2017年 区議会第四回定例会 一般質問

2017年11月24日

日本共産党中央区議会議員 小栗智恵子

【質問項目】

  1. 平和を脅かす安倍政権の軍拡方針について
  2. 地方自治法施行70周年、改めて地方自治を問う
  3. 地区計画の改定とまちづくりについて
  4. 築地市場「移転」問題について
  5. 「第7期介護保険事業計画」の策定について
  6. 障害児の発達支援のための教育について
    ○矢田美英区長 答弁
    ○島田勝敏教育長 答弁
    ○小栗智恵子議員 再質問
    ○吉田不曇副区長 再質問に対する答弁
    ○古田島幹雄 高齢者施策推進室長 再質問に対する答弁
    ○小栗智恵子議員 再々質問

日本共産党の小栗智恵子です。私は、日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。積極的なご答弁を期待します。
なお再質問、再々質問をあらかじめ留保いたします。

1.平和を脅かす安倍政権の軍拡方針について

 はじめに、平和を脅かす安倍政権の軍拡方針についてです。
 11月6日、初来日のトランプアメリカ大統領と安倍首相が日米首脳会談を行いました。安倍晋三首相は、北朝鮮の核・ミサイル開発問題で、北朝鮮に対する軍事力行使の選択肢を容認し、「対話のための対話では全く意味がない」と対話を否定する態度を改めて示しました。
 トランプ大統領が訪日の後訪問した中国、韓国では、両国首脳がいずれも、トランプ氏との共同記者会見の場で、北朝鮮問題への対応として、「対話による平和的解決」を主張しています。中国、韓国の首脳の発言との対比でも、対話を否定し、軍事力行使を容認する安倍首相の立場は飛びぬけて特異なものです。
 トランプ大統領も韓国での記者会見で「北朝鮮が交渉のテーブルにくることは理にかなっている」と述べています。区長は9月の本会議での答弁で「わが国は率先して外交努力を重ねていくことが重要」と述べられました。日本政府に対し、対話拒否の態度を根本的に見直して「アメリカと北朝鮮との直接対話」を求めることが重要だと考えます。いかがですか。
 6日の日米首脳会談で、トランプ大統領は「日本がさまざまな防衛装備をアメリカから購入することになる」と発言して、ステルス戦闘機F35に言及し「そうした装備を購入すべき」だと堂々と武器のセールスを展開し、それに対し安倍首相は米国から高額兵器の大量購入を進めると応じました。日本が兵器を増やして軍事で構えるということになれば、日本の側から軍事対軍事の悪循環に拍車をかけることになってしまいます。
 2018年度政府予算案の概算要求では、軍事費は5兆2500億円を計上しています。兵器の調達も米政府からの購入額が大きく増えています。
 こうした武器購入費を社会保障にふりむけたらどんなことが実現できるでしょうか。
 定員90人の認可保育園増設にかかる国費は1カ所あたり約1億2千万円です。政府換算によると、2017年度の待機児童は約2万6千人。オスプレイ3機分(約342億円)で解決する見込みです。
 また、「北朝鮮の脅威」を口実に導入をねらう、弾道ミサイル迎撃システムの「イージス・アショア」は1基800億円です。全国をカバーするために2基必要だとしており、1600億円にも達する巨費をつぎこもうとしています。この金額を月額3万円(年36万円)の給付型奨学金に回した場合、約44万人の学生に支給することができます。
 国の予算は、武器購入のためより、もっと社会保障や教育に回すべきではないでしょうか。ご見解をお聞かせください。
 国民の不安をあおり、北朝鮮の核・ミサイルから日本を守るためだとして「ミサイル防衛」にはすでに1兆8千億円近くが投入されています。しかし政府関係者も「迎撃は困難」「完全に落とすのは無理」と指摘しています。それならばと「敵基地攻撃」論まで浮上し、さらにはそれさえ抑止力にはならない、日本も核武装をすべきと際限なくエスカレートしています。どんなに軍備を増強しても、ミサイル攻撃から国民を守ることはできません。核戦争になれば勝者も敗者もありません。
 軍事的緊張が高まり、偶発的な事態や誤算から軍事衝突、戦争が起きるような事態は絶対に回避しなくてはなりません。今日本の政府に求められるのは、軍事対応の強化ではなく、憲法9条の精神にたった外交戦略で、北東アジアの平和と安定を築くことに全力をあげることではないでしょうか。また、区長がこれまでも繰り返し表明されている「戦争絶対反対」の立場から、政府の軍拡政策についてどうお考えですか。ご見解をお聞かせください。

2.地方自治法施行70周年、改めて地方自治を問う

 次に、地方自治法施行70周年の年にあたり、改めて「地方自治」について質問します。
 今年は日本国憲法の施行、そして、地方自治法の制定・施行から70年目の年に当たります。日本国憲法は、国民主権、基本的人権の保障、平和主義と並んで「地方自治」という一つの独立した章(第8章)を設け、「地方自治の本旨」を保障しています。この憲法に基づく地方自治法には、地方公共団体の役割として、「住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を担うものとする」と明記されています。
 戦前には「地方自治」という既定はありませんでした。都道府県や市町村は戦前からありましたが、それは国の統治のための地方制度であり、戦争体制を支えた国家統制機構でした。戦後、この侵略戦争への深い反省の元に日本国憲法が定められ、併せて「地方自治法」が制定されました。地方自治とは地方のことを自ら治め、「国から独立して」「住民の意思に基づいて」その事務を処理することです。
 地方自治法が制定されて70年、地方自治が豊かに発展し定着してきたといえるでしょうか。沖縄県辺野古の事例にも見られるように、国が地方にとって決定的なことを勝手に決め、それを地方に押しつけるやり方が強まっているのではないでしょうか。
 1960年~70年代、公害問題や福祉の立ち遅れなどの社会問題が深刻化する中で、住民運動が広がり、京都、東京、大阪などでも革新自治体が生まれました。そして、老人医療費の無料化など地方の先進的な施策が国の制度となるなど、住民自治、地方自治が発揮されてきました。しかし全国的な地方財政危機を理由にして、国は福祉の見直しなどで自治体経費を縮小させる圧力を強め、国主導の「行政改革」によって、自治体行政の外注化・民間委託の推進、職員の削減などによる「財政再建」が押しつけられました。
 一方、1990年代から地方分権「改革」が叫ばれ、2000年「地方分権関連一括法」によって、自治体が国の下部組織として扱われてきた「機関委任事務」は廃止となり、「国は自治体の自主性・自立性に配慮して、国の関与は必要最小限にとどめなければならない」という原則が定められました。その後「平成の大合併」「三位一体改革」「義務付け・枠付けの見直し」などが、「国から地方へ」の分権改革という名ですすめられてきました。
 そして現在、安倍・自公政権は「地方創生」という名で、行政サービスと公共施設等の「集約化」をすすめ、大都市を中心とした自治体には「国際競争力の強化」の名のもとに国家戦略特区などの手法で大型開発を集中し、国の政策を地方に押しつけるやり方を強めています。
 そこで質問します。地方自治をめぐるこれまでの経過を踏まえ、現在、地方自治体の自主性・自立性は拡充されてきているとお考えでしょうか。国の地方に対する統制は、分権改革以前よりも強化されていると考えますがいかがですか。

