍マグロが溶けてしまう、低温管理が不十分で室温が高い、カビが発生する、排水溝がつまる、悪臭がひどい、海水で床を洗えない、スロープの安全性や耐荷重が不足している問題など、開場前から指摘されていた問題が山積したままです。専門家や市場関係者、都民からは首都直下地震発生時の液状化に対する懸念も出ており、あらゆる面から見ても、豊洲市場が今後、使用できなくなる可能性は捨てきれません。
 そこでお聞きします。
 第一に、豊洲市場の欠陥について、ただちに改善することを都に求めるべきだと思いますが、いかがですか。
 第二に、豊洲市場は、早晩、使用が不適切になる可能性があります。その時の受け皿として築地市場が必要になると思いますが、いかがですか。
 第三に、小池知事は昨年6月、「築地は守る、豊洲を活かす」とする基本方針を打ち出しており、豊洲市場で営業をスタートした市場業者の方たちからも「築地市場は解体しないで戻れるようにしてほしい」との声が寄せられています。築地市場は建築家や研究者から「基本構造をのこしてリニューアルすれば、築地の歴史と文化を再生できる」「築地市場の骨格構造を残せば、世界遺産に登録させる可能性は十分ある」などと、その価値が高く評価されており、建物を保存・再生・活用することは、築地のまちの価値を高め、中央区にとっても意義深いものになると思いますがいかがですか。建物を残すために東京都に対し、築地市場の解体工事中止を要請することを求めますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 日本共産党区議団は、場外市場や築地のまちなど地域を回り、市場移転後、どのような影響が出ているか、ご商売をされている方、住民の方などから聞き取り調査を行っています。その中で、様々な貴重な声を直接聞くことができました。
 築地市場移転後の築地場外市場では、観光客が減り、寿司屋などの飲食店で「売り上げが落ちた」といったなげきが聞かれ、まち全体としても人通りが減るなど様々な影響が出ています。
 築地のお店では「市場での仕事帰りに寄って酒を買っていったお客がいなくなり、売り上げが激減した」という声や、昼から営業している居酒屋では「市場関係者の客がごっそり来なくなった。大体7割減」という声、「豊洲への仕入れに行くが時間がかかる」という飲食店店主の声、「マンション住民が減っている」「市場関係者の事務所が移転し、空き室が増えた」「まちに地上げ屋が出没している」という声、「築地のホテルは市場見学目的のお客が来ないからか宿泊客が減っている」という声などがありました。「移転を機に廃業した」という仲卸の方もいました。
 築地のまちを歩いて調査したのですが、あちこちでマンション建設がすすんでおり、築地らしさが失われ、特徴のない画一的な街並みに変わっていくのではないか、と危惧します。
 築地市場が移転したことにより影響を受けた区内の様々な業者や店舗のため、また今後の築地のまちの発展のために、区の積極的な対応が求められます。
 そこでお聞きします。
 第一に、場外市場の業者や周辺の飲食店などの関係業者、また町の方たちから、今現在、どのような声を聞いていますか。できるだけ詳細にお答えください。
 第二に、区として今後、売上げが落ちている各種店舗への支援やまちの活気を取り戻すため、対応すべきと考えていることをお示しください。
 第三に、築地らしさ、築地の魅力とはどこにあるとお考えですか。築地のまちの良さをどのように継承すべきとお考えですか。
 第四に、築地のまちでマンションが乱立しているのはなぜだとお考えですが。開発により、町の景観が変わり、郵便局がなくなるなど、住民の不安はつのるばかりです。区として対策を講じるべきだと思いますが、いかがですか。
 第五に、今後、区がまちのニーズに応え、的確な支援策を講じるためにも、まず築地市場がなくなったことによる影響調査に早急に取り組み、調査を継続していくことが必要だと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

