日本共産党の奥村暁子です。日本共産党中央区議会議員団を代表して質問します。答弁によっては、再質問、再々質問を留保させていただきます。
はじめに、暴走する安倍政権についてお聞きします。
「共謀罪」の成立要件を改めて「テロ等準備罪」を創設する組織的犯罪処罰法が今日、参院本会議で採決され、自民、公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決、成立しました。
同法は参院法務委員会で審議中にもかかわらず、その審議権を取り下げ、いきなり参院本会議で採決に持ち込む委員長の「中間報告」という異常な手段が取られ、強行採決されたことは、議会制民主主義を根底から破壊する暴挙です。
国民が解明を強く求める「加計学園」「森友学園」の疑惑は説明しようともせず、国民が「おかしい」と声を上げている「共謀罪」を押し通す安倍政権の民意を無視した強権・暴走政治に強く抗議します。
「共謀罪」は過去に3回廃案となっていますが、今回審議されている「共謀罪」法案も、定義は非常にあいまいで、法案の「計画」の定義も、「準備行為」が何を指すのかも、はっきりしません。
実際の犯罪行為がなくても、犯罪について相談・計画したと捜査当局がみなせば、処罰の対象にできるようにするもので、憲法19条が保障する、思想・内心の自由をふみにじる重大な違憲立法です。「共謀」を犯罪行為として取り締まるために、捜査当局による盗聴・盗撮、密告、スパイ行為などが横行し、物言えぬ監視社会を招く危険から、「現代の治安維持法」と言われています。
政府は「一般人は関係ない」と繰り返しますが、だれが一般人かを決めるのは捜査当局で、どうにでも拡大解釈が可能です。すでにいまでも環境保護などを訴える市民まで不当に調査・監視している警察が、「共謀罪」によって、さらに大きな捜査権限を手にすることで、「国民監視社会」への道が加速する危険があることは明らかです。
憲法9条改憲を鮮明にした安倍政権による「戦争をする国」づくりと深く結びついた「国民監視社会」づくりを認めるわけにはいきません。
国連の人権理事会が任命した、プライバシー権に関する特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏は、5月18日、「共謀罪」法案がプライバシー権や表現の自由の侵害になると、警告を発する書簡を安倍首相に出しました。しかし、菅義偉官房長官らは「不適切なもの」と反発するばかりで、真摯(しんし)に受け止めようしていません。仏紙「ル・モンド」(5月27日)が「驚くべき対応だ」と報じるなど、海外からも批判の声が上がっています。
国連の国際組織犯罪防止条約(TOC条約)締結に必要といって、「共謀罪」法案を推進しておきながら、国連の人権にたずさわる担当者から異論が出されると、それには一切耳を貸そうとせず、都合のいい時だけに国連を利用する安倍政権の態度は異常です。
「共謀罪」がないとTOC条約が締結できないと安倍政権は主張しますが、そもそも日本はすでにテロ防止のため13本の国際条約を結んでおり、殺人罪など57の主要な重大犯罪については、特別に未遂より前に処罰できる法律があります。「テロ対策のため」という口実は、完全に破たんしています。
6月13日現在、全国59の地方議会で「反対」や「慎重審議」を求める意見書が相次いで可決されています。日本弁護士連合会は3月31日、「共謀罪」法案に反対する意見書を提出しており、4月27日には田原総一郎氏、大谷昭宏氏など著名なメディア関係者32人も連名で反対声明を発表、6月5日には2万6000人の作家・ジャーナリストが参加する国際組織「国際ペン」も反対する声明を発表しました。
6月3、4日両日のJNN世論調査でも7割が「今国会成立にこだわる必要はない」と答えています。
国民の懸念にも国際社会からの警告にも真面目に答えず、人権にかかわる大問題について内外から続出している疑念を無視して、議席が多数のうちにと、法案採決を強行したことは絶対に許されません。
そこでお聞きします。
第一に、「共謀罪」法によって、一般の区民が処罰の対象となる危険性をどのようにお考えですか。
第二に、内心の自由を侵し、テロ対策にもならない「共謀罪」法は廃案にするしかないと思いますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