 国による地方の支配のしくみは、財政に最も表れています。
 最近の問題でも、「地方創生」の大義名分のもと、2014年度に地方税である法人住民税の一部が国税化されました。中央区財政白書では、中央区で13億円のマイナス影響がでていること、「ふるさと納税」も、2016年度で5億円、今年度は1・8倍の9億円もの税収減が見込まれるとしており、財政に大きな影響がでています。
 さらに、政府の経済財政諮問会議は、地方自治体の基金積立残高が21兆円に増えていることを理由に、地方自治体への地方交付税の削減を示唆する議論がなされています。これに対し、地方六団体から「地方の基金残高が増加していることをもって地方財政に余裕があるかのような議論は断じて容認できない」という意見が提出されています。
 こうした財政運営上の国の干渉や地方財源の削減についてどうお考えですか。地方自治を踏みにじるものだと考えますがいかがですか。ご見解をお示しください。
 国の果たすべき役割は、地方自治体が地方自治法に定められた「住民福祉の増進を図る」機関としての役割が果たせるよう、財政需要が増す地方自治体の実情に見合う地方交付税などの財源を拡充して、自治体がそれぞれの実態に即して自主的自律的に運営できるようにすることだと考えますがいかがですか。

 中央区では本年6月に新しい「基本構想」を決定し、今後「基本計画」を策定して、具体化をはかることになっています。
 この「基本計画」こそ、地方自治の本旨にのっとった「福祉の増進をはかる」精神に貫かれたものにしていくことが重要です。いかに国からの干渉や国家戦略にそった押しつけを排除し、自主的自律的に福祉のまちづくりをすすめていくのかが問われます。
 基本構想の「施策のみちすじ1」で示された「一人ひとりの生き方が大切にされた安心できるまち」にしていくためには、医療、介護保険など社会保障制度の充実を図ることが必要です。現在国は、高齢化などで毎年1兆円程度増えるとされる社会保障費の「自然増」を6300億円に抑制するなどの削減を進めています。これでは、中央区の実情を踏まえた施設整備やサービスの提供に大きな影響を与えます。国による社会保障の切り下げ政策を改めるよう求めるべきと考えます。いかがですか。
 「施策のみちすじ2」の「快適で安全な都市環境」の問題では、国策である東京一極集中政策、国家戦略特区などによる大規模開発優先でなく、建物の耐震化、バリアフリー化、環境にやさしい、ヒューマンスケールのまちづくりをすすめるよう求めます。いかがですか。ご見解をお示しください。

3.地区計画の改定とまちづくりについて

 次に地区計画の改定とまちづくりについて質問します。
 中央区では、1950年代には16万人だった人口が減り続け、1996年には7万人となり、定住人口の維持回復が区政の重要課題でした。そこで区では1993 (H5)年「用途別容積型地区計画」、1997(H9)年に「まち並み誘導型地区計画」を導入し、区内8割の地域で、マンション建設の際容積率を緩和することで建物の更新、住宅建設の促進を図る制度をすすめてきました。そして、地区計画導入から20年以上経過し、現在定住人口は15万人に回復したことから、今後は、これまで行なってきた定住型住宅に対する容積率緩和を廃止するための地区計画の改定を行うことを打ち出しています。
 1998年に制定した「基本構想」が目標にしていた定住人口10万人は2006年に達成しており、一方急激な人口増によって、保育所不足や学校の教室不足、高齢者施設の整備が追い付かないなどインフラ整備の遅れが顕著となり、待機児問題などが深刻化してきたことから、私たち日本共産党区議団は、大規模開発を優先して超高層ビルを林立させるようなまちづくりは見直すよう繰り返し提案をしてきました。
 今回提案されている「地区計画の改定」で人口増を抑制していく方向に舵を切ったことは当然のことと考えますが、一方で、市街地再開発事業はこれからもどんどん進めていくとしていることは大きな矛盾です。
 現在中央区内では、31もの大規模再開発事業がすすめられています。その内住宅中心の市街地再開発事業は9事業となっていますが、例えば豊海地区では約530戸あるマンションの建て替えで、再開発後は2150戸にする計画です。月島3丁目南地区再開発は、地権者が約100名で、750戸のタワーマンションを計画しています。こうした計画は保留床を売却してデベロッパーに大きな利益を与えることになりますが、地域の環境への影響や、保育園が足りなくなるなどの問題をいっそう拡大することになります。
 これからは、マンション建設だけでなく、人口急増を招く市街地再開発事業も抑制していくことが必要だと考えます。ご答弁ください。

 地区計画の改定では、生活利便施設やホテル計画には容積率緩和で誘導をはかる方向性が打ち出されています。私は、ホテル建設について、容積率緩和で積極的な誘致を図ろうとするのは問題だと考えます。商業地域とはいえ、たくさんの住民が住み、生活している地域に、ホテルが今以上に建設されることは不安が大きく、トラブルも起きています。
 自宅マンションの前の事務所ビルが改装されてホテルになり、窓から部屋が丸見えになって、一日中カーテンをおろして生活せざるをえない、ホテルの宿泊客が夜中も大声で騒ぎながら歩く、人の家の前を汚したりごみを捨てていくなど、平穏な生活が脅かされる事態が区内各地で生まれています。
 ホテル建設は、銀座地区で導入するような「良質」なホテル計画になるよう全地区的に規制をかける、建設・改修にあたっては近隣との話し合い、合意を得ることを条件とするなどホテル建設を「規制」することこそ必要だと考えます。いかがですか。