4.大規模開発優先の税金の使い方について

次は、大規模開発優先の税金の使い方についてです。
 東京都総務局の「特別区決算状況」などを元に23区を比較すると、歳出総額に占める「土建費」の割合は、2013年度から2017年度まで、中央区は23区の中で連続して1位となっており、2018年度予算でも1位という状況です。区民1人あたりの「土建費」の金額も2014年、2016年は23区で1位、それ以外の年も2位となっています。
 とりわけ中央区では市街地再開発事業に対し、2016年度は145億円、2017年度には123億円もの補助金が投入されました。しかし、市街地再開発事業などの大規模開発を進める中で、中央区の歴史や文化、街並みが破壊され、タワーマンション建設による住民同士の分断、急激な人口増に追い付かない行政サービスへの不満、さらに地区計画の変更によるホテル誘致の促進への反発や容積率緩和の撤廃による住宅の建て替えの不安などが広がっています。
 その一方で、今年の夏は記録的な猛暑だったにもかかわらず、区は生活保護世帯への夏季見舞金を打ち切ってしまうなど、福祉の切り捨てが冷たく行われています。夏季および歳末見舞金は約1000万円で継続できる事業です。これまでに、出産支援タクシー券や敬老祝い金なども引き下げられてきました。
 また、11月16日時点で1367人と増加し続ける認可保育所への待機児童、学童保育の定員数と低学年児童数に占める割合、すなわち学童保育普及率が23区で最下位など、区民の切実な要望に応えられていません。
 そこで区長にお聞きします。
 第一に、23区で、土建費が第1位という現実をどのように認識していますか。
 第二に、税金の使い方が、大規模開発優先、区民生活後回しになっているのではありませんか。
 それぞれお答えください。

5.国民健康保険について

 次は国民健康保険についてです。
 中央区では、高すぎる国民健康保険料が払えず、滞納している世帯は2割にのぼっていますが、国保会計への補助を2億円も削り、今年も保険料が1人あたり4000円引き上げられました。
 国民健康保険は、国民皆保険制度の重要な柱を担う制度で国民の4人に1人、中央区では5人に1人が加入しています。高すぎる保険料は、住民の暮らしを苦しめているだけではなく、国保制度の構造的な危機となり、医療保険制度としての持続性を揺るがしています。
 加入者の1人当たりの平均保険料は、政府の試算でも、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの
 1・3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1・7倍という水準です。
 全国の滞納世帯は289万世帯で、全加入世帯の15%を超えていますが、中央区は全国平均より多い20%となっています。
 中央区での国民健康保険料の滞納世帯数は2014年度から2017年度の過去4年間、6000世帯前後で推移しており大きな変化はありませんが、滞納世帯に対する差し押さえ件数は、2014年度の7件から2017年度は259件と37倍の数に激増しています。計算すると、2017年度は滞納世帯の22世帯に1件(滞納世帯全体の約5%)の割合で差し押さえが行われていることになります。
 そこでお聞きします。
 第一に、滞納世帯の所得階層をお示しください。
 第二に、今年3月の予算特別委員会で差し押さえ件数の増加について質問した際、再三の通知、督促、催告にも応じていただけない方に資産調査をし、差し押さえにつながっているという答弁がありました。また、「悪質な滞納者が少なからずいるのが主な要因」という答弁もありました。2017年度に差し押さえさえが行われた259世帯は「資産調査」を行った上で「悪質」だと判断し、差し押さえを行ったということなのでしょうか。差し押さえられた方たちへの資産や預貯金はどのようになっていますか。また、この259世帯の所得階層をお示しください。
 第三に、予算特別委員会では「給与口座、年金口座の差し押さえについては、極力行わないようには努めている」との答弁がありましたが、259件のうち、給与口座、年金口座の差し押さえは何件あったのでしょうか。
 第四に、2017年度から差し押さえのノウハウを持つ非常勤職員の徴収専門員を1名、今年2018年度からは2名増やし計3名で滞納処分を強化しています。今後も徴収専門員を増やし、さらなる差し押さえ強化をするおつもりですか。差し押さえ件数の目標値を定めているのでしょうか。また、徴収率に応じて交付金が自治体に支払われる「保険者努力支援制度」は、差し押さえ件数を自治体間に競わせるもので問題だと思いますが、区の認識をお示しください。
 第五に、「差し押さえというのは滞納者との接触する機会をふやすという観点から、重要である」「差し押さえをすること」は「収納相談の重要な機会と捉えている」との答弁もありましたが、差し押さえを行った259件のうち、分納などの収納相談や生活困窮者自立支援、多重債務相談などにつながったケースはそれぞれ何件あったのかお示しください。
 第六に、全国知事会、全国市長会、全国町村会などの地方団体は、国保を持続可能とするためには抜本的な財政基盤の強化が必要だと主張し、「1兆円の公費負担増」を政府に要望しています。1兆円の公費負担を増やすことで、協会けんぽ並みの保険料に引き下げることは、今、あらゆる自治体、団体、政党の垣根を超えて協力すべき、待ったなしの課題です。国に対し、公費負担の引き上げを、今まで以上に強く求めていただきたいと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。

