平成30年度中央区各会計予算に対する日本共産党中央区議会議員団の態度表明を行ないます。
国政では安倍政権のもとで、防衛省による南スーダンPKO日報隠ぺい、厚労省による裁量労働制データねつ造、財務省による森友公文書改ざん、そして文科省による中学校の授業介入、と主権者である国民を欺く、歴史的犯罪行為が繰り返されています。こうした国民主権や議会制民主主義など憲法の基本原則の破壊が大問題となる中、安倍首相は憲法9条改憲に異常な執念を燃やしていますが、秘密保護法、安保法制、共謀罪の強行、森友公文書改ざん、と憲法を壊してきた安倍首相に、憲法を変える資格はありません。
安保法制の制定や改憲の策動と一体に、軍事費は6年連続増加し、大企業にも法人税の減税など大盤振る舞いする一方、生活扶助の引き下げなど生活保護改悪をはじめ、医療、年金、介護など社会保障費の「自然増」は削減され続けています。社会保障には冷たく軍拡や大企業には手厚い、いびつな財政政策により、国民の貧困化は進み、格差は拡大しています。区民生活にも深刻な影響を及ぼしています。
東京都では小池知事が、「食の安全と安心を守る」「築地は守る」との公約を反故にし、今年10月11日の豊洲新市場開場を強行しようとしています。豊洲新市場では、施設の不備や食の安全・安心を脅かす深刻な土壌汚染問題などがいまだ山積しているにもかかわらず、築地市場の施設内に環状2号線を通すための用地取得費用や築地市場の解体費用を来年度予算に盛り込みました。経費削減が厳しく求められている東京五輪大会準備や1メートル1億円の外郭環状道路建設、特定整備路線などの大型道路建設が推進されるなど、石原都政以来の大型開発偏重の基本構造は変わっていません。
中央区に求められるのは、こうした国や都の悪政から区民生活を守る「防波堤」の役割をしっかり果たすことです。
日本共産党区議団が毎年取り組んでいる「区民アンケート」には、区民の方々から様々な意見や要求が寄せられています。
「水辺の街で中央区の良さがあったと思うが、コンクリートの建物と人口増加に力を入れているようで、環境が次第に悪くなっている」「年金で生活できるような安く入居できる老人ホームをつくってほしい。年を取るのが恐ろしいです」、中には「生活保護より半分以下の収入、年金が少ないのでアルバイトをしています。最近死について考えるようになりました」といった深刻な声も聞かれます。泰明小のアルマーニの標準服問題については「義務教育の無償化からさらに遠ざかるこの問題にキチッと対応すべき」「平等に教育を受けられる機会がなくならないようにしてほしい」という声も寄せられています。
日本共産党区議団は、昨年2017年9月28日、区民アンケートなどに寄せられた切実な要求や政策的な要望を集約した542項目の「2018年度中央区予算編成に関する重点要望書」を区長に提出し、積極的に予算化するよう求めてきました。
本予算特別委員会では、各款について詳細に質疑し、問題点を指摘するとともに具体的な提案を行ってきました。さらに、区民の命と生活を守る施策を予算化するという基本に立って、ムダを省き、簡素で効率的な区民本位の行財政運営を図り、生活保護世帯への歳末見舞金・夏期見舞金の復活や小学校新入学児童標準服補助の増額などを計上した予算修正案を提案しましたが、わが党の修正案は否決されました。
区長提案の予算案には、わが党が要求してきた旧・中央警察署の都有地を活用した保育所整備に向けた調査の予算化や、病児・病後児保育の拡充、介護職員などへの借上住宅使用料の一部補助、「中央区の森」の間伐材活用の充実など一定評価できる施策もありますが、各会計予算案は抜本的な見直しが求められると判断しました。
よって、日本共産党中央区議会議員団は、議案第1号、議案第2号、議案第3号、議案第4号の各会計予算案と議案第35号、及び議案第36号の補正予算に反対します。以下、その理由を述べます。
まず、一般会計予算についてです。