4.築地市場「移転」問題について

 次に、築地市場移転問題について質問します。
 小池都知事が国政政党を立ち上げ、都政を国政進出の踏み台にするというやり方に批判が集まる中、11月16日には希望の党の代表を辞任し都政運営にまい進するとしています。小池知事が、食の安全・安心を守るという公約を守り、豊洲新市場への移転問題をどう解決していくのか、東京五輪の計画とも絡んで、重大な局面を迎えています。
 東京都は、築地市場を移転させた跡地について、環状2号線の整備や、2020年東京五輪の輸送拠点としての活用などを示しています。しかし、五輪に間に合わせるための市場移転計画は矛盾が拡大しています。
 移転先の豊洲新市場の土壌汚染対策の要の地下水管理システムは、1年たっても水位が都の目標値を大幅に上回っており、地下水からは環境基準の120倍のベンゼンが検出され、前の調査より数値が高くなってきています。盛り土の代わりに地下空間を造っていた問題ではアセスメント条例違反も明らかとなり、土壌汚染対策の追加工事は入札が4回不調に終わり、9件ある工事のうち契約が成立したのは2件という状態で、工事着工のめどさえ立っていません。
 こうした状況の中、豊洲新市場の開場日を決めるはずだった11月10日の新市場建設協議会も急きょ中止になりました。
 築地市場で最大の業界団体である東京魚市場卸協同組合では、理事長あてに「全組合員投票」による意見集約を求める署名が取り組まれ、「市場予定地が無害化されていないのに開場の日程だけ決めるのはおかしい」という声が広がっています。物販、飲食、運送などの市場関連事業者有志も移転日合意の撤回を求める署名を開始しました。
 江東区では、区長や議長が「都のやり方は不誠実。現状のままでは豊洲新市場の受け入れは困難」というコメントを発表しています。
 そこで質問します。江東区が不誠実な都のやり方に異議を唱えているのに、中央区は唯々諾々と移転を受け入れ、早期移転を求め続けるおつもりなのでしょうか。
 9月に中央区が提出した要望書は、その後、東京都からどういう回答なり予定が示されているのでしょうか。議会には何の説明もありません。東京都の不誠実なやり方に抗議すべきではないでしょうか。それぞれお答えください。

 豊洲新市場の問題が山積している中、東京五輪を口実に移転日程の決定を急いで無理な計画を推し進めれば、かえって大変な混乱を招くことになります。
 環状2号線ももともとは築地市場内の地下を通すはずだったのに地上化に変更されたため、卸売市場法に基づく協議会の中で、「環状2号線の工事によって卸売市場の業務に支障をきたしてはならない」ことが確認されています。環状2号線のために築地市場の事情を無視して立ち退かせることはできません。
 現実的な問題として、土壌対策の追加工事が予定通り来年7月末までに終了して小池都知事による「安全宣言」が本当に出せるのか、そのあと準備をして引っ越しが間に合うのか、まったく見通しは立ちません。
 東京五輪を成功させるためには、築地市場の豊洲移転が予定通り進まない事態を想定した環状2号線や輸送拠点の整備、選手村にかかわる交通課題の検討が必要になってきていると考えます。いかがですか。
 「みんなの築地」を合い言葉に、土壌汚染の豊洲への移転の中止を求めている築地女将さん会のみなさんは、築地市場で培われた目利きの技、食文化、物流効率に優れた施設の価値を活かして、東京五輪の際、「世界中の方に築地の本物の和食を食べていただきたい」と訴えています。
 五輪のために築地を更地にするというスケジュールありきの考え方を止め、「築地の食材でおもてなし」という選択も必要ではないでしょうか。ご見解をお聞かせください。

5.「第7期介護保険事業計画」の策定について

 次に、2018年度から2020年度を計画期間とする「第7期介護保険事業計画」の策定について質問します。 
 「介護の社会化」をかかげて2000年から始まった介護保険制度ですが、国の社会保障制度の連続改悪、社会保障費の自然増の強引な削減が矛盾を拡大させ、「保険あって介護なし」という状況が広がっています。
 2016年から要支援者の予防サービスは自治体独自の生活支援総合事業に移され、「緩和型」のサービスも始まりましたが、中央区でもシルバー人材センターによるサービス提供の利用者はわずか1名とのことで、利用はすすんでいません。
 特養ホームの入所の要件は原則要介護3以上に制限されたことに加え、施設不足で希望してもすぐに入所できないため、有料ホームに入らざるを得ず費用負担がたいへんという相談や、家族の介護で疲れて果てて具合がわるくなった老老介護のお宅など、区内でも深刻な状況が広がっています。
 中央区で行った「高齢者の生活実態調査及び介護サービス利用状況等調査報告書(以下実態調査)」によると、介護保険の居宅サービス利用者の約6割が高齢者のみの世帯で、その内「ひとり暮らし」の方が3割です。利用料負担について、負担と感じている、やや負担と感じているという方をあわせると4割を超え、施設への入所の申込みをしている方が13%「検討している」は20%とのことです。
 「今後も自宅で暮らしたい」という希望は約6割にのぼり、住み慣れた地域でくらしていくために「家族の介護負担を軽減するための施策の充実」に力を入れてほしいという意見が最も多くなっています。
 そこで質問します。「実態調査」で明らかとなった家族介護、老老介護、ひとり暮らし高齢者の生活実態から、「介護の社会化」という介護保険の目的に照らして、現状のどこに課題があるとお考えですか。お答えください。また、生活支援総合事業の「緩和型サービス」の利用がすすまない理由について、ご見解をお示しください。

