日本共産党の加藤博司です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。尚、再質問、再々質問を留保します。
最初に「安倍政権と平和問題」について質問します。
まず北朝鮮問題です。
北朝鮮は、9月3日、6回目の核実験を強行したのに続き、9月13日、再び太平洋上に向けて、通告なしに日本列島の上空を飛び越える弾道ミサイルの発射を強行しました。国際社会が強く自制を求めているもとでの度重なる弾道ミサイル発射と核実験は、世界と地域の平和と安定にとっての重大な脅威であり、国連安保理決議、6カ国協議の共同声明、日朝平壌宣言に違反する暴挙です。
9月11日に全会一致で採択された国連安保理決議は、経済制裁強化の措置を決定しました。制裁の強化は当然のことであり、北朝鮮は国際社会の一致した意思として受け止め、決議にそった行動をすべきです。同時に、決議は「対話を通じた平和的かつ包括的な解決」を呼びかけています。危機打開と問題解決のためには、経済制裁強化と一体に、「対話による解決」の道に踏み出すことが不可欠です。
とりわけ米朝両国の直接対話はいよいよ緊急で切実な課題となっています。アメリカと北朝鮮両国の軍事的緊張がエスカレートするもとでの最大の危険は、誤算や偶発的な事態によって、双方の当事者の意図に反して軍事衝突が起こる可能性が、現実に生まれ、強まっていることです。北朝鮮への圧力や軍事的対応だけを強調するだけでは、かえって緊張を高め、国民を危険にさらすことになりかねず、万が一にも軍事衝突が引き起こされるなら、おびただしい犠牲をもたらし、その被害は日本にも深刻な形で及ぶことになります。軍事衝突は絶対に起こさせてはなりません。
いま国際社会と関係国に求められているのは、国連安保理決議に基づく経済制裁の厳格な実施・強化と一体に、対話による解決の道を粘り強く追求することです。危機打開のためには、アメリカと北朝鮮の直接対話がどうしても必要です。
そこで区長に質問します。
第一に、安倍首相は、9月20日、国連総会の一般討論で「対話による問題解決の試みは無に帰した」とし、「必要なのは対話ではない。圧力だ」と強調し、対話と交渉による解決を全面否定しました。非常に危険な発言です。このような安倍首相の対応は、かえって緊張を高め、国民を危険にさらすことになりかねないと思いますが、いかがですか。
第二に、9月14日、海上自衛隊の補給艦が北朝鮮の弾道ミサイルを警戒・監視する米海軍イージス艦に燃料などを提供していたことが明らかになりました。国民が知らないままに日本が戦争の当事国になる危険が生まれています。このような事態を決して生んではならないと考えますが、いかがですか。
第三に、永世中立国・スイスの大統領が、北朝鮮危機の平和解決へ仲介役をつとめる意志を表明しました。1994年の朝鮮半島危機を訪朝で解決に導いたカーター元米大統領は、米朝指導者間かそれに準じるレベルの対話を呼びかけており(9月12日)、欧州各国の首脳も、米朝間の対話を仲介する意向を表明しています。本来なら、憲法9条を持つ日本こそが、こうした主導権を発揮すべきだと思いますが、いかがですか。それぞれお答え下さい。
次に核兵器禁止条約についてです。
今年7月7日に開催された「核兵器禁止条約の国連会議」は、核兵器禁止条約を、国連加盟193ヶ国の63%にあたる122カ国の賛成で採択しました。
人類史上初の核兵器禁止条約の採択は、日本の被爆者をはじめ「核兵器のない世界」を求める世界各国と市民社会の多年にわたる共同の取り組みが結実した、文字通り歴史的な快挙です。
条約は、核兵器の非人道性を厳しく告発し、国連憲章、国際法、国際人道法にてらして、その違法性を明確にする太い論理が述べられています。
条約は、核兵器の法的禁止の内容として、核兵器の「開発、実験、生産、製造、取得、所有、貯蔵」、そして「使用、使用の威嚇」、また締約国の領土と管轄地域への核兵器の「配置、導入、配備の許可」等を具体的に明記しています。
条約で、核兵器を「使用し威嚇すること」の禁止が新たに明記されたことは、核兵器による威嚇に依存した安全保障である「核抑止力論」を否定したものとして、大きな意義を持ちます。これらは、核兵器に「悪の烙印」を押し、それを全面的に違法化するものとなりました。
条約の採択によって、国連会議に参加していない核兵器保有国とその同盟国も、政治的・道義的な拘束を受けることになり、世界の流れは大国の意のままに進まない世界がつくられたと思います。核兵器禁止条約の採択は、「核兵器のない世界」、核兵器完全廃絶の実現への新たなスタートだと考えます。