今、国会の憲法審査会で審議が行われているにもかかわらず、安倍首相は、「戦争放棄」をうたった憲法9条第1項と「戦力不保持」をうたった第2項を残しつつ、第2項の「例外規定」として第3項を設け、自衛隊を明記する改憲を行い、2020年に施行すると表明しました。この改憲は、単に自衛隊の存在を書き込むだけにとどまりません。
安倍政権は2015年9月、安保法制=戦争法の成立を強行、従来の憲法解釈を覆し、集団的自衛権行使を認め、自衛隊の海外での武力行使に道を開きました。それでもなお、少なくとも建前では、武力行使を目的にして海外に派兵することはできないと、様々な制約を認めざるを得ませんでした。
しかし、憲法9条に自衛隊を「第3項」として書き込めば、第2項「戦力不保持」の制約が自衛隊に及ばなくなり、自衛隊は何の制約もなく海外で武力行使できることになる、まさに憲法9条を「死文化」するもので、これが改憲の狙いです。
そこでお聞きします。
第一に、安倍首相が、憲法9条に3項に「自衛隊」を書き加え、2項を死文化しても、自衛隊は2項が不保持とした「戦力」なのか否か、という自衛隊と憲法の矛盾は解消されるどころか、拡大されると思いますが、いかがですか。
第二に、NHK世論調査の結果では、憲法9条改定反対が57%、「朝日」調査でも反対が63%など、ほとんどの国民が望んでいない改憲を、国会の数の力でごり押しすることは日本の民主主義を破壊することになると思いますが、いかがですか。
第三に、区長ご自身は憲法9条に自衛隊を明記する必要があるとお考えですか。
それぞれお答えください。
次は、真の都政改革についてです。
都民の暮らしより大型開発を優先する石原慎太郎、猪瀬直樹、舛添要一の3代続いた都知事のもとで税金の使い方は大きくゆがめられました。
石原都政が始まる前年1998度決算と2015年度決算を比較すると、東京都の民生費の割合は、全国47都道府県で3位だったものが32位に後退、中でも老人福祉費は2位から42位にまで転落しています。一方、土木費の割合は40位から21位にアップしました。
石原元知事が強引に進めた築地市場の豊洲移転の本当のねらいは、築地市場跡地の開発と豊洲の区画整理事業という2つの巨大開発を進めることにありました。
普通ではあり得ない深刻な汚染地に、市場を移転させることが強引に進められたのも、都民の安全・暮らしより巨大開発を優先する逆立ちした都政のゆがみが現れたものと言えます。
「東京大改革」を掲げる小池都知事が編成した2017年度予算には、都有地活用による認可保育園の増設や高校生の授業料の負担軽減など、都民要求にこたえる施策が一定程度盛り込まれましたが、投資的経費が13年ぶりに減額したとはいえ、石原都政以来続く外郭環状道路や住民の強い反対がある特定整備路線などの大型開発については見直しが進んでいません。
都民の暮らし最優先の都政に変える「真の都政改革」ができるかどうかのカギは、石原氏、猪瀬氏、舛添氏と3代の都知事が進めた大型開発優先の税金の使い方にメスを入れ、国保料(税)の軽減、公立保育園の新設補助、シルバーパスの改善、若者への家賃助成など切実な都民要求を実現する都政に転換できるかどうかであり、それが、区民の暮らし・福祉の向上につながります。
そこでお聞きします。
第一に、東京都は2017年度予算で、保育園の待機児童解消目標の大幅引き上げや23区で保育園に土地を貸し出す土地所有者への固定資産税・都市計画税の減免措置などを行い、待機児解消に取り組むとしています。しかし、「多様な形態の保育」のひとつとしてすすめられる「企業主導型保育」は、保育士の半分は保育資格がない補助者でもよく、子どもの年齢制限も人数制限もない認可外施設で、行政の監督責任も曖昧になっており、多くの関係者から保育の質の低下を招くと問題視する声があがっています。
昨年、中央区内の事業所内保育施設で起きた痛ましい死亡事故のようなことが二度と起きないよう、保育の質を置き去りに数だけを追究することはやめ、多くの保護者が願う認可保育園を整備するため補助の拡充を東京都に強く働きかけることを求めますが、いかがですか。また、死亡事故を受け、検証委員会がまとめた再発防止策を盛り込んだ「提言」にあるよう、区は東京都としっかり連携し、認可外保育所に対しても積極的に指導に入ることを求めますが、いかがですか。