 今年5月、「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が可決されました。この法律は介護保険法だけでなく、健康保険法、児童福祉法など31もの法律を一括して改定し、「医療・介護の一体的改革」や高齢者と障害者・障害児の福祉などを複合化させた膨大な内容のものですが、衆議院の委員会では22時間、参議院では16時間という短時間の審議で決められてしまいました。
 今回の介護保険改定の大きな柱は「地域包括ケアシステムの深化・推進」と「介護保険制度の持続可能性の確保」です。
 「介護保険制度の持続可能性の確保」というのであれば、国庫負担の割合を大幅に引き上げることで財政的に支え、制度を持続、充実させることこそ必要だと考えますが、いかがですか。介護保険料の引き上げや現役並み所得の利用料3割負担化で、利用者・家族への負担を増やし、利用を抑制していくことは問題です。いかがですか。
 「地域包括ケアシステムの深化・推進」として打ち出されているのが「『我が事・丸ごと』地域共生社会」です。地域のさまざまな課題を住民一人ひとりが「他人事」でなく「我が事」として捉え、助け合いや自助努力で「公的支援」に頼らない方向を強める狙いがあります。
 私は、介護保険の公的サービスの利用を減らしていくやり方ではなく、中央区の第7期の事業計画で、「公的支援」を充実させて、住み慣れた地域で、必要な介護サービスを利用でき、家族介護にたよらない体制をつくっていくことを求めます。区が中心になって、地域包括支援センターや社会福祉協議会の地域福祉・生活支援コーディネーターと協力し、医療・介護に係わる関係機関の連携を強め、サービスを充実させることが大切だと考えますが、いかがですか。
 在宅サービスの充実とともに、特別養護老人ホーム、小規模多機能型施設、グループホームなど多様な施設を計画的に整備し、食費や部屋代への公的補助などで低所得者が利用できるよう改善することとあわせて、事業計画に盛り込むよう求めます。ご答弁ください。

6.障害児の発達支援のための教育について

 最後に、障害児の発達支援のための教育について質問します。
 心身に障害のある児童・生徒のための特別支援学級の在籍児は、全国的に、この10年で約2倍になっています。同時に、従来から多かった知的障害の子どもに加え、対人関係をうまく結べない情緒障害や発達障害の子ども、障害の重い子どもなど、障害の状態が多様になっています。
 ところが、学級編制基準はこの17年間変わらず、「従来のようなていねいな教育ができなくなった」などの悩みが深まっています。また、多くの学校で施設や教室の不足や不十分さが深刻になっており、子どもの急増と障害の多様化に見合った条件整備が必要となっています。
 現在区内には、明石、月島第二小学校と銀座中学校に「特別支援学級」がありますが、中央区でも近年在籍する子どもたちが増え、障害の多様化への対応も求められています。特に銀座中学校は現在18名が在籍し、来年はもっと増えると予想されることから、教室不足の解消が緊急の課題となっています。
 障害のある子どもの人数が全国的に増えているといわれていますが、中央区でのこれからの見通しはいかがですか。また特別支援学級の現況と来年度に向けた準備状況をお示しください。さらに、近い将来、人口の多い月島地区の中学校での特別支援学級の増設も必要になると考えますがいかがですか。

 通級指導学級・特別支援教室は、ほとんどの授業を通常の学級で受けながら、発達障害や情緒障害の状態などに応じて特別な指導を受けられるものですが、従来の言語障害や難聴などに加えて、LD(学習障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)などの子どもを指導する場として位置づけられています。
 今年から小学校では発達障害の子どもがその学校内で指導を受けられるように、通級指導から「特別支援教室」という形に制度が変わりましたが、それに伴う教室の確保や教員の配置、学習指導を補助する体制を今後も強化していくことが求められます。また、来年度から中学校でも特別支援教室の設置が予定されていますが、その準備状況や今後の見通しについて、それぞれお答えください。

 以上で第一回目の質問といたします。積極的なご答弁をよろしくお願いいたします。

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○矢田美英区長 答弁

 小栗智恵子議員の御質問に順次お答えいたします。

 初めに、北朝鮮問題と安倍政権についてであります。
 北朝鮮が核ミサイル開発を続ける現状は、地域の平和と安全を損ねる深刻かつ重大な脅威であり、断じて許すことはできません。この問題につきましては、先日の国会における安倍首相の答弁において、私は平和的解決の重要性を誰よりも理解している、政府として、他の国や地域の体制を力により転換することを目的として掲げたことはないと述べていることからも、最終的には米国を初め、国際社会と連携して平和的・外交的な対話による解決が図られるものと認識しております。また、北朝鮮問題に加えて、中国の海洋進出など、我が国を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中で、国民の生命と財産を守るための必要最小限度の自衛措置に要する防衛装備の水準や国の予算のあり方などにつきましては、国会で十分な審議が行われ、国の責任において適切に対応されるべきものと考えております。世界平和は、国際社会が一丸となって取り組むことにより実現されるものであり、国は率先して外交努力を重ねるとともに、各国と良好な関係を築いていくことが重要であることは申すまでもありません。本区といたしましては、これからも憲法の平和主義の理念を区政の根幹に据え、あらゆる施策を通じまして戦争絶対反対、核兵器廃絶、テロ撲滅を国内外に訴えてまいります。