核兵器禁止条約についての区長の見解をお示し下さい。
核保有国の条約参加の道として、核兵器をなくし参加すること。あるいは条約に参加し核兵器をなくすと言うことが規定されました。9月20日からは、核兵器禁止条約の署名手続きが開始され、初日だけで50カ国が署名しました。90日を経て発効となります。
日本の政府は「署名も批准もしない」との立場です。日本政府は、「核兵器のない世界を実現するには、核保有国と非核保有国双方の参画が必要」として、条約への署名を拒否していますが、唯一の戦争被爆国の政府が条約に参加しないとは本当に情けないことではないでしょうか。アメリカの「核の傘」から脱却し、速やかに条約に調印すべきです。
区長の見解をお示し下さい。
区長も参加している平和首長会議。日本国内の加盟都市は1682自治体で、全区市町村の96.6%が参加をしています。平和首長会議では、2020年までに、核兵器の廃絶をめざす「2020ビジョン」を展開中です。平和首長会議は、核兵器禁止条約採択を「心から歓迎します」と述べたうえで、「この条約の締結を促進するとともに、条約が十分に法的実効性を持つものへと育っていくことが重要」だと指摘し、日本政府が本気になって行動を起こすことを求めています。平和首長会議に参加し、「戦争反対・核兵器廃絶・テロ撲滅」をかかげる区長には、核兵器禁止の先頭に立って欲しいと願いますが、核兵器禁止に向けた区長の決意をお聞かせ下さい。
次に、「憲法9条の改憲について」質問します。
第二次安倍政権になって、日本を戦争する国に変える具体化が進んでいます。
2014年12月秘密保護法制定により国民の目と耳をふさぎ、2015年9月、9条の解釈改憲で集団的自衛権の行使を可能にした安保法制いわゆる戦争法を制定、2017年7月には共謀罪を制定し国民の声を押さえつけ、次は憲法9条の改憲を狙う。戦争が出来る国づくりへまっしぐらと言わざるを得ません。
安倍首相は、臨時国会冒頭で衆議院を解散し、何が何でも改憲に必要な3分の2の議席を確保しようとしています。6月22日に憲法53条に基づく4野党共同の国会開催要求を3ヶ月にわたって安倍政権は応えず、そのあげく、冒頭で解散することは、憲法違反の暴挙であり、断じて許されません。
そこで区長に質問します。
第一に、今世界では、核兵器を禁止し、軍事力で紛争を解決することを否定し、話し合いで紛争を解決することが大きな流れとなっています。憲法9条に自衛隊を書き込み、自衛隊を世界の紛争地に派遣する「戦争できる国づくり」は、世界から見ても逆行していると考えますが、いかがですか。
第二に、軍事力で国民の平和や安全を守ることは出来ません。9条を改憲し自衛隊を憲法に明記すれば、軍事対軍事の悪循環に陥り、より一層国民を危険にさらすことになると考えますが、いかがですか。
第三に、所信表明、代表質問もなく、「加計」「森友」問題にふたをしたまま、安倍内閣、自民党の党利党略による、大義なき解散で、憲法9条を改憲しようとするのは、まさに憲法違反の暴挙だと思いますが、いかがお考えですか。
それぞれお答え下さい。
次に「築地市場の豊洲への移転について」質問します。
小池都知事は、6月の「基本方針」表明の時には「築地は守る・豊洲は活かす」としていましたが、都議会第二回臨時会では、どう築地を守るのかという計画は示されないまま、新市場への早期移転を進めるための補正予算案を提出し、都民ファースト、自民党、公明党などの賛成多数で可決しました。
これまで東京都が、都民と市場業者、消費者に対し、「豊洲市場は土壌も地下水も有害物質を環境基準以下にして開場する」という「無害化」の約束を、一方的に破棄する重大な問題です。
知事が、現実的な新たな方針だとして補正予算に盛り込んだ追加対策の柱は、地下水管理システムの機能強化と、「盛り土」がなかった地下空間にコンクリートを打ち、換気するというものですが、地下水管理システムは破たんし、コンクリートを打ってもうまくいかないと、専門家から指摘されているものです。
また、新市場内96店舗でカビが大量に発生し、生鮮食品を扱う市場としてあってはならない問題なのに、原因究明も調査もしない東京都の重大な姿勢があきらかになりました。
さらに、8月14~21日にかけて行われた地下水調査で、土壌汚染対策後最大となる環境基準の120倍のベンゼンや、検出されてはならないシアンが検出されたことが9月14日、わかりました。
いまだに、深刻な土壌汚染が残り、効果的な対策も示されていないにもかかわらず、小池都知事は、9月20日から始まった東京都議会定例会において、築地市場の「豊洲への早期移転に向けた取組を加速する」と表明し、2020東京五輪後に行おうとする民間主導の再開発に向け、10月に検討会議を設置すると表明しました。