第一に、地方消費税の精算基準の変更により、消費税が増税された場合、30億円の減収が見込まれるにも係わらず、消費税増税を容認することは問題です。
第二に、労働条件の向上を図ることで、事業者にとって優秀な人材確保と良質な公共工事や委託業務を可能とする公契約条例制定に消極的です。制定に向けて、区内の関係業者や労働組合との積極的な協議を求めます。
第三に、区内各地で行われているヘイトデモ、ヘイトスピーチは、「人権が尊重され、年齢・性別・国籍等を問わず誰もが幸せを実感できるまち」を目指すとする中央区基本構想の理念に反します。大阪市や川崎市を参考に積極的な対策を講じることを求めます。
第四に、いまだ問題山積の築地市場「移転」は、中央区全体の地域経済と区民生活に深刻な影響を与えます。区の元々の立場である「移転断固反対」に立ち戻ることを求めます。
第五に、都有地である13ヘクタールの土地が1㎡10万円以下という激安価格で払い下げられた晴海選手村の跡利用での約6000戸となる過剰なマンション建設計画の見直しと、公共住宅整備を都に求めるべきです。
第六に、供給過剰となっている大規模再開発事業による超高層オフィスビルやタワー型マンション建設により、CO2排出量が増加の一途を辿っていることは問題です。まちづくりの転換により、建物のボリュームを大幅に抑えていく以外に解決は図れません。
第七に、区は、市街地再開発を今後も進行させる一方で、ホテル整備を促進するとしていることは問題です。国や東京都と一体に東京一極集中をさらに加速させる区の姿勢を改めるべきです。また、住民主体のまちづくり実現に向けて中低層や個別建て替えが促進されるよう、様々な手法の研究と実践を求めます。
第八に、「日本橋」上空の首都高速道路の地下化が、区の発案で周辺の再開発事業と連携し、取り組まれようとしていますが、工期や工費は多大なものになります。地元では地下化反対の声がある中で、撤去について十分な検討なしに、地下化ありきの姿勢は問題です。
第九に、大規模開発に多額の税金が投入される一方で、既に削減された敬老祝い品をはじめ、生活保護世帯への夏期・歳末見舞金の廃止など福祉分野で冷酷な切り下げを進めていることは問題です。「福祉の増進をはかる」という地方自治体の本旨にたち、福祉予算を抜本的に拡充することを求めます。
第十に、持続可能な「みんなの食堂」運営のための支援策が不十分です。
第十一に、貧困と格差が広がるもと、学校給食の無償化など保護者負担の軽減に努力すべきです。
第十二に、保育士や教員がきちんと本来業務にあたり、働き続けられる環境にするため、タイムカード導入による正確な労働時間の把握など、多忙化解消策に取り組むべきです。
第十三に、子どもと教員を疲弊させ、過剰な競争を生む「学習力サポートテスト」は中止すべきです。
第十四に、泰明小学校のアルマーニの標準服問題は、格差の是正に逆行するものであり、学校長の責任のみならず、教育長、区長の責任も重大です。特認校に偏重している予算配分を是正し、公立校の役割とあり方を真剣に検討することが必要です。
次は、特別会計予算についてです。
国民健康保険料は、新年度も値上げが予定されています。高すぎる保険料の滞納世帯が23%に上り、6000世帯を超えるなか、差押件数が急増していることは問題です。国税徴収法違反にあたる差押はただちに中止し、生活再建を第一に、部署を超えたきめ細かい対応こそ徹底すべきです。
介護保険では、訪問介護サービスなど利用者負担軽減のための助成を、3年間で段階的に廃止するなど、区の支援策が後退していることは問題です。今後も助成を継続することを求めます。
後期高齢者医療保険の新年度保険料は、所得割は減となるものの、均等割は増となり、値上がりします。75歳という年齢を重ねただけで、今まで入っていた国保や健保から追い出し、高い保険料と安上がりの差別医療を押しつける制度は、即刻廃止すべきです。
以上、各会計予算案に対する反対理由を述べ、日本共産党区議団の態度表明を終わります。