第二に、東京都の2017年度予算では、特別養護老人ホームや認知症グループホーム、老人保健施設など高齢者介護施設の整備費が軒並み削減され、78億円の減額となっており、改善は見られません。これでは「介護難民」「孤独死」「住まいのない高齢者」がますます増えることになります。高齢者施設の整備費を増額するよう求め、区内の高齢者介護施設をさらに拡充するよう求めますが、いかがですか。
第三に、都営住宅の新規建設は石原都政の2000年からゼロ、小池都政になっても新規建設の予定はなく、18年間ゼロが続くことになり、住まいの貧困対策の強化は見られません。
中央区での都営住宅の申込み倍率は、昨年度平均で55倍と非常に高いことを踏まえ、もともと都有地である晴海の東京五輪後の選手村跡地利用で、デベロッパーから一部買い戻すか、建物を借り上げるなどの方法で、都営住宅を整備するよう強く求めるべきです。いかがですか。
第四に、中央区は木造住宅の耐震化に助成をしていますが、東京都の助成は特定緊急輸送道路沿い、もしくは墨田区や荒川区、足立区などの木造密集地域の一部と限定的です。
東京都に対し、特定緊急輸送道路沿いではない区内の木造住宅にも適用されるよう、助成対象の拡充を要請することを求めますが、いかがですか。
第五に、東京では、小泉政権時代の「都市再生事業」、石原都政時代の「首都圏メガロポリス構想」の具体化、安倍政権・舛添都政時代の「国家戦略特区」事業と「オリンピック事業」、さらにリニアで大都市を結ぶスーパーメガリージョンづくりなど都心・臨海部に大規模開発プロジェクトが三重・四重に展開され、戦後最大の「大都市改造」が目白押しです。小池都知事のもとで策定された4カ年計画「2020年に向けた実行プラン」も、都心地域を拡大・推進する内容で、国際金融都市・東京を実現するとして「東京大規模プロジェクト」を推し進めるなど、東京一極集中を加速させるものです。こうした大規模開発による環境悪化や、東京一極集中がもたらす地方都市の人口減少と経済の衰退などの悪影響を防ぐために、まちづくりの転換が必要だと思いますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
次に、築地市場の現在地再整備についてお聞きします。
伝統ある日本の台所、築地市場の豊洲移転計画の破たんがいよいよ明瞭となっています。
小池都知事も、6月1日に始まった第2回都議会定例会の冒頭演説で、「無害化は達成できていない」「約束を守れていないことをおわびする」と都民と市場関係者に陳謝しました。
その上で、「もとより安全・安心はこの問題の最大の課題だ。『無害化』が実現できていない中、法的・科学的根拠に基づく安全と、都民の理解・納得に基づく安心が確保できるのか、ロードマップに沿って総点検を進めている」と表明しました。
これは、これまで「地上部は安全」「法令上は安全」との立場を崩さなかった東京都と小池都知事がその立場を是正し、地上は「安全」と主張してきた部分についても総点検することを表明したものです。
都はこれまで、豊洲の移転予定地について、「汚染土壌はすべて除去・浄化する」、その上で「盛り土を行い遮断する」という2つの約束を議会と都民に繰り替えし約束し、計画を進めてきたという経緯があります。
しかし、昨年9月、日本共産党都議団の調査で、主な建物の下には、地下の汚染が地上に上がらないようにする「盛り土」がないことが分かり、都政を揺るがす大問題になりました。
その後の調査では、地下水から環境基準の100倍のベンゼンや検出されてはいけないシアンなど基準を大きく超える有害物質が検出され、5月18日の都の専門家会議では、平田座長がとうとう「環境基準以下にすることを目指してはいない。汚染は残る」との重大な発言をし、「無害化」できないことがいよいよはっきりしました。
山本有二農水相も、4月10日の参議院決算委員会で「東京都が汚染の除去と措置を行わず、盛り土等のみを行った状態で卸売市場用地とすることについては想定し得ない」と答弁しています。
6月5日には、都の市場問題プロジェクトチームが、豊洲新市場に移転した場合、毎年100億~150億円の赤字が継続して発生し、60年間で市場会計は1兆円の累積赤字になるとの試算も示しました。