 次に、地方自治のあり方についてであります。
 地方自治体は、住民の福祉増進を基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に行う役割を広く担っており、そのためには、権限とともに財源も適切に配分される必要があります。これまでも、平成十二年のいわゆる地方分権改革を初め、地方みずからの発意により分権改革を目指した提案募集方式など、地方の自主性・自立性は高まっているものと考えております。しかし、近年、国において都市部の財源を吸い上げ、地方に再配分する動きを加速させていることは、受益と負担に基づく応益課税という地方税の原則だけでなく、地方分権にも反するものであります。そして、これらの減収規模は、社会保障財源である地方消費税増税分に匹敵し、その影響は甚大であることから、その是正に向け、特別区が一体となり、国に強く働きかけているところであります。また、住民福祉の基本である社会保障制度については、その持続的・安定的な運営を確保することが国の大きな役割の一つと認識しており、今後とも、特別区長会などを通じまして、医療・介護保険制度の充実を図るよう働きかけてまいります。なお、基本構想における快適で安全な都市環境が目指すものは、一極集中、大規模開発優先ではなく、安全、環境、魅力の三つの視点で、住み、働き、集う全ての人々がより安全で快適な暮らしを享受できるまちづくりを推進するものであります。
 次に、地区計画の改定とまちづくりについてであります。
 本区では、地域特性を踏まえながら、個々の建物更新を行う際の地域ルールを導入し、本区独自の取り組みを通じて、良好なまちづくりを進めております。一方で、個別更新では実現困難な地域課題の改善に対して、面的な整備の機会を捉え、公共交通機関や保育園、高齢者施設など、区民生活に必要な生活インフラの整備を進めてきたところであります。特に、市街地再開発事業は、都市再開発法の規定により事業を進めるもので、区民にとって、住み続け、働き続けられるまちづくりを実現する上で、有効なまちづくり手法であります。今後とも、適切な地区計画の運用と市街地再開発事業による地域課題の改善等に取り組んでまいります。
 次に、地区計画の改定につきましては、現在、対象となるまちづくり協議会の中で、ホテル計画の誘導も含め、さまざまな御意見等をいただいております。今後は、これらの意見を集約し、さらに地域の方々や国・東京都とも協議を重ねる中で、規制としてではなく、まちに調和し、近隣の方々にも受け入れられる良好なホテルが立地されるよう、さまざまな観点から地区計画改定の検討を進めてまいります。

 次に、築地市場移転に伴う区の対応についてであります。
 築地市場の移転については、当初、区では断固反対の立場をとってまいりました。しかし、都の平成二十三年度予算において豊洲への移転が決定された後は、築地地区のにぎわいを維持・発展させていくことを重視し、築地市場の移転を受け入れてまいりました。江東区長も、基本的には豊洲市場への移転受け入れの立場に変わりないと表明されています。今後、都が市場事業者や関係区を初め、さまざまな関係者と調整し、移転に向けて努力されるものと考えており、区といたしましても、引き続き都に協力してまいります。
 次に、九月に都知事宛てに提出した要望書に係る都の対応についてであります。
 要望書では、築地市場の移転を初めとした五項目を要望しております。区は、それぞれの項目について、既に都と具体的な協議や調整を進めているところであり、今後の都の施策形成において、区の要望を反映していただきたいと考えているため、個別の回答は求めておりません。都は、今回の要望書を真摯に受けとめ、その実現に向けて密に調整を続けていくとしており、区としては、良好な関係を築けているものと考えております。
 次に、東京二○二○大会に向けた対応についてであります。
 都は、本年六月、築地は守る、豊洲を生かすといった市場移転に係る基本的な方針を示したところであります。この方針の中で、大会時の輸送計画についても、環状第二号線の整備や築地市場を輸送拠点とすることなどを公表しております。東京二○二○大会を成功させるため、都において、この基本的な方針のもと、検討を進めていくとともに、本区が九月に提出した要望事項につきましても、着実に実行されることが重要であるものと考えております。
 次に、食のおもてなしについてであります。
 大会時に築地の食に対する文化や技能を発信していくことは、世界各国から本区に訪れる方々に日本を知ってもらう上でも重要なことであると認識しており、区といたしましても、さまざまな機会を捉えて積極的にPRを行ってまいりたいと考えております。

 次に、第七期介護保険事業計画の策定についてであります。
 まず、生活実態調査から明らかになった現状の課題であります。
 今後の暮らしについては、多くの高齢者が自宅での生活の継続を希望していることから、在宅サービス等の充実とともに、ひとり暮らし高齢者などが地域の中で孤立することなく、生きがいや役割を持って活動できる場や機会をいかに拡大していくかが課題となっております。また、専門職が不足している中で、高齢者のさまざまな生活ニーズに対応していくため、介護人材の効果的な活用や地域での支え合いの仕組みづくりなども求められています。生活支援総合事業の緩和型サービスについては、昨年度は介護業界以外からの参入がなく、利用が進まなかったところでありますが、本年度になって新規参入もあり、現在、徐々に利用者がふえております。今後も、利用料負担が従来の介護サービスよりも少額であることや、所定の研修を受けた従事者によるサービスであることなどを普及啓発し、利用の拡大を図ってまいります。
 次に、介護保険の国庫負担についてであります。
 本区は、これまでも調整交付金の交付割合についての制度上の問題点の改善などを区長会を通じて国に要望してきたところであります。今後とも、大都市の実情に合った国庫負担となるよう、粘り強く働きかけてまいります。また、介護保険料や利用者負担につきましては、介護を社会全体で支えていくという基本的な考え方に基づき、被保険者の負担能力に応じたものであると認識しております。引き続き、サービスの充実や給付の適正化に取り組み、必要な方に必要な介護サービスを提供してまいります。
 次に、第七期介護保険事業計画策定に向けた考え方についてであります。
 現在、区が中心となって在宅療養支援協議会や地域支えあいづくり協議体などにおいて、医療・介護の多職種連携や区民ボランティアなどの多様な担い手との協働により、サービスの充実や支え合いの仕組みづくりを進めているところであります。特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームについては、ニーズを踏まえて、さまざまな手法による計画的な整備を図るとともに、区有財産の減額貸付などにより運営事業者の負担を軽減し、居住費等を抑制しているところであります。策定中の計画においても、高齢者を地域で支えていく地域包括ケアシステムの深化と推進を基本方針とし、住みなれた地域で互いに支え合い、自分らしく生き生きと暮らせるまちの実現を目指してまいります。
 私からの答弁は以上であります。

