2017年6月19日 志村孝美
議案第四十四号「特別区道の路線の変更について」にたいする反対意見を述べます。
本議案は、「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業に伴い、特別区道の路線を変更する必要があるため」に提出されたものです。
「八重洲二丁目北地区」については、2015年7月27日の中央区都市計画審議会において八重洲一丁目6地区とともに審議され、私は、28項目にわたって質問しました。
この質疑応答を受けて、区計審の会長を務める陣内氏は、「丸の内側と違って、やっぱり八重洲側は、歴史がある町なわけで、営みがあり、コミュニティがあると。だから、そことの関係をうまく調整しながら進める必要があるだろうし、とりわけ小学校が入っているということもありまして、従来にない大きな問題も抱えている中で、より良い方向に進んでいければと思う」と感想を述べました。
2015年6月に開かれた「築地等まちづくり及び地域活性化対策特別委員会」で、私は、「これまでの八重洲の歴史とか、また城東小学校の歴史とか文化を継承するまちづくりが、破壊されてしまう。地域の資源を壊してしまえば、歴史はもうやり直せない。そういうことを今やろうとしている」と批判しました。
城東小学校敷地は、「八重洲二丁目北地区」A1街区の3割を占めます。
区は、区民共有の財産であるこの学校敷地を提供するとともに、今回、やはり区民の財産である区道の変更をおこなうなどして、245mの超高層オフィスビル実現のために力を注いでいます。
また、この事業は、学校敷地の民間提供、および、学校施設と教育環境の大きな変化を伴う重大な問題があるにもかかわらず、事業検討の当初から参加すべき教育委員会が、軽視されていることが区計審の質疑で明らかになりました。
「国際競争力を高める都市機能の導入」としての「国際水準のホテル」や「ビジネス拠点と連携した交流施設」のために、学校施設や子どもたちを犠牲にしていいのかが問われる事態です。
「国家戦略特区」のもとで、教育よりもビジネスを優先するまちづくり先行の中でつくられたこの計画を認めるわけにはいきません。
本事業によって、城東小学校、および、八重洲のまちの歴史と文化が破壊されるとともに、省エネシステムを導入するとはいえ、膨大な地球温暖化ガスを排出し続け、周辺に悪影響を及ぼす風害、ヒートアイランド、日影被害などの環境問題を深刻化させるのは必至です
このような問題がある「八重洲二丁目北地区」開発計画は、次のことを裏付けています。
それは、中央区が「中央区基本構想」で示した「先進的なスマートシティの実現など最先端都市モデルの構築」という中身が、都の「スマートシティ」構想で示された「日本経済をけん引する、国際金融・経済都市を目指」すことであること。
さらに、「国家戦略特区制度を徹底的に活用し、国際ビジネス環境や外国人の生活環境の整備を進めること」や「公有地を活用した拠点づくりを進めること」などで、「アジア・ナンバーワンの国際金融都市」を実現させるという都の構想と歩調を合わせたものであること。
そして、これらは、「東京一極集中」のまちづくり、「大企業に奉仕する」まちづくりであり、「国や都の上位計画に忠実に従うまちづくり」であること、という点です。
今回提案されている「特別区道の路線の変更」は、このような「八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業」を進めるためのものであり、認めるわけにはいきません。
以上の理由により、日本共産党区議団は、議案第四十四号「特別区道の路線の変更について」に反対します。