安全性の面からも、また長期的な財政面からも、築地での再整備しか道はありません。
そこでお聞きします。
第一に、区長はこれまで、「食の安全・安心の確保は、当然のことながら市場移転の大前提」「安全性ということを条件に、本区も移転ということを決断した」と繰り返し、「専門家会議での検証が待たれる」とも述べています。国も東京都も専門家も「汚染は完全に除去できず、残る。将来にリスクがある」と認め、都知事と専門家会議が「無害化できない」と言明した今、「食の安全・安心の確保」という大前提が崩れているのは明らかです。
中央区のもともとの立場である現在地再整備に再び立ち戻ることが、これまでの言動と照らし合わせれば当然の態度だと思いますが、いかがですか。
第二に、築地市場の仲卸業者「築地女将さん会」が集めた署名で仲卸の7割が移転に反対し、また4月18日に築地市場の地元である築地の5つの町会・自治会が都知事と区長及び議長に提出した嘆願書でも、「現在地再整備」が訴えられています。地元から上がった切実なこの声を、区長はどう受け止めていますか。
第三に、「新しい築地をつくる会」の規約には「築地市場の現在地再整備を東京都に求める」ことも目的に掲げられています。今こそ、「新しい築地をつくる会」を開催し、東京都及び都議会に対し現在地再整備の実現を求めることが、区民の願いに応えることになると思いますが、いかがですか。
第四に、法的・科学的根拠に基づく安全と、都民の理解・納得に基づく安心が確保できない今の現実を直視し、都知事が「現在地再整備」を決断した場合、区は速やかに現在地再整備実現に向けて東京都に積極的に協力することを求めますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
次に公契約条例制定についてお聞きします。
消費税増税をはじめアベノミクスによって消費者の購買力が急速に落ち込み、業者の経営は著しく痛めつけられています。指定管理者制度など自治体業務のアウトソーシングの拡大により、公共サービスで働く労働者の労働環境悪化が「官製ワーキングプア」を生み出していることも大きな問題です。
公契約とは、国・地方自治体が行政目的を遂行するために、民間企業や民間団体と締結する契約で、建設工事や公共施設の管理運営、清掃等の業務委託など多くの公共サービス事業が含まれますが、近年、委託企業間の価格競争が激化し、落札額の低下が進み、サービスの質の低下やそこで働く労働者がワーキングプアとなる労働条件の悪化が問題となっています。
公契約条例は、国や地方自治体が公契約を締結する際に、民間企業や民間団体に対し、国や地方自治体が定めた賃金額よりも高い賃金をそこで働く労働者に支払うことを義務づけるものでもあり、公契約条例が制定されれば、適正な委託費を支払い、適正な賃金と労働条件を保障することにより、質の高い公共サービスが提供され、区民にも喜ばれるという好循環が生まれます。
公契約条例制定は、2009年9月に千葉県野田市が全国で初めて制定して以来、埼玉県草加市、神奈川県川崎市など全国で広がっており、東京23区では渋谷区、足立区、千代田区、世田谷区で既に制定されています。港区や新宿区では「要綱」として公契約条例と内容的にほぼ同等のものが定められ、目黒区は来年度中に施行を目指すとしており、墨田区でも区長が区議会で前向きの答弁をしています。
建設労働者団体や中小企業団体だけでなく、日本弁護士連合会の他、全国各地25の弁護士会・弁護士連連合会が契約条例の制定を求める意見書や会長声明等を出すなど、公契約条例制定を求める声が広がっています。
そこでお聞きします。
第一に、区は「最低制限価格制度」や、価格以外の要素も評価して落札者を決定する「総合評価方式の入札」などを導入していますが、労働者に適正な賃金や労働条件が実際に確保されているかをどのように確認していますか。
また、「労働環境チェックシート」にも取り組まれていますが、実際の労働環境をどの程度正確に把握できていますか。それぞれお答えください。
第二に、2016年3月の予算特別委員会では、指定管理者制度が導入されている施設に対し、「社会保険労務士の協力を得て、現場でのモニタリング調査も行っていきたい」旨の答弁がありましたが、どのような調査がされ、どんな報告がされていますか。また、今後、この調査をどのように拡充していきますか。