○島田勝敏教育長 答弁

 教育問題についてお答えします。
 初めに、特別支援学級についてであります。
 特別な支援を要する児童・生徒は、本区においても増加傾向にあり、今後もふえていくと見込んでいます。現在、小・中学校における特別支援学級については、児童・生徒一人一人の教育ニーズに応じて専門的な指導・支援が行えるよう、教員を適切に配置し、多様な学習活動を行える教室を確保しております。来年度につきましても、こうした教育環境が維持できるよう、体制を整えているところです。中学校における特別支援学級については、在籍生徒数が増加傾向にあるため、今後、新たな学級の設置が必要になるものと認識しております。現在、人口推計や通学距離、教室の確保などを勘案して、設置時期や開設する学校について検討しているところであります。
 次に、特別支援教室についてであります。
 今年度から、全ての小学校で特別支援教室を設置したことにより、児童が巡回指導教員による指導を在籍校で受けられ、拠点校への通級に伴う負担が軽減されました。また、学級担任と巡回指導教員との連携がより一層図られたことから、児童の学習・行動面での改善にもつながってきております。在籍校での指導を受けられることにより、入室を希望する児童が増加してきており、発達の状態や学習状況に応じてきめ細かく指導・支援できるよう、適切な教員配置を行っております。さらに、学習と生活を見守り、教員間の連絡調整をする特別支援教室専門員を全校に設置したほか、臨床心理士等の派遣などにより、児童一人一人の支援の充実を図っております。今後も、こうした体制のもと、教職員の資質向上に努めるとともに、引き続き良好な教育環境を確保してまいります。中学校においては、平成三十年度から全校での開設に向け、教育委員会と学校による協議会を設置し、学習の指導方法や複雑化する人間関係への対応、巡回指導体制や相談機能のあり方などについて検討するとともに、学習活動の場や教材の準備などを進めております。今後も、特別な支援を要する全ての児童・生徒が能力や可能性を最大限に伸ばし、将来の自立と社会参加を実現できるよう、特別支援教育のさらなる充実に努めてまいります。
 答弁は以上です。

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○小栗智恵子議員 再質問

 御答弁をいただきましたが、何点かに絞って再質問させていただきます。
 私は、今回、日本国憲法とそれに基づく地方自治法が七十周年の年に当たって、改めて地方自治とは何か、どうあるべきかを考えて質問をいたしました。
 地方自治体の現状について、区長はいろいろ述べられましたが、特に地方財政においては、法人住民税の一部国税化や、また、今後、地方消費税の交付金、都道府県の間の生産基準の見直しによってマイナス影響がさらに拡大するというようなことも財政白書でも述べられています。充実すべき自主財源の縮小は、地方分権の流れに逆行するものであり、国に断固改善を求めるべきだということを改めて述べたいと思います。
 地方自治に基づく基本計画の策定の中で触れた今後のまちづくりに関連する問題ですが、区長は、東京一極集中や大規模開発ではないということを述べられました。今、国会で注目の加計学園問題でも、国政私物化に使われたのは国家戦略特区の仕組みです。内閣府に設置される国家戦略特別区域諮問会議は、首相が指名する国務大臣や首相が任命する財界人らのメンバーで構成されて、規制緩和を実行するため、極めて強い権限が与えられる会議です。規制緩和にかかわる分野を所管する関係大臣も、影響を受ける地域の住民も、意思決定にかかわれない、そういう仕組みとなっています。
 この国家戦略特区に基づく巨大再開発が、中央区では八重洲地区で実施され、また、今後は日本橋兜町でも進められようとしております。地権者の中の反対の声や不同意の声も届かない国家プロジェクトとして進行しています。こうした計画が有無を言わせないやり方で持ち込まれるのは、地方自治の視点から見ると、大変問題があると考えますが、いかがでしょうか。
 そして、こうした国家プロジェクトに中央区自身が、区民の財産、学校の敷地を提供して協力し、巨大開発を進めていくことに大きな疑問を持ちます。老朽化した建物の更新による災害に強いまちづくりのためという理由はあるとしても、容積率の緩和など大サービスで、ゼネコンやディベロッパーの利益を最大化するために働く、これが地方自治体の仕事なのでしょうか。良好な市街地や災害に強いまちづくりは、地方行政の役割だと思いますが、八重洲や、これから兜町証券街で進めようとしている計画は、三井不動産、東京建物、平和不動産などの特定企業が主体の、大企業が主人公の計画となっています。
 私はこのような大規模な再開発が全部いけないと言うのではありません。しかし、こうした財界、大企業の利益第一で、あらゆる規制を排して国家プロジェクトが超法規的に進められ、区が積極的に貢献しているのではないか、その点についてどのようにお考えなのか、御答弁いただきたいと思います。
 そして、今後のまちづくりを考えると、二○二○年問題と言われるオフィスの供給過剰の問題、特に、今、東京駅前地区では、千代田区側ですけれども、三菱地所によって常盤橋の再開発は延べ床面積が六十八万平米という巨大なビルがつくられようとしています。千代田、中央、港の都心三区におけるオフィス床面積の供給量に匹敵する、このような計画が進められ、完成は二○二七年と言われていますけれども、オフィスの供給過剰危機がかねてから言われているように、いつまでもこんな巨大なビルをあちこちにつくり続ける、本当にこんなに需要があるのか、そういう問題も近々大きな課題になってくると思います。十年、二十年先を考えた行政運営が求められると考えますけれども、この点について御答弁をいただきたいと思います。
 次に、ホテル誘致のための規制緩和の問題です。
 今、ホテル業界は、東京五輪も控えて、インバウンドをターゲットにしており、特に、銀座地域では、森トラストがホテル開発に乗り出すなど、大乱戦状態だと言われています。今回、中央区のホテル誘致のために、全地区的に容積率を緩和するということになっていますけれども、こうした森トラストなどの意向を酌んだものではないのかというふうに私は考えます。この点について、御答弁をいただきたいと思います。

 介護保険の問題では、これからも住み続けられるように、いろいろ考えて力を入れていくというようなお話もありましたけれども、今、国全体として社会保障の制度がどんどん悪くなっているという中で、対象者がふえるのに、それに充てる費用を減らしていくというようなやり方は本当に問題だというふうに思います。地方の裁量で介護の社会化に向けたサービスの充実を図る、そのことが、今、本当に必要になってきているということも強調したいと思います。
 介護保険料については、介護保険の給付準備基金が積み増しされていますので、それを活用して保険料を引き下げる、こういうことも可能ではないかと思います。また、地域包括支援センター、おとしより相談センターの体制をさらに強化して、介護サービスを充実させていく、そのために力を発揮していただきたいというふうに思います。
 その点で、先ほども御答弁はありましたけれども、国による改悪に反対する、きちんと国の制度として充実させていくように求めることとあわせて、区の力で介護の社会化に向けたサービスの充実を図ることを求めたいと思いますので、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