6.保育ママのもとでの死亡事案について

 次は、保育ママのもとでの死亡事案についてです。
 第三回定例会でも小栗議員が質問しましたが、あらためて質問します。
 今年7月27日、日本橋の保育ママのもとで、生後11カ月のNちゃんがお昼寝中に亡くなりました。
 認可保育所を希望しても入れないため、保育ママを利用せざるを得ない方もいる中、中央区内の保育ママでの死亡事故は、これで3件目です。1件は病死扱いとなっているものの、2011年、2016年、そして今回の2018年で、いずれも0歳~1歳の乳幼児です。2016年には区内の認可外保育所でも1歳2カ月の男の子がお昼寝中に亡くなっています。なぜ、こんなにも死亡事故が相次ぐのでしょうか。とりわけ保育ママのもとで死亡事故が繰り返されるのはなぜなのでしょうか。
 事故の教訓は活かされているといえるのでしょうか。愛おしくかけがえのない我が子を亡くした親に、区はどのように寄り添ってきたのでしょうか。保育ママを認可し、保育ママを紹介しているのは中央区です。死亡事故を根絶し、幼い命をまもる責任が中央区にはあります。
 今回の死亡事故の検証と再発防止のため、区は事後的検証委員会を設置しました。9月18日に第1回検証委員会が既に開かれていますが、管轄している内閣府に確認したところ、保育ママでの死亡事故に関して検証委員会が開かれるのは、全国でも中央区が初めてとのことでした。また、内閣府でこれまで確認できている保育ママでの死亡事故自体、中央区だけとのことでした。
 保育ママでの死亡事故が中央区でだけ相次いで起き、全国で初めて検証委員会が設置されるという事実はきわめて重大だと言えるのではないでしょうか。
 そこでお聞きします。
 第一に、我が子を突然亡くしたお母さん、お父さんの受けた衝撃と悲しみは想像を絶するものがあります。Nちゃんが亡くなってから現在まで、区は、ご両親に対してどのように向き合い、どのような対応をしてきましたか。詳しくお聞かせください。
 第二に、事故当日、16時50分頃、睡眠チェック時に呼吸がないことが確認されてから救急車を要請するまで14分かかったと聞いています。区の報告によると、当時、保育ママと保育補助者がいたということですが、複数名いながらなぜ迅速に救急車を呼ぶことができなかったのですか。
 第三に、2016年3月31日付で内閣府から出された通知には、検証についての基本的な考え方として「事故に遭った子どもやその保護者の視点に立って発生原因の分析等を行うことにより、必要な再発防止策を検討するために行う」と書かれています。Nちゃんの保護者の方と十分に話をし、保護者方の視点に立った検証はされていますか。
 第四に、保育ママは、区が認可し、認可保育所に入れないお子さんを区が紹介する事業であるため、区の責任は大変重大だと思いますが、その認識はありますか。
 第五に、全国的に見ても中央区でだけ保育ママでの死亡事故が相次いでいるという事実をどのように受けとめていますか。
 第六に、検証委員会には、NPO法人家庭的保育全国連絡協議会会長が参加しています。その家庭的保育全国連絡協議会は「家庭的保育の安全ガイドライン」を出しています。その中では「乳幼児突然死症候群(SIDS)への対応と乳児窒息予防」として、「うつぶせ寝」「妊娠中の喫煙」「赤ちゃんの周囲での喫煙」「人工栄養」「未熟児」「肺炎」などへの確認を指摘するとともに、保育をする上でのいくつかの注意点が指摘されています。それらにもとづいて再発防止のために検証すべきチェック項目は、
①熱や風邪症状、鼻閉を確認していたのか。②保育者が常に寝ている子どもの顔が見えるような位置に寝かせていたのか。③よだれかけを外してから寝かせ、顔は寝具で覆われないように注意していたのか。④顔の近くにぬいぐるみなどを置いていなかったのか。⑤子どもの布団は堅いものを使用していたのか。⑥子どもを暖めすぎていなかったのか。⑦子どもが寝返りをし、うつぶせ寝や横向き寝になった場合は、必ず仰向け寝にしていたのか。⑧午睡中に、すべての子どもの呼吸確認を5分ごとに、健康観察チェック表(参考資料Ⅲ-2)に記録していたのか。⑨救急車には、誰が同乗したのか、などがあげられます。
 検証委員会では、これらのチェック項目について、調査をするのかお聞かせください。また、検証委員会で行わないならば、区が調査するべきだと思いますがいかがですか。
 それぞれお答えください。