第三に、2015年の第三回区議会定例会では「他の自治体の事例も参考にしながら、条例制定の効果や課題を研究していく」との答弁ありましたが、その後、どのような研究がされていますか。
第四に、2015年度の官公需契約実績(予算資料より)を見ると、区からの仕事の受注件数に占める中小企業の割合は97.7%となっています。より適切な労務管理を区が行うためにも、また適正価格による発注で区内中小業者の営業を守るためにも、公契約条例制定が必要だと思いますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
次に、つくだ保育園改修工事についてお聞きします。
今年の夏から区立つくだ保育園の老朽化による改修工事が始まりますが、保護者の方たちは、2月に開かれた保護者会のなかで初めて改修工事について知りました。
改修工事期間は今年7月から約1年半と予定されており、保育園を閉鎖しての工事ではなく、園児も通う中、ローリング方式で進められるということです。歳児別の保育室の順次改修時には1階ホールを保育室とすることや、調理室改修の際には園庭に調理室をプレハブで設置すること、園庭やホール子どもたちが遊べない時期があること、運動会などのイベントは佃島小学校の校庭を借りて開催される予定であることなども併せて報告されました。
保護者の方たちは、必要な改修であるということは理解していますが、「急な報告で、唐突感が否めない」「子どもたちの保育にできる限り影響がないよう配慮して欲しい」など様々な感想や要望を持っています。
そこでお聞きします。
第一に、保護者の方たちの要望として「もっと早い段階から改修工事の検討状況を知らせてほしかった」という声があります。決定事項の報告だけでなく、検討の経緯なども示してもらえれば、納得感が全く違うということです。
今後の工事の手順やスケジュール等の計画が分かる資料を、保護者にもできる限り早く配布することを求めますが、いかがですか。
第二に、保護者の間で、工事期間中の手厚い保育士配置を求める声が多くあります。
本来業務である保育をしながら、こまごまとした引越作業や片付けにもあたらなくてはならないことは、保育士の方たちにとって大きな負担となります。
保護者の方たちから「先生方がきちんと保育に専念できるよう、保育士を増やしてほしい」「保育の質を落とさないでほしい」との声が多く聞かれます。工事期間中の手厚い保育士配置を求めますが、いかがですか。
第三に、保護者の方たちからは「とにかく事故がないように」と安全面を危惧する声が聞かれます。平日の日中も行われる工事に対して、どのような事故対策が取られますか。また、工事の騒音にはどのような対策が取られますか。
第四に、運動会や卒園式などの行事が例年通り行われるような、余裕ある工事日程、きちんとした計画は組まれているのか、危惧する声も聞かれます。「今年だけは仕方ない」と押し切ることのないよう求めますが、いかがですか。
第五に、今後、様々な区施設の更新がすすむ中で、関係者に可能な限り早い段階で計画を周知していくことを、区の基本姿勢として位置づけていただきたいと思いますが、いかがですか。
それぞれお答えください。
次に、市街地再開発事業についてです。
都市再開発法が施行された1969年からの東京の市街地再開発事業の変遷をたどると、この半世紀で、かつての東京都が都区住民協議会などを設け住民参加で進めていた市街地再開発事業は、「民間活力」を謳うようになり、そのための時間管理、強制執行、そして超高層オフィスビルやマンション建設となり、大きくその姿を変えてきました。
今日の東京の再開発は、大手デベロッパー、ゼネコンの利潤目的、営利事業となっており、まず事業推進計画などで事業採算見通しを立て、そこでは原材料の仕入れ原価にあたる再開発前の土地建物資産の値踏み(従前資産評価)を行い、そこでどうしたら最大限利益をあげられるか、事業費投入額である再開発総事業費を試算します。
他方で、総事業費の2割から3割にも及ぶ国、都、区の補助金も試算して、それを控除した総原価を計算した上で、仕入れ総原価を計算し、これらの再開発ビル床をどこに売却すれば、総売上と粗利益の巨大化と純利益をはじきだせるか予測を立てます。