 次に、築地市場の問題ですが、区長は、築地市場の移転を受け入れた後で、スムーズに移転ができるように、東京都とも、もう既にいろいろ協議もしているということでしたけれども、区議会にはそういう内容の報告はまだ全くありません。私は、そもそも土壌汚染の場所にわざわざ生鮮市場を移転するという、この計画自体が根本的に間違っているし、これからも現在地での再整備を求めていきますけれども、区の考えとしては移転ということだとしても、今、現実的に考えると、東京五輪の成功のためにも市場が移転しないと環状二号線もできない、交通拠点もできない、そういう呪縛にとらわれているというふうに私は思います。
 東京都に対して、第二、第三の案を都の責任で考えることを求める、このことが、今、現実的に必要になってきているというふうに考えます。この問題について、もう一度答弁をお願いしたいと思います。

 最後に、安倍政権の軍拡方針に対して、区長は、直接削減を求めるような発言はございませんでした。十一月十五日に送られてきた広聴の記録を見ますと、保育所に入れない、何とかしてほしい、こういう保護者の悲鳴がたくさん載せられていました。私も、改めてこの待機児問題は、一刻も早い解決が求められるというふうに感じました。こうした問題も、オスプレイ三機分で全国的に解決するというのがはっきりしているのに、そういうふうに使うということを求めないという区長の答弁は、大変残念です。税金の使い方を変えれば、暮らしや福祉の充実はできるし、軍事費をふやすことは、逆に、日本を危険にするということを改めて申し述べたいと思います。
 この件は、御答弁は要りません。これ以外の再質問に対する御答弁をよろしくお願いいたします。(拍手)

○吉田不曇副区長 再質問に対する答弁

 何点か、お尋ねがございました件についてお答えいたします。
 まず、最初のお尋ねは国家戦略特区のあり方であろうかと思いますが、議員の御発言の中では、国家戦略特区というのは国に押しつけられたものではないかということで、それにまた唯々諾々と従っている中央区のあり方ということで、お尋ねがあったと思います。
 この国家戦略特区については、正直申し上げると、規制緩和の一手法でございまして、これらについて、まちづくりの過程の中で、私ども地元のほうから、ある程度発議して表に上げないと特区認定というのは行われないわけでございます。国から全部押しつけられているわけではございません。基本的には、地元の発意もそれなりにあるわけでございます。
 いろいろ大企業の名前をお挙げになって、それらのためにやっているのではないかというような御意見もあるようでございますが、例えば日本橋兜町などの場合、平成十三年から場立ちがなくなって、本当に人通りがなくなって、現実の問題として、あそこのまちの更新がなければ、もう一度兜町として、アイデンティティーも、それからにぎわいも取り戻せないんだと。だから、基本的に開発をしてくれというのが、実際の地元の願いでございます。
 それから、東京駅前でございますけれども、現実に、それぞれ耐震補強の関係を含めて、建てかえの時期に達しているビルの集まりでございます。かなり早期に復興をしているまちでございますから、それぞれ更新の時期に達しております。そういう過程の中で、基本的には、集合的に建てかえをしたほうがよかろうということで、開発の話が動いていく中で、大変申しわけありませんけれども、JR等の開発の偏ったやり方の中で、現実に、東京駅前の交通広場としての機能は完成をしておりません。そういったこともございますので、こういった大規模な開発、集合体の中でバスターミナルを整備しながら、東京駅前の広場整備も一緒に行って開発を進めるというようなことで、これは地元が行っているものでございます。
 同じように、日本橋地区の国家戦略特区につきましても、これは、基本的に先ほどの東京駅と同じように、ビル自身も相当老朽化して、耐震化の観点から建てかえをしなければならなくなっているビルの集まりでございます。その中で、高速道路の地下化を含めて、私どもとして、これは具体的に規制緩和をしてほしいということでお話をさせていただいているものであって、この部分について地元の発意も当然あるわけでございます。ある意味で、国家戦略特区を地元として使いこなさせていただいているので、私どもが唯々諾々と国の指令に従ってまちづくりをしているというような言われ方は、大変心外でございます。
 それから、オーバービルディングの話でございます。
 今の時点でビルディングの床量として、現実にオーバービルディングではないかと言ったら、そうなんです。オフィスとしては、やはりオーバービルディングでありますし、住宅はそれぞれオーバービルディングであります。今、日本全体として、建築として見た場合に、かなりオーバービルディングであります。
 ただし、それぞれのビルディングが現実の今日的な機能に対して適切なビルディングであるかどうかということについては、問題があるわけでございます。そういった部分において、これはつくり直しをし、整備をしているわけでございまして、この点の需給の関係については、床量だけ着目すればオーバービルディングではないかということで、かなり懸念を持たれる部分もあろうかと思いますが、現実の問題として、新しく、これから二十年後を見据えた、例えばオフィスビルとか何かということを考えましたときには、東京駅前、日本橋、そういったところのオフィスビル供給については、基本的に不安を持っておりません。
 それから、ホテルの容積率の緩和について、これは何か大変勘違いがあって、あるディベロッパーの戦略に乗って区がやっているかのようなお話がございましたけれども、これはとんでもない話で、私どもとしては、基本的には、実は、国側から、都心部のホテル供給が非常に少ないから、今後の観光立国の上で、民泊などをやれという話が、全体として来ているわけです。本区としては、そういうことは積極的に対応するつもりは全くございません。やみくもに民泊という方向に乗るわけにはいかないと思っております。そういう意味で、我々はきちんとした良質なホテル供給をしたいというふうに思っておりまして、やるからには、それなりの良質なということを確保するためのインセンティブも必要だということで、容積緩和を含めた地区計画の改定を行っているわけでございまして、その点もぜひ御理解をいただきたいと思います。