7.市街地再開発事業における駐輪スペース設置について

 次は、市街地再開発事業における買い物客などの駐輪スペース設置についてです。
 市街地再開発事業により建てられ、保健センターや月島保育園など区施設も敷地内に併設されている月島2丁目のタワー型マンション、ムーンアイランドタワーの敷地内に、今年5月7日からロープが張られ、自転車が締め出されるという状況が続いています。
 2002年(平成14年)に竣工した時から買い物客などの自転車が駐輪されていたスペースの突然の閉鎖に、住民から戸惑いや怒りの声が上がっています。
 当該マンションにはスーパーマーケットや飲食店小売店などが入居しているため、自転車利用者は多く、「理由の説明もなく、急に締め出され困っている」「ロープ脇に自転車を停めたら、撤去を予告する張り紙を貼られた」「歩きではとても買い物した荷物を持って帰れない」「地下の区立駐輪場利用を促されたが、高齢だし、とても引っ張っていけない」「締め出されたことで、歩道や裏道での駐輪が増えており道を歩きづらい」など様々な声が寄せられています。
 今、大規模改修の工事中であり、工事終了時には締め出しロープを撤去する予定となっているそうですが、その時には以前と同様に駐輪スペースとして利用できることを住民の方は願っています。
 もともと買い物客などのために設置されている駐輪スペースは区施設側30台とマンション側30台の計60台分があるものの、店舗従業員の利用で埋まっているなど、買い物客などのための十分な駐輪スペースがないことが問題であり、そもそも市街地再開発計画の中ではどのように位置づけられていたのか疑問です。
 多くの店舗が入居する大型マンションで、自転車を利用する買い物客や通勤者が集まるのは想定できることであり、居住者向けとは別に買い物客などに対応する十分な数の駐輪スペースを事業者側の責任で設置することは必要なことではないでしょうか。
 同じように多くの店舗が入居するタワー型マンションで、勝どきビュータワーや浜町トルナ―レなどでも自転車が集中していると地元の方から聞いていますが、どれも市街地再開発事業により建てられたものです。
 そこでお聞きします。
 第一に、市街地再開発事業は区も多額の補助金を投入し、すすめる事業です。計画段階で買い物客などの見込みを正確に捉え、十分な駐輪スペースが確保されるよう指導することが必要だと思いますが、どのように指導してきましたか。
 第二に、今後すすめられる市街地再開発事業の計画の中で、その規模に見合った買い物客などに対応する駐輪スペース整備を事業者側に義務づけることが必要だと思いますが、いかがですか。
 第三に、今回の事例のように、結果として買い物客などの駐輪スペースが足りない事態が起きた際にも、事業者(管理組合)任せにせずに、区としても協力すべきと思いますが、いかがですか。
 それぞれお答えください。
 以上で1回目の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

ページトップへ▲