総売上の実現に不安があれば、自治体などにビル床を買わせて事業採算をより確実なものとします。
現在の市街地再開発は、住民参加で住民の生活の向上や福祉の向上をはかることよりも、大手デベロッパーやゼネコンの利潤追求に主眼が置かれているといえます。
こうした再開発を積極的にすすめているのが中央区です。
中央区の2017年度予算では、一般会計全体の18.7%にあたる178億円が都市整備費で、その内の75%にあたる134億円が市街地再開発事業助成に充てられており、大きな割合を占めています。
中央区は、区の財産、すなわち区民の財産である区道を改廃し、大きな街区として開発することで、よりボリュームのある超高層建築物が建つことに大きく貢献し、大手デベロッパー、ゼネコンが最大限の利潤を得られるよう協力をしています。
10㎞四方たらずの中央区では、現在、31の再開発事業が進行中であり、今後も増える予定です。
月島1丁目と月島3丁目の連続した街区は縦約300m、横約600m、計約1800㎡たらずの土地ですが、ここで今、竣工時期をずらしながら3つの巨大な計画が進行中です。
西仲通り商店街に面した「月島1丁目西仲通り地区市街地再開発事業」では建物の解体工事が始まっており、地上32階建て、計500戸の超高層住宅が2020年(平成32年)竣工予定です。
清澄通りと西仲通りに挟まれた「月島3丁目南地区市街地再開発事業」では2014年(平成26年)に準備組合設立、今年4月27日と5月7日に借家人も参加した「中央区まちづくり基本条例に基づく説明会」が開催され、今年12月に都市計画決定された後、2024年(平成36年)年に地上50階建て約750戸の超高層住宅が竣工予定となっています。
西仲通りと隅田川に挟まれた「月島3丁目地区市街地再開発事業」は2011年(平成23年)に準備組合が立ち上がり、今年4月22日には「施設設計素案と都市計画手続きに関する説明会」が開かれ、現在、地権者の合意書集めに力が注がれています。
この地域では、既に2015年に53階建ての「ザ・タワー」と11階建て「ザ・レジデンス」の2棟からなる計約700戸の「キャピタルゲートプレイス」が竣工しており、まち並み、人の流れが激変しています。
狭い地域に集中する再開発計画に対する住民の不安は広がる一方で、「これ以上、超高層建築物はいらない」という地域住民の声に、区は真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。
また、市街地再開発事業による急激な人口増の影響で、小学校はどこも増改築しなければならないほど子どもの数が増えています。保育所や学童クラブといった子育て施設、特養ホームなどの高齢者施設が足りず、公共施設整備が再開発の後追いになっていることも重大な問題です。
そこでお聞きします。
第一に、再開発事業は、地権者か借家人かという如何に関わらず、当該地域に居住している方、事業をしている方、また隣接する地域全体に幅広く係わる問題です。計画の初期段階から、当該地域及び近隣地域での説明会を開いていくことが地域での理解を得ることになると思いますが、いかがですか。
第二に、区は、市街地再開発は住民の要望で始まるものだと繰り返し答弁していますが、市街地再開発事業の初期にあたる勉強会の段階では、区が住民の元に赴き、市街地再開発について説明します。その際、市街地再開発のデメリットについてはどのように説明していますか。
第三に、区は、住民を追い出さないためにコミュニティファンド制度を活用していると強調しますが、区は借家人に対してこの制度を、どのタイミングで、どう周知していますか。また、希望する借家人全てが活用できるよう、どのように工夫していますか。
第四に、「月島まちづくりルール」に賛同して、そのルールにのっとり路地を生かした住宅を新築したという地権者の方から不満の声が出ています。市街地再開発事業により超高層住宅建築をすすめることは、区自身が策定した「月島まちづくりルール」と照らし合わせれば、矛盾する施策だと思いますが、いかがですか。
第五に、中低層の建築物によるまちづくりへの転換をはかるため、「月島まちづくりルール」を今後どのように生かすおつもりですか。お答えください。
以上で1回目の質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。