 次に、築地市場の移転の問題でございます。
 この問題については、区長からも答弁申し上げましたように、私どもは平成十一年に豊洲移転のにおいが出てきたときから、ずっと反対をしております。土壌汚染についても、平成十四年に出した七つの疑問というものの中に土壌汚染も挙げて、我々は闘ってきたわけでございます。しかし、先ほど申し上げたように、平成二十三年度東京都予算の決定、それはちょうど三・一一の地震が起きた日でございますけれども、都議会で予算が議決されたわけです。そういう中で、私どもは現実的な対処が必要だということで、基本的には、それに向かって対応してきたわけでございます。
 今日、大変せっぱ詰まった状況になっている中で、今、小栗議員のほうからお話があるのは、築地市場を現在のままにしながらも、オリンピックを迎える第二案、第三案があるのではないかというお話でございます。単純に申し上げます。今、築地市場の出入り口は、青果門であり、市場門であり、そして勝どき門でございます。大型貨物は全部そういう形で入っております。つまり、新大橋通りから、晴海通りから入っているわけでございます。築地市場があるとしますと、そこには環状二号線というのは通っていませんから、そういう中で、選手村をオープンし、市場を営業するということはどういうことになるか。仮に、豊洲に市場があるとすれば、基本的には、湾岸道路を中心とした大幹線の中で、有明と豊洲を連絡する道路、それから環状二号線というものが動いていて、そこに市場への物流は入るはずでございます。選手村の一万七千人の役員、選手に対する毎日毎日の物資の補給はどうしますか。そのときに環状二号線が使えていないと考えたら、それは成立するでしょうか。
 私は、オリンピックと環状二号線の問題に関して明確にしておきたいのは、この問題がつまずいたときに最大の被害を受けるのは中央区だと思っています。だからこそ、再三にわたって要望書を出させていただいているわけです。現実的に解決する方向は何かということをやはり真剣に考えなければいけないと思います。その意味で、小栗議員の御指摘も一つの御意見ではあろうかと思いますが、先ほど私どもが指摘したような現実的な問題点もございますので、その辺は十分考慮をいただきながら御検討いただければと思う次第でございます。
 以上でございます。

○古田島幹雄 高齢者施策推進室長 再質問に対する答弁

 介護保険についてでございます。
 介護保険の社会化によるサービスの充実ということでございます。
 介護型の社会化と申しますのは、介護保険創設当時において、それまで家庭内や家族が担ってきた介護を、広く社会共通の課題として認識し、社会全体で担っていこうという考え方でございます。
 本区におきましては、昨年度から総合事業を開始いたしました。総合事業の実施によりまして、介護給付で行っていた要支援者などの予防訪問介護や予防通所介護を、同じ介護保険制度内の地域支援事業に移行したところでございますが、こうした制度の見直しは、今後、介護福祉士などの専門職員の不足が見込まれていることから、専門的な知識や経験を必要としない掃除、洗濯、買い物などの生活援助サービスについては、専門職員でない従事者にも参入していただきまして、従事者を拡大したり、利用者の選択肢を広げたりしようとするものでございます。そういった意味から、介護を地域社会全体で担っていくという介護の社会化の考え方については、全く反しないものであるというふうに認識をしているところであります。
 区におきましては、介護保険をめぐる厳しい財政状況の中でも、介護サービスの充実を初め、介護サービス以外のさまざまな担い手による各種サービスや支援を拡充し、地域社会全体で支え合う仕組みづくりを進めまして、高齢者一人一人に寄り添いながら、支援が必要な方には必要なサービスや支援が届くような取り組みを進めてまいりたいというふうに考えているところございます。
 以上でございます。

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○小栗智恵子議員 再々質問

 御答弁をいただきましたが、意見を述べさせていただきたいと思います。
 築地市場の問題は、もともと中央区も区議会も一緒になって断固反対をしてきた。そのとおりです。そして、都で予算が決まったからということで、苦渋の選択でやってきたと思いますけれども、その大前提であった土壌汚染の対策ができていないというところで、そこでもう一回考えて、計画自体を見直す、そういうことも必要な時期が何度もあったのに、もうここまで来てしまったということです。
 このまま環状二号線ができないような状態だと、大混乱だというお話がありましたけれども、本当に市場が移転できるのかどうかがわからない、現時点でそういうことになっているわけですから、そういうことも踏まえたことを今から考えておかないと、それこそ大混乱になってしまうというふうに私は思います。最大の被害者は中央区だというお話がありましたけれども、本当にそのとおりだと思います。だからこそ、きちんとした対応を都に求めていくということを、中央区として積極的に進めるよう求めたいと思います。
 築地の食材でユネスコ無形文化遺産にも登録された和食を世界のアスリートに味わっていただくということは、大変夢のあることだと思います。そういうことを、ぜひ築地市場がそのまま残っているということも想定した対策を考えていくということが、責任ある態度ではないかというふうに思いますので、その点はもう一度強調をさせていただきたいと思います。

 あと、国家戦略特区の関係でいろいろお話がありましたけれども、国家戦略特区ということで、本当にいろいろな岩盤規制をなくして、超法規的にいろいろできるという制度なんですけれども、経過的に見れば、兜町の計画についても、当初から吉田副区長がオブザーバーとして出席し、どういうふうにしたら開発がうまくできるか、どういうまちがいいのかということでやってきたという経過から見れば、国から押しつけられたのではなくて、区が積極的にやってきたということは、そのとおりだと思います。
 逆に、私は、地元の発意だということは言いますけれども、大企業やディベロッパーがどれだけ大きなものができるのかということを中心にして考えている計画に、いろいろアドバイスし、一緒にやってくるというのは、唯々諾々と言われましたけれども、逆に、お先棒を担いで、どんどんそういうものを進めているというのが中央区の今の実態ではないかというふうに思いますので、その点は私の意見として申し述べさせていただきます。
 東京一極集中が地方の都市をどんどん疲弊させているということも、先ほどのお話にありましたけれども、そういう中で、中央区が、東京駅前も日本橋も、これからもオフィスの需要はあるのだということで、どんどん進める、そういう大型開発優先の区政のあり方は、やはり根本から見直すべきだというふうに思います。私は、憲法、地方自治法に照らして、開発優先の区政は大変問題だということを考えます。
 地方自治の本旨に基づいて、福祉のまちづくりを進めるということを基本計画の中でもぜひ実行していただきたいということを強く求めて、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)

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