そこで区長に質問します。
第一に、区長は、常々「移転は安全性の確保が大前提」と述べています。区長の考える「安全性の確保」とはどういうものですか。お示しください。
第二に、860億円かけた土壌汚染対策後でも、地下水からベンゼンが環境基準の120倍検出され、数値が調査毎に大きくなっています。さらに55億円の追加工事が行われますが、これで安全・安心が担保される保証はありません。信頼を失わせてきたのは東京都です。区長は、安全の確認をどのようにはかろうとしているのですか、お答え下さい。
第三に、「無害化」の方針を破棄し、決定過程の情報公開も拒否し、地元区の意見も聞かずに次々と方針を決定する小池都知事のやり方は問題だと考えますがいかがですか。それぞれお答え下さい。
「築地・女将さん会」は、8月23日小池都知事宛に「築地移転問題に関する要請と公開質問状」を提出。「移転するのは業者、業者の意向を無視して、都知事が勝手に判断したり、強制することは出来ない」、また「合意のない移転は出来ない」と指摘し、都知事の基本方針の変更を求めています。
9月16日に開かれた「第21回新市場建設協議会」において、築地市場協会の伊藤会長は、「築地市場協会(4団体)が4項目の要望書を昨年12月に出したが、なんの検討の跡もない。補正予算に反映されていない。憤慨に堪えない」と怒りの声を述べ、「我々の私利私欲で言っているのではない、こうしなければ市場運営が難しいので、お願いしている。誠意ある返事がなければ、いよいよとなれば、豊洲移転することも出来かねることになるかもしれない。」と厳しく東京都の姿勢を批判しています。
そこで区長に質問します。
豊洲新市場への移転は、依然として市場関係者との合意が得られていません。市場関係者の合意がなければ、豊洲新市場への移転は不可能だと思いますが、いかがですか。お答え下さい。
次は「入学準備金の前倒し支給について」です。
貧困問題はどの世代にとっても深刻です。発達・成長過程にある子ども時代の貧困は、健康や学力など子どもに必要な条件が経済的困窮によって奪われるという点など影響は大きく、子ども本人の人生だけでなく、社会全体にも損失をもたらします。
経済的な理由で就学困難と認められる児童・生徒に、義務教育の円滑な実施の助けとなる就学援助制度があります。
私は、就学援助を受けていた母子家庭の方から、「子どもが中学校に入るとき、制服や体操着、カバンなど用意するのに費用が数万円係り大変な思いをした。」「入学前に支給されたら助かったのに」と言う話しを聞き、胸が痛みました。
中央区は新入学の準備に対して小学生2万円、中学生は5万円(上乗せ)支給していますが、入学準備金の支給は7月下旬です。必要な時期にまったく間に合っていません。
文部科学省は、今年3月31日、生活保護世帯と同水準の要保護世帯の小中学生への「入学準備金(就学援助)」を増額し、支給は小学校入学前も可能だとする通知を都道府県教育委員会に出しました。
援助を必要としている時期に速やかな支給が行えるよう、これまで「児童又は生徒」としてきた入学準備金の交付対象に「就学予定者」を追加しました。これによって制度上も小中学校への入学前に支給できることになりました。
すでに東京都内では、新中学1年生への入学前支給を港区、新宿区、文京区など8つの区と市が実施し、2018年度からは足立区、千代田区、荒川区、など7区市が新たに支給を開始します。しかし、中央区は、システムの改修を理由にいまだに実施していません。
来年4月から小学校新一年生にも入学準備金を前倒し支給する区もあります。新宿区では、入学を予定している家庭に、入学前の年の12月上旬に申請書を各家庭に配布し、入学する年の2月上旬に就学援助、新入学対象を認定することで、3月下旬には対象者に支給する予定です。他区や市の事例は、その気になれば入学前に支給することが出来ることを証明しています。
そこで教育長に質問します。
第一に、文部科学省の通知を、どのように受け止めていますか。
第二に、すみやかに小中学校入学前に、入学準備金を支給できるようにすべきと考えますが。いかがですか。
第三に、小学6年生の時点で、就学援助を受けている家庭であれば、収入認定がそのまま生かすことができ、中学入学前に支給することは、すぐにもできるのではないでしょうか。
それぞれお答え下さい。
次は「国民健康保険」についてです。
「とにかく国保料は高い、何とか安くならないのか」と私たち区議団が毎年行っている区民アンケートに区民の声が多数寄せられています。
