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議案第九十八号「中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」についての反対意見

日本共産党区議団 志村孝美

 議案第九十八号「中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例」に対する反対意見を述べます。
 本議案は、東京都市計画月島三丁目北地区地区計画の決定に伴い、当該地区の地区整備計画の区域を定めるとともに、建築物の用途、構造及び敷地に関する制限を定めるためのものです。
 地権者として中央区が参加する市街地再開発事業において、区民の財産である公園や福祉施設の敷地を提供して広げた区域面積約1.5ヘクタールの不整形な土地に、59階建てのタワーマンションを建設する計画に対し、反対の声が多数あがっています。
都市計画原案への反対意見は60通、95名寄せられ、都市計画案への反対意見は48通214名寄せられました。
 反対意見が多いことは、当該計画が多くの住民に理解されず、月島のまちづくりに寄与しているとは受け止められていないことを示しています。
 当該事業によって、月島の長屋の街割りが破壊されるだけでなく、月島の文化、歴史、生活者の息遣いまで根こそぎ破壊されてしまうため、月島のまち壊しの計画であるといっても過言ではないでしょう。
 また、幹線道路などの広い道路に接していないため、交通アクセスは狭い道路を利用せざるをえない立地条件の悪さもあります。
 計画地周辺の住民からは、風害、景観、日照などの環境を悪化させ、資産を低下させてしまうことを訴える請願が区議会に出されました。その内容は広範な周辺住民の生存権・財産権を侵害するものであり、受忍限度を超えていると考えられます。
 反対の地権者や反対する周辺住民の存在を認識しているにもかかわらず、準備組合事務局は、計画に賛同する地権者には頻繁に顔を出しながら、賛同していない地権者には、ほとんど顔を見せない、お知らせもしない不誠実な状態が続きました。
 当該事業に(筆頭)地権者として参加する中央区ですが、区には広範な区民の立場に立って計画を精査し、慎重な審議、計画の見直し等の指導を行うことが求められています。
 住民同士が対立しているときにこそ、区は、準備組合と周辺住民との合意形成の仲介役、パイプ役を果たすべきであるにもかかわらず、努力の跡が見えません。
 そもそも、区には、「月島地区まちづくりガイドライン」に基づいて、路地や長屋が魅力となる下町情緒あふれる月島ブランドを向上させ、街の個性が輝く魅力的なまちづくりを示す責任があります。
 当該計画を審議した今年7月の中央区都市計画審議会で、区は、「それなりの責任の中で検討を進めている」と言い訳しましたが、これまで具体的な手が打てず、まちの更新を市街地再開発事業に依拠してきたたために、様々な問題が派生しているのではないでしょうか。
 すでに千代田区で実施している「建築物共同化住宅整備促進事業」のような小規模共同建て替え事業に助成する制度を中央区でも早急に検討すべきです。
 区計審では、伊藤委員から「個性のある月島の街並みをなくして、世界のどこにでもある高層マンションを建てるというのは、長期的、広域的に見た時の都市戦略として適切なのか疑問がある。反対意見がかなり多く出て、コミュニケーションに問題が生じているので今の段階で都市計画決定をするのが良いのか躊躇がある」との発言があり、饗庭委員からは「そろそろ違うやり方があるのではないか。もう少し低い容積率を設定して、デベロッパーに知恵を出させたらどうか。合意がとれていないかなと思うので決定には躊躇している。都市計画を20年で変えるというのはものすごく引っかかる」などの発言があり、お二人とも地区計画の変更の採決では挙手をせず、保留しました。
 日本共産党は、理由を述べて反対しました。
 このような大きな問題を多数抱えたままの事業計画を、実現させるためにおこなう条例改正は認められません。

 以上の理由で、日本共産党区議団は、議案第九十八号に反対します。

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