国保加入者にとって、保険料の支払いが限界に来ています。国保加入者の所得が増えない中での国保料の高騰は、国保加入者の生活を根底から破壊しかねません。
現在でも、高すぎる国保料を払いきれない世帯が相次ぎ、正規の保険証を取り上げられ、必要な医療を受けられない人が後をたたないことが、大問題になっています。さらに来年4月からの都道府県化によって、国保料が引き上がることになれば、深刻な状況に拍車をかけることになります。今でも中央区では滞納世帯は、2016年度24%にのぼっています。更なる滞納世帯を生み出すことになりかねません。
そこで区長に質問します。
第一に、国保料は、世帯の所得に応じる「所得割」と加入者一人一人にかかる「均等割」の合算によって決定されるので、子どもの多い世帯の負担が重くなり、少子化対策に逆行する仕組みとなっています。特別区長会でも、この問題を重視し、東京都に多子世帯への支援を求めていますが、当面、子育て世帯の負担軽減をはかるため、区独自に、軽減策をとることを求めます。いかがですか。
第二に、東京都が国保の保険者となる2018年度以降も一般財源の繰り入れを行い、高すぎる国保料の軽減をはかるべきです。併せて国に対して国庫負担を増やし、東京都として独自の財政支援を行うよう求めるべきと考えますが、いかがですか。それぞれお答えください。
次は「晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業(選手村)」について」質問します。
現在、晴海5丁目の選手村建設は急ピッチで進んでいます。選手村建設後の跡地利用に伴い、区民から疑問や要望など様々な声が寄せられています。
まず、福祉施設などの公共施設の整備についてです。特に晴海地区は今でも人口急増地区で公共施設などの整備が遅れています。選手村ができ、その跡地利用のマンション建設で人口がさらに12000人増える予定です。
とりわけ区民からの要望が多いのは高齢者向けの施設です。具体的な区民の声を紹介します。
一つ目は、一人暮らしの高齢者の方や、介護をしている方は「選手村より老人ホームを作ってほしい」と訴えています。「都内では預けられる施設がなく、埼玉の施設にお願いをしていた」という方や、「少しでも元気なうちに準備をしたいが、高い老人ホームしかない。安く入れる老人ホームが見つからない」と深刻な声も聴いています。晴海に特別養護老人ホームの増設が必要と考えますが、いかがですか。
二つ目は、「晴海にはいきいき館(敬老館)がない。何としても晴海に作ってほしい」という声です。区議団は、これまでも人口急増している晴海地域にいきいき館(敬老館)を増設することを求めてきました。選手村跡地利用の計画に、晴海にいきいき館(敬老館)をつくることを求めますが、いかがですか。
三つ目は、「都営住宅を申し込んでも当らない。選手村用地はもともと都有地でしょ、住宅に困っている人が沢山いるのに、なんで都営住宅を建てないの」という声です。町では選手村建設用地が、一坪33万円、実勢価格の10分の一の超格安で売りに出されたことが話題になっています。選手村跡地の再開発で、選手村用住宅の一部を、都営住宅など公共住宅に転用するなどを行うよう、東京都・再開発事業者に求めるべきではないかと思いますが、いかがですか。
次に、防災・地域コミュニティ・安全についてです。
一つ目は、「袋小路の立地に、12000人もの人が住んだらどうなるのか、地震など来たらどこに逃げるの」という不安です。過密な人口集中は、結果的に災害に弱いまちづくりになります。選手村跡地の住宅に住む方の避難場所・計画についてどのようにお考えですか、お答えください。
二つ目は、「超高層住宅ばっかり建てて、セキュリティはどんどん厳しくなる。知り合いを訪ねようにも一苦労だ」という声や「隣りの方と顔も合わせないし」という声です。
選手村の再開発により12,000人の新しいまちが出来ます。地域コミュニティ、建物内のコミュニティ形成を、どうように育成しようと考えていますか。お答えください。
三つ目は、「勝どき駅がますます混雑するし、今でも朝夕の周辺の歩道はひとひとひとでいっぱいで、年寄りは歩けない、病院に行くにも命がけだ。」という勝どきにお住まいの方の不安の声です。五輪後の住宅建設に伴う、歩道や駅のより一層の混雑など周辺環境への影響をどのように認識し、解決を図ろうと考えていますか。お答えください。
以上で、第